NARUTOにおける、無音状態描写の美しさ、深さについて。
なんだか訳わからんタイトルだと思いますが・・・・;(「今日のお題」、当初「トビが隠す第3のシナリオその2」を予定していたんですが、考えるところがありまして、それは次回にまわし、その「前段階」としての話題を1つ。)
実は先日、自由に語る場にいただいたコメントで「某N○Kの番組で、NARUTOが「擬音語」英語訳の例として取り上げられていた」という話を聞かせていただきました(ユキト様より)。
実は先日、自由に語る場にいただいたコメントで「某N○Kの番組で、NARUTOが「擬音語」英語訳の例として取り上げられていた」という話を聞かせていただきました(ユキト様より)。
非常に興味深いお話で、すご~く気になっていたのですが、実は昨晩、偶然にその番組の再放送を見ることが出来ました。(「みんなのニホンGO」という番組)
「擬音語」の例として、NARUTO原作の絵が数枚取り上げられていたのですが中でも私の眼が釘付けになったのが、この絵↓
「擬音語」の例として、NARUTO原作の絵が数枚取り上げられていたのですが中でも私の眼が釘付けになったのが、この絵↓
カカシVSペインで 最後にペイン修羅道のミサイルに対してカカシが神威を使おうとする時の絵です(痛々しい血と汗は抜きにしてあります;)
眼を「スゥ・・・」と万華鏡写輪眼に変える瞬間の描写。
いや、天下のN★Kで、カカシ先生の顔(しかも原作の絵)が数秒間どアップ状態になるという大事件?!にしばし茫然と見惚れてしまいまして(笑)
・・・いやいや、それよりも主旨であるNARUTOに出てくる「擬音語表現」。
・・・いやいや、それよりも主旨であるNARUTOに出てくる「擬音語表現」。
英語では「無音の動作」を表す擬音語というものが無いらしく、スゥ・・と書いてあれば「スゥ」という音が実際に出たと判断してしまうらしいんですよね。
でもあの「スゥ」は無音で、「動作を表す擬音語」。どうやらこれは日本の漫画ならではの独特な手法のようです。
結局番組はその部分しか見なかったので;主旨をズレて解釈しているかもしれませんが、でも日頃から気になっていたNARUTOの「無音状態の描写」の深さと、ちょっと繋がった気がしました。
「ピクピク」とか「スッ」「ギン!」「ズキン!」など?
「ピクピク」とか「スッ」「ギン!」「ズキン!」など?
実際にはそんな音は出ていないのだけれど、絵を効果的に魅せるための「擬音」・・・それが無音状態の擬音語。
こういう「無音状態」の描写は漫画の醍醐味の1つじゃないか?と思うんですよね。 小説やアニメでも出来ない・・・漫画ならではの手法。
とくにNARUTOは、無音状態の描写が素晴らしい!漫画全般に詳しくない私が偉そうに言えることではないんですが、私がNARUTOという漫画に惚れた理由の1つが、実はこの無音状態描写の深さだったんです。
NARUTOの「無音状態の描写」のうち、3つほど特徴的と思うものがあります。
とくにNARUTOは、無音状態の描写が素晴らしい!漫画全般に詳しくない私が偉そうに言えることではないんですが、私がNARUTOという漫画に惚れた理由の1つが、実はこの無音状態描写の深さだったんです。
NARUTOの「無音状態の描写」のうち、3つほど特徴的と思うものがあります。
1つは、前述のような「スッ」「クィ」などの無音の擬音語。
2つめは、眼で語る描写。 眼で語る戦いならぬ、眼で語る人物の心情・・・
全く文字が無い絵の、顔(眼)のアップ。岸本先生の素晴らしい絵だからこそなのかもしれないですが、言葉以上に眼の表情が人物の「本当の」気持ちを語る。
3つ目は、岸本先生の十八番「・・・・・」だけで語らせる描写。
「・・・・」というセリフ、これNARUTOではかなり多用されており、しかもどれも意味が深い!そして解釈が難しい
3つ目は、岸本先生の十八番「・・・・・」だけで語らせる描写。
「・・・・」というセリフ、これNARUTOではかなり多用されており、しかもどれも意味が深い!そして解釈が難しい
この人物は「・・・・」で何を語ろうとしているのか?ということについては、おそらく読者ごとに違う解釈が可能でして、それだけに面白い!
