さて、今回は「術」のはなしです。
NARUTOには莫大な数の術が出てきますよね‥ 個人的に最も好きなのは「飛雷神の術」だし、一番使ってみたいのは「影分身の術」と「口寄せの術」かな。 じゃあNARUTOの術のなかで“とっておき”の術ってなんだろうかといえば・・これだと思うんです、それは「封印術」。
「封印術」っていうとインテリ系が使うちょっと地味な術というイメージがあるかもだけど、意外と重要なシーンで切り札的に使われているんですよね。
たとえば第一部最初のクライマックス、木ノ葉崩しのラストで三代目火影が決着をつけたのが「屍鬼封尽」。 これは封印術です。
死神を呼び出して死神の腹の中に相手も一緒に引きずり込む‥ 自らの命と引き換えにする壮絶にリスクの高い術です。 死神が現れた時にはその恐ろしさに圧倒されたもんですがね‥ 三代目はこれで里を救ってくれたのです。
そして第二部のクライマックスといえば、ラスボス・大筒木カグヤとの壮絶な戦い。 これの決着はナルトとサスケの「六道・地爆天星」・・これも封印術です。
それに九尾事件だって、決着をつけたのは四代目の「屍鬼封尽」でした。 最大のピンチを救ってきたのは、いつだって火影級の忍による《封印術》だった‥ まともに戦ってたら勝てそうにない相手でもTHE ENDに出来ちゃう術‥まさに《とっておき》 の術なんです。
ま、これほど大掛かりな術じゃなくても 他にもたくさんの封印術が出てきます。 「四象封印」「五行封印」「封邪法印」「転写封印・天照(イタチがサスケの眼に仕込んだ天照)」「幻龍九封尽(“暁”が尾獣のチャクラを魔像に封印していた術)」「金剛封鎖(クシナや香燐が使う鎖状の拘束術)」、「砂漠層大葬封印(我愛羅の術)」などなど目的用途もレベルも多種多様。 自来也は「封火法印」を使ってイタチの天照を消した(というか封印した)事もあった‥あの“消せない炎”天照でさえ封印術なら抑え込むことが出来るんですよね。 いざって時に実に頼りになる(そのかわり術者のレベルが高くないとダメだと思うけど)。
去年の外伝「渦の中のつむじ風」の中に、ミナトがクシナから《うずまき一族の封印術を習っていた》という話が出てましたけど、ミナトは封印術の重要性を知っていたんでしょうね。 いずれクシナの夫になる身として、いずれ火影になる者として《いざって時への対処》を考えてたんだろうなと思うんです。 九尾であったり未知の敵であったり、いざという時に強大な敵からクシナと里を守る方法‥ミナトはその切り札として「封印術」を考え研究していたんだろうなぁと。 で、その究極の術が「屍鬼封尽」だったんだろうと思います。
ただし究極とはいっても そこは「封印術」‥封印ってのは「取っておく術」であって「完全にやっつけちゃう」術じゃない。 “解”すれば出ちゃうんですよね。 屍鬼封尽でさえ、大蛇丸に“解”されてしまった‥
それに時間経過で「封印が弱まっちゃう」こともあるらしい。 ナルトに九尾を封印した四象封印も時間とともに「弱まってる」なんてことがあった。 その都度メンテナンスも必要だったりするんですね。
だけどそこが一番の術のいいところでもある訳でして「いつでも出そうと思えば出せる」。 封印術は「今じゃない」けど「とっておける」。 今は要らないけどいずれ必要になる時まで短期・長期保存ができるのが最大の長所です。 イタチがサスケの眼に封印した転写封印・天照なんて、時間差で発動する「とっておき」のいい例だった。
長期保存とっておきとしては ナルトの中の九尾チャクラがその例ですよね。
ミナトは「取っておく」目的でナルトに九尾を封印した。 でもこれ、大前提として《信じる力》が無いと使えないんですよね。 生まれたばかりの赤ん坊が「いずれ九尾の力を使いこなしてくれる」と信じられないと危なくて使えない。 しかも「いずれ九尾がナルトに力を貸してくれるだろう」と信じられないと使えない。 我が子を信じるのはまだしも、あの暴れん坊九喇嘛を「信じる」なんて普通だったら無理過ぎる‥
九尾事件の時の九喇嘛は里をめちゃくちゃにしたし(操られていたとはいえ)、それに外伝「渦の中のつむじ風」を見ると ミナトはクシナの中の九尾と対面して戦っていた。 九喇嘛がとんでもなく闇のカタマリであることはよーく分かっていたはずなんです。 いくら他里の「微絨の力を使う人柱力(老紫やハン)を見ていたり 八っつあんと仲良しのキラービーを見ていたとしても、あの九尾が協力してくれるとは普通は思えない。
ミナトは本質をちゃんと見てたんでしょうね‥ 九尾だって根は悪いヤツじゃない、人間との間でいろいろあって お互いに理解し合えてないだけだって。 ミナトの「信じる力」ってすさまじい。 仲間だけじゃなくて「敵」でさえ信じることが出来るなんてね‥ そこは息子のナルトにちゃんと受け継がれておりますな。
そういえば綱手が ご意見番の二人(ホムラとコハル)にこう言ったことがあった‥
「自来也そして猿飛先生や砂のチヨ様にあってお前たちに無いもの‥それが何だか分かるか? 信じる力だ」とね。 ミナトも自来也も「信じる力」がある人だった‥
そしてミナトは、ナルトと最初に再会した時にこう言っていた‥「オレはお前を信じてる」って。 さらっと言ってたけど、あれは素直に心から思ってた言葉だった。
NARUTOを読んでいると「信じる」とか「仲間に任せる、託す」「後に続く若い世代が火の意志を受け継いでくれる」という話がよく出てきます。 自分一人で出来なくても協力するとか、仲間や子供たちに託すというね‥ 今せいいっぱい出来ることをやって、あとは「取っておく」。 その場でハッキリと白黒つけて終わらせるんじゃなくて、やれるだけやって「取っておく」形式‥ それってまさに「封印術」の精神なんですよね。 だからNARUTOの大ボス戦の決着には「封印術」が使われているんだと思います。
託されたものは「解」して解決して、あとは封印して託す‥そうやって受け継がれていく。 未来に“取っておく” 封印術は、NARUTO-ナルト-にふさわしい《とっておき》の術なのです。
★駄文読んでくださって感謝。
★次回「あの術」について少々。
(ナルト好きブログ! 2024/01/14)