ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

NARUTO-ナルト-の考察(伏線、言葉、人物考察などなど!)続行中!

NARUTOキャラ考察 油女シノ 2

シノの《なぜなら》と《スネ》
その1、キバとシノの会話にある「伏線」

1月24日は、油女シノの誕生日・・だった。 
 
大幅に遅れてしまったのは、長文になり過ぎて手直ししていたからであって、忘れてた訳じゃない(言い訳)・・・だから、スネないでおくれ。

シノと言えば《スネる》、《スネる》と言えばシノ。
 
でも、ほとんど顔を隠してるから「スネてる表情」さえ見ることが出来ない。NARUTOの中で最も「謎の素顔」を持つキャラ、それが油女シノなのです。

シノは、表情だけじゃなく「考えている事」もよ~分からんと思われており、5巻の初登場時では「こいつってば よー分からん オレの苦手なタイプ」とナルトに紹介されてちゃっています。 だけど、シノ本人は「よー分からん」と言われるのは、不本意かもしれない。 なぜなら、彼は口癖《なぜなら》を使って丁寧に分かりやすく説明する事を心掛けていたのだから・・

・《なぜなら》の用法

シノ愛用の《なぜなら》は、本来自分の考えを簡潔に論理的に分かり易く伝える「コツ」と言われます(本来は・・ね)。実際、彼の論理的思考による分析や《なぜなら》を用いたお手本のような解説は、戦闘の場では大いに役立っています。
 
なのに、普段の会話ではこんな調子になる・・
 
(「カチカチのビチビチ」というナルトの言葉を聞いての、キバとシノの会話)
 
「あ~あ頭わりーな 文句すらまともに言えてねーよアイツ」

「便秘なのか下痢なのかハッキリしてほしいな なぜなら・・」

「だからさっきからこまけーよ」
 
(57巻538話より)
 
・・とか、
 
「毛が土でドロドロになっちまったな これじゃ茶丸になっちまうぜ」

「その道理はおかしい・・なぜなら本来白い毛なのに赤丸だからだ だとしたら今の赤丸は白丸でなければならないのであって・・」

お前何言ってっか訳分かんねェ! そういうこと言ってんじゃねーんだよ 赤丸をキレーにしねーとなってこと!」
 
(巻ノ忍より、同じくキバとシノの会話)・・とか。

うむ・・カチカチのビチビチってどういう事だってばよ? 白いのに赤丸なのは何でだろう?  シノが指摘する矛盾はゴモットモなのです。 だけど、キバが言いたかったのは、そういう事じゃあない。 シノは「細かい疑問点・矛盾点」にこだわりすぎて、肝心なところから話を逸らしてしまうところがある。
 

・《なぜなら》で隠された《スネ》
 
そして、《なぜなら》で話が逸れてしまう傾向を、シノ自身も利用することがある。
たとえば、27巻のキバとシノの会話・・
 
「珍しいな お前が人の散歩に付き合うとはよ・・ この後どうせ紅先生んとこ集合だろーが・・」

「たまにはゆっくり話し合う・・これもチームワークというものだ お前達の任務がどんなものだったか・・聞いておこう」

「・・そりゃ凄かったぜ!・・つっても口で言っても分かんねーよな」
 
「いや・・ちゃんと聞いておこう なぜならそれがチームワークというものだからだ」
 
「!」
「・・・・・」
「・・・ お前・・一人だけはずれてたのスネてんのか?」

「・・・」 
 
(27巻238話より)

ホントは皆と一緒に戦いたかった。だから、せめて何があったのか詳しく知りたい。 だけど、そんなこと素直には言えないもんだから《なぜなら》で言い訳をして、自分の本当の想いを巧妙に隠そうとする。 「チームワークとは何か」とか理屈にこだわっていたけど、ホントはスネていた。
 
