今さらながらのNARUTO感想、今回は第2話から少々。 第2話って、ざっくり読むと《ナルトと木ノ葉丸のほっこりした物語》なんですよね。
だけど、ここにもラストに向けた伏線がしっかり描かれていた・・
さて、その第2話とは。
(第2話では 木ノ葉丸が登場します。 ホントまだ幼くて可愛い・・ 木ノ葉丸は じいちゃんの三代目火影に何度も奇襲をしかけたりしていますが、ナルトの「おいろけの術」を見て弟子入り志願し、ナルトに悩みを打ち明けます)
で、ここでナルトと木ノ葉丸がやり取りするのですが、その会話が今回の雑考のポイント。 その中に《忍界大戦を終わらせた大切な鍵》がなんと2つ、しっかりと出ておりました。 その鍵とは・・
《火影になる奴に近道なんかねェ》と《名前》です。
・木ノ葉丸の悩み
ではさっそく、その「鍵」が出てくる二人の会話を見ていきましょう。
(ナルトが「何でお前ってば そんなに火影のじいちゃんに食ってかかんだ?」と木ノ葉丸に聞くと‥)
「・・・木ノ葉丸って名前・・じいちゃんがつけてくれたんだ この里に名前にあやかって」
「でもこれだけ里で聞きなれた響きの名前なのに ・・ 誰一人その名前で呼んでくんない!」
(それを聞いたナルトはこう反応する)・・

さらに木ノ葉丸は続けます。
「みんなオレを見る時やオレを呼ぶ時 ただ火影の孫として見やがんだ」
「誰もオレ自身を認めてくんない もうやなんだ そんなの!!」
「だから今すぐにでも火影の名前がほしーんだ!!」
するとナルトの表情が変わるんですよね。

それでナルトが説教するのだ・・
「バーカ!お前みたいな奴誰が認めるか! ガキが語るほど簡単な名前じゃねェんだよ」 「簡単じゃねェーんだバーカ!・・火影火影って・・そんなに火影の名前がほしけりゃな・・」
「このオレをぶっ倒してからにしろ!!」って。
(それから少ししてから、ナルトは再び木ノ葉丸にこう伝えます)
「色々やなことだらけで色々迷うことばっかだろーし」
「オレだってオレのこと認めてくれる人が一人できたけど それだけでもスッゲー大変だったんだぞ!!」
「やっぱ覚悟しておかなきゃな」
「みんながみんなが認めてくれる」
「火影ってスゲー名前語るのによーお!」
「ぜってェー! 近道なんかねェーってことはよ!!」

木ノ葉丸は、ポッと頬を赤らめる‥
そしてこのときから、ふたりは「火影の座を争うライバル」となる。
さて、木ノ葉丸の話には2つのポイントがあると思うんです。 まず1つは《じいちゃんが付けてくれた大切な「木ノ葉丸」という名前があるのに、誰もその名で呼んでくれない》という悩み。 さらにもう1つが《自分自身を認めてもらうための近道として、今すぐにでも火影になりたい》という考え方。 それに対する「答え」こそ、戦争を終わらせる鍵になるものだったのだ・・
で、この2つに対するナルトの「反応と答え」、それがなかなか興味深いのです。
・「近道なんかねェ」
まずは先に、2つ目のポイント《木ノ葉丸が、自分自身を認めてもらうために今すぐにでも火影の名が欲しい》と言ったことに対するナルトの反応と答えですが。 こっちにはナルトは即、反応したんですよね。 すぐ表情をこわばらせて、さっそくお説教している。 かなり強い口調で‥バーカ!を2回も繰り返してます。
でも、その後にちゃんとフォローして最高のアドバイスをしているんです。 「色々やなことだらけで色々迷うことばっかだろーし」と言って「やっぱ覚悟しておかなきゃな みんながみんなが認めてくれる火影ってスゲー名前語るのによーお!」「近道なんかねェーってことはよ!!」って・・ いやもうコレね、達観しすぎてて弱冠12歳の少年のことばとは思えない。
でもそうだよね‥ナルトは「オレだってオレのこと認めてくれる人が一人できたけど それだけでもスッゲー大変だったんだぞ!!」と言ってたけど、ここまでの12年間 孤独で辛くて苦しい道をずっと歩いてきて・・やっとのことで《最初の一人に認めてもらった》。 “イルカ先生がオレを認めてくれた”第一話は、ナルトのここまでの物語のいわば《12年間のゴール》でもあったんですよね。
苦労してやっと手に入れる、その長い道のりの価値をナルトは知っていた。 だから「手っ取り早い近道」を選ぼうとする木ノ葉丸にお説教したのだ‥ その言葉は、人一倍苦労して経験してきたからこその「説得力のある重みのある言葉」だったのだ。
つまりナルトは《手っ取り早い近道》に対して《火影になる奴に近道なんかねェ》という答えを、この時からしっかり持っていたって事だ。
・忍界大戦での《近道なんかねェ》
この先も、ナルトはずーっとこの考え方や生き様を基本ブレずに貫いていきます。 そして最終的には 戦争でオビトとこんなやり取りをすることになる・・
オビトは「無限月読」という究極の平和への近道を主張した。 「ハッキリした行き先があり近道があるなら誰でもそちらを選ぶ」というオビトに、ナルトは怒って こう説教した・・
「オレが知りてーのは楽な道のりじゃねェ 険しい道の歩き方だ」