正解を「当てる」事にこだわるのは多分ナンセンスで、その人物の気持ちに思いを馳せたり話を振り返ったりして考える「過程」が面白い・・そう思っています
最初に「・・・」が気になったのは、まだ うちは一族の謎やイタチの真実が判明する前、イタチの「・・・・」を読み取ろうと必死になっていた頃でして。 イタチって、無口だし肝心な部分は全て「・・・」なんですよね~・・・。
未だにイタチが何を語りたかったのか?謎の部分がたくさんありすぎる。でもこれは無理に解き明かさず、謎のままにしておくほうがいいのかな~という気もしています。
(イタチの驚いた眼のアップ)
イタチ 「・・・・」
(カカシの写輪眼のアップ)
イタチはさらに「・・・・」と顔をしかめ、冷静に受け止めようとしているのだろうか?そして「カカシさん、アナタまさか・・」。 ここまでで言葉を止めたのは、本当にカカシが万華鏡を開眼しているのか?カカシの反応を確かめようとしたのかな。 それを察したカカシは何も言葉では答えず、「・・・・」と無言で返す。
まわりにいたチヨ、サクラ、ナルトには 「・・・・」が多すぎてw何のことやらさっぱりわからなかったはずだけど、でも、イタチとカカシは「・・・・」と眼だけで十分会話を成立させていた。
時に無音でのやりとりのほうが、声に出す部分よりもずーーっと大切なことや真実を語ってくれる気がします。
最近では、イタチに代わってトビの「・・・・」が非常~に気になっております。
トビといえば、正体から本心まで全て謎。 イタチのように沈黙を貫くわけではなく、饒舌でしゃべりすぎるほどのトビ・・・
イタチの「・・・・」は謎が多いからこそ、美しい
カカシもかなり「・・・」を使う人ですね、彼の場合は、こっそり何か策を考えている時とか、相手の出方や反応をじっくり見る時に「・・・・」が使われる場合が多いかな?
カカシもかなり「・・・」を使う人ですね、彼の場合は、こっそり何か策を考えている時とか、相手の出方や反応をじっくり見る時に「・・・・」が使われる場合が多いかな?
だいたいカカシも、感情をあまり表に出すタイプじゃあない。 いつも冷静で、声に出して反応することがあまりないです。「・・・」と心の内で考えていることが多いのだ。
その点後輩ヤマトはすぐに思ったことを口にしたり、表情に出したりしますがね(最近、特にこの傾向が顕著!) だからカカシに比べると「・・・・」を使うことが少ない。
その点後輩ヤマトはすぐに思ったことを口にしたり、表情に出したりしますがね(最近、特にこの傾向が顕著!) だからカカシに比べると「・・・・」を使うことが少ない。
つまり、あまり感情を言葉に表さないイタチとカカシが対面した時は、無音(声)状態のやりとり「・・・」がかなり連発されその醍醐味を味わうことが出来ます
なかでも、NARUTOの「無音状態描写の3つ」の魅力がぎっしり詰まった例が、この有名なシーン。風影奪還任務中にナルト、カカシ、サクラ、チヨのフォーマンセルが偽イタチと出会った場面・・・(29巻、257話)
カカシ 「イタチよ・・・」 (スッ)
イタチ 「・・・・・」
カカシ 「お前の視力・・」 (クィ) 「どこまで落ちてる?」
なかでも、NARUTOの「無音状態描写の3つ」の魅力がぎっしり詰まった例が、この有名なシーン。風影奪還任務中にナルト、カカシ、サクラ、チヨのフォーマンセルが偽イタチと出会った場面・・・(29巻、257話)
カカシ 「イタチよ・・・」 (スッ)
イタチ 「・・・・・」
カカシ 「お前の視力・・」 (クィ) 「どこまで落ちてる?」
(イタチの驚いた眼のアップ)
イタチ 「・・・・」
(カカシの写輪眼のアップ)
イタチ 「・・・・」
イタチ 「カカシさん・・・アナタ まさか」
カカシ 「・・・・」
イタチ 「カカシさん・・・アナタ まさか」
カカシ 「・・・・」
まず、1の擬音語の使い方なんですけど、イタチよ・・と言ってカカシが左手を「スッ」と額当てに添える
