ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

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我愛羅の額の「愛」が語るもの

我愛羅の額の「愛」が語るもの


我愛羅といえば「愛」の文字、そして「愛」の文字といえば我愛羅

 今回は、我愛羅と「愛」の文字のことを少々…(といっても、今さら「愛という漢字の成り立ち云々」をあれこれ垂れるつもりはありませぬ)。
 この前、再びのNARUTO展で「16巻我愛羅の原画(67頁~68頁)」に惹かれたという話をいたしましたが、この絵のどこに惹きつけられたのかと言えば、おそらく「愛」の文字だったんです。
 この絵の「愛」の文字…優しく穏やかなんだけど、おおらかでどっしりとした心地よい存在感を感じさせてくれた…

 我愛羅の額の「愛」の文字は、その時々によって違った表情を見せてくれます。

…とはいっても、「愛」の文字が万華鏡模様に変化したりチリチリモードに変化するわけじゃないし、明朝体からゴシック体に変わったりとか…するわけない。 だけど、我愛羅の表情と一緒に「変化」して見えることもある。 見える「気がする」こともある。

 我愛羅の額に「愛」の文字が浮かび上がったのは、6歳の頃…父である風影の命令によって暗殺されそうになった時でした。 (ボクは一人だ もう誰も信じない… 愛さない… ボクは一人…フフ…そうだ…ボクはたった一人だ)と全てのつながりを断ち切って、「愛」という言葉の意味を知りたいという願望さえ断ち切った時に出現した「愛」の文字… 
 満月を背景に、絶望する我愛羅の額に現れた「愛」の文字は、怒りと悲しみに震え強張っているようで、逆毛を立てた守鶴のような怒り、悲しみ、憎しみに満ちた「愛」の文字でした。

 それからの我愛羅は、「愛」は“ただの言葉でしかない”と切り捨てたはずだったのに、それでも「愛」を見て動揺する… ガイがリーを守ろうとする姿を思い浮かべると「愛」の文字が疼いたり(96話)、「自分だけを愛して生きる」「殺すべき他者」と語る時の「愛」の文字は無表情(97話)…意識的に凍結させてしまったような「愛」の文字でした。

 そして…ナルトと闘った後の、16巻67~68頁の我愛羅の「愛」の文字… 

(ナルトとの闘いが終わり、我愛羅《いつか…オレにも…》と心の中で呟くのですが、《オレにも…》の続きの言葉の代わりに「愛」の文字がクローズアップされる)。  
 
 ここで我愛羅《いつか》と…「先(未来)」のことを口にしたんですね。 おそらく、それまでは「真っ暗闇のトンネルの中」で見えていなかったはずの「これから先」… 、でもやっと小さな光がさしてきて「明るい出口=これから先」が見えてきた…だから《いつか》と…  
 そして、我愛羅「テマリ…カンクロウ…済まない…」と姉兄の「痛み」を想う言葉を発するのです。 それまでは「お前らを兄弟と思ったことはない」とバッサリ言っていた、あの我愛羅が…

 激しい戦闘ですっかり消耗した我愛羅は、伏し目がちで表情にも力が無いんです。 だけど、額の「愛」の文字だけは、しっかりと力強い。 たとえ体は傷だらけであっても、肝心の心の傷は「癒され始めた」…それをそっと伝えているような額の「愛」の文字にも見えました。

 そして58巻… 

 我愛羅は穢土転生された父・四代目風影と再会し、「お前は母に愛されていた」と伝えられ、そして四代目から「父親としての言葉(お薬)」をもらって…やっと長い間抱えてきた心の傷が癒される)。  

「確かに母様はすごいな…初めて父様からの薬を渡してくれた」と顔をくしゃくしゃにして涙を流した我愛羅の顔を、母・加瑠羅の砂の手がそっと包み込みます。 “今でも守っている”と…我愛羅を包んだ母のその手は、額の「愛」の文字そのものに見えました。  母に包まれた「愛」の文字は、我愛羅と一緒に「満たされていく」のを感じているようにも見える…


そして、最後は69巻660話… 

 我愛羅と一緒に戦っていた守鶴は、《分福和尚が語っていた「愛」という文字の話》を思い出し、それが我愛羅の額の「愛」と重なっていく。 そして、我愛羅は守鶴にこんな言葉をかけてやる…「やっと…お前と対等で夜更かしできる!」と)。

  守鶴はちらっと横の我愛羅を見るんですが、我愛羅は敵から目を逸らすことはなく、真っ直ぐ前を見ているんですね。 それもまた「信頼」の証なのかな…まっすぐ前だけを見ていられるのは、横に並ぶ守鶴を信頼してるからですもんね。 まさに「対等」…   
 守鶴のごっつい顔からはその「表情」は読み取りにくいのですが、でもきっと嬉しかっただろうなぁ…と思います。 我愛羅から「対等」と言われたということは、喜びも悲しみも一緒に分かち合えるってことですもんね。 やっと守鶴にも「愛」の言葉の意味が伝わったんじゃないだろうか…? 

 我愛羅にとって「言葉の意味を知ること」とは、「他者とのつながりを紡ぐ」ために必要なことでした。 「痛み」とは何なのか、そして心の傷をなおすお薬である「愛」とは何なのか…その「言葉の意味」を知ることが、他者とのつながりを紡ぐための第一歩でした。   他者の「痛み」を想い、その傷を治す薬である「愛」とは何なのかを知り、そのお薬(愛)をいつか渡したい、受け取ってもらいたい…それが我愛羅の幼い頃からの夢でした。   

 そしてついに…ナルトや両親から「心の傷を癒すお薬」をもらった我愛羅は、今度はそれを守鶴に渡すことができた… 《与えられる側から、今度は与える側へ》…「やっと…お前と対等で夜更かしできる」と伝えた時の「愛」の文字(660話)は、堂々として実に頼もしく見えました。

 額の「愛」の文字が、その時々でちょっと違って見えるのは、眉間の皮膚の動きによって多少形を変える…という「現実的な」理由もあるかもしれません。 だけど、それ以上に「違って見える気がする」のかもしれない。
 そして、「気がする」っていうね…実に曖昧なコレが、意外と大切なんじゃないかと思うんです。 我愛羅の心の奥に秘めた感情の変化やオーラの変化が、「愛」の文字を悲しそうに見せたり、堂々と見せたり、優しそうに見せたりするんじゃないのかな…。

 「愛」の文字は、時に慟哭し、時に嬉し涙を流し、時に頼もしく見つめる…それこそ色々な「愛」のカタチを見せてくれる。 

 「大切なのは言葉の意味」であると我愛羅は語っていましたが(51巻)、彼はずーっと「愛」という言葉の「意味」を知りたいと願っていました。 心の傷を唯一癒せる薬である「愛」とは何なのか…
 だけど、我愛羅が見せてくれた様々な「愛」のカタチ…怒りも憎しみも悲しみも、喜びも信頼も…そのどれもが「愛」のカタチだったのではないか…なんて思ったりしています。 



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☆長駄文、読んでくださって感謝。





(ナルト好きブログ! 2015/10/04)