「火影になる奴に近道はねェーし!なった奴に逃げ道はねェーよ!!・・そうだろ‼?」ってね(68巻より)。
そしてオビトも、次第にナルトの中に「かつての自分」を見るようになっていく・・ナルトのお説教が「効いた」のだ。 ナルトの《火影になる奴に近道はねェ》の説教と生き様が、オビトとの闘いを終わらせたのです。
それでも、ナルトでさえ実際には多少ブレた事もあったんです。 たとえばナルトが忍界大戦の戦場に向かう時。 「自分一人で決着をつける」と言い張っていたのですが、イタチがこう諭してくれるのだ‥
「“火影になった者”が認められるんじゃない “皆から認められた者”が火影になるんだ」「‥仲間を忘れるな」とね。
はい、これもNARUTO名言中の名言ですね。 そして これこそまさに第2話でナルト本人が木ノ葉丸に伝えた事でもありました。
それに、こんなことも。
(347話、ナルトは新術「風遁・螺旋手裏剣」を開発したものの いきなり使用禁止を言い渡されてしまった。 多重影分身を使って《時間短縮の近道》でやっと開発したってのに・・ そして落ち込むナルトの前に、突然 木ノ葉丸が現れた。 木ノ葉丸は習得したての「影分身の術」を披露する‥)
木ノ葉丸の「影分身の術」、これは(後に分かる事なんですが)螺旋丸習得のための第一歩だったんですよね。
まだまだ「螺旋丸」という本目的達成には遠いけど、木ノ葉丸は堂々と胸を張って途中経過を報告に来た。 だって「術の会得にも近道なんかない」から・・ ま、影分身の術披露というより、おいろけ・女の子どうしの術を披露しにきた感じだったんですがね・・(この件の詳細は下記別記事にて)。 術会得に焦るナルトの前に、木ノ葉丸が「近道なんかねェぞコレ」と自らの生き様を見せに来てくれたのだ・・
第2話のあの日、ナルトの兄ちゃんが木ノ葉丸に教えてくれたことを 今度は木ノ葉丸が思い出させてくれたというわけだ。
ま、そんなこんなで ナルトでさえ近道を選ぼうとした事もあったけど‥ 《大切なのは苦労して辿りつくその過程の道》であることを、ナルトは第2話の時にはすでに知っていた。 そして安易に「近道」を選ぼうとする木ノ葉丸の甘さ弱さに怒り、説教した。 で、第2話で木ノ葉丸にしたお説教を 最後には忍界大戦でオビトにもした・・
「近道なんかねェ」は、戦争を終わらせる大切な鍵となったのです。
・名前の持つ意味
さて、もう1つのポイント「(木ノ葉丸という大切な)名前」のほうですが、こちらもまた終盤になってから すごく大切な意味を持ってきます。 だけど、こっちについては《ナルトは直接的には答えていない》んですよね。
最終的に「火影という名前」と引っ掛けた形にして答えてはいるけれど、コレは木ノ葉丸が悩んでいた《木ノ葉丸という名前があるのに 誰もその名で呼んでくんない》という問題の直接的な答えではないと思うんです。 たぶん、思うにですが‥ナルトは《名前》についての問題はあんまりピンと来てなかったんじゃないかと。 木ノ葉丸が「名前」の話をした時の反応も「!」だけだしね。
というのも ナルトはまだ(この時は)自分の名前の由来や 名前に込められた想いなんて知らなかった。 《ナルトとは、自来也が書いた「ド根性忍伝」の主人公の名前であること・・その主人公の意志を師匠や両親から託されたこと、そこには両親の愛がいっぱい詰まっていたこと》等々・・ナルトがそれらを知るのはずーっと先なんですよね。
一方で、木ノ葉丸は「じいちゃんが付けてくれた名前」にこだわりがあった。 そこにじいちゃんの愛を感じていただろうし、里の名にちなんだその名前に誇りを持ち、自分の存在意義を感じていたと思うんです。 だけど、この時点のナルトは「自分の名前」に特に何も感情は無かったはずでして・・ だから木ノ葉丸の「名前に対する想い」は、正直よく理解できなかったんじゃないだろうか。
だけど 「自分の名前の由来」を知ってから、ナルトも「名前に対する意識」が大きく変わっていってます。 尾獣たちにもそれぞれ「六道のじいちゃんがつけてくれた大切な名前」があると知ったナルトは、九尾の事も「九喇嘛」と名前で呼ぶようになるんですよね。 で、それが尾獣たちとの和解につながっていく・・
第2話のラストでは、ナルトが木ノ葉丸にこう伝えます。
「いつか火影の名をかけてお前とは勝負してやんよ ‥それまで楽しみにしとけよな」
「木ノ葉丸!!」
名前で呼んでもらった木ノ葉丸はすごく嬉しそうだった‥ 「名前」で呼んでもらうこと、それは「火影の座を争うライバル」として対等に認めてもらったということだ。
そして 570話の《九喇嘛との共闘・和解》の場面は、この第2話ラストを彷彿とさせるものとなっています。