この「スッ」という音(無音)で、読者はカカシの額当ての添えられた左手に 《ほぼ無意識的に》意識させられてしまっている
「スッ」という音は(実際は無音だけど)、さりげない動作の擬音語なんですよね。 だから、この動作は自然だし、大げさなところがない。 だから、イタチも特に何も感じていない様子なんです。
次のイタチの「・・・・」も、「別に・・・・」といった感じで、特別に何も感じていないという意味の「・・・・・」でしかないんです。
でも、次にカカシが「お前の視力・・・」と言いながら「クィ」と額当てを引き上げ、写輪眼を見せる。このクィはかな~~り効果的! クィ、という描写があることで 読者はカカシの左目に思わず、注目する・・・。「クィ」が無かったら、読者は さほどカカシの左目に注目しなかったかもしれない。
でも左目に注目したおかげで、このあとに続く「お前の視力どこまで落ちてる?」という言葉が カカシの左目とも繋がるのだ。
つまりカカシの左目も既に視力が落ちているらしい=カカシも万華鏡を開眼したのかもしれない、ということに 読者も なんとなく気がつく。
で、続くイタチの「眼の どアップ」、眼だけの描写なのに・・・・今までイタチがこんなに驚いたことはないんじゃないの?と思わせるほどの眼パッチリなのだ。(あとイタチが驚いているのは、幼いサスケが うちは事件で写輪眼開眼したのを見た時くらいかな)
イタチは驚いたからってヤマトみたいに「ええーーーっ!」なんて言わないけれど(無音無声でも)めちゃくちゃ動揺したことは目が十分物語る。
次のイタチの「・・・」は、何も言えないほど(言葉にならないほど)衝撃を受けている感じ。一族以外に移植された写輪眼が万華鏡を開眼するということは、かなりショックだったらしいが・・・・。いや、ただそれだけではなくって カカシの開眼が、イタチに何か他の重大な事実を思い起こさせたのかもしれないが・・・
そしてそのイタチを見つめるカカシの写輪眼、厳しい目というよりは どこか哀しげでもある。
万華鏡にまつわる、うちは一族の闇や、次第に閉ざされていく写輪眼の運命をカカシは全て知っているように・・・・ そしてイタチがもう、かなり視力が低下していることもわかっているよ・・・と言いたげなカカシの眼。
イタチはさらに「・・・・」と顔をしかめ、冷静に受け止めようとしているのだろうか?そして「カカシさん、アナタまさか・・」。 ここまでで言葉を止めたのは、本当にカカシが万華鏡を開眼しているのか?カカシの反応を確かめようとしたのかな。 それを察したカカシは何も言葉では答えず、「・・・・」と無言で返す。
まわりにいたチヨ、サクラ、ナルトには 「・・・・」が多すぎてw何のことやらさっぱりわからなかったはずだけど、でも、イタチとカカシは「・・・・」と眼だけで十分会話を成立させていた。
霧に包まれたような無音の中で交わされた、万華鏡写輪眼を持つ者2人が伝え合った「秘められた言葉」。。
万華鏡を開眼した者だけにしかわからない苦しみや重荷・・・
一瞬だけど、敵や味方なんて超越して 同じ苦しみを共有する者どうしとして思い労わるような・・・ そんな空気が流れていたような感じがしたんですが。
・・・・・・いや~、この場面、好きです.
時に無音でのやりとりのほうが、声に出す部分よりもずーーっと大切なことや真実を語ってくれる気がします。
最近では、イタチに代わってトビの「・・・・」が非常~に気になっております。
トビといえば、正体から本心まで全て謎。 イタチのように沈黙を貫くわけではなく、饒舌でしゃべりすぎるほどのトビ・・・
彼の話はどこからどこまでが本当で、何が嘘なのか??見抜くのは、めちゃくちゃ難しい。。
だけどトビが「・・・・」を使う時。 この時だけは、トビも「実体化」ならぬ「本音」をあらわす時、と思っております。つまりトビは「・・・」を使う時だけ、「本当の表情」を見せているんじゃないだろうか?
そういう観点から、トビが「・・・・」を使う時を取り上げて 彼の「本当のシナリオ」は何なのか?解いてみたいと思います・・・ (できるのか?)