サスケにとっての「ただいま」と「おかえり」
BORUTO第一話で、うずまき家に突然やってきたサスケ。 応対したヒナタが「サスケくん・・・・?」なんて言っている様子を見ると、サスケに会うのはかなり久しぶりだったようで。
相変わらず留守がちなサスケ、そして留守宅を守るサクラ。 特にサクラは、どうしたって「他の家と較べてしまう」こともあるだろうし、寂しいのをよく我慢してるなぁ・・なんて思ったけれど、本人達は他人が思うほど「辛い」とは思っていないのかもしれない。
にしても、サスケも他人の家を訪ねる時はちゃんと「ピンポン」をするんだなぁ・・・なんて変なところで感心してしまった。 だってねぇ・・・誰とはいいませんが、どこぞの六代目火影なんて、他人の家を訪ねる時にはいつも「窓から突然」だったり、こっそり「覗き見」してたりとか・・・ ね、カカシ先生?
そして「玄関」といえば・・・
サスケが度々回想していた《幸せな思い出》の中に響く「ただいま」と「おかえり」、そして「いってきます」の声。
43巻でサスケが回想する「イタチ兄さんとの思い出」も、イタチが「ただいま」と帰ってくるところから始まっています。
まだサスケは小っちゃくて、兄さんが帰って来るまで一人で怪獣ごっこをして待ってるんですが・・・・兄さんが帰ってくると嬉しくて、目をまんまるにして「兄さん!お帰り!」とイタチに飛び込んでいく。
サスケは小さい頃から「みんなでワイワイ遊ぶ」のは苦手だったようで、少数のごく親しい人とだけ交わるタイプ。 それに、なかなか人前では「本当の姿」を見せようとはしないのも昔から変わってない。
サスケが「ホントの自分」を安心して無防備にさらけ出せるのは「イタチやミコト母さんの前ぐらい」だったのだろうし、サスケにとって「家」は唯一くつろげる大切な場所だったんじゃないだろうか。
それに、兄さんにべったり甘えたり、おんぶしてもらってる「プライベートの姿」・・・ それは絶対に友達には見られたくなかっただろうし、サスケにとって「家」や「家族」ってのは、誰にも土足で踏み込まれたくない「聖域」のようなとっておきの場所でもあったんじゃないかと思います。
だけど、イタチもずっと忙しくてサスケの相手をしてやれる時間は短かったし、一緒に過ごせたのは兄さんが帰宅した後の、ほんのわずかな時間。 それでもサスケは、
「それでもいい・・・ たまに一緒にいてくれれば」
と言っていた・・・(43巻の回想より)
でも、そう言っている時のサスケは「悲しそう」ではなく、「幸せそうな満たされた表情」なんですよね。 我慢して言ってるのではなく、「たまの一緒の時間」に心からの安らぎを感じているような表情だった・・・
イタチに背負ってもらって、背中の温もりを感じて兄さんの愛情を確かめながら・・・サスケは「幸せ」を実感していたんじゃないのかな。 短い時間しか取れなかった「兄弟の時間」だからこそ、一秒一秒に幸せをかみしめて、家に帰るまでの時間さえ惜しむように「温もり」を感じている。 「ちょっと甘えん坊」なサスケ・・・これが家族にしか見せない「本来のサスケの姿」なんだと思います。
だから「兄さんの帰りを待つ時間」も、サスケにとっては苦痛ではなかったのかもしれません。 「行ってきます」という言葉の次は、「ただいま」・・・そしてそれは「おかえり!」という「一番幸せな時間」へと、またつながっていくのだから・・・
それからサスケもアカデミーに通うようになって、今度は母さんが作ってくれるお弁当を持って「行ってきます!」と出かける側になって・・・
だけど、外に一歩出れば「イタチの弟」「うちは一族」というプレッシャーがつきまとい、それに「兄さんに追いついて父さんに認めてもらわなくちゃ」という焦りもあって、サスケにとって「アカデミー」はけして楽しい場所ではなかったかもしれない。 仲のいい友達もいなかったみたいだし、やはりサスケには「家」が一番・・・・やっぱりサスケは「おうちが大好き」。
ナルトは「一人ぼっちの家」がイヤで、「なるべく家に帰りたくなかった」んじゃないかと思うけど、サスケの場合は「なるべく早く家に帰りたかった」んじゃないのかな。
サスケにとって「いってきます」という言葉は、また帰ってくるという約束の言葉。そして、またここに「帰ってくることが出来る」という安心を確かめる言葉でもあったんじゃないかと思う。
「いってきます」と「ただいま」、そして「おかえり」・・・・
これらの言葉は、サスケにとっては家族とのつながりを実感できる「特別な言葉」だったのではないだろうか。
だけど「あの日」・・・いつものようにイタチはサスケにデコトンをして出て行き、サスケもいつものように母さんからお弁当をもらって「行ってきます!」と出かけたけれど・・・その日、兄さんは「ただいま」と戻ってくることはなかったし、「おかえり」と言ってくれる母さんも居なかった。 果たされなかった「再会」の約束・・・
それでも今は、サスケの帰りを待っている家族がいて、サスケにお弁当を渡して見送ってくれる家族がいる。 帰ってきてくつろいで安心できる場所がある・・・・ それに、次の「ただいま」の時にはまた「家族とのつながり」を確かめられる幸せな時間が待っている。 そう思うだけで、そう思う事が出来るだけで、心が満たされてくるんじゃないだろうか・・・・
だから、サスケが「言ってくる」と出かける時は、今の幸せをしみじみと実感しているんじゃないかと思います。
「それでもいい・・・ たまに一緒にいてくれれば」
サスケも、そしてサクラも・・・ 昔のあの頃の「満たされていた頃のサスケ」と同じような気持ちでいるのかな。
それぞれの家族のカタチがあって、それぞれの愛情のカタチがあって・・・ 今のままでも、サスケとサクラはきっと、すごく幸せなのだと思う。
ナルトが一見ないがしろにしているように見える「家族で過ごす誕生日」こそ、実はナルトが守りたい大切なものであったり・・・ サスケが一見ないがしろにしているように見える「家族と家で過ごす時間」こそ、実はサスケが一番守りたい大切なものだったりする。
だからなのかな・・・サスケがちゃんと「ピンポン」して、ドアを開けてもらうのを遠慮がちに待っていたのは。 「家」という大切な「家族だけの大切なプライベートの聖域」そして「家族の時間」を邪魔したり、勝手に土足で踏み込むような真似はしちゃいけない・・・したくない、されたくない。 それはサスケ自身が「家」と「家族」を特別に大切に思って、大事に守っているからなのかもしれない・・なんて思うのです。
☆長駄文、読んでくださって感謝・・・
☆あ、カカシ先生を責めてるわけじゃないですよ(笑)
(ナルト好きブログ! 2016/05/18)