NARUTO 698:ナルトとサスケ ⑤ その1
ついに…
いやぁ…ついにサスケの口から《ウスラトンカチ》が出ましたね――…。
やっとサスケが「帰ってきた」…って感じがする。
二人とも体はボロボロだけど、表情はとっても清々しい…。
サスケの目からツーっと流れ落ちた涙…
サスケの目からツーっと流れ落ちた涙…
ナルトに「泣いてる顔」を見られないようにしてるのがね…バレバレなんだけどね。
サスケが流した熱い涙…見てるこっちも泣けてきた。
並んで寝そべって、一緒に月を見て朝日を見て、語り合い… お前ら青春してるなー‼︎ってガイなら言うんだろうなぁ…。 サスケも「負けた」とは言ってるけれど、それが「かえって」すごく嬉しそうなんですよね。 サスケのこんなスッキリとした顔…初めてじゃないだろうか。
そして…本当に二人は並んで同じ方向を見て「右手と左手を繋いで」…まさに感無量。 だけど…まさか「ああいう形」つなぐとは思わなかった…
さて… 今週は嬉しくって、何だかいつも以上にまとまりそうもないのだけど、思いつくままに書いていきます。いつも長駄文に付き合っていただいて感謝です(あー…これもあと1回なんだなぁ)。
まずは前回の続きからなのですが…
《千鳥は写輪眼がないとカウンターを見切れない》…これ「基本」でしたね。
千鳥の「穴」は写輪眼を使わないと己のスピードが速すぎて相手のカウンターを避けられない事…そこをナルトはついてきましたか。
「どんな術にも穴がある」…ナルトはイタチに教えてもらった事を冷静に実践した…って事なんだと思います。今週は、改めて…イタチが「託した事」の有難さを感じます。
(そして、どうやらサスケの「眼」も、もう限界にあるようで…)
そして、九喇嘛のセリフ…「お前の型に合わせて練ったチャクラをサスケはもう己のものに…してきたな」。
ここで九喇嘛が「わざわざ」チャクラの「型」適応について触れてるのが引っかかって… いつもだったらアレコレ雑考してしまうところなんですが、もうここはサラーっと流すべきかな…とは思います。だけど、やっぱりちょっとだけ(笑)
チャクラの「型」転換については、前にナルトが連合の忍達に九喇嘛のチャクラを渡す時に、それぞれに合う型に「転換」して渡していた話がありましたよね。
「転換能力」は今のところミナトとナルトの専売特許だと思ってましたが、サスケも尾獣達のチャクラを「六道のじじい並み」にうまく合わせてましたよね…そして今回も上手く自分の型に合わせて使ってる。 サスケは六道の力を得たから出来るのか、あるいは他の人でも時間をかければできるものなのか…
たとえば「うちは」では無い者が写輪眼を使うには、己のチャクラを「眼に合うチャクラ」に転換するのがかなり大変なんじゃないかと思うんです。「その眼に合う体」じゃない事は、相当負担が大きいと思う… カカシが写輪眼(特に万華鏡)を使うには、身体にとんでもない負担がかかっていた(と思われる)事を考えると…やっぱり写輪眼を卒業できて「よかった」んじゃないかと改めて思います。
そして九喇嘛が思い出す、ナルトの言葉…
《サスケはなんとかしてみせるし… いつかおめーの中の憎しみもどうにかしてやりてーと思ってる》
あの時(57巻「詰問」)の、ナルトの《なんとかする、どーにかする》というセリフ。 あれは私のお気に入りの言葉でして、時々《いかにもナルトな言葉》としてよく引用しています。 でもあの言葉って、具体性ナシで実に楽観的ナンですよね…だけどそれでもナルトは本当に「なんとかしちゃう」。術の使い方に関しても、「何となく」理屈が分からないまま凄い事をやってのけちゃう…って話は先週もいたしましたっけ。
一般的には、まず理論的に考えてOKを出してから行動すると思うけど、ナルトは「体で覚えるタイプ」…まずはやってみる。 その分失敗もするけれど、彼は失敗を恐れない。
「誇り高き失敗者」としての強さは、打たれ弱いエリートには無い強さ…逞しいんですよね。
(ナルトは九喇嘛の残りチャクラ全部を貰った螺旋丸、サスケは加具土命・千鳥を発動…「最後」の勝負に出る。ぶつかった螺旋丸と千鳥の衝撃で、今度は「柱間とマダラの石像」も完全に崩壊する…)
今回は「縦」の千鳥×螺旋丸の画… サスケとナルト、陰と陽の「合わせる」画…
この前ぶつけた「最強の」インドラの矢と螺旋手裏剣…あれは「投げて」術をぶつけ合わせたものであって、相手の「懐に飛び込む」ものじゃあなかった。
やっぱり、螺旋丸と千鳥はお互いの「右手と左手」の拳を合わせてこそ意味がある…これこそ本当の《ナルトとサスケ》の闘いなんだと思います。
サスケが「千鳥」に加具土命を加えたのは、「うちは」として「眼」として…今までの「うちは」として歩んできた道への想いがあったんだろうか…。
《そして目覚めた時は、二人とも背を付けて横に並んでいた…全力を出し尽くし、もう瞳力も尽き、九喇嘛の力も尽き(九喇嘛はもう寝ちちまうと言っていた)…
2人共、死にはしなかったけど「うちはでも人柱力でもなくなって」…という状態と言えるんじゃないだろうか》。
2人を照らす「月」は、どうやら新しく運命に選ばれた二人の行方をしっかりと見届けたようですが、もしかしたら「月」がふたりを生かしたんだろうか…とも思えてしまう。 で… 月に照らされての二人の会話なんですが、ここからサスケの「本音」が少ーしずつ、いや、かなり見えてくるのが面白い。
「そんなになってまで… なぜオレの邪魔をしたがる?」
「……」
