ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

NARUTO-ナルト-の考察(伏線、言葉、人物考察などなど!)続行中!

NARUTOキャラ考察 油女シノ その3

シノの《なぜなら》と《スネ》の雑考 その2、「サスケとシノの接点」

 
ほとんど接点が無かった「シノとサスケ」ですが、珍しく会話している場面があります。 
 

「シノ・・なぜお前がここに!?」

「お前が会場を出る前に蟲を使って雌の臭いを付けさせてもらった・・雌の臭いはほぼ無臭・・その雌の微かな臭いを嗅ぎつけるのは同種の雄だけだ・・雄自身の方が臭いは強いがな・・」

うちはサスケ・・お前は我愛羅を追え・・なぜならお前と奴との勝負はまだついていないからな? オレはこいつとやる・・なぜなら元々こいつの相手はオレだったからだ」

「フッ・・」

「ここは任せろ、行け!」

「えらい強気だが・・・大丈夫かよ?」

「心配は要らない・・・ 10分もあればお前の援護にいってやる」

「フン・・その頃にはこっちも終わっている」

 
(14巻124~125話より)
 
 
これは、中忍試験本選途中で「木ノ葉崩し」が始まって、我愛羅一行を追って会場を出ていったサスケをさらにシノが追いかけ、カンクロウの相手を代わりに引き受け、サスケに「我愛羅を追うように」言うシーン。
 
時間にしてせいぜい1~2分程度の短いやり取りなんですが、短いながらもシノは《なぜなら》2連発だし、サスケもお得意の《フッ》と《フン》の「フ」を2連発して、いかにも「この2人っぽい」会話になっています。 今回は、この「シノとサスケの会話」部分の雑考を少々・・・
 

・サスケの「シノへの信頼度」
 
 このやり取りの面白いところは、「当初ほぼゼロに近かった」サスケのシノへの信頼度が、この短いやりとり内でぐんと上昇して、しまいには「100%にまで到達している」点なんです。 
 
なぜ当初は「ほぼゼロ」だったかというと、まだこの頃のサスケはシノの事を「ほとんど知らなかった」んですよね。 シノがどういう忍なのか、どの程度の実力なのか全くと言っていいほど知らなかった・・・任せても大丈夫と信じられる「根拠」が殆どゼロだったのです。

この当時(つまり中忍試験のころ)のナルト達って、案外と同期の事をよく知らない・・・ だから、この後の「サスケ奪還任務」で初めて班を超えた同期メンバーでチームを組んだけど、お互いの事をよく知らなかったから「ちょっとしたゴタゴタ」も起こしている(21巻、シカマルを「誤解」してもめたりしている)。 
でも、そういったゴタゴタを通して、ナルト達は仲間どうし信頼の絆を深めていく事になるんですね。
 
特に、サスケはシノの中忍試験予選(対ザク戦)を観ていないから、シノの実力は知らなかったんです(シノは音忍ザク相手に見事な作戦勝ちを収めているんだけど、サスケはその間、カカシに呪印を封じてもらっていた・・)。 あの試合を観ていれば、サスケの「シノへの評価」も上がっていたと思うんだけどなぁ・・(ちなみに、ナルトは試合を観てシノの実力に驚いたようで、それ以降「シノ=強い」のイメージが出来上がったようだった)。 シノの立場からすれば、せっかくの「サスケに自分の実力をアピールする機会」を逃してしまった・・ということになる;
 
サスケが持っていた「シノの情報」と言えば、せいぜい「中忍試験本選まで残った実力者」という程度。 でも、それだけじゃあ「シノを信頼できる」根拠には足りなかった・・・・なぜならサスケは「確固たる根拠」がないと不安になるタイプですから(72巻のナルトとの闘いでも、「なぜそう言い切れる?」等々「なぜ」とナルトにしつこく根拠を求めていましたっけ)。

サスケやシノのような論理的思考タイプは、自分が納得いく根拠がないと「信頼」することが難しい。そして、相手に納得してもらう為にも「根拠を示す必要がある」とも考える。 
 
