ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

NARUTO-ナルト-の考察(伏線、言葉、人物考察などなど!)続行中!

九尾・九喇嘛(クラマ)を初登場場面から考える (NARUTOキャラ考察)

九喇嘛(クラマ)の「初登場場面」

 
 これまで色々な登場人物について記事を書いてきたつもりだったけど、「ものすごく重要な人物」が残っていた事に今さら気付きました。 その「重要人物」とは・・
・・・九喇嘛です(「人」じゃあないけれど)。
 
 九喇嘛の話は第一話冒頭から出てくるとはいうものの、それはあくまで「回想上」での登場であり、「ご本人の登場」はもっと先・・巻ノ十一になってからです。
で、九喇嘛ほど「最初と最後でイメージが激変したキャラクター」というのも珍しいかと思いますが、「九尾=恐ろしい妖狐」というイメージは、巻ノ一から巻ノ四十七あたりまでしばらく続きます。 九喇嘛が「本来の姿」をはっきり見せ始めるのは「巻ノ五十七」あたりからですが、その前から時折ちらっと「本来の姿」を見せてはいます。
 
 そこで、今回は「九喇嘛の最初の登場シーン」を振り返ってみようと思うのですが・・ 各キャラクターの「最初の登場シーン」には、そのキャラクターの特徴が端的に描かれている(と私は思っている)のですが、九喇嘛の初登場シーンはどんな感じだったでしょうか。

  《巻ノ十一、自来也がナルトに「九尾のチャクラを利用する修行(口寄せの術)」をさせるのですが、これが3週間経ってもなかなか上手くいかなくて・・ そこで自来也は、究極の思い切った手段「ナルトを崖から突き落とす」大胆な作戦に出ます。 ナルトの身が危険になって、九喇嘛は《しかたなく》ナルトに己のチャクラを貸す状況になり、「うわぁぁ」と谷底に落ちていくナルトは、突如として《己の中の精神世界》に目覚め、自分の中に居る九喇嘛と「初めて出会う」ことになります。それが「九喇嘛の初登場シーン」》。 
 九喇嘛と初めて対面したナルトは意外と冷静でしたが、さて・・・九喇嘛はこの時、いったいどんな気持ちだったのだろう?
 
 
 
 それまで、九喇嘛は12年間もナルトの中に居ながら、ナルトにその存在を気づかれずにいたんですよね。 ミズキによってその存在をナルトに知られてしまってからも、ナルトは殆ど九尾を意識することはありませんでした。 ケガが自然と治るのは何故かとか、不思議な力が沸き上がるのは何故なのかとか、ナルトは考えた事も無かったんですよね(ナルトは「理屈」を考えるタイプじゃあないし)。 だから九喇嘛はけっこう「のんびり平和に」過ごせていたんじゃないかと思うんですよね。
 
 
 もちろん、赤ん坊だった「ちんちくりん(ナルトのこと)」なんかに封印されてしまった当時(九尾事件の時)は腹も立ったでしょうが、その後の12年間は誰にも干渉されず、必要な時や気が向いた時だけ《こっそり》力を貸してやればよかったのだから・・・それはそれで穏やかな日々だったんじゃないだろうか(そりゃ、檻の中は退屈で窮屈だったかもしれないけれど)。
 
 暇だったせいなのか、九喇嘛はナルトの中に居て「ナルトや周囲をよく観察していた」という事が57巻538話で判明します。 いつのまにか九喇嘛は「ナルト目線」で世界を見るようになっていたんですね。 だけど九喇嘛の「退屈で平和な日々」は、自来也が来た事で一変したのです。 

自来也はナルトに「別のチャクラの存在」を意識させただけでなく、強引に引き出そうとしてきた。 おまけに「崖突き落とし」という大胆な手まで使ってきた・・ この事態は「今までのんびりしていた」九喇嘛にとっちゃ青天の霹靂だったに違いありません。 たまったもんじゃない・・
 
 さて、どうするべきか・・・ ここで易々とチャクラを貸してやれば相手の思う壺で、まるで「協力的ないい人」みたいだし、それに「ナルトのしもべ」みたいになってしまう。  だからと言ってこのままでは自分も一緒に死んでしまうというジレンマの中で、九喇嘛が出した答えは「ちんちくりんに会って自分の言い分(言い訳)をはっきり言っておく」ということでした。 上下関係、ハッキリさせとかないと・・最初が肝心ですからね。