「…オレは闇に入り全てを切るための力を得た」
「どんな奴でも当然…そんなオレとの繋がりを一度は皆 切ろうとした…」
「だが… お前はオレを決して切ろうとはしなかった‥」
「何があろうと…… なぜそこまでオレに関わろうとする!?」
「体が動かねーからって…今度は口がよく動くじゃねーの」
「もう分かってんだろ?」
「いいから答えろ!!」
…いいから答えろって(サスケ、ホントによく喋る)。
サスケの「どんな奴でも当然…そんなオレとの繋がりを一度は皆 切ろうとした…」というセリフ… 「どんな奴」とか「当然」とか「そんな(オレ)」とか「一度は」「皆」とか…「強調」するような言葉を連ねているんですが、それがあまりに過剰なんですよね。 で、それらの過剰っぷりから、ナルトはサスケの心理を(後で)ズバリと言い当ててます。
「友(ダチ)がスネてる」 …って。
ナルトって、時々鋭く的確に言い当てる… 確かに、サスケは「スネてる」んだと思います。 あの過剰な自虐的な言葉からは、サスケは本当は「寂しかった」って事が伝わってくる…。皆と一緒だったナルトが、ホントは羨ましくて仕方なかったんだろうなぁ…。
「どんな奴でも」にはカカシやサクラも含まれると思いますが、孤に入る事はサスケが「自分から望んだこと」とはいえ、カカシやサクラとの繋がりを「切る」事も辛かっただろうし、そして向こうから切られそうになった事は、かなり辛かったんじゃないだろうか。
その時の「心の傷」を…サスケは今までアレコレと自分に言い訳して「隠して」きたんだろうけど、ナルトの前では「隠していたハズのソレ」が思わず出ちゃったのではないかと思います。 で…ナルトはそれを敏感に感じ取ったんじゃないのかな。
その時の「心の傷」を…サスケは今までアレコレと自分に言い訳して「隠して」きたんだろうけど、ナルトの前では「隠していたハズのソレ」が思わず出ちゃったのではないかと思います。 で…ナルトはそれを敏感に感じ取ったんじゃないのかな。
でも、おそらくサスケは「そんなつもりはない」。そして「ホントは寂しくてスネてる」とは絶対に「認めたくない」んだろうと思います。そんな自分は「受け入れられない」…
ナルトは「よく口が動くじゃねーの」とか「もう分かってんだろ?」とか…サスケの「ちょっとスネてるところ」を軽くいじってますけど、サスケは「感じ取られた」事に焦ったのか、「いいから答えろ!!」って… 何だかここまで来ると、サスケの「内心の焦り」が可愛らしくさえ思えてくる。
で…サスケがナルトにこんな質問をしたのは…「何度も何度も」倒そうとしても倒れない、何度でも起き上がるナルトの強さ…「何があろうと」サスケに関わろうとするナルトの「強さ」はどこから来るのか、 知りたかったんだと思うんですよね。
きっと「自分には無いもの」が何かあるんだと思えて…。
「友達だからだ…」と《分かってるくせによ…》的な顔で言うナルトに、
「………」とちょっと睨むような(睨んじゃいないんだけど)表情で返すサスケ…
《友達だ》の言葉って、サスケにとって急所というか…一番心が揺れちゃうドキッとする言葉だと思うんですよね。 過去2回これにやられて、「思わずドキッ顔をしちゃった」事がある…不覚にも。
でも今回は「(その言葉が)予め来るのは分かってた」から、目に力入れて「…」と踏ん張ってる…ように見える。 そして、一呼吸置いて冷静になってから《知りたいのはそれじゃない》と…「それはかつて聞いた …お前にとってのそれは… いったい何なんだ?」と続けるのですが…
で…ナルトが語った「理由」は…
「お前のそーゆー背負ってゴチャゴチャしてるとこ見てっと…
なんでか…」
「…オレが………痛てーんだ…」
これ聞いた時、サスケはまたまた不覚の「ドキッ顔」をしちゃいましたね…。
《オレが痛てーんだ》って言葉にサスケが(また)ドキッとしたのも、それは…また「同じこと考えてた」からだった…
《友達だ》って言葉と同じように…やっぱり「想いは同じ」だった。 「ナルトだけ」のものじゃなく「サスケも」感じてたものだった…
それでサスケは「ナルトの本当の強さの理由」にやっと…気づいたのだと思います。
ナルトの姿は「弱い自分」のようで…だからサスケは「ナルトを全力で否定したかった」んだと思うんです。 だけど違った…
この後、サスケは回想しながら…サスケが「弱い自分」だと思って否定してきたものを、ナルトはそのまま受け入れている…それが「強さ」になっているんだと…気づいていったんじゃないだろうか。
《オレが言ったことを思い出せ…そして考えろ》
《己を許し 本当の自分を認める者…》
《それこそが本当の強者だ!!》
…これは穢土転イタチがカブトに語った言葉なんですが(61巻)、これって「イタチがサスケに言いたかった言葉」ですよね、本当は。
「今さらイタチが上から語っても伝わらない」し、サスケは説教を聞くタイプではないし…あの時、イタチはカブトを利用してサスケに「伝えたいことを伝えていた」わけで‥
でもあの時は、サスケはまだ…兄さんのあの言葉を実感出来てなかったと思うんです。でも、今なら「分かる」んじゃないだろうか。
《道案内は何も立て札ばかりじゃなかったんだな…》と、イタチはナルトを思い浮かべながら呟いていたけど… 今、「ナルト」を通して、サスケはあの時のイタチの言葉を実感しているのではないかと思います。
イタチが先に出して示していた答えを、ようやく「自分」で見つけ出して…
(その2へ続けます…)