NARUTO-ナルト-60巻の感想を少々 2.カカシのニコッとした笑顔について
60巻を読んで、今度は「カカシについて」ちょっと気になったところを(まだしばらく「カカシの話」は始まりそうもないですけどね)。 今回あらためて気になったのはカカシの「ニコッ」という笑顔なんです。
『第7班の教え子がガンバリすぎてんのに休んでる訳にはいかないでしょ!』
第567話でナルトの増援として来たカカシとガイ、「来てくれたんだ!」というナルトの言葉に対してニコっと笑って振り返ってこれを言うんですが・・
このカカシの笑顔については『567話感想』でもグダグダ書きましたが、気になる点がいくつも出てくるんです。
感想で既に書いたことをざっとまとめると・・・
・《『第7班の教え子がガンバリすぎてんのに休んでる訳にはいかないでしょ!』という言葉と状況が、27巻の242話の台詞に似ていること》。
《お前みたいな泣き虫忍者に一人で任せておけないでしょ》・・・リンを助けるために一人で敵アジトに向かったオビトが敵の攻撃にやられそうになった時、カカシが「隊長としての任務を放棄して」助けに来るんです。で、オビトの前に立って「盾」となって言ったのがこの言葉(ニコッは無いけど・・・)。
これが、今回の状況と今回の言葉に似てるな・・と。
そして・・・カカシのこの言葉を聞いた直後の、次のコマの「トビの不気味な反応」の絵が気になってるんです。トビはカカシのこの言葉(と笑顔?)に「何か」を感じてるんですよね。 でも「何を感じたのか」は、仮面をしてるので当然ながらわからない・・・。
もしかしたらこの時も、トビは何らかの「違和感」を感じていたのではないか? カカシの言葉に忘れている何かを思い出しかけたのか、あるいはカカシのこの笑顔が「本物の笑顔ではない」違和感に気づいたのか・・なんて思えてきちゃうのです。
60巻30頁のカカシの次の「トビの顔」・・これが何を意味するのか。 皆様はどう思われますでしょうか・・・。
そして・・・
・《「ニコッ笑」をしばらく封印していたハズのカカシが 久しぶりにニコッをした、という事》
20巻、病院の屋上でサスケとナルトがケンカして、サクラが泣いていた時・・・・カカシは「だいじょーぶ元通りになれる」とニコッとやったんです。が、それは結局「大丈夫じゃなかった」。
カカシは51巻でサクラにその「嘘」を詫びていましたけど・・・あれ以来カカシはあの「ニコッ」は封印していたように見えるんです。 でも久々にこの笑顔をみせたってことは・・・今度こそ嘘にしないという決意の表れなんだろうか?
・・・本誌で読んだ時には、こんなことを感じたのです。
が・・・・コミックスで読んでみて新たに思ったのは《カカシ、この笑顔は相当無理してるんじゃないのかなぁ・・・》ということなんです(少し心配になった。)
そもそも、カカシの「ニコッ笑」なんですが・・・これはカカシの得意技とでも言いましょうか。
「だいじょーぶ」と言った感じで あんなニコッとした笑顔を向けられると、緊張している仲間(部下)達は安心してリラックスできるんですよね。 だから・・・たぶんカカシはあれをよく部下たちの前でやってきたんだと思うんです。
暗部でカカシと組んできたヤマトが「カカシさんとボクは違う “キミ達を傷つけやしなーいよ”…なんて笑って言うのはごめんだよ」なんてナルト達に言っていたことがあるぐらいですからねぇ・・・。
もちろん笑顔を使うのはカカシだけじゃない・・・サイやサクラも、かつてのナルトも「作り笑顔」はよく使ってましたっけ。
でもなぜ、カカシはあんなこと言うんだろう。なぜニコッと笑うんだろう?
カカシの場合は「仲間を安心させるため」 「仲間を絶対に守らなくちゃいけないぞ」と自分に言い聞かせるための笑顔であるわけです。 が・・・同時に「不安」をごまかすための作り笑顔だったんじゃないかな・・なんて思ってしまうんです。
言葉では「誰も傷つけやしな~いよ」なんて言ってますけど・・・その言葉は「自信」からくるものだけではない。 というか逆に・・カカシは「仲間を守れなかった」「約束を守れなかった」後悔で今も自分を責め続けてる訳でして・・・。だからこそ、ペイン戦で一度死んだ時なんて「オビト、許してくれ」の連発だったわけですから。
そんな自信の無さは、60巻でもちょこっと顔を出しています。
自分達のピンチを救ったナルトの背中を見て カカシは「先生!?」なんて言ってる・・・。カカシにとってミナトは「いつでも自分達を守ってくれた存在」。 だからカカシは、今でもミナト先生のことを「絶対に越えられない存在」だと思ってる。
・・・それは単純に技術的に超えられないって意味だけじゃないと思うんです。 ミナトはその背中で里を守り、いつでも仲間を守ってみせた。 それにくらべて・・・カカシは大切な仲間をも守れなかった。 師を、親友を、親友に頼まれたリンですら守れなかった・・約束すら守れなかった。
だからカカシにとってミナトは「永遠に超える事が出来ない存在」になってるんじゃないかと思うんです。
あの笑顔は・・・「仲間を守れなかったダメダメな自分」では無い「仲間を絶対に守ってみせる自分」になるための笑顔であるような気もするのです。 だからかなぁ・・・60巻のあの久しぶりに見た「傷つけやしな~いよ」的な笑顔は、どことなく自分を責める気持ちを閉じ込めているような・・。
ある意味 カカシのあのニコッとした笑顔は、自分の中に在る「また自分の不甲斐無さによって仲間を失うんじゃないだろうか」 「また嘘になっちゃうんじゃないか」という不安や恐怖を隠すための仮面でもあるのかな・・なんて思えてきちゃうのです。なんだかなぁ・・・ちょっと「頑張ろうとしちゃってる」笑顔にも見えてくるんですよね。
でもなぁ・・カカシはもっともっと自信を持っていいと思うんですよね。
たまに「オレが来たからって気抜くな!」なんてナルトに言ったりとか・・仔カカシ時代からのカカシらしい「ちょっと自慢っぽい発言」もしてはいるんですが(567 話で)・・だけどそれは、本当の自信があるのとはちょっと違うし。
超人的な力は無くっても、カカシは充分「強い意志」があるし・・・その意志を「証明する」強さを持っている。 他人の能力貼り付けて「力」を振りかざしている どこぞの本マダラなんかに較べたら、ずっとずっと強い・・・「本当の強さ」を持ってると思うんですよ;だけど、本人はまだ自分を許してない・・・・。
カカシが自分を許し認めてやれるようになるのは、まだ「先」なのかなぁ~・・・なんて60巻を読みながら、ブツブツ思ったりしますけど;
だけど・・・実は「60巻」、カカシの「本当の強さ」もよーく現れている巻でもあったりするのです(例によって目立たないんですけどね。苦笑)
(60巻で読める「カカシの本当の強さ」については、次の機会 近いうちにまた書かせてください;)
☆駄文読んでくださって感謝。