ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

NARUTO-ナルト-の考察(伏線、言葉、人物考察などなど!)続行中!

NARUTOにおける、「静寂」の美しさ。

NARUTOにおける、「静寂」の美しさ。

先日NARUTOの無音の擬音語や「・・・」の使い方など、無音世界の心理描写についてちょこっと書いたのですが、今度は静寂な空間の描写のことを。
 
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つまり・・・・静かな背景の美しさ、ってことかな。
 
漫画という「平面の世界」に、言葉や擬音語(ドンドン、ガチャガチャなど)等の「音」が加わると、まるで3次元空間のような立体感が出てきます。3Dのような効果とでもいうか(ちょっと大げさw)。
 
NARUTOでも戦闘シーンなんて迫力ある音が書き込まれていますよね、(ガガガガガガ!やゴゴゴゴ!とか)。
迫力ある音の世界も魅力的ではあるんですが、個人的にはNARUTOの「静寂な世界の描写」がいいなぁと思っています・・・・うん(これ、好みの問題でしょうけどねw)
 
静寂の世界・・・・これ漫画ならではかな?とも思うんですよね。アニメだと、どーしても会話の無い部分等は音楽で埋められていく。  無音状態が何秒も続くってことは ほとんどない・・・んじゃないかな?
(あ、アニナルは音楽がいいから、それはそれで素敵なんですけどねw)
 
静寂な世界の描写は、擬音語も全く無い「完全な無音」で描写されている時と、擬音語で音を添えることで あたりの静けさが強調される場合がありますが、
私が特に好きなのは、かすかな音が表す「静けさ」と、その空間の広がり。

小さな音が何も無いガラーーンとした空間に響くことで、その静さと空間の広さをすっごい感じる瞬間があります。それがいい。
 
そして、その風景の静寂は人物の心情を切々と語りかけてくる。 だいたい忍ってのは、自分の感情をストレートに出す人が少ないから、彼らが自分では語らない心に秘めた思いを、風景が代わりに語ってくれる・・・そんな描写がたまらないのです。
 
 
たとえば雨や水の音とか・・・
 
雨は悲しい場面によく使われていますが、なかでも私が好きなのは25巻、うちは事件のあとの「水滴と雨の音」・・・。これがまた、切なく美しく・・・・・・そして哀しい!
 
事件直後、サスケは病院を抜け出して 1人でうちはの居住区に行くんですが・・・「夢であって欲しい」というサスケの願いも空しく、居住区は廃墟のように静まり返っている。
 
音ひとつしない がらーんとしたサスケの家。
中に入ったサスケは、まだ半信半疑なんですよね・・・・というか信じたくないという気持ち。 家のどこからか、母さんが出てきてくれるかもしれない。そんな思いだったんだろうなぁ・・・。
 
その時、台所の蛇口から「ピチャン!」という水滴の音が 家中に響きわたる・・・。

微かな、水滴の音が家中に響き渡るということ・・・それは この家が「空っぽ」で、もう誰もいないことを残酷にもサスケに告げる音だった・・・。
蛇口から水滴が耐え切れずにこぼれ落ちたように、それまで涙をこらえていたサスケの目から涙が溢れ出す。

そして堰を切ったように溢れる涙を、激しくなった外の雨音がかき消していく・・・。
あの「ピチャン」という音は、あまりにも哀し過ぎる。・・・
 

そして、51巻476話の「風の音」も
 
サスケVSダンゾウが始まろうとしている場面、国境の橋上に「ヒューーーーーー」という風が吹き荒む。
後ろにそびえる山、国境門の上から2人を見下ろすトビ。
 
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2つの世界を隔てるかのように、風が谷あいを通り抜けていくんですよね。。
 
この戦いは、サスケにとって「訣別」のための戦い・・・ あの国境は、サスケが鷹や香燐を棄て、草薙の剣も棄て・・・・・・、さらには第七班全員とも別れを告げる場所になってしまった。
 
