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薬師カブト・・その10 カブトの情報量と自来也の情報網

薬師カブト・・その10 カブトの情報量と自来也の情報網


2010年の記事で「カブトと情報」について取り上げた事があったのですが、今回は最終的な「改訂版」・・その後の展開を踏まえて加筆してみようと思います。

 カブトが誇る「情報量」と、自来也が誇る「情報網」の違いの話は、何かにつけては引き合いに出して雑考してきましたが、今回はその総集編とでもいいましょうか・・・ 物語が終わって、自来也の「情報網」という言葉の“意味”を しみじみと感じているところです。

 カブトという人物を振り返るうえで「情報」の話題は欠かせないと思うのですが、前回の雑考でも取り上げた「カブト自身によるまとめの言葉」・・ここにも彼の「豊富な情報量」を伝える部分があります。 《ボクもそのオビトも・・この世の中に自分の居場所がなくなってしまったと思い込み 皆を巻き込んだ》とカブトはサラッと仮面の男のことを“オビト”と言っているんですよね。

 52巻では、仮面男の前で「本物のマダラ」を穢土転生して「仮面男はニセモノ」である事を証明していたカブトですが、誰一人として仮面の正体に気づいていない頃から、仮面が偽マダラである事だけではなく「誰なのか」まで知っていた・・・そのことがこのセリフによって、明らかになったのです。 これもカブトの「情報量」の豊富さと、彼の分析能力の高さを証明するものでしょうか。 

 そして、その情報についてなのですが・・

「情報とはその時々において命よりも重い価値を発し任務や戦場では常に命がけで奪い合われるものだからだ・・」とは5巻でのイビキの言葉ですが、中忍試験に於いて最初に試されたのが「情報収集能力」でした。 
 中忍試験の前、カカシも第七班の教え子たちにシッカリと《情報収集スキル》を叩き込んでいましたっけ・・(「風の書」カカシ先生の素顔ミッションによると。詳細は※カカシの素顔ミッションについて

 情報の「集め方」といっても人それぞれの流儀があるとは思いますが、あえて「情報集めのプロ2人」カブトと自来也の収集法を比較してみようと思います。 
《カブトと自来也》・・・2人とも「情報集め」を得意とした忍ですが、彼らの情報収集「方法」は少し異っています。 その「違い」を知ることができるのが、この「言葉」なんです。 「情報量」と「情報網」・・・

 
・カブトが誇る「情報量」

 「スパイとして国から国へ渡り歩き・・・“暁”の一員でもあったボクの情報量をなめない方がいい」
(52巻489話、カブトのセリフ)

  子供の頃から“根”に所属し、任務で他里に潜入して情報を集めてきたカブト。 61巻カブトの回想には、その頃の彼がどうやって情報を集めていたかも描かれています。 《偽名を使い他里に潜入し、物陰に隠れて「こっそり」と会話を聞き取り情報を集める》・・・いかにも「スパイ」らしい情報収集の方法です(“根”で叩き込まれたんだろうなぁ)。 そうやって世界中をまわり、大蛇丸のところや“暁”にも所属して、膨大な量の情報やデータを蓄積してきたんですね。

 カブトの「最初の登場シーン」でも、参加者のデータをナルト達に見せて「情報量を自慢する姿」が描かれていましたが、あれはカブトが持つ膨大な「忍情報」のごく一部。 戦争であれだけ大勢の「過去の忍達」を操る事が出来たのも、蓄積された膨大なデータがあったからだろうと思います。 
 たとえば「ペイン長門」の能力についても、カブトはほぼ完璧に把握していました。 ペイン長門と直接対戦した経験のあるナルトでさえ、長門の能力を完璧には把握していなかったというのに・・(ナルトは「人間道」の能力は知らなかった)。

 各国の情報部を結集した情報量さえ凌ぐ、カブトの圧倒的な情報量。  スパイとして生き、居場所を持たず「自分」さえ持たなかった彼にとって、最も信頼できるモノが「己の情報量」だったのかもしれません。 
 
 だけど、いくら膨大な情報に囲まれていても・・他人との「繋がり」を感じる事ができなかったカブトは、常に「孤独」でした。


自来也が誇る「情報網」

27巻、第一部ラストの自来也とナルトの会話・・「大蛇丸が次の転生をするまであと3年はある」と語る自来也に、ナルトが「なんでそんなこと言えんだってばよ?」と尋ねると、自来也《ワシの情報網をなめるな》と答えます。 
 自来也が誇るのは「情報網」。 里を離れて「一人で情報を集めて回っていた」という点ではカブトと同じですが、彼らが語る「量」と「網」では意味するものが大きく違ってきます。