だから、シノがここに現れた時点でのサスケの「シノへの信頼度」は、まだ「ゼロに近い」状態だったんじゃないかと思うし・・・シノ自身も、サスケに信頼してもらう為には「何か根拠を示さないといけない」なんて考えていたんじゃないのかな・・?
2人にやり取りを見ると、最初のうちは互いに「信頼していいのか?」「信頼してもらわねば」と考えている様子がうかがい知れる・・・ような気がする。
 
 
・で、会話の最初の部分を見ると・・

サスケは、「シノ・・なぜお前がここに!?」とかなり驚いてるんですが、ま・・そうですよね、第七班でもない他班のシノが、しかも一人で来るなんてサスケには相当「意外」だったんでしょうねぇ。 だから、この時の「なぜ」は、シンプルに「なぜお前がオレの増援にきたんだ?」という意味だったと思うんだけど、シノはなぜか最初に「違う事」を答えているんです。  「なぜ自分がここに来たのか」ではなく、「なぜサスケの居場所を把握できたのか」というね・・その「方法」を、論理的に永寧に説明しているんです。 で、そのあとやっと「なぜ自分がここに来たのか」の理由を言っている。
 
 

・信頼してもらう為の「根拠」

なぜ、シノは「サスケの追跡方法」を先に説明したんだろうか? それは・・まず、最初に自分の「力量」をサスケにアピールする必要があると考えたからじゃないだろうか・・?
 
たしかにシノの追跡方法は実に見事なもので、思わずカンクロウが「くっ・・!」と唸ったほどでした。 シノ自身《なぜなら(=根拠)》を重要視するタイプだから、この場を引き受けるにあたって「まずは信頼してもらう為の根拠」として、自分の能力をアピールをした・・ということじゃないのかな。

しかし、実際にサスケの「シノへの信頼度」を上げたのは、その見事な「能力プレゼン」では無かったような気がするんです。 サスケが「反応」したのは、こっちではなく・・・このあとシノが語ったセリフ「なぜならお前と奴との勝負はまだついていないからな  オレはこいつとやる・・なぜなら元々こいつの相手はオレだったからだ」のほうでした。シノが後回しにした、サスケの質問に対する答え・・《なぜなら2連発》のセリフ、サスケはこれに《フッ》と微笑んで反応したのです。
 

・シノの《なぜなら》とサスケの《フッ》

サスケの《フッ》といえば、記憶に新しいところでは66巻、百豪の力を解放したサクラが十尾を「しゃーんなろー!!」とブッ飛ばしたのを見て、思わず《フッ》と笑ってる場面。 サクラの活躍が、よほど嬉しかったのかなぁ・・・ で、サスケはシノの《なぜなら2連発》にも《フッ》と微笑んだ。 
《なぜなら》を連発して「建て前的なやや陳腐な理由」を並べるシノに、サスケは「自分と似たようなニオイ」を感じて、思わず微笑んでしまったんじゃないだろうか・・? 
 
前回取り上げた「27巻のキバとシノの会話」でも、シノは《なぜなら》2連発で「本当の想い(感情)」を包み隠していました。 「仲間と一緒に闘いたかった、自分も一員として力になりたかった」という本当の想いをね・・・。 で、この時も本当はそうだったんだと思うんです。ホントは「仲間と闘いたかったから、仲間外れになりたくなかったから来た」。でも、そうは言えない・・
サスケもちょっとそういうところがあるから、シノが「想い(感情)を隠そうとしている」ことにすぐに気づいたんじゃないかと思うんです。 「感情的なもの」は信頼の「根拠」になどならないと考え、理屈で「想い」を包み隠そうとするところは、シノとサスケは似ている・・・ その「似たところ」が、サスケとシノの距離を縮めたのではないかと思います。
 
だから、そうやって大袈裟に包み隠そうとすればするほど、その中に在る「想い」は大きいという事もサスケは知っている。 そして「想いの大きさ」は「強さ」になることも・・「この頃のサスケ」は知っていた。

