ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

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シカマルと「雨」 NARUTOにおける「雨」描写について

 今週のサムライ8でも悲しい場面で《ポッポッ、ザーーー》と雨が降ってきたけれど、
 
 NARUTOでも、よく雨が降る。 悲しい場面で・・・雨が降る。

 前に「サスケと雨」については書いた事があるけれど、今回の雨は「36巻」やはり悲しい場面の1つ「アスマの最期」で降った雨についての雑考です。 この時に降った雨は「シカマルの心」そのもの・・・そして「忍世界の現実」を語っているような気がするのです。 

 

(致命傷を負ったアスマを、教え子のシカマル、チョウジ、いの、それにコテツとイズモ、さらに同期のアオバとライドウが囲んで・・ アスマが息を引き取るとポツポツと雨が降り始め、すぐにザーーーっという激しい雨へと変わっていく)

はじめのうち、シカマルはずっと涙をこらえていたんです。 アスマが致命傷を負って、シカマルは目に涙をためながら叫び、飛段めがけて飛びこんでいって・・・

 

転んで、引きずり倒されて・・ 何とか必死にアスマを助けようとしたけれど、医療忍術を施そうとした いのが うつむいて涙をためているのを見て・・ シカマルは「悟った」。

 それからは・・いのとチョウジが涙を流す横で、シカマルだけは涙を流さないで、 涙を堪えてアスマ先生の最後の言葉を聞いて・・そして最期を見守ったのです。

 アスマが息を引き取った時、他の先輩の忍達も・・・涙は流していない。 イズモはそっと目を閉じ、コテツは「・・・・」と沈んだ表情で、ライドウも「・・・」と沈痛な表情、冷静なアオバは表情を変えていなかった(サングラスでよく分からないのだが)。 誰にとっても辛い場だったはずだけど、さすがは「忍」・・・


 そして、雨が降り始める。
 
 
 アスマが息を引き取る前、雨は降っていなかった。 アスマが「最後の一服を」と見上げた空は高く、雲も流れていた。  真っ直ぐすーっと伸びる電柱と、高いところに鎮座するトランスっていうのかな?電池みたいな子)が、より空の高さを語っているようだった・・ 
 
 だけど、アスマが息を引きとるとすぐ「ポッポッ」と雨粒が地面を打ち、さらに「ポッポッ」と上空から雨粒がたくさん落ちてきて・・・ 次にコマでは「ザーーーーー」という文字と雨が、細かく突き刺さるように降り始めてくる。

 この間、チョウジが泣きじゃくっているのは描かれているけれど、シカマルの「顔」は・・まだ描かれていない。  シカマルの表情の代わりに、「雨」が描かれていく。 

 これまで抑えていたのが、ついにあふれてしまったかのように・・「ポッポッ」と降り出した雨は止まらなくなり・・一気に溢れてきたのだろうか。

  

 

 (328話よりの模写。んー・・;できれば本物を見てください;)
 
 実際の絵は、もっとこう・・雨が鋭く細かく、そしてあたりの空虚感がすごいんだけども・・  ザーーーの文字までもが「細く激しく」、まるで絵のように雨を表現しているのです。
 
 そして今度は「見上げるような角度」ではなく、「真横」から描かれた電柱とトランスなんですよね。 空は暗くなり、激しく雨が降る中・・背を向けてじっと堪えるように、ポツンと立っている。 この「真横から」の角度が、やたらと「孤独感」があって、何だかたまらなく寂しく悲しく見えて・・必死にこらえて、黙ってじっと立っているように見えるのです。 それが、シカマルの姿と重なって見えるんです。
 
 その次のコマでは、ライドウがマントをアスマに掛けてやり、「忍らしい最期だった・・」と言う。 彼ら(特にライドウやアオバ)はきっと、何度も こういった場面に出くわしてきたんでしょうね;  涙を見せず、同期の最期を「忍らしい立派なものだった」と受け止めようとしている・・・・ この繰り返しが、忍の現実だったんですよね。 

そして、それをシカマルも・・分かってる。

 このあとシカマルの「足」が描かれ、その場を立ち上がって歩きだし・・・そのあと背中を向けて、端っこまで歩いていくのがわかる。 そして「煙草にむせる背中」が描かれ、最後に「煙が目に・・染みやがる・・」と 涙と雨でグチャグチャになったシカマルの表情が、やっと描かれるのです。 この場面、覚えている方も多い事でしょう。。
 

 

 この少し前まで、シカマルは「アスマの考えることはバレバレ」だと思っていた。
 
 将棋もそうだし、「アスマが突然禁煙するようになったのも、何か訳があるんだろう」と鋭く察したり・・・  だけど飛段との戦闘中、突然アスマが焦った顔を見せて・・シカマルは《アスマのこんな顔・・初めて見る》と驚くのです。 

 アスマは、それまでどんな状況でも動揺ってもんを見せなかった。 部下に心配させることもなく・・焦りを悟られることもない、泰然とした「大人」だった。 自分たちはまだ「守られる側」だったんだと、シカマルは思い知らされたんですね。
 
 でも今度は、自分が「守る側」にならなくちゃいけない・・・だから必死に涙をこらえ、アスマの前で動揺を隠し、アスマに心配かけないように頑張ったのでしょうか。
 
 だけど、それでもやっぱり涙は溢れてくる。 
 
 雨は、シカマルの心を察するように激しく降り・・シカマルの頬を濡らしてやるのです。  
 
 
 さらに「雨」は・・・離れた場所を「つないでいく」。

 
 同じころ、木ノ葉の里でも雨が降って三代目火影の顔岩を濡らし・・・紅が見つめる窓の外にも、雨が・・。 そして、サスケに追いつくための修行に必死なナルトにも、雨が激しく打ち付ける。  あの時降った雨は、それぞれの忍達の涙のように・・・忍達のやり場のない悲しみ、焦りを語っているように見えました。 忍世界の厳しい現実と不安に立ち向かっているのは・・雨の中で泣きたい想いを胸にしまっているのは、シカマルだけじゃあない。
 
 
 そして・・その一連の雨の描写は《雨隠れの里のてっぺんで手をかざし、術で雨をあげているペイン》の絵によって締めくくられます。 忍世界の、降りやむことのない雨を「術」で止めようとしていたペイン・・・

 物語の流れは、ここから《忍世界の悲しみや絶望、闇とどう向き合っていくのか》という方向に一気に舵を切って、いよいよ大きく動き始めるのです。





☆長駄文、読んでくださって感謝。


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(ナルト好きブログ! 2019/08/22)