キバの鋭い指摘に、この時ばかりはシノも「・・・」と黙りこんでしまった。
 
シノは同期の中では出番も少なめだし、おまけに「心の声」もほとんど書かれていない(戦闘中の「分析」を除く)。 初登場以降、しばらく「どんなヤツかよー分からん状態」にあったのが、第1部最後のここにきてようやく《なぜならと理屈にこだわり、素直になれずスネてる》ヤツなんだと友に暴かれた・・・ 
 
《スネてる》ってのは、ホントは言いたいことがあるのに言えない、気づいて欲しい事があるのにうまく伝えられない、まぁツンデレさんあるあるですよね。 シノのそういうところって、サスケとちょっと似ているような気もする。 
 
サスケも、第2部に入ると極端に「心の声」が書かれなくなるし(戦闘中の分析を除く)、理屈をこねて本音を見せず「よー分からん状態」になっていく。第2部最後には「火影とは何か」と理屈にこだわっていたけれど、ホントは皆と一緒に居たくてスネていた・・・そしてナルトに《ダチがスネてる》と言われてしまう。 これ、第1部ラストの「キバとシノの会話」と同じパターン、その拡大バージョンとでも言いましょうか・・・ 
 
「キバとシノの会話」は、ナルトとサスケのラストの伏線・ヒントだったのかもしれない。
 
 
・シノとキバの会話にある「伏線」
 
第1部ラストというのは、とにかく「伏線」だらけなわけですが・・「ナルトとサスケ」に関する話もいくつか伏線が出ています。 この時、ナルトは自来也にサスケの事をあれこれ言われても「諦めない」宣言はするんですが、具体的に《どうやったらサスケを救い出せるのか》の答えは全然分かっていない。 だけど、近くに描かれている周囲の人々の言動に、そのヒントがこっそり隠されているんですよね。 自来也の回想や、カカシの独り言・・そしてシノとキバの会話の中などに。
 
「サスケをどうするのか」の問いに「何とかしてみせる」と決意するナルト・・・そして「具体的な答え」のヒントがその近くに描かれているパターン・・岸本先生のこういった伏線描写、絶妙なのです。
 
そしてこれとほぼ同じ伏線描写パターンは、第2部にも出てきます(57巻538話)。 
 
この時は、いよいよこれからナルトがサスケと本格的に向き合う直前で・・・今度は九喇嘛が「お前はサスケの憎しみを消してやれたのか?」と厳しくナルトに詰問し、ナルトは「何とかする」と決意する(だけどやっぱり具体的な答えは出せていない)。 そして、この時も「近くに描かれている同期達の言動」に答えのヒントが描かれている。
 
九喇嘛に言われて思い出す、ナルトの回想・・《シカマルとチョウジの「和解の印」、そしてシノとキバの会話(2番目に例として出した「便秘なのか下痢なのかハッキリしてほしいな なぜなら・・」「だからさっきからこまけーよ」の会話)》。 これらは、ナルトとサスケの最後の闘いをより具体的に予告する内容になっています。 ナルトがサスケに「グチャグチャ言うな」と言って、最後に「和解の印」を結ぶのですから・・

「第1部ラスト」と、「これからサスケと本格的に向き合う直前」という重要な節目に描かれた伏線。 その両方に「シノとキバの会話」は登場しているのです。
 
 
・さらに、シノが《スネてる》描写は27巻以降、ちょいちょい入ります。

たとえば・・
 
32巻、ナルトに気づいてもらえなかったシノが・・
 
「キバにはすぐ気づいたものだな・・ナルト」

(やべ・・、スネてる・・)
 