こうしてサスケのシノへの信頼度は、ほぼゼロから「70%ぐらい」まで上がったんじゃないかな・・
 

・そして「100%」へ
 
でも、サスケはすぐに気持ちを引き締めて「えらい強気だが・・・大丈夫かよ?」と冷静に確認するように尋ねるのですが、シノの答えは・・・

「心配は要らない・・・ 10分もあればお前の援護にいってやる」でした。

これまた実に頼もしい言葉。 かなり強気ですよね・・・シノ。
 
何がこんなにシノに「自信」を与えているのか・・・それは、それだけシノの「仲間の力になりたい想いが大きいから」。 この強気発言が口先だけに聞こえないのも「強い意志に裏打ちされているから」。
 
サスケが「シノの強さを確信し、シノを信頼した根拠」は・・論理的で立派な「術や能力の説明」よりも、シノが包み隠す「想いの大きさ、意志の強さ」。シノの揺るがない想いを知って、サスケの「シノへの信頼度」は100%越えになったのではないのかと思います。 それが証拠に、サスケが返した言葉は・・

「フン・・その頃にはこっちも終わっている」でした。
 

・サスケの《フン》
 
サスケと言えば《フン》というぐらい、《フン》はよく見かけますよね。《フン》の用途は広くて、相手を見下して鼻で笑う時も、強がる時も、ちょっと嬉しい時にも《フン》といってる。中でも38巻、久々に訪れた波の国の「なると大橋」を見上げた時の懐かしそうな《フン》は印象的でしたよねぇ・・。 
 
で、シノの強気発言に対しての《フン》は「やれるならやってみろ」的な《フン》にも見えるのですが、サスケはそのあとに「こっちも」と言ってる・・・「も」ってことは、シノの自信発言をサスケが「認めた」ということになる。 シノを「対等な立場と認めた証」でもあるんですよね。 だから、この時のサスケの《フン》は・・・シノを頼もしく思い、シノと自分の「似たところ」に心がつながったような感じがして、どこか嬉しくなっての《フン》だったんじゃないかと感じています。 
 

・2人が呼び合った「名前」
 
そして、2人が紡いだ「信頼」は・・・この後2人の「心の中のセリフ」として描かれます。離れた場所で、それぞれの相手と闘いながら・・・2人は心の中で互いの名を呼び、語りかける・・
 

(シノ・・こりゃお前が来るまでにゃあ終わりそうもねーな・・)

(どうやら援護には行けぬようだ 済まぬ・・うちはサスケ

(126話より)


サスケは、シノの「10分もあれば増援にいく」約束を信じて・・・シノは約束を守れず「済まぬ」と謝っている。その心の会話は、“シノ”というサスケの呼びかけで始まり、それにうちはサスケでシノが応えて終わっている。 お互いの「名前」を呼び合っているんですよね。 
 
「名前」を呼ぶというのは、相手を認めていること・・・第1話で、イルカ先生がナルトのことを《化けギツネじゃなくて木ノ葉のうずまきナルト》と呼んで認めてくれた、あの時から「名前」の話から始まって・・・物語の終盤になってから「認めた相手の名前しか憶えないガイ」とか「オビトが自分の名前を取り戻す話」として出てきたりします。 ここでも「サスケとシノ」が、お互いの名前を呼び合っているのは・・・それまでよく知らなかった二人が《互いを信じ、認め合った証》。
 
ほとんど接点が無かったように思えた「シノとサスケ」の、ほんの短い時間の接点・・・そこに描かれたのは「互いの似たところ、共鳴できるところ」という小さな接点を見つけて、それを取っ掛かりとして心の中で繋がって・・・信じ、認め合っていく物語でした。
 
 
《なぜなら》とか《なぜ・・?》と理屈に縛られがちな二人だったけど・・「理屈を超えるモノがある」ということに、本当はもう気づいていたのではないかな・・・・
 
 
 
 
 
 
 
☆長駄文、読んでくださって感謝・・


☆明日27日(月)はBORUTO掲載日なので、夜あたりに感想をちょっとだけ・・とも思っています。
 
 
 
 
(ナルト好きブログ!  2017/02/26)