ヒューーーという冷たい風の音は、切ない別れの音としてなんとも心に悲しげに響いてくるんです。そして風は「過去の絆」もどこかへと持ち去り、跡形もなくその記憶まで消し去ってしまう。
 
でも、このヒューーーという風の音。寂しい音ではあるんだけど、それだけでもない。

サスケにとっては思い出と絆を断ち切る音になったのだが、ナルトにとっては「悶々とした思い」を吹き飛ばす音にもなったような気がする・・。サスケと向き合う覚悟ができた、ナルト。
だから前の終末の谷のように涙を流すことも無く・・・・ そして国境の谷に雨が降ることは無かった。
 
 
そして静寂を伝える音って、寂しさをあらわすばっかりじゃあないですよね。
 
・・・・たとえば焚き火の「パチパチ」という音
 
焚き火って、どこか懐かしい感じがするんですよね。 暗闇の中だからこそ感じる火の温かさと明るさ、なのかな?
くべられた薪と炎を見ていると、なんだかなぁ~一番会いたい(そして会えない)懐かしい人を思い出しちゃうのかな・・・楽しかった思い出と一緒に。
 
29巻で、我愛羅救出に向かう第七班とチヨばあが、野宿している時の焚き火(261話)。
 
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大の字で眠るナルトwの寝顔を、焚き火の明かりがパチパチと音をたてて、そっと照らし・・・焚き火の音だけが漆黒の森に響いては消えていく。
 
灯に照らされたナルトの顔に、チヨは孫サソリの面影を見る・・・懐かしい幼かったころのサソリ。
そしてサソリの父・チヨの息子の幸せそうな笑顔も。
 
孫に何もしてやれなかった自分の無力を責め、サソリが道を外れた時も見てみぬフリをするしかなかったチヨ。忘れようとしていた20年ほどの月日をたぐりよせ、チヨはサソリと向き合う決意をする。。
 
静かに、そして火のように強かに。・・・・
 
そして同じパチパチという焚き火の音。これはサクモとカカシが20数年ぶりに再会した場所でもこの音が響いていた(449話)。
 
サクモは 一人残してしまったカカシに申し訳ないと思うあまりなのか、はっきりと面と向かって「悪かった」とすら言えなかったように見える。 なんだかなぁ~~サクモさん、許してもらったり謝らせてもらう資格すら自分には無いと ずっと自分を責めていたような気がする(自分を責めすぎるところは、この親子似ているw)。
黙って息子の苦労話を聞くことが「父として出来る」せめてもの償いであると思っていたような・・・。
 
でも静かに「パチパチ」と響く火花の音は、サクモがずっと抱いてきた「一人にして苦労をかけて、悪かったな・・・・」というカカシへの言葉にも聞こえる。 だって、20数年もずっと、サクモは天国にも行かずに焚き火を続けていたんですから・・・。
・・・そんな父の気持ちを、カカシはしっかり受け止めていたと思う。

「今なら父さんを理解できる・・ 皆の為に掟を破った父さんを 今は誇りに思う」
 
・・・・うーん感動的な場面
 
あの世へ続く闇の中で、サクモがずっと絶やすことなく焚き続けてきた火(いやカカシが焚き続けていたのかな?)。
けして絶えることの無かった父と息子の絆は、小さなパチパチという音をたよりに 20数年の時間をたぐり寄せられた。
 
どこか懐かしく切ない、火のパチパチっと弾ける音。

暗闇の中で過去と現在を繋ぐ不思議な音でもあり 一瞬ごとに闇の中に消えていく、刹那の儚い音でもある・・・・出会いそのものが、ほんのひと時の幻であるかのように。
 
・・・・水や風、そして火・・(性質変化じゃないけどね)、自然が感じさせてくれる静寂の音の世界。
これがまた、NARUTOの(たくさんある)魅力の、1つ・・・・じゃないかな、と思うのであります。
 
 
 
 
駄文お読みいただいて、感謝です。