ナルトは九喇嘛と「対等」にコンビとして共闘する宣言をする・・その証として「九喇嘛」と名前で呼んだ。 「名前」は、尾獣たちとの和解の大切なカギとなったのです。
・・そして「名前」といえば、カブト。
忍界大戦で カブトは こんなことを言ってたんですよね・・ 「最初からボクは何者でもなかった ボクには何も無かった」 「親を知らず‥自分の名すら知らない」と。 だけどイザナミの術の中で己を見つめ直して取り戻していって・・その中でカブトの名前の由来も明かされる。 そこにはカブトの帰る場所と本当の想いがあって、大切な仲間も居た。 そしてカブトも自分を取り戻す・・
「ボクは他でもない――カブトなんだと」
「もう自分が何者か分かってる・・そして己が何をすべきかも!」とね。
名前は《ボクがボクであるために》大切なモノだった・・
さらにオビトとの闘いでも「名前」は重要なカギになっているんですよね。
「オレは誰でもない」と言ったオビトに、ナルトはこう言っている・・
「お前はオレに“誰でもない‥誰でもいたくない”って言ったよな」
「面して自分を隠したってダメだ アンタはカカシ先生の友達で父ちゃんの部下でサスケと同じうちはで オレと同じ夢持つ先輩で 木ノ葉の忍だった アンタはうちはオビトだってことだ!」って。 そして最後にはオビトも自分を取り戻して こう言うのだ・・
「今のオレは‥火影を語りたかったうちはオビトだ!」とね。
名をくれた人達の想い、愛情、そこに宿る意志、そこに在る本当の自分・・ 厳しい任務で己を無くし「本当の自分」を見失う忍が居る中で、自分を取り戻すために大切な役割を果たしたのが「名前」でした。 尾獣もカブトもオビトも・・自分を取り戻す鍵となったのが「自分の名前」だったのです。
この日ナルトは「名前の持つ意味」をちょっと知って、名前で呼ぶことが《対等な関係》を築く第一歩になる事を知った。 だけど「あんまり深くは分かっていなかった」のではないかと・・
たぶんここからだと思うんですよね、ナルトが本当に「名前の持つ意味」を経験しながら知っていくのは。
《近道なんかねェ》と《名前の持つ意味》・・
物語最後の忍界大戦で《戦争を終わらせる大切な鍵》となるその2つは、第2話にしっかりと問題提起されていた。
1つはナルトが最初からよく知っていた事であり、もう1つはここから知っていく事になるものだった・・
・さて・・その後の木ノ葉丸ですが。
第二話ではまだ幼くて、走ってはコケて隠れてはバレバレでおいろけの術もダメダメだった木ノ葉丸ですが、終盤にすっかり成長した姿を見せてくれます。
木ノ葉隠れの里にペインが襲ってきたとき。 木ノ葉丸は「螺旋丸」でペインの一体を見事に倒し、堂々と胸を張って こう名乗りを上げるのだ・・

《里の名を授かった猿飛一族の下忍!》
《姓は猿飛!!名は木ノ葉丸!! 覚えとけコレェ!!》
☆長駄文、読んでくださって感謝。
☆第二話で登場する「おいろけ・ハーレムの術」。 普通の「おいろけの術」には引っ掛からなかったエリート教師のエビス先生も‥影分身と掛け合わせた「ハーレム」に格上げしたら、見事に鼻血ブー。 瞬時に《影分身×おいろけ》を思いつくヒラメキの天才ナルトの才能の一端がうかがえます。 ちなみに「ハーレムの術」について岸本斉史先生のこんなエピソードも公開されています。
《おいろけと影分身を合わせてハーレムにしたらと(当時の編集担当だった矢作氏に)提案したら、「そろそろ真面目に打ち合わせしようか」って》。それでも「試しに絵にしたら面白かったので採用になった」とか(公式データブック「陣の書」より)
☆ちなみにイタチがナルトに伝えた「“火影になった者”が認められるんじゃない “皆から認められた者”が火影になるんだ」の実例としては、65巻にこんなエピソードも出てきます。 木ノ葉隠れの里が出来たばかりの頃、柱間はマダラを初代火影にしようと考える。 それはおそらく柱間の計らい‥ もしマダラが火影になれば、里の皆もマダラのことを認めてくれるだろう…ってね。 だけど里の人たちは柱間を選んだ。 まさに「火影になった者が認められるんじゃない、皆に認められた者が火影になるんだ」の結果でした。
☆参考過去記事、 347話 木ノ葉丸がナルトに「初心」を思い出させてくれた話の雑考です↓↓
(ナルト好きブログ! 2026/05/04)

