「眼と獣」
さて…ナルトが「その面ひっぺがしてやる!」と言って始まった、トビの仮面はがし作戦。
ナルトが面を割った時点で とりあえず第一回戦の勝負は決まったと言っていいのでしょう。 だけど本当の闘いは これから・・・ 問題はココから先ですよね。 ここからはもう1つの闘い・・・
「眼と獣」の闘いが待ってます。
「眼と獣」といえば、六道仙人が二人の息子に分けて遺した力・・・つまり眼(瞳力=六道の長男)と尾獣(生命力=六道の次男)でもあるわけで、「眼と獣」因縁の争いは六道兄弟以降ずーっと続き、今はサスケとナルトに託されてますよね。
第566話、カカシとガイがナルトの戦場に駆けつけた時のタイトル・・・それが、《眼と獣》。
『二匹増えたところで何も変わらん オレの持つ瞳力と尾獣の力の前ではな』 (←トビ)
『こっちにも写輪眼がある』
『そして木ノ葉の気高き碧い猛獣もな!』
カカシとガイで「眼と獣」とは・・・なるほど、上手いこと言うなぁ!と思ったんです。
「写輪眼のカカシ」と「木ノ葉の気高き碧い猛獣ガイ」・・2人の通り名がそのまま眼と獣なのですから。
通り名といえば、カカシの場合は「写輪眼のカカシ」、そして「コピー忍者のカカシ」…いずれも写輪眼関係ですよね。 で・・・カカシが「写輪眼のカカシ」の名でよばれるようになったのも あの「神無毘橋の戦い」・・。
『神無毘橋の戦い…』
『お前が写輪眼の英雄と呼ばれるようになった あの戦いでだ』 (597話のトビ)。
それ以降、カカシは写輪眼のカカシ、コピー忍者のカカシとしてその名を知られていった・・・と思ってたんですが、でもこの名前で通ってるのは比較的若い世代の間のような気もするんですよね。カカシとほぼ同世代の 桃地再不斬は「写輪眼のカカシ」 「コピー忍者のカカシ」と言っていたし、鬼鮫も「コピー忍者のカカシ」と言っていたし。我愛羅も「写輪眼のはたけカカシ」と言ってるんですが、それを聞いたオオノキは「あの白い牙の息子か・・・」なんて言い直してるんですよね。 そして火の国の大名も、カカシの名を聞いて「ほほう あの“白い牙”の息子かえ」なんて言っている。サクモを知っているちょっと上の世代にとって、カカシは「写輪眼のカカシ」よりも「白い牙の息子」といった方が通りがいいみたいなんですよね。
それだけ「サクモ=木ノ葉の白い牙」が有名で、カカシの事も「白い牙の息子」といった方が分かり易いんでしょうけど・・・
だけどカカシ自身はけして「白い牙の息子」とは名乗らない。
この戦争でも「コピー忍者のカカシ…!これより通り名の通り暴れる!」なんて宣言してましたし、カカシはあくまで「写輪眼のカカシ」。「白い牙の息子としてのカカシ」は、もう…神無毘橋に「置いてきた」んですよね。・・父さんの形見の「折れたチャクラ刀」とともに。
(残念ながらコピー忍者としてのカカシの大暴れは描かれませんでしたよね・・・。そのかわり描かれたのは、首斬り包丁に雷遁を流して使うカカシ。 これ、どっちかというと白い牙を彷彿とさせるカカシでしたが)
カカシのことを「白い牙の息子」とは言わない(やや)若い世代のなかにも、じつは(最低)2人、カカシの事を秘かに《木ノ葉の白い牙の息子》として見てる人が居る。
・・・それが、ガイとオビト。
ガイの「木ノ葉の気高き青い猛獣」という通り名ですけど、これって他の人から呼ばれている様子が無いんで(たぶん・・なんですが。ありましたっけ・・?)「自称」じゃないかと思ってます。 で、これは明らかに『木ノ葉の白い牙』 『木ノ葉の黄色い閃光』を意識した名前ですよね。