精神世界の中でナルトと対面した九喇嘛は、まず最初にこんなふうに「自分」を演出します。
 

「小僧ゥウ もっとォ近くへ・・・来いィイ」 
「お前をォオ食イィ殺したいがこの門が・・開かぬゥ・・いまいましい封印だ」

うん・・いきなり「威嚇」してますね。
 
人間が「九尾」に持つイメージそのままに、「恐ろしいバケモノ」としての自分を見せつけた九喇嘛でしたが、そういえば これと同じような「威嚇」を47巻でもやっておりましたね。 ナルトの精神世界の中で「四代目火影のチャクラ」と再会した九喇嘛は、「グオオオオ四代目火影ェ!!来い!!ズタズタにしてやる!!」なんて吠えてましたっけ。 
 
 でも、この時は四代目に「ズタズタにするって言ってんのに近づかないよ」「うるさいね、後ろの・・」なんて簡単にあしらわれてしまうのです。 九喇嘛渾身の威嚇も、四代目に対してはまったくの不発でした。
 
 
 そして、ひととおりナルトを「威嚇」した九喇嘛が その次に言ったのは・・
 
「貴様の方からわしに近づいてくるとはァアア
何の用ォオでここへ来たァ・・!?」
 
・・でした。
 

 九喇嘛がまず確認したかったのは、《ナルトのほうから九喇嘛に会いに来た》という事だったんですね。  間違っても《ワシのほうから出向いた訳じゃあないんだぞ》っていうね・・(素直じゃないなぁ)。
 
 しかし、ナルトはこの時まで「己の中にあるもう1つのチャクラとは 九尾のチャクラである」ことを知らなかったので、「チャクラを借りる為に九尾に会いに行く」という発想は無かったんです。 
 一方で、九喇嘛のほうには「ナルトに会って言い訳しておく必要」がありました。 だから、顔合わせ実現の「直接のキッカケ」は、九喇嘛のほうからナルトに話しかけようとしたんじゃないかとは思うんですがね・・。 それでも、九喇嘛とナルトが出会えたのは、ナルトのほうにも「九喇嘛と向き合う心の準備」が出来たからなのかもしれません。 
 だけど、九喇嘛はあくまで「会いたかったのはお前の方だ、ワシじゃあない」にこだわるんですよね。 さっそく、かなりの「素直じゃあない性格」が露骨に出ています。
 
 で・・ここまでは「九喇嘛が考えた言い訳作戦」は順調に進んだのではないかと思うのですが、ここで「意外」なことが起こります。 ナルトは九喇嘛の威嚇にちっともビビることなく、九喇嘛の目をキッと見てこう言ってきたのです。
 
「コラ アホギツネ! オレの体に泊めてやってんだから 家賃としてお前のチャクラを貸しやがれ!」
 
 
で・・このセリフを聞いた時の九喇嘛の「反応」が、実に面白いんですね。 
 
九喇嘛は「!」と目を丸くし、さらに目を見開いてしばらく「・・・・・・」と沈黙してしまうんです。
 
 
 さすがの九喇嘛も、あまりの驚きにすぐには言葉を返せなかったんですね。 この時の九喇嘛は暗闇の中にいるので、表情までハッキリとは見えないのですが、それでも「かなり驚いている」ことが伝わってきます。
 
 アカデミーでもドベだったあの「ちんちくりん」が相手なのだから、軽く「威嚇」しておけばちょろいものだと九喇嘛は考えていたのでしょう。 なのに、この「ちんちくりん」は図々しくも堂々と「対等」に渡り合おうとしてきた・・それは、ずっとナルトを観察してきた九喇嘛にとっても、相当に“意外”なことだったんですね。
 
 
 でも、あれだけ気位が高い九喇嘛なのに、なぜかナルトの「生意気発言」に怒ったようには見えなかったんですよね。 完全に「言い負かされて」一瞬何も言えなくなってしまった感じでした。  人間は「尾獣はバケモノ」と考えて憎み、恐れるのが普通だというのに・・・ 九尾を恐れず尾獣と「対等」に向き合ってくるナルトに、九喇嘛は戸惑い、そして不思議な気持ちになったのかもしれません。 
 