 自来也の「情報収集の方法」が具体的にわかるのは、ナルトを連れて「綱手探しの旅」に出た時のこと(17~19巻)。 綱手の居場所を探す為に、自来也が行った「情報収集」とは・・ 「忍の三禁」を破って酒場に行って人から情報を聞いてまわったり、女性のいるお店に行ったりして(これも情報集めと思われる)・・ようするに「人から情報を聞き出し知る事」が自来也のやり方でした。 時には「尋問」という手段で情報を聞き出すこともありましたが、それも「尋問はワシの性には合わん」と言って、「くすぐる」とか「カエルに変える」などのギャグ責めだったりで、相手の忍を立派だと認めれば逃がしてやったりもしていた・・ 
自来也の情報収集法は「網」・・情報「網」とはネットワーク、「網=つながり」を大切にした情報収集法でした。

もっとも、どちらのやり方でも「結果(収穫)」は同じだったのかもしれません。 綱手捜索ミッションでも、カブトと自来也はほぼ同時に綱手を捜索し始め、ほぼ同時に彼女を発見しています。 「量」と「網」の考え方の「違い」・・・それは方法論の違い、流儀の違いでしかないようにも見えました。

 しかし、その考え方の違いは、物語の終盤になって《大きく世界を変える》ことになるんです。


 第四次忍界大戦に於けるカブトと忍連合の闘いは、いわば「量」と「網」の戦い・・・カブトが駆使したのは「情報量」、忍連合が駆使したのが「情報網」でした。


・第四次忍界大戦に於ける「量」と「網」の闘い

たとえば、カブトは穢土転生した再不斬と白を操りながら、豊富な「情報量」を活かして、こんなことまでしてみせます。

「再不斬をまるで命がけで守る白  クク・・今はただの人形だけどね ・・・戦争ではなかなか面白い演出になってるだろうな」  
(55巻、523話のカブトのセリフ)

「波の国の戦い」に於いて、白が再不斬を守る為に身代わりになった事まで カブトは知っていたんですね。そして、穢土転生した白と再不斬を使って、カカシの前で「再演」までしてみせます。 しかし、再不斬と白の死に様を汚すような演出はカカシを本気で怒らせてしまい、この戦いはカカシ達連合がカブトに勝利します。 
 あの時のカブトの敗因・・・それは「カカシと再不斬の間に培われていた繋がり」をカブトが理解していなかった事にあると思うんです。 「波の国の戦いで何があったのか」詳細まで知っていたカブトの情報「量」は、「里を超えた人と人とのつながり(=網)」の前に破れたのです。

そして次の「穢土転生長門とナルト達との戦い」も、「量」と「網」の戦いでした。 

 カブトは前述のように「長門の能力」についてパーフェクトと言っていいほど把握していましたが、ナルトとキラービー、穢土転生イタチの“にわかスリーマンセル”による見事なチームワークの前に屈してしまいます。
 
 この時も、カブトは自らの敗因を「イタチの手裏剣術のレベルの高さと長門の機動力の無さについての情報が不足していた」と分析したみたいでしたが、本当の敗因は、にわかスリーマンセルであるイタチとナルト達が即座に「お互いを信頼して」見事に連係し、情報を共有しながら一緒に戦うことをカブトが予測出来なかった点にあると思うんですよね。 少し前までは「味方どうし」ではなかった3人が見せた「信頼とつながり」・・・カブトにはそれが予想できなかったんじゃないだろうか。

さらに、カブトは三代目雷影も操って忍連合と戦いますが、この時も忍連合の「ドダイ、ナルト、いのいち、ビー、八尾」による「里を超えた見事な情報の伝達」によって敗れてしまいます。 

 カブト1人が持つ「情報量」の多さは圧倒的なもので、忍連合の一人一人が持つ情報は「断片的なもの」にすぎませんでした。 が・・・連合の忍達はそれらを結集し、さらに伝達し、「情報網」で対抗したのです。 

 「網(つながり)」は「量」に勝る・・それは戦争後半で「一人の強大な力(六道オビト)」と「皆で合わせた力(忍連合)」の綱引き合戦(68巻)にもあったように、第四次忍界大戦で最も色濃く描かれたテーマでもありました。  68巻では、オビトが「オレは自来也という人間に負けたとも言える」と語っていましたが、あの戦争は「自来也の意志」を受け継いだ忍達が、オビトやカブトの考え方を打ち破ったと言えましょうか。 

 
「ボクの情報量をなめない方がいい」と「ワシの情報網をなめるな」。

見落としそうなほど小さな「言葉の違い」の中に、のちに世界の行方を左右するほど大きな「考え方の違い」が《そっと》仕込まれている・・・こういうところに、NARUTOをじっくり読み返す楽しみをあらためて感じてしまうのです。



(そして最後にカブトも・・・自らの「つながり」を取り戻そうと、大切な仲間のところに戻っていきます。 完結後の世界では、たくさんの子供たちを家族として迎え、カブトは己の「網(つながり)」をどんどん増やしていく・・)。





☆長駄文、読んでくださって感謝。




(ナルト好きブログ! 2016/02/29)