ガイは「カカシのライバル」にふさわしい通り名として“木ノ葉の気高き青い猛獣”という通り名を自分に付けたのかな・・。
特に「碧い猛獣」ってのは「白い牙」とは「ペア」のような名前なわけで、ガイのサクモへの尊敬と共に、カカシの「白い牙的な戦い方」への憧れを感じるんですよね・・。いつか「木ノ葉の白い牙の息子」カカシのライバルとしてふさわしい自分になれるように、名実ともに「木ノ葉の気高き碧い猛獣」になりたい、それを「目標」のように頑張ってきたんじゃないだろうか・・ガイは。 「気高き」ってのをオマケに加えることで、ちょいとカカシに勝ち越した気分になって。
だから・・・本当は、カカシには“写輪眼のカカシ”よりも“白い牙の息子”であって欲しいってのがガイの本音なんじゃないかな・・と思うんですよね。 でも、カカシの「写輪眼」への思い、亡き友への思いを見ていると、勿論そんなこと口に出しては言えなかったでしょうけれどね・・。
中忍試験の時、サスケが「獅子連弾」でフィニッシュを決めた時、ガイは《カカシ…お前のガキの頃を思い出させるな…》なんて見つめてましたっけ。 「ガキの頃」のカカシって、まさに小さな白い牙、「小さな白い獅子」みたいだったんじゃないかなと思うんです(具体的にはカカシ外伝242話136頁のカカシ・・・ サクモのチャクラ刀で敵に斬りつけ飛び込んでいった姿、あんな姿をイメージしてます)。 そして、カカシのその姿は・・・オビトにとっても《本当の英雄》だったんですよね。
子供時代の「白い牙的な」カカシの戦い方は、まさに「天才的」。ガイやオビトという落ちこぼれ君達にとっては「ヒーロー」のように見えたのかもしれない。 だから、かつてのヒーローが老いぼれちゃった姿、情けなく言い訳してる姿なんてのは 彼らにとって見るのは辛いんじゃないのかな・・・。
そして・・・今週の第598話。
カカシが『仲間のために使った覚悟の神威』・・・ カカシの左眼からは血が流れてますよね、そしてカカシは倒れてしまった・・・。そろそろ写輪眼も「限界」に来ているのだろうか・・。一瞬これにはゾっとしたんですが、でも・・・これも「カカシ外伝242話」の場面と重なるんです。
カカシがオビトを助けるために飛び込んだあの直後。 カカシは敵に左眼を斬られてしまい、視力を失ってしまう・・・。
あの時のカカシも、オビトを救うために飛び込んで斬られ左眼から血を流して倒れるんです。
「神無毘橋の戦い」の再現を思わせるような展開…・カカシは写輪眼のカカシから「白い牙の息子」に戻っていくんだろうか。
岩が空へと上がっていく光景も、
あの日・・・神無毘橋で岩が崩れ落ちてきた光景の
録画の逆再生のように見えてくる・・。
なんだかなぁ・・・カブトが本来の自分に戻っていったように、カカシも本来の自分に戻っていくんだろうか。
・・・《全てが本来の形に戻るのだ・・・》 (これは364話のトビ)
この「逆再生」のような舞台で。
カカシは「写輪眼のカカシ」から、「白い牙の息子カカシ」に・・・ 眼から獣に戻るのかもしれない。
そして、オビトはあの時の カカシをぶん殴ってくれた「写輪眼のうちはオビト」に戻れるだろうか。
「眼と獣」・・・この戦場のもう1つの物語。
「眼と獣」というタイトル、それが意味するものは
六道の力の話であり、「カカシとガイ」の話でもあり・・
もう1つの・・そして“本当の意味”は・・・
「オビト(眼)とカカシ(獣)の物語」
・・・なの「かも」しれない。
(「かも」という事でご勘弁)。
・長駄文読んでくださって、感謝。
・あの日、神無毘橋に忘れてきた「父のチャクラ刀」。あれも本当に取り戻すのかもしれないですね・・。