 
 そして・・九喇嘛のことを恐れようとしなかった人間は「四代目火影以来」でもありました。
 
 
 四代目が生まれたばかりの我が子に尾獣を入れたのは、「封印の器」として必要だったからというよりも、九尾の力が「息子のためになる」と信じたからでしたよね。 いずれは「九尾と息子が協力し合う」日を見据えてのこと・・ようするに、四代目は九尾事件当時から「九喇嘛の本当の姿」を信じていたんですね。 そして、その息子ナルトは・・九喇嘛の事を恐れず堂々と「対等に」向き合ってきた。  あの親にしてこの子あり・・・もしかしたら、九喇嘛は「最初の出会い」でいきなりナルトの中に「ミナトの面影(DNA)」を感じ取っていたかもしれません。 そして、この時から九喇嘛が「ナルトを認めていく」道が始まったんじゃないかとも思います。
 
 

いきなり一本取られた九喇嘛ですが、気を取り直して今度はナルトにこう返します。

 
「くっ・・」
「グワハハハハハハ どのみちお前が死ねばわしも死ぬというかァ わしを脅すとはいい度胸だァ!」
 
 別にナルトは脅したつもりじゃないだろうけど・・これも九喇嘛の「言い訳」なんでしょう。 チャクラを貸してやるのは「このままじゃワシも死んでしまうからであって、仕方ないからだ」という言い訳・・・たしかに、これは「ごもっともな理由」にも聞こえます。
 しかし、たとえ人柱力と一緒に死んでしまったとしても、尾獣は「少しの時を経て復活できる」という事実がのちに判明します(もし九尾と共に死ねば、九尾の復活時期を延ばすことができるとクシナが言っている)。 つまり、この時の九喇嘛は「そこまで深刻な危機ではなかった」と思われるので、おそらくこれも「言い訳」だったのです。 「親切でチャクラをやるわけじゃないぞ」という念押しですね。
 
 
さらに・・・九喇嘛はこう続けます。
 
「よかろウゥ・・ここまで来たほうびだ・・くれてやるゥ!」
 
チャクラを与えるのは「ナルトへの家賃の支払い」ではなく、あくまで「ほうびとして」であるとこだわる・・・《上下関係でいえば九喇嘛の方が上》だという確認ですね。 
 
 ま、もし「家賃としてチャクラを渡せ」なんて言われてプライドが傷ついたのなら、別にチャクラを渡してやらなくてもよかったんだけど(人柱力と一緒に死んでしまっても、少ししたら尾獣は「自由の身」で復活できるんだし)、それでも九喇嘛はナルトに協力してやったんですよね。 やっぱり、いい奴なんですよねぇ九喇嘛は・・・ 
 
 だけど、ご本人は「けして協力してやってるわけじゃないし、親切なわけでもない」にこだわります。 その結果がこの「言い訳だらけ」のセリフ・・・最初っから九喇嘛は「素直じゃない」が全開です。 まさに「最初の登場シーンはその人物の特徴を端的に語る」
 
 ・・こんな具合に、九喇嘛はいきなり初登場から「言い訳三昧」だったのですが、これだけ言い訳するってことは、それだけ「体裁」を気にしている証拠ですよね。 「言い訳の激しさ」は動揺の大きさと比例するし、「言い訳の多さ」は自分の言動に素直じゃない事の証明です。 「他人の目」を気にするという事は、自分の「本音」が見透かされるのを恐れているという事なのでしょう。
 
 自分が今までナルトにチャクラを貸してやったり、こっそり助けてきた「本当」の理由は何なのか・・・そして、なぜナルトの「対等に」向き合ってきた態度に、こうも動揺してしまった「理由」は何なのか・・九喇嘛は「本当の自分」を自覚せざるを得なかったハズなんです。  もちろん、まだこの時の九喇嘛は、それを全力で「否定」しようと思っていただろうけれど・・
 ナルトとの最初の出会いは、九喇嘛が「本当の自分」を見つめ直し、自分自身に素直になっていく過程のスタートでもあったんですね。
 
 ナルトの「もう1つのチャクラを引き出す修行」がなかなか上手くいかなくて、手間取っていた3週間・・・もしかしたら、その間九喇嘛はとずーっと考え込んでいたんじゃないだろうか・・・どうやってちんちくりんと顔を合わすか、どうやって言い訳するか》って・・
 
 
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☆長駄文、読んでくださって感謝。
 
 
 
 
 
 
(ナルト好きブログ! 2016/01/12)