ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

NARUTO-ナルト-の考察(伏線、言葉、人物考察などなど!)続行中!

四代目火影が遺した「あの術」について

 

雨隠れの里に潜入する決意をした自来也は こう言っていた…

 

「いずれは あの術をナルトに完成させるのが あやつの遺志だとワシは思う」

(370話から)

 

 “あの術”って何だ?  連載された当時、ものすごーく気になっていた。 いったいこれからどんな凄い新術が出てくるんだろうってね。 個人的には《ナルトの飛雷神習得フラグ来たぁ〜》と勝手に期待したりしていた。

 だけど ゲロ寅(ガマ寅ともいう 九尾の封印を開ける鍵を持つ蝦蟇)が“あいつに九尾のチャクラをコントロールすることなんて出来りゃーせん!”と言ってることから、あの術とは「九尾のチャクラをコントロールすること」だろうというのが当時一般的な見解だった。 でも「術」って言ってるからね…  九尾のチャクラを使った“何かしらの具体的な術”だろうと気になっていたのです。 

 

 その後 再び“あの術”という言い方が出てきた。 いよいよナルトに蔵入りすることになった時、ゲロ寅がこう言ったのだ…(489話)

「これは自来也の言っとったあの術を完成させる手段を手に入れた事にもなるんじゃ」

また、あの術だ …  あの術っていったい何だってばよ‥ますます気になってきた。 九尾チャクラを使うことがあの術を完成させる“手段”だとゲロ寅は言っている。 ってことは、やっぱり具体的な何かの術があるはずなのだ。 

 

 この時、肝心のナルトは「…」と考え事をしていたんですよね。 そして《コントロール‥キッチリやってやんぜ、父ちゃん!》と決意して場面転換している。 ナルトはゲロ寅が言った“あの術”のことはおそらく気にしてなかった。 《九尾のチャクラを使わずにサスケとは闘えない、やるしかないんだってばよ》とそればかり考えていたと思われる‥  

 その後もっぱら「九尾のチャクラをコントロールする事」ばかりクローズアップされていき、自来也が言ってた“あの術”のことは触れられずに話は進んでいくのだ。

 話が動いたのは、そのすこし後のことだった。 

 

 ナルトは 雲隠れの八尾の人柱力キラービーを師匠として“九尾チャクラのコントロール”修行に励んでいきます。 まず九尾とチャクラの綱引きをして、ちょっと強引に九尾チャクラを確保して…   そこでキラービーは“尾獣化して尾獣玉”の練習をさせようとします。 「尾獣化して尾獣玉」というのが、どうやら一般的・第一歩的な人柱力の戦い方だったみたいですね(ミナト外伝では岩隠れのハンと老紫が使っていた)。 でもナルトはうまく尾獣化できなかった‥  それで尾獣玉は諦めて、ぶん取った九尾チャクラを使って“お前の必殺技をやってみろ”ということになり、ナルトが螺旋丸を作ろうとすると…  それを見たビーが驚いてこう言ったのだ。

 

「これは!」

「その術!尾獣玉とそっくりだぞバカヤロー!コノヤロー!」

「おい‥ナルト‥その術‥誰に教わったこのトンチキヤロー!」

 

で、自来也から教わって、術の開発は四代目だと伝えると‥ビーはフルフル震え始めた。

 

四代目火影‥!!なんて偶然だ‥運命か!驚異♪

 

「螺旋丸!これは尾獣玉とそっくりのやり方! 共通♪ 尾獣のこの技を参考に考案された術! それが螺旋丸だったんだ!」
「まるでお前に尾獣玉を託すがごとく!強運♪」 

(519話より)

 

 ビーの解説によれば「尾獣化してやるとカンタンだが人間の状態ではまず形態変化が難しくてできない」のだとか。 「しかし(螺旋丸は)回転を加えて安定を増してる仕方」。 ようするにビーによれば螺旋丸とは「尾獣化せず人間の状態での尾獣玉」を見据えて開発された術、螺旋丸は《九尾チャクラを使うことで完成する術》ということになる。 これは螺旋丸の新たなる真実・・ 

 

ってことは・・あの術とはたぶん「螺旋丸」だ。 

 

