ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

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カカシにとっての「16巻」と…カブトの言葉

カカシにとっての「16巻」と…カブトの言葉

 前回、カカシの「一人の木ノ葉の上忍」としての物語を全体的に振り返って…と申し上げましたが、いくつかの「気になる」部分をちょこっと掻い摘んでいきたいと思っています。 今回は、NARUTO72巻の中でもダントツに(私としては)大好きな第16巻から… 中でも「カブトがカカシに言った言葉」を…と思っています。

(カカシについての雑考というよりも、今回はカブトについての雑考といったほうがいいかも…)。

 なぜ16巻が好きなのかという話は 過去にもちょいちょい語ってきたのですが、ざっくり語るなら…この巻は「激動」の巻…色々な人物にとって大きなターニングポイント(の1つ)になっていると思うからなんです。  
 三代目火影が亡くなって、我愛羅とナルトの闘いが終わり、ナルト達もそろそろ「守られる側」から「自分たちで守る」側に変わっていき… そして、この巻ではじめてイタチが現れて、“暁”の名も初めて登場し、ナルトとサスケが新たな運命に巻き込まれていく…そして彼らを見守る「自来也」や「カカシ」にとっても、新たな決意をする巻なんですよね。
 
・カカシにとっての16巻

 波の国任務とか、物語最初の頃のカカシは《圧倒的に強い忍》というイメージが強かったのですが、中忍試験、木ノ葉崩しと続いて…カカシでさえ苦戦するような状況になり、カカシ自身「師としての己の力不足」を痛感することになってしまうのです。 カカシも「完成された忍」ってわけじゃない…まだ「成長過程にある」と分かるんです。

 だけど、まだこの頃のカカシは…自分も「現在進行形の物語」の中心にいる“当事者”である事には、気づいていないんですよね… あくまで「ナルトとサスケの師としての自分」しか意識していないんです。 
しかし、この頃から「カカシ自身の物語」も確実に動き始めている…そして16巻では、それをカカシに直接「忠告」してくれる人物が現れるのです。それが…

カブトとイタチでした。


 カブトは「まぁ…もっとも うちは一族ほど完璧にその眼を使いこなせてはいないようですが…」とカカシに語り(16巻138話)、
イタチは「うちはの血族でないアナタが写輪眼をそこまで使いこなすとは…」
「だが… アナタの体はその眼に合う血族の体では無い」とカカシに語り(16巻141話)「うちは一族がなぜ最強と謳われ恐れられたか… 写輪眼の… 血族の本当の力を見せてあげましょう」とカカシに万華鏡写輪眼の力》…月読を体験させる。

…そして、カブトの言葉(138話)とイタチの言葉(141話)の間にある第139話「その者の名は…!!」では、「カカシの親友の名」オビトが判明し、カカシが「毎朝慰霊碑の前で後悔し続けている」事も明かされる… 
 さらに16巻143話では、自来也から「新たな組織“暁”が暗躍し始めている」という報告を聞いて、カカシは初めて“暁”の存在を知るのです。

 “暁”という存在、カカシが今も過去を引きずっている話とオビトの名、カブトとイタチによる“その眼”についての忠告のようなセリフ…まさに「16巻から」第2部に繋がるカカシの左眼の物語(カカシ自身の物語)が始まっているのです。

 このうち「イタチの言葉」については、過去に何度か雑考しているので今回は割愛いたしますが(「イタチが遺した言葉その2」など… これは2010年510話連載の頃に書いた記事なので、今読むと矛盾やらズレたおかしな記述が多いのですが、そこはどうかご容赦って事で)…なので今回は「カブトのセリフ」のほうを。 

 で…特に16巻のカブトのセリフ、《今読みなおすと》全く違う意味が見えてくるので、なかなか興味深いのです。

 《以前は》…138話でカブトがカカシに言い放った言葉は、ものすごい皮肉というか…嫌味に感じてしまったんです。 「写輪眼のカカシ」として他国にまで勇名を轟かせていたカカシに対して「写輪眼を使いこなしていない」はないでしょーよ、ってね…  
カカシがどれほど苦労して写輪眼を使いこなしているかも、《その眼》についても「何も知らないくせに!」って… 

でも…カブトは「知っていた」んですよね…

 《その眼》について、カブトは「よく知っていた」…という事実が、ずーっと先の「52巻」と「69巻」で明らかになるのです。これはまさかでしたがね… 
 カカシの写輪眼《その眼》「うちはオビトの写輪眼」であって、しかも“暁”にいる「トビ」の正体がうちはオビトである事も、《その眼》の能力が万華鏡写輪眼・神威である事も…カブトは前々から知っていた。 おそらく…大蛇丸より先にスパイとして“暁”に潜入していたカブトは、トビを近くで観察して気づいていたんだろうと思います。なにしろ、情報についてはカブトの右に出る者はいない…

 16巻138話当時、既にカブトは『カカシの左眼の本当の能力』を知っており、『カカシの左眼と対になる右眼の人物が、今も生きていて、しかも“暁”にいる』と知っていたとして…その上で、このセリフを読むと全然違って聞こえてくるのです。

