BORUTO-ボルト-第2話「修行開始!!」 感想その1
「ナルト・・・ さっきの勝負 まだ分からんぞ」
なんでこんなに「ナルトとの勝負」にこだわるんだろう・・・って思うぐらい、秘かに闘志を燃やすサスケ。 でも、今回ばかりは「どーしても勝たなくちゃいけない理由」があったんですね。
今週の話をひとことで表すなら、《未来への不安、そして未来への希望》・・・かな。
・未来への「不安」
池本先生の絵にだいぶ馴染んできたんだけども・・・それでも、まだ劇場版のストーリーで進んでいるせいもあるのか、ところどころに見える「岸本カラー」にちょいちょい惹かれてしまう(ってのも事実)。 まだ、第2話だし・・・池本カラーに染まっていくのは、まだコレからかな。
《大筒木キンシキ: モモシキの「親役」にして、大筒木の系譜に連なる者。 いかなる忍術をも吸収し、武器の形状を施してチャクラを放出させる能力を有する。 モデルは弁慶。
大筒木モモシキ: キンシキと同様に大筒木に系譜連なる者。 地上に散った尾獣のチャクラを一つの実とするべく、手始めにビーの八尾とナルトの九尾を狙う。 モデルは牛若丸》
(以上「在の書=映画の入場者特典」より=ネタバレにならない程度に引用)。
彼らは、サスケが調べた「カグヤの異空間」にいた2人組の「大筒木一族」で、頭に角が生えている いわゆる「仙人系」・・・・つまり“宇宙人”。
モモシキはカグヤ風で、どこか「君麻呂風」(楚々とした美少年風で髪の分け目はカグヤや君麻呂みたいにギザギザ)。 キンシキのほうはゴツくて大柄な、呪印モードの「重吾風」。
「モモシキ×キンシキ」コンビは、どこか「君麻呂×重吾」コンビを思わせる・・・(つまり、君麻呂と重吾を組ませていた「大蛇丸の研究者としての眼」は、やはりリスペクトに値する)。
カグヤや神樹の問題は「封印」したに過ぎないし、第四次忍界大戦直後(あるいは戦争中)からサスケが抱えていた「不安」は遂に現実化しちゃったわけで。 今回の2人組も、未解決の「大筒木関係」あるいは「神樹(十尾)」問題の“一端でしかない”(序章に過ぎない)んじゃないだろうか。
ボルトの「サスケへの弟子入り」エピソードと共に進行する《忍び寄る不安》・・・
今週は、いいなぁと思う描写が2カ所ほどあったのですが、その1つが《忍び寄る不安の演出》・・・・これが「音」でうま~く演出されているのです。
・「ゴォオオオ・・・・」の音による演出
私は岸本先生の「音」描写(効果音演出)が大好きなんですが、今回の「音」による演出は、NARUTO-ナルト-で使われている「効果音」演出によく似ています(ってコレ、今回のは岸本先生のアイディアなのか他の先生方の発案なのかは不明だけど)。
サスケが思い出す「カグヤの世界」の場面・・・・そこには《ゴォオオオ・・・》という雪が吹き荒ぶような音が響いて、それが「荒涼とした風景」を想像させるし、「不安や恐怖」も募らせるんです。 無気味な「唸り」のような音なんですよね。
その一方で、これは「遠いカグヤ世界での話」・・・・サスケの瞳力でなければつながらない、遠く離れた「別世界の話」。 こっちの世界には関係ない、おとぎ話のような他人事のような感覚でもあるんです。
しかし「回想」最後の絵を見ると、「現実」(木ノ葉の里の風景、火影室の外)にも《ゴォオオオ・・》の音が書かれているのです。
平和で穏やかな、いつもと変わらない里・・・嵐というほどの風も無さそうなんだけど、それでも静かに《ゴォォォ・・》の音が鳴り響いている・・・ 無気味なんですよね、コレ。
「音」で二つの世界(あるいは回想と現実)をつなげる手法は、「NARUTO-ナルト-」でも使われていたテクニック。 たとえば六四巻の600話では、《ゴゴゴゴ・・》という岩の音が描く「現在」と、《ドドドド・・・》という岩の音が描く「過去(記憶)」が一致して、それがつながり「重なる」演出(※1)があります。
あっちの世界とこっちの世界で鳴り響く《ゴォォォ・・・》の音は、あっちの世界とこっちの世界が実は「つながっている」ことを暗示しています。 そして、その「脅威」がここにも確実に迫っているということも・・・・