 「たぶん」と思ったのは、この時点ではまだそこまで断言できなかったからだ。 このあと違う新事実が出てくるかもしれないし、それに正直 腑に落ちない点もあった。 当時の感想で 自分はこんな事を書いていた…《もし螺旋丸が“九尾チャクラを使うこと前提”だとしたら一体誰のためにミナトは螺旋丸を開発しようと思ったんだろう?クシナのためかといえば、それはちょっち違うような》ってね。 

 螺旋丸を使っていたのはミナト、でもミナトは人柱力じゃあない。 当時の人柱力はクシナだけど、クシナが螺旋丸を使っている描写は出てこない。 だから「螺旋丸は九尾のチャクラを使う事を想定の術」と言われても、すぐには納得できなかったのだ。 

 ビーは「お前に尾獣玉を託すがごとく」って言っていたけど、ミナトが螺旋丸を開発した時 ナルトは生まれていなかったし、もし「これから自分たちの間に生まれてくる子のために」と思ったとしても その子が人柱力になるとは限らない。 そもそも子供が人柱力になるという事は《クシナの死》を前提とするわけで‥ そんなことを考え始めると、スッキリ出来なかった。 それにビーは「何かがつながって感動した」ような感じだったけど、その理由もこの時はよく分からなかった。 

 

 でも結局、あの術に関する それ以上の情報や答えは出てこなかった。 だから“あの術”とはたぶん螺旋丸・・その答えで いつのまにか なんとなく終わってた。 

 

 しかし完結して何年も経ってから “あの術問題”にいきなり進展があった。 それが2023年に発表された《ミナト外伝・渦の中のつむじ風》・・そこには《螺旋丸はクシナを守るためにクシナの為に開発された》としっかり描かれていたのだ。 クシナの為に開発した術だったか‥それなら螺旋丸は「九尾チャクラを使うことも考えて開発された」としても納得できる。 これでもうモヤモヤは無くなった。 あの術とは螺旋丸だった。

 

 クシナはうずまき一族だから、クシナ自身のチャクラで練る螺旋丸もかなりの威力になったはず。 それでも いずれは人柱力であるクシナが九尾チャクラを使うことで《尾獣玉レベルの術》が完成する。 ま、当時の九喇嘛はとんでもなく暴れん坊だったから 九尾チャクラを使うのは至難の業…  クシナがどの段階まで進めたのかは わからない。 だけど、ミナトは自分たちの子ならと信じて術の「完成」を託していた。 それは、ミナトがナルト誕生前に“八尾と仲良しのキラービー”を見ていたからというのもあるのだけれど。

 

 こうして外伝は《ミナトがなぜ螺旋丸を開発したのか》《ミナトは誰のために螺旋丸を開発したのか》をはっきり示してくれた。 そして、その開発にあった想いも愛情も…

 

「鍵の術式をミナトがワシに預けたってことは」

「いずれは 螺旋丸をナルトに完成させるのが あやつの遺志だとワシは思う」

そういうことだったのだ。

 

 そして外伝で分かったことはもう1つ。 その螺旋丸開発に、自来也も直接立ち会っていたということ。  あの術がクシナのためであり、クシナを守りたい愛情で開発された事を 間近で見ながら自来也はよ~く知っていた。 そういやミナトは螺旋丸開発に三年もかけていたと自来也が言ってたことがある。 その苦労をずっとそばで見守ってきたんですね。

 

そして九尾事件が起こり、ミナトは我が子ナルトに九尾チャクラの陽チャクラを封印した・・ 

 

 生まれたばかりの赤ん坊に妖狐のチャクラが封印されたということ、それは里の人たちにとって恐怖だった。 ほとんどの人々にとって、ナルトに封印された九尾の力は「禍々しい恐怖の力」「呪われた力」だった。  あるいは「ナルトは里を救うための犠牲になって気の毒」という受け取り方だったと思う。  三代目火影もこう言ってた…「ナルトは里のために九尾のバケ狐の器れ物になってくれたのじゃよ」とね。 呪われた危険な力、そしてナルトはその犠牲‥

 

 だけど一人だけ違う視点の忍が居た。 それが自来也だった。

 

 91話、自来也は「これが九尾の封印式か‥」とナルトのお腹の封印式を見る。 そしてこう言ってるのだ。

 