「まぁ…もっとも うちは一族ほど完璧にその眼を使いこなせてはいないようですが…」

…この時、カブトは「誰と」カカシを比較したのか…今となればハッキリと分かります。 具体的に「うちは一族の誰かさん」と比較して、同じ「その眼」を使いこなせてはいないと…カブトはそう言いたかったんじゃないだろうか。

 そして《なぜ、あの時カブトはあんな事を言ったのか》という事についても、今なら違った捉え方もできるのです。

 カブトのセリフは「事実」に基づく比較の言葉だったわけですが、なにもカブトはあんな事を言う「必要」も「義務」も無かったんですよね。 「その眼の本来の持ち主は暁にいますよ」なんて全部バラしている訳でもないので「カカシに精神的なダメージを与える」のが目的だったとも思えない。 
 言い方こそ「嫌味」な感じでしたが、実はあの言葉は…カブトの親切な「忠告」だったのではないかと思うんです。 

 カカシが「サスケとナルトの師として」懸命に彼らを守ろうとし…そして「亡き親友の為に」その眼を使いこなそうと頑張っている姿を見て…カブトは「真実を知っている者」として、やりきれなさを感じてしまったんじゃないだろうか…?
「ナルトとサスケ、そして亡き親友の意志を守ろうとしている」カカシのその眼の対となる右眼は、今では「ナルトとサスケを狙っていて、実は生きている」…カブトはそれを知っていたのだから……

 いつか、カカシが「事実を知る時」が来る…そしてショックを受ける残酷な時が来る… それが分かるだけに、カブトは「黙っていられなかった」んじゃないだろうか。 同じように「大切に守って来たもの、大切に想っていた人」に裏切られ、傷つき、守るべきものを見失ってしまった体験を持つカブトとしては…自分と同じような道に進みつつある人を見ると「何もしないではいられない」んじゃないかと思うんです。 黙って放ってはおけない…だからと言って、立場上 露骨に助ける事は出来ない。そのジレンマの中で、カブトに出来る事は「忠告」だったのではないだろうか…? 

 カブトが「嫌味な発言」をする時は…だいたい、いつもそうなんですよね…
ナルトに対して「サスケ君とは違う 君に忍の才能はない」 「もうガキじゃないんだからはしゃぐのはやめた方がいいね 状況次第であきらめて逃げたい時は逃げたらいい…」「いやいやいや…なにその目?死ぬんだよ!死んだら夢も何もないんだから…」と言った時も、はじめは嫌味な感じに思ってしまったんです。「君を見てるとホントに憐れだよ 人は変わる サスケ君はもう昔のサスケ君じゃないんだよ」と言った時も…なぜこんな酷い言い方をするんだろうと…

 でも、いつかナルトが《薄汚い忍世界の現実や、人は変わってしまうという現実》に気づいて傷つく時がくる。それが分かっていたからこそ、カブトは「忠告」せずにはいられなかったんじゃないだろうか…? 本当は…誰かが「自分と同じような悲しい道」にそのまま進んでいくのを、黙って見ているわけにはいかなかった…それであんな事を言っていたのかもしれないと思うんです。  嫌味な感じの言葉の数々からは、カブト本来の「相手を想う優しさ」が伝わってくるような気がする…

 33巻では、「九尾化して暴れるナルト」に傷ついたサクラを…「敵」であるカブトは、治療せずにはいられなかった。 「君達を生かしておけば“暁”のもう一人くらいは始末してくれるかもしれないと…ふと思ってね」なんて言い訳をしていたけれど、あれだって「傷ついたサクラの心」がよく分かってしまって「何かをせずにはいられなかった」んじゃないかと思うんです。

 だから…カカシへのあの言葉も、カカシという忍に対しての「優しさ」からの言葉だったのかもしれない…と今なら思うこともできるんです。 でも、16巻を読んだその当時…私はカブトの優しさを見抜けなかった。 

「まぁ…もっとも うちは一族ほど完璧にその眼を使いこなせてはいないようですが…」

…これも「いずれカカシが傷つくことを考えたら、言わずにはいられなかった」親切心から出た言葉だったんだな…(きっと)。 

  
カブトが指摘した「その眼」についてと…イタチが指摘した「その眼」のこと。

 カカシは、カブトやイタチの言葉に「己の力不足、修行不足」を感じたり「写輪眼に合わない肉体の問題点」を痛感し悔しそうな表情をしていましたが、彼らの言葉の「本当の意味」にはまだ気づいていない様子なんですよね、ま…それも仕方ないというか当然なのですが、カカシが感じた「悔しさ」はいずれ「万華鏡写輪眼・神威」の開発へと繋がっていきます。

 カブトとイタチが語った《その眼》に関するセリフは…カカシの《その眼》の物語が動き始めている事を、カカシと読者に そっと伝えていたんですね…




☆長駄文読んでくださって感謝…



 

(まだ「カカシの眼の物語」関連記事は少し続きますが…ちょっと気長に書いていこうと思っているので…その前にほかの記事をあげていくことになりそうです)




(ナルト好きブログ! 2015/08/02)



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