39巻第353話、イタチと鬼鮫の会話から 《四尾の人柱力・老紫》
(イラスト集「NARUTO-ナルト-」、岸本先生による「四尾」の説明)
《幼少より四尾を宿し、有り余る力を制御すべく旅していた》 《四尾の力を借りて一つ地の性質を融合させる「熔遁忍術」を会得》
(「者の書」による四尾の人柱力・老紫の説明)
改めて老紫初登場の部分を読み直してみたんですが イタチと鬼鮫の会話がなかなか面白いんですよね~「絶妙な距離感」があって。
ま、その話は後半にまわすことにして・・・ まず先に、彼らの会話に登場する『四尾人柱力・老紫』のことをちょっと。
鬼鮫は、鮫肌の中に入れておいた老紫をイタチの前に「ドサッ」と荒っぽく出して見せ、さらに鮫肌にひっかけて高々と持ち上げる・・・ まぁなんとも酷い扱いをしてイタチの「関心」を惹いてるんです(39巻の絵では、鮫肌の「口」から老紫が出てくるところは イタチの陰になって見えないんですが)。 なんだか飼い猫がご主人様にとってきたネズミを自慢するみたいなんですけど・・・(って、猫って本当にそんなことするのかなぁ?)
イタチはそれを見て「死にそうだな・・・ 年寄りは丁重に扱え」とだけ言って鬼鮫の「自慢」を軽く流すのですが、
『こいつを知らないから そんな事言うんですよ 四尾の熔遁を使うこの人柱力はそんなタマじゃないですよ』
と鬼鮫は返す。
「そんなタマじゃない」と言われた老紫ですが、この時の老紫の姿を見る限りすっかり弱った気の毒なお爺ちゃんなんですよね・・・ 服装も質素な着物で、腰には古臭い巾着。額あても胴当ても無しで、とても忍には見えない「どこにでもいそうなお爺ちゃん」。
なのに鬼鮫は地面に「ドサッ」と落としたり、(雨の中)刀に乗せて持ち上げたり。ホント容赦ないんですよね。
イタチが『丁重に扱え』と言いたくなるのもごもっともです。鬼鮫ェ・・・あんまりだってばよ。
だけど第45巻420話カラー絵《Tails》に登場する老紫を見たら ちょっと考えが変わりました。こりゃ鬼鮫が言うように「そんなタマ」じゃなかったのかも・・・。なぜなら、そこに描かれていた老紫は・・・
《ド派手なピンクの装束に身を包み、四代目水影の肩に腕を置いて口をちょいとへの字に曲げた赤毛のオジサマ》だったからです。
ナルトのオレンジってのも奇抜だと思ったけど、それ以上のインパクト・・・・ ま、岩隠れの忍装束は『紫がかったピンク(赤)』ではあるんですが、それにしても老紫のピンクは特別ド派手(林家○ーじゃないけど)。
そして最近の第567話でも、勢ぞろいした人柱力達のカラー絵がありましたが・・・全員がキリっと正面を見つめてるってのに、このオヤジさんは一人だけ首を傾げて《フン・・》とでも言ってる雰囲気なんですよね。 なんだかなぁ・・・老紫ってへそ曲がりっぽい・・・・一癖も二癖もありそうなお方です。
そして鬼鮫はこう付け加えている。
『直接戦っていないアナタには 私の苦労は分からないでしょうがね』
どれほど苦労したんだろうw・・・ 確かに老紫の《四尾の力を借りた熔遁》は 「弱々しいおじいちゃん」なんてもんじゃあなかったとは想像できます。そういえば穢土転生された老紫は、熔遁を身に纏って攻撃してきましたが、実にパワフルだった。
ただし『水遁・大水衝波』でフィールドを水にしたら、鬼鮫は有利ですよね。熔遁もさすがに水遁の中では効果が無いと思われるし。相性的に有利だということもあって、鬼鮫が老紫の担当になったんだろうなとは思います。
でも、もし本当に「老紫はうずまき一族」だとしたら、鬼鮫は予想以上に苦戦したんじゃないかとは思うんです。鬼鮫は鮫肌と融合して《水中鮫踊りの術》でチャクラを徐々に奪っていく戦いに持ち込んだのではないかと思うんですが(だから老紫は服が半分脱げているのかと)、でも老紫自身もうずまき一族特有の膨大なチャクラと生命力を持っていたのだとしたら・・・・意外と時間がかかったのかも(老紫が「うずまき」であるというのは、当方の推測でしかありませんが)。
55巻第519話で、八尾が『本来は己と尾獣とでチャクラのやり取りを交渉して決めるもんだ』と言ってましたから、
老紫が四尾の術である熔遁を使えたのは、孫悟空と「チャクラのやり取り交渉」をしてたってことですよね、おそらく。
そして孫悟空はナルトが「九尾の本名《九喇痲》を知らなかった」ことを驚いていた・・・ってことは、老紫は四尾の本名《孫悟空ウキキー》を知っていたんですね。 四尾・孫悟空と老紫、友好的とは言えないまでも 酷く険悪な仲でもなかったんだろうなぁ~とは思います。それに熔遁を使いこなしていたわけなので 里の戦力としてもかなり活躍していたんじゃないかと考えています。
トビはこんなことを言ってましたよね、
《お前達人柱力は尾獣を取り付けさせられ絶望ばかりを見てきた・・・違うか?》と。
確かに、絶望を見てきた人柱力達も多くいたと思うんです。 ビーの前任者であるエーの従兄弟も、忍としては優秀だったのに死の恐怖から逃れることは出来なかったし・・・我愛羅だってナルトに救われる前は孤独の中にいた。 勿論、かつてのナルトだってそうだったわけだし ビーだって人知れず苦しんでいたこともあったに違いない。四尾の老紫だって有り余る力を制御できず疎まれたこともあっただろうし、かなり苦労はしてきただろうと思うんです。でも、彼は「絶望」していたんだろうか・・・?
いや・・・そうも思えない。
この世界に絶望していた人が、あんなド派手なピンクの服なんて着たりしないだろうから(・・・って、そこかい!w)。
嫌でも目立つ、ピンクの装束。存在をアピールするかのようなド派手な衣装。
への字に曲げた口元は タフな精神力と強い意志を感じさせるし自信があるように見えるんですよね。
あの派手な衣装は四尾の力を得た証なのか、自信の表れなのか・・・この世界に存在する「証」としての主張なのか。彼等人柱力は国の兵器として存在し、「人間」としての自分の存在を否定されてきた。しかし、それでもけして「絶望」はしていなかったのかも・・・必死に自分の存在を探し続け求め続けていたのかもしれない。彼等はこの世界が けして「絶望だけじゃない」ということも分かっていたんだろうか。
鬼鮫に「そんなタマじゃない」と言われた老紫。
あの意志の強そうな眼差しが語りかけてくるのは、人柱力としてのプライドなのかもしれません。
ちょいと偏屈オヤジっぽくて、でもお茶目そうで・・・・・・かなり気になる人柱力です。
エドテン人柱力達・・・・胸に打たれた杭が外されたら 彼等はどんな言葉で、そして何を語るんでしょう。
(つづく・・・)
(イタチと鬼鮫の「会話」について『後半』で・・・)
☆長駄文、読んでくださってありがとうございます、感謝・・・・