《この子を守るためだな‥‥‥ 四代目よ‥‥》

この子を守るためだな‥ 四代目よ‥

 「守るため」自来也は言ったんです。 九尾の力は「この子を守るため」の力になってくれると・・

 ふつうだったら、こんな呪われた力を「守るための力」とはとても思えない。 だけどミナトは 九尾の力が「クシナを守る」と信じ、さらには我が子を守ると信じて託した・・  そして自来也はそんなミナトをずっと見てきた。  あの力を「守る力になる」なんて考えられたのは おそらく四代目と、その四代目の「螺旋丸開発」を見てきた自来也ぐらいのもんだったと思います。

 

 自来也は九尾チャクラがナルトのチャクラに還元できるように組まれていることに気付き、こう心の中で呟く。《そろそろ・・・九尾のチャクラのコントロールを教えておくか・・・》 

 そしてさっそくナルトに「口寄せの術」を教えます。 しかも、いきなり蝦蟇級巨大カエルを口寄せする術‥  ようするに「九尾チャクラを使わないと無理レベルの術」を教え込む。 その結果ナルトは九喇嘛と初対面して 交渉してチャクラを借りることに成功します。 さらにその次に会った時にはもう「螺旋丸」を教えてるんですよね。 急いでますね‥自来也。 それは螺旋丸開発秘話を知っていたから、ミナトのクシナへの深い愛情や 一人遺す事になってしまった息子を《守りたい》という愛情をよく知っていたからなんですね。 周りがどう考えようと、自来也は 《ナルトが九尾の力をコントロールして“あの術”を完成させる》ことを急ぎ、それにこだわった。 ミナトの想いを唯一間近で見てきた者として,、絶対に叶えてやりたいから。 《螺旋丸はクシナを守るため》そしていずれは《ナルトを守るため》のミナトの愛だから…絶対に伝えたかったんですね。

 

 だけど カカシには「あの術を扱うにはナルトはまだ幼な過ぎると思うんですがね」「例の“暁”への対抗手段だとしても あの術をナルトに教えるなんて」と突っ込まれております。 自来也は「でもまぁアイツはあの術を仲間に向けて撃つような奴じゃないと思ってたんだがのォ」と答えている(ナルトは螺旋丸、サスケは千鳥で勝負しそうになったのだ)。 あ・・ここでも二人は「あの術」を連発してますね; そういや綱手も「あの術」という言い方を何度もしてましたっけ。 たしかに螺旋丸は 会話上「あの術」と呼ばれることは多かった気もする。  

 ミナトの師であった自来也、ミナトの弟子だったカカシ、自来也を通してミナトをよく知っていたであろう綱手‥ ミナトをよく知っている人たちにとって、螺旋丸は“あの術”で通じる特別な術だったのかもしれません。 螺旋丸に込められた愛情物語を知っていたからこそ、特別な想いを込めた“あの術”呼びだったのかな。

 

 さらにもう1つ。 かつて雲隠れのエービー兄弟と対戦したミナトが、エーに向かってこう言っていた。

「(弟さんは)素晴らしき武勇です 八尾の人柱力としてでなく 一忍として‥強いものをお持ちのようだ」 「(才能ではなく)もっと大切なものをすでに持ってる‥」「エー アナタにはいい身内が居る ‥私にも‥」 「弟さんにとって大切なものが何なのか アナタが早く気付かなければ 彼は人柱力でも人でもなくなりますよ」ってね。 

 ナルトの螺旋丸を見たビーは、ミナトが言っていた「アナタにはいい身内が居る‥私にも」とか「大切なもの」のことが繋がったんだと思います。 身内とは人柱力であった妻クシナのこと、クシナを守る術が螺旋丸だったこと‥螺旋丸は大切な身内への愛情のカタチだったこと‥時を経て今もミナトの愛情が家族を守っている事に気づいたビーは、それであんなに感動していたんだなと‥ 

 読者には完結後の2023年に明かされた“螺旋丸開発秘話”だったけど、ビーにはあの時はっきりと全てが見えていたのかもしれません。 「螺旋丸開発秘話」のすべてが・・

 

☆長駄文、読んでくださって感謝。

 

☆ミナトが「世界一位」になってくれたおかげで読めた「螺旋丸開発秘話」。 これで「あの術」に関するすべてがつながってすっきりした・・ありがとうだってばよ。

 

(ナルト好きブログ! 2024/01/23)