ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

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ナルトとオビトの「火影の夢」…(興奮と不安の何とも言えぬ気持ち)。

ナルトとオビトの「火影の夢」…(興奮と不安の何とも言えぬ気持ち)。

 
…昔ガキの頃は何度も火影になった自分を想像してよ… 
 興奮と不安と…
あの何とも言えぬ気持ち… それを思い出させたからだろう
 
 第687話、オビトの最期の言葉…ナルトはこれを聞いてる間、唇をぎゅっと噛んでいましたね。 
 このセリフに出てくる《興奮と不安》…それはナルトとオビトに「共通」するものであり、そして2人の「違い」でもあったんじゃないのかな。この2人が共感できた理由でもあり、別の道を歩んだ理由でもあったんじゃないだろうか。
 
子供の頃、火影岩を見上げて2人が想像した「火影になった自分」…そして、感じた何とも言えぬ気持ち…《興奮と不安》。 
落ちこぼれでも、頑張ればいつか皆に認めてもらえて、世界を変える英雄になれるかもしれない…前向きな気持ちにさせてくれる己を奮い立たせる昂ぶり…そんな興奮と、落ちこぼれがホントに認めてもらえるのか、火影になんてなれるのか…世界を変えられるんだろうか…という、ちょっと後ろ向きな気持ちになる不安。 不確実なものへの憧れと心配…「興奮と不安」が生み出すドキドキが、二人が感じていた「希望」や「夢」だったのかな。 
でも、同じような「夢」や「希望」を追い求めていた2人には人生の分岐となる出来事が起こり、その後の2人の歩んだ道は対照的なものでしたよね。 ナルトは「不安」を振り払うように己を奮い立たせて真っ直ぐ進み…オビトは「不安」の真っ只中で彷徨った。
 
 やがてナルトは皆に認められ順調に「火影の夢」に近づいていったように見えた…「ように見えた」んですよね。 不安なんて無いようにも見えたけど、でもホントは心の奥底に「不安」があったんじゃないでしょうか(隠していただけで)。
しかし多くの人達に期待され、色々と託され…ナルトは弱音なんか吐いてられなかった…「不安」なんて見せるわけにはいかなかった。 ナルトはとにかく「頑張った」… それが「火影になる」事だと考えていたんじゃないだろうか。
 
 九喇嘛は、そんなナルトの「不安」を読み取って、ナルトに「お前は甘い」と詰問してましたよね(538話で)。 でもナルトは「自分が決めた事に疑問を持ったら終わりだ! サスケは何とかして見せるし 戦争だってどうにかして見せる!!』と答えていましたっけ。 「何とかする」…そして「どうにかする」…つまり具体的な策は見えていなかった。 
 確かにナルトは「机上での理屈」よりも「実戦でのヒラメキ」タイプだけど、それでも《具体的な解決策はわからない状態》に「不安」が無かったハズはなく、ただ不安を無理やり抑え込んでいただけだったのかもしれない。
 
 そしてこの戦争で、ナルトは「そっとどこかに隠しこんできた不安」をオビトに引きずり出されるんですよね(仲間を本当に信じられるのかとか、仲間を守れなかったらどうするのかとか…少数派の意見をどうするかとか)。様々な「不安」を現実として突き付けられ、夢や希望を悉く「否定」されまくった。 
 
 でも、否定されれば否定されるほど「肯定」の気持ちって強くなっていくものなんですね…。 今週(687話)の黒の「オビトへの暴言」に対するナルトの激昂もそうですが、大切な人(もの)を否定されると、とにかく「肯定」したくなる(リーもそうやってガイ先生を「肯定」してたことがありましたっけ)。ナルトはオビトに引きずり出された「具体的な不安」を、仲間の協力で1つ1つ解決していくことで、「強い肯定」に変えていった…
 
