ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

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「駄作」を「傑作」とするために・・(今なぜ、再び「カカシ外伝」なのか)

「駄作」を「傑作」とするために・・ (今なぜ再び「カカシ外伝」なのか) 

 
毎週の感想の中で、ちょくちょく《カカシ外伝》を例に出しているわりには、独立した記事として外伝を取り上げるのは、実に3年ぶり・・。
 
私はカカシ外伝(27巻239~244話)は「伏線てんこ盛り物語」と解釈しておりますが、以前まではもっぱら「うちはオビトは生きているかもしれない」という根拠の「伏線物語」として考察しておりました。 しかし、最近になりカカシ外伝の伏線はそれだけじゃない・・いや、そんなもんじゃない、もっと大きな意味での伏線物語であり「第二部に繋がり重なる物語」だったのだと感じております。
 
そして「今」このタイミングで再び「カカシ外伝」をお題として取り上げるのにも意味があります。
 
私がカカシ外伝の事を「事実上の第二部」と解釈しているのは、昨夏のインタビューで岸本先生が「三部構成」へのこだわりを話されていた事も理由の1つです。
NARUTOという作品は、おおまかに分けて《第一部、カカシ外伝、第二部》という3つで構成されていると言っていいのではないか、と(もっとも、NARUTOが今の話で終わるかどうかは分からないけれど)。
 
そして「三部構成」については、作中で長門がこんな事を言ってた…(58巻551話にて)。
 
「オレから言わせりゃお前は三部作目の完結編だ 一部が自来也…完ペキだった だが…二部作目ってのはたいがい駄作になる」
「シリーズの出来ってのは三作目…完結編で決まる!」
 
「駄作を帳消しにするぐらいの最高傑作になってくれよ…ナルト!」
 
岸本先生の作品「カカシ外伝(二部作目)」は言うまでも無く「傑作」なのですが、忍達の物語としては、あれは感動秘話でありながら実は「失敗物語」…ようするに「駄作」とも言える(と思う)。
 
ミナト班の忍達は、神無毘橋任務を通して様々な事を学び、挫折し、そこから大切な事に気付き…しかし「あとちょっとのところで」失敗してしまうんですね。
最終的に「任務」は成功させて、ミナト班は「戦争の功績者・英雄」にはなったけど、一番最後で肝心な「仲間を守ること」には失敗してしまった…「間に合わなかった」。だから彼らは「英雄」という名誉とひきかえに「後悔」と「代償」を背負うことになってしまった…
  
「カカシ外伝」のミナト達の物語…それはナルトや忍達の「今まで」の物語と重なります。
 
第二部(三部作目)のナルト達は、「外伝」とほとんど同じような道を辿っていまして、今、まさに「分岐点」のところまで話が進んできています。 その分岐点で、ミナト達は「間に合わなくて」失敗してしまうのですが、ナルト達は「間に合って」成功させることが出来るのかどうか・・・つまり、またもや「駄作」で終わるのか、三部作目は「傑作」で終わるのか。その「重要な分かれ目」に今、差しかかっていると思っています。
《なんのこっちゃ》と思われるかもしれませんが、「カカシ外伝」と「第二部」を比較していくと、第二部の物語はカカシ外伝の「(いい意味での)焼き直し」といいますか、カカシ外伝の「駄作」を帳消しにして「傑作」にする物語でもあるんじゃないかと思えてくるのです。
 
まずは「外伝」と「第二部」を比較していきますが…
この2つの物語のテーマはかなり重なっている事に気づきます。
 
・《ルールや掟に縛られる忍達》
 
カカシ外伝の冒頭は、いきなりカカシの「掟やルールにこだわる姿」が描かれています。 それはまだ「忍達は古い忍システム」に囚われ、己を解放できていないという描写…そこから話は始まります。そして…
 
《自分の力量を超える術を一人で為すことにより、そのリスクで自滅していく忍達》
 
カカシは開発したての「千鳥」を強行しますが、カウンターを回避する手段がなく「リスク」の壁にぶち当たる… 
仲間に頼らず自分一人で全部為そうとして「失敗する」…これは第二部でしばしば強調されたテーマ、「強大過ぎる術のリスク」、「一人で為そうとして失敗する」という話にも繋がっています。
 
そしてミナトがカカシとオビトに伝えたのは、《ルールや掟は大切だがそれだけが全てじゃない》《自制心を口にするなら口だけじゃなく心も強くもたないと》…
そして《忍にとって何より大切なのはチームワークだよ》。 
忍システムの枠や呪印から己を解放し、そして口先だけじゃない強い意志を行動で示し、そしてチームワークを大切にする…この戦争で忍達が学び取ったことでもあります。
 
・《相手の「心の痛み」を理解すること・・》
 
カカシとオビトはかなり険悪な状況に有ったわけですが、その解決のキッカケとなったのが、ミナトがオビトに“サクモの真実”を語ったこと。カカシが「掟」に拘ったり言動が刺々しいのも理由があるのだと…ミナトはオビトに“少しでもいい…分かってあげてね カカシにも悪気があるわけじゃないんだ”と伝えるのです。
カカシが抱える苦しみを理解したオビトは、カカシの気持ちと「サクモの意志」を大切にすることを決め、そしてそれが物語の大きなターニングポイントになっていきます。
 