これは天地橋偵察任務直前、サスケとの久々の再会直前というタイミングに入ります。
 
 
それから43巻イタチ追跡任務でのトビとの交戦中、キバとシノの会話。
 
「へっ!シノ珍しくやる気じゃねーの!」

「当たり前だ 何故なら前の任務は仲間外れだったからな」

「オレが決める 
何故なら任務に参加している以上今回こそは役に立たねばならない」

「ったくまだ根に持ってんのかよ!」

これも、サスケとの再会直前というタイミング(実際には、すれ違いになってしまうのだが)。
 

いずれも「もうすぐサスケに会えるかもしれない」と気持ちが高揚している場面で、そういう時にシノが出てきて「なぜなら」と理屈を連発してみたり、「スネ」たりしてみせるのです。 なんだか、ナルトに「ヒント」を与えるように・・そして読者の無意識に「意識」させるかのように。
 
シノの理屈っぽい台詞とキバの単純でストレートなセリフは、漫才みたいで面白くって、あまり「重要なやり取り」には思えないんだけど・・・お笑い要素にこっそり重要な鍵を忍ばせるのが岸本先生の常套手段(603話のグルグルと白ゼツの会話みたいに)。
 
 
・シノの物語とサスケの物語の「結末」
 
 
 さて、27巻第1部ラストで「なぜなら」を連発し、キバに「スネてるのか?」と指摘されたシノ・・・この場面はシノにとって「第1部ラスト」の出番、つまり「第2部の予告、課題」となっています。 そして、それは第60巻573話のこのセリフで締め括られています。

《オレの忍術でナルトを完璧にサポートする・・・なぜならは必要ない!》

(ナルトが居る戦場に向かうシノの「心の声」)
 
ちょっと前までだったら、《なぜなら、オレの忍術は~するのに役立つからだ》とか御託を並べてたところだけど、ここでは「理屈はいらない」と言いきっているんですね。これ、シノにとっては大きな変化です。 大勢の仲間と心を一つにして戦い、協力しているうちに「仲間に必要とされている自分」に自信を持てるようになったのかな。 「オレも一緒に戦いたい!」という想いに特別な理由は要らない・・  ずいぶん時間がかかったけど ようやくシノも自分の想いに素直になれた。 シノの《なぜなら(理屈)から己を解き放つストーリー》は、こうして《一人でスネてる状態からの脱却》で終わります。 
 
そして、サスケも・・第2部ラストでナルトに「お前スネてるんだろ」と鋭く見抜かれ、「本当の想い」を引きずり出されて終わる・・
 
頭脳派で論理的で冷静だけど、本当は照れ屋で感情表現が苦手。 
論理的思考は長所でもあるんだけど、《なぜなら》にこだわり過ぎて自分の想いをうまく伝えられず、不器用に《スネてしまう》ところがある。
シノやサスケのようなヘリクツ好きなスネ屋さんには、本音を見抜いてあげる直感の鋭い「友達」や仲間の存在が何よりも大切なようで・・ 二人とも、そういう友達が側にいてくれてよかったよね。 そして・・改めてキバの「勘の鋭さ(嗅覚の鋭さ)」に感服します。
 
 
・キバの「役割」

キバといえば、ナルトに一方的にライバル意識を燃やしてるのに、いつも先を行かれてばかり。 口ばっかりな感じもあるんだけど・・・でも、「友達の気持ちを見抜く」点に於いては、いつもナルトの「先」を歩いて、ヒントを示してくれていたんですね。
 
 
・そして・・シノとサスケ。

700話でアカデミーの先生になっていたシノは・・・相変わらず《なぜなら》を使って語り、相変わらず《聞いてもらえない》。 理屈っぽい喋りや論理的思考は健在なんだけど、でももう「自分の想いにまで《なぜなら》で言い訳をする必要はない」と思っているはずです。 そして、それはサスケも同じなんだと思う。 
 
シノとサスケという、接点があまり無さそうだった2人・・ だけど、この2人の数少ない直接接点に、この2人ならではの《つながり》を感じるものがありました。次回は、そんな彼らの「接点」をちょっと見てみようと思っています。
 
 
 
☆長駄文、読んでくださって感謝・・・
 
☆「シノとサスケ」の話に続けたいと思っています。
 
 
 
 
 
(ナルト好きブログ! 2017/02/17)