トビにとって、カカシのもはや《何の価値も意味も無い言葉》とは。
さて、前回の雑考では、597話のトビの言葉から・・・
『言ったハズだ!…簡単に口を開くなと!』
『口先だけの男に成り下がったお前の言う言葉には何の価値も意味も無い!』
「成り下がったカカシ」というからには「成り下がる前」のカカシをトビは知っているという事で・・・
なら、その「成り下がる前のカカシ」とはいつのことなんだろう?ということを考えたんです。
そして、27巻242話137頁・・サクモのチャクラ刀を手に、オビトとリンを助けに来たカカシの事を言っているのではないか、と考えてみたんです。《任務より、仲間を大切にする意志を見せた、カカシ》・・・サクモのチャクラ刀を使って、託されたサクモの意志を行動で証明して見せた、あの時。
あの時のカカシは《言葉を口先だけにしなかった》・・トビはそう思ったんじゃないだろうか、と。
では、その“口先だけにしなかった言葉”とは何だったのかといえば・・・
カカシがオビトを助けに来た時に 頼もしい背中を見せて言った言葉・・
「ま、お前みたいな泣き虫忍者に一人で任せておけないでしょ!」
(27巻242話137頁)
・・これが、オビトにとって《価値のある意味のある言葉》だったんじゃないだろうか。
ま、ちょっと素直じゃないカカシらしいというか、ひねくれた表現ではあるけれど・・ 要するに《お前たちを放っておけないから、助けに来たぞ!!》という言葉なんですよね。で、その言葉にオビトは、《カカシ・・・・》とグッと胸が熱くなったような表情を見せるんです。 そしてカカシは言葉通り、仲間を守るために闘ってみせた・・・。
なら、トビが言う「口先男に成り下がった今のカカシの、もはや価値や意味のない言葉」とは・・・一体どれのことなんだろう?
実は、この戦場に来てから・・242話137頁の《あの時》 カカシがオビトとリンを助けに来た時と「似たような状況」が『再現』されていたんです。
60巻、第567話、この戦場にカカシがナルトを助けに来たばかりの時。
「来てくれたんだ!」と嬉しそうにするナルトに、カカシは頼もしい背中を見せてこう言うんです・・
「第七班の教え子がガンバリすぎてんのに 休んでる訳にはいかないでしょ!」
(ニコ)
ようするに「お前を放っておけないから、助けに来たぞ!」って言う意味ですよね。・・・そっくりなんです、まるで カカシ外伝のあの時と、リンクするような言葉なんです。
仲間が絶体絶命というピンチに・・間一髪で助けに来てくれた、頼もしい「ヒーロー」としての登場。
そして、ちょっと素直じゃないけど頼もしい「言葉」。 何よりも仲間を大切にする・・という言葉。 この時のカカシも、「第三部隊隊長」という任務を置いて、ナルトを助けに来たんです。
で、カカシのその笑顔と言葉に、次のコマでトビがこんな反応をしてるんです↓
(↑模写では表現できないので、60巻第567話30頁より掲載してます)
このとき、トビは《何かを感じている》・・
これ・・・567話感想でも話題にしたのですが、カカシ外伝とリンクするようなカカシの言動に、トビは《思わず反応》しちゃっているんです。 こんな「反応」をするなんて・・オビト本人としか思えなかったんです。
それまでは、トビにはどのぐらい「オビト本人の意志」が残っているのだろうか、イズナに別天神などでコントロールされてるんじゃないか・・・と考えてきた自分にとって、この「表情」はあきらかに《オビトの意識がある》証拠に見えて、考えを変えさせられたんですよね・・。
ただ567話の当時は、もしトビがオビトの意識を持っているとしても、この時のトビは何を思ったんだろう?・・・どういう反応をしてるんだろう?と・・分からなかったんです。仮面の下ではどんな顔をしてるんだろう?と。
だけど・・今思えば、あのときトビは、カカシの言葉に・・・仮面の下で《イラッ》としてたんですね。
ニコッと笑って、助けに来たからもう大丈夫だぞ・・とでも言いたそうなカカシの言葉に。
・・・カカシといえば笑顔で
《誰も傷つけさせたりやしなーいよ!》 (ニコッ)
というのがトレードマークみたいになっちゃってますが、あの笑顔と言葉は・・・己の不安を隠し、自分に大丈夫だと言い聞かせるためのような気がするんです。
《厄介事をやり過ごすには笑顔が一番 それが作り笑顔でね》
《意外とみんな騙される・・・ そう本に書いてあった》
・・・これは、286話のサイの言葉なんですが、カカシもこれに近いんじゃないかと思うんです。カカシは思わず「作り笑顔をしてやり過ごさなきゃならない」ぐらいに、仲間を守るという事に関して「トラウマ」を持っているんじゃないだろうか・・・・?リンのこともあるだろうし、サスケの事もあるだろうし。
今のカカシは、「本当は」仲間を守ることに不安を感じてるような気がするんですよね・・。他人にはそんな自分を見せないし、必死に隠しているけれど。再び失うことが、怖くて仕方ないような・・。
カカシが「暗部」に入って面をして「裏」の仕事をしていたのも・・表に出るのが怖かったのかもしれない。不安を仮面の下に隠していたんじゃないだろうか。
ナルトに「助けに来たぞ」とは言っては見たものの・・・
「十尾復活」という危機を前に、《なるべく》とか《何とかしたいものだな》・・・なんて漠然とした願望を言ってみたり。
目の前にいる敵が「かつての親友」かも知れないという危機を前に、《その眼をどこで手に入れた》とか言って 現実から目を背けようとしたり。
そんなカカシの態度が、トビを「煽って」しまったのかもしれない。
「第七班の教え子がガンバリすぎてんのに 休んでる訳にはいかないでしょ!」 (ニコ)
・・・カカシのあの作り笑顔と言葉は・・・
トビから見たら、自信の無さが滲み出た《口先だけの言葉、形骸化した言葉》にしか見えなかったのだろうか。カカシが仲間を大事にしてるのは事実だとしても・・・外伝の頃の、「絶対に仲間を守ってみせる」という自信は、今のカカシには無いような気がするんですよね・・。
トビが苛立っているのは、何もこの言葉に限定されているわけじゃないと思うんです。・・今までの積もり積もった、「あれから」全然変わらない・・カカシの言動に苛立ってるんだと思うんです。
だけど、この戦場で・・・久々に「見た」あの時に似た言動に・・・ついに、トビは「感情」を抑えられなくなったんじゃないだろうか。。
いったい、何があったんだろうな・・・「あれから」。
☆長駄文、読んでくださって感謝。