さらにこの後、この《ゴォォォォ・・・》の音は「この世界に来た2人組が八尾を拘束している場面」にも書かれているんですね。 そして、2人組が次に狙うのは最大のチャクラ「九尾」・・・
遠い世界から、少しずつ忍び寄ってくる《ゴォォォォ・・・》の音が、「不安」を無気味に演出しているのです。
(※1)NARUTO-ナルト-の「岩の音の演出」については600話感想参照。 また、kindle版電子書籍(※)で「岩の音演出」について書き直しているので、近いうちに一部をここにもアップしようと思ってます(来週あたり)。
・そして・・・・未来への「希望」
新たな強敵、脅威の登場ですっかり未来の雲行きが怪しくなってきたけれど、お先真っ暗なだけじゃない・・・・今週のもう1つの話は「未来への希望」、つまり「ボルト」。
サスケはボルトの食らいつくような眼差しの中に、未来への「希望」を見たのかな・・(まだ希望の「かけら」ぐらいかな?) それで多忙にもかかわらず「ボルトの弟子入り」を引き受けたんだろうか。
サスケがボルトに「弟子入りの条件」として提示したのは《螺旋丸を習得してくること》。 コレ、思い出しますなぁ・・・・かつて綱手がナルトに「1週間で螺旋丸を習得できたら火影の首飾りをやる」と言っていた、あの「賭け」を。
あの時の綱手の心境と、今のサスケの心境・・・すごく似ていると思うんです。
綱手だって「本当は」希望や未来を信じたかったから、ナルトの根性を試して「賭けたい」と思ったんですよね。 今のサスケにとっての「ボルト」も、未来への希望・・・
だけどサスケだって、ちょっと前までそんな事は考えてもなかったんですよね。
五影会談の席でも、黒ツチの「いたずらに不安を煽らない方がいい」という意見に賛同し、自分の任務についても「極秘」にしてくれるように頼んでいたし・・・ 「花つ月外伝」でも、ナルトに「なぜ子供達を連れてきた!?」と険しい表情をしていたのだから。
五影会談の席でも、黒ツチの「いたずらに不安を煽らない方がいい」という意見に賛同し、自分の任務についても「極秘」にしてくれるように頼んでいたし・・・ 「花つ月外伝」でも、ナルトに「なぜ子供達を連れてきた!?」と険しい表情をしていたのだから。
とにかく、サスケは子供たちを「危険や不安」から遠ざけようとし、「未来は明るいほうがいい」といって、ダークサイドは自分達が引き受けようとしてたハズなんです。 かつてイタチがそうだったように、大切な存在を「守りたかった」・・・そして「巻き込みたくない」と思ってたんですよね。
だけど娘のサラダの成長を見て、さらにボルトに「昔のナルト」のような負けず嫌い精神を見て、新世代に「賭けて」みたくなったんじゃないだろうか。
サスケの《賭け》・・・・・ かつて、マダラは次世代に「賭ける」事が出来なくて、全部自分で引き受けてあとは神頼み(掛け)だったけど・・・サスケは柱間のような「賭け」を選択したってことになる。
ナルトは、ボルトは「オレとは違う」「オレ達みたいなのは時代遅れ」というけれど、サスケは「忍の本質は変わらない」といい・・・ そしてナルトは「この勝負はおそらくオレの勝ちだってばよ」と言ったけど、サスケは「ナルト・・・この勝負まだわからんぞ」なんて独り言を言っている。
ボルト達新世代が新たな未来の担い手になって「ナルトやサスケ達の想いをつないでくれる事」こそが、「未来を明るいものにする」とサスケは確信したんだろうなと思います。 だから、サスケはどーしてもこの勝負だけは「負けたくない」。 未来がかかってんだから、絶対負けるわけにはいかないんですね。
だけど、ひたすら真っ直ぐだったナルトとは違って、ボルトには「立派な父ちゃん」への抗いやら「数々の誘惑」があって、まだ「超えなきゃいけない壁」が色々ある。なかなか前途多難・・・
ボルトの今の心境・・・・それはもう1つの気になる「演出」で描かれているのですが、長くなりそうなのでこれは「感想その2」に続けようと思います(・・・って事で続きは「その2」で)。
(ここまで駄文読んでくださって、感謝)
(ナルト好きブログ! 2016/06/06)