…そして、オビトは「なによりそれが…なぜだか嬉しくもあってな…」と言っていた…
 
  かつてオビトは「希望とは諦めに等しいものだ それこそごまかしのセリフでしかない」と語っていましたけど、本当は「希望」を完全に諦めてはいなかったんですよね。 だからこそ、ナルトの中に「希望が本当に在るのか」を確かめるために、わざわざ鉄の国の宿屋まで訪ねてきたのだろうし…本当はオビトの心の中にも「希望」があったはず。
 
オビトはナルトが隠しこんできた「不安」を引きずり出し…ナルトはオビトが隠しこんでいた「希望」…希望や夢を思う時の「ドキドキする興奮」を、引きずり出した… 
ナルトとオビトの「闘い」は、ナルトが隠してきた「不安」とオビトが忘れていた「興奮」を引きずり出し…双方の協力で「希望や夢」を現実に変えていった闘いとも言えるでしょうか。 否定(不安)の道と興奮(肯定)の道に分かれてしまった2つの道が出会ったことで、かつて感じた「何とも言えぬ興奮と不安」…当時はまだ漠然としたものだった「火影の夢」が、しっかりと現実として見えてきたんじゃないだろうか。
 
 以前、岸本先生は「答え」そのものよりも、答えを見つけていく「過程」を大切にしておられるのではないか…という記事を書いた事があるのですが、長かったナルトとオビトのやり取り(闘い)はその大切な過程だったのかな…と思います。二人の「否定VS肯定」は、夢を現実とし希望を確かなものとし、そして「火影の夢」を叶えていく為の大切な「過程」だったのでしょうか。 
 
 
ナルトに「必ず火影になれ」と言葉を残し、微笑んで逝った「オビト」とは…
 
 ナルトが忍になった日(第2巻)から既に「慰霊碑の英雄」として登場し、第七班のスタートに立会い… 16巻ではじめてその「名前」が明かされ、第一部最後のカカシのセリフから「本人登場の伏線」が敷かれ始め… 第二部との合間(外伝)では事実上の「主人公」として登場し、第二部では“暁”の黒幕として物語を裏側から動かし続け… 「九尾事件」「うちは事件」の両方に直接関わり、ナルトとサスケに「転生者としての運命」を伝え導き、戦争を起こして忍世界をぶっ壊し、最後に第七班を助けナルトに火影の夢を託し、第七班の「再出発」に立ち会った…
 
 …とザッと見ていくだけで、物語の「表舞台」に堂々と登場した事は少ないものの『物語の見えない骨組み部分を担っていた人物』であった事が分かっていただけるんじゃないかと思います。 私がオビトに興味を持ったキッカケは、その練りに練られた「物語上の面白い役割配置」でして…長い時間をかけてオビトを物語上に「ちらちらと見え隠れ」させるテクニックなど…岸本先生の「長い時間をかけた計画」に驚かされ、先生の物語造りの妙を感じたからでした。 そういう観点でオビトというキャラクターを捉えて読み直すと、また違った物語の面白さ、深さが見えてくるのではないか…と思っています。
 
でも、肝心の「九尾事件」と「うちは事件」の謎は、ついにオビトの口から明かされずじまいでしたねぇ。 今回のナルトへの最期の言葉も「最後だからか…オレは何をベラベラと…」と言ってたぐらいですから、「語るつもりはなかった」のかな…真相は墓場まで持っていくつもりだったんでしょうね。余計に気になるんですが…これらの真実は別の誰かの口から明かされる事になるのでしょうか。
 
とにかく…ナルトだけじゃなくサスケ、サクラ、カカシ(!!)にも…計り知れない影響を与えてくれたオビト…「慰霊碑の英雄」に、ありがとうと言いたい気持ちです。
 
NARUTOの面白さ、奥深さを教えてくれて…そしてナルトを「火影」にしてくれて…
 
 
 
ありがとう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 ☆駄文読んでくださって感謝。 
 
 
(ナルト好きブログ! 2014/08/07)