これは、オビトがナルトに“イタチの真実”を語って聞かせたのと全く同じ…そしてそれがキッカケとなって、ナルトはサスケが憎しみにとらわれている理由を理解し、サスケのことを「分かるってばよ」と言えた事に繋がった…さらにナルトが「イタチの意志」を大切にするキッカケにもなっています。
第二部でも、あの鉄の国の一連のエピソードが、物語上大きなターニングポイントとなっている… この点でも、2つの物語はソックリです。
(それだけにあの鉄の国エピソードは「オビトの本心」を探るうえで最重要だと考えておるのですがね…)
 
・《再びの対立と和解》
 
しかし、意見の食い違いから再びカカシとオビトは違う道を行くことになる訳ですが、それでもカカシは、オビトに言われた事、ミナト先生に言われた事を考え始めて「本当の自分」を取り戻していきます。 カカシが自分を取り戻せた過程には、《オビトが自分の本当の気持ちを理解してくれていた》事が(実は)嬉しかった…というのがあったと思うんです。
 
そしてこれ、サスケが穢土転イタチと歴代火影から話を聞いて「本当の自分」を取り戻していく過程と似ています。サスケが素直に自分自身を取り戻せた背景には、鉄の国でナルトが「お前の気持ちは分かるってばよ」と言ってくれたことが少なからずあったのではないかと…。
 
そして外伝では、最終的にカカシは自分の本心に素直に従い「サクモ父さんの意志」を受け継ぐ事を決め、オビトの元に駆けつける… 
これも自分の本心に素直に従い「イタチ兄さんの意志」を受け継ぐことを決め、ナルトの元に駆けつけたサスケと重なります。
 
そして「変わらない意志(火の意志)」を確認した今の忍達の状況とも重なる・・・
 
・《そして、共闘》
 
今まで色々あったのに、カカシとオビトはいきなりの共闘で「完璧なコンビネーション」を見せる…《オビトの写輪眼(眼)とカカシの白い牙(獣)の共闘》…
心の奥底で分かり合った2人は、余計な会話を交わすことも無く、完璧な共闘を見せるのです。
 
そして「眼と獣の共闘」は、「今の」サスケとナルトの共闘と重なります。
 
第二部(三部作目)の物語はちょうど今、ここらへん…このあたりまで進んでいますよね。 過去に対立していたナルトとサスケ、ヒルゼンと大蛇丸、彼らは昔を思い出して“完璧なコンビネーション”を見せている… でも、問題は「この先」。
 
・《そして、失敗》
 
外伝では、リンを助け出すことには成功するものの、カカシの身代わりになったオビトを「死なせてしまう」(死んでなかったけど…)。
カカシは「もっと早くリンを助けに来ていれば」と悔やみ、ミナトは「間に合わなくって済まなかった」と《間に合わなかったこと》を後悔する事になる…
もうちょっと早く、カカシは「仲間」を優先する決断をしていれば。
もうちょっと早く、ミナトが助けに来ていれば…
 
結局ミナト班は、神無毘橋の「任務」そのものは成功させ「英雄」となったけど、肝心な「仲間を守ること」は失敗し、後悔を背負うことになる… 「里の為」の成果と名誉の代償に、大切な仲間を失うという本末転倒…最後の最後で物語は「駄作」になってしまったのです。
 
ミナト班はいつのまにか「神無毘」という自然エネルギーに溢れた巨大な植物森
のある「神の棲み家」に迷い込み「意志」を試されたのかもしれません。しかし、あと一歩のところで「間に合わなかった」。 だけど、彼らの「意志」を神はそっと見ていたのだろうか…神はオビトを救い、話を「先」に繋げてくれた。 そして今、ナルト達が「再挑戦」している…今度こそ、「間に合う」ために。
 
戦場のナルト達のもとに集まる忍達は「ギリギリか?」「ピッタシだぜ!」「遅かったじゃねーの」等々の「時間にまつわる会話」を交わし合っておりましたが、そして今は開花までの「タイムリミット」に間に合うかどうかの闘いをしている… 「神樹の花が咲くまでに」忍達は己を解き放ち、仲間を大切にする意志を見せ、本当のチームワークを見せることが出来るのか…?
 
カカシ外伝がオビトの《このままだと…殺される!》《間に合うか!?》という台詞で始まり、最後はミナトの《間に合わなくって済まなかった…カカシ》という台詞で締め括られるのも、後に繋がる伏線だったのだと…やっと「今」になって判明したわけでして。
 
今までの忍世界にありがちだった「外伝のようなバッドエンディング」を本当の意味での「グッドエンディング」にするために今、忍達は闘っているのではないか。 
 
今度こそ、忍達は間に合って、物語を「傑作」とすることが出来るかどうか…今、ギリギリの瀬戸際に居るのだと思います。
 
その「結果」を、今度も神は見守っているのかな…
 
 
 
☆長駄文、読んでくださって感謝。
 
 
 
 
(ナルト好きブログ! 2013/10/14)