NARUTO16巻雑考 その2 「今はね」と「その眼」の伏線
(その1の続きです)・「今はね」と「その眼」
さて、ここからは16巻にある伏線の話です。 木ノ葉崩し最終話(138話)では、カカシとカブトがこんな会話をしています。
「で・・・お前は結局 見てるだけか・・ カブト・・」
「またオレから逃げるのか?」
「今はね・・」
「今はね」って言ってるんですよね、カブト。 それは「次はボクが」という意味だった。
だけど、カブトは「次」でも穢土転生軍団を操って遠くに隠れていたわけだから、カカシの《お前は結局見てるだけか》というセリフも、ある意味伏線だったのかも。
さらに、カブトはもう一人の「次に風を起こす人物」についても予告しています。
「うかつに手の内を見せるとコピーされちゃうのが関の山ですから」
「まぁ・・もっとも うちは一族ほど完璧にその眼を使いこなせてはいないようですが・・」
《その眼》って言ってるんですよね。 普通に「写輪眼」と言えばいいところを、あえて《その眼》と言っている・・・ ここでいう《その眼》とは、単純に「写輪眼」の言いかえではなく、特定を指す《その》眼という意味だったのでしょう。
後に分かることですが、カブトはかなり前から《“暁”の黒幕の正体》に気づいていたらしいんですよね。 この木ノ葉崩しでは、カブトは何かとカカシと関わる機会があったんですが、その都度カカシに対して何だか引っかかるような態度をとっていたんです。 明らかに「何か」を意識していた・・・・ おそらくは、カカシのその眼を気にしていたのでしょう。 “暁”の黒幕と同じ眼である《その眼》を・・
だから、この時カブトは ホントはこう言いたかったんじゃないだろうか・・・《アナタは“その眼”の能力のうち「コピーする」ぐらいしか使えてないみたいですが、本物のうちは一族なら“その眼”を完璧に使いこなしますよ》とね。
《その眼》という表現が意味するものは何なのか・・・そしてカブトが言わんとしていた《“その眼”の完璧な使いこなし方》とは何なのか。 それは、このあとイタチによって「より具体的に」説明されることになります。
きわめて「具体的」に・・
・第139話「その者の名は・・・!!」
いよいよ139話からは「“暁”編」へと突入し、カカシ、ナルト達世代の時代へと移ります。 それ象徴するかのように、139話の扉絵にはカカシ・ナルト・サスケ・サクラが並んで走る姿が描かれている・・・
そして139話タイトル「その者の名は・・・!!」、これがまた気になるタイトルなんですよねぇ~・・「その者」とはいったい誰のことなのか?
とあるからです。 「イタチ」の名前はこの時点で既出ですが、実際にご本人が登場するのはこの時が初めて。
あるいは、もっと広い意味で解釈するなら・・「その者」とは《火の意志を受け継ぐ者=新たな火影=その名はナルト》(いう解釈もできる・・と思う)。139話ではイルカ先生の回想、セリフ、想いが語られるのですが、その中でイルカは《木ノ葉に着いたその小さな火種はやがて強く大きく燃えて・・またこの里を照らし守るのでしょう・・いつの日か新たな火影となって》ナルトの後ろ姿を見つめているんですよね。 だから「その者の名」とはナルトのこと、あるいは「火の意志を継ぐ者達」という意味なのかも・・(この139話で主に登場する人物は「イタチ、自来也、カカシ」)。
そしてもう一つ、このタイトルには「隠された答え」があります。それが「その者の名は・・・オビト」。
139話で「初めてその名が明かされた人物」といえば「オビト」だけなんですよね。慰霊碑前に佇むカカシに、美人暗部の卯月夕顔が「カカシ先輩こそオビトさんへですか」と言っており、ここで初めて「慰霊碑に名を刻まれた英雄=カカシの親友」の名が明らかになるのです。
ただし、この時点ではまだ「死んだハズのカカシの親友」が重要人物になるなんて想像もできなかったので(カカシ外伝はこの先の27巻だし、仮面をつけた謎の人物トビが出てくるのもずっと先)、その名に重要性を感じることは・・ほとんど無い。 《“暁”の黒幕の正体って一体誰なんだってばよ??》と読者が気になり始めるのは、もっとずっと先のことです。 しかし、その「答え」が“暁”編オープニングである139話で《その者の名は・・オビト!!》と堂々と書かれていたのだから・・・実に大胆な伏線といいましょうか・・とんでもないところに「答え」が転がってたことになる。
そして「まるでネタバレ」な伏線・予告は、142話~143話でさらに続きます。
☆その3へ続けます・・
(ナルト好きブログ! 2018/02/25)