ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

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もう1つの「すみません」の物語 ・・・・ (カカシにとっての鉄の国の物語)

もう1つの「すみません」の物語 (カカシにとっての鉄の国の物語)

 雷影が『忍が簡単に頭を下げるな』とナルトに言っていたけれど、そういえば忍ってあまり「すみません」ってカンタンに詫びる姿はあまり見ない気がします。 ダルイみたいに「すみません」と謙虚に言える≪感情を素直に表現する忍≫はまだ珍しいほうなのかもしれない。
 
カカシもダルイとおんなじように人一倍仲間想いな忍だし、何かあれば『自分の力が不足していたせいで仲間を守れなかった』と自分を責めてしまう。
この二人、共通点は多いんだけれど 明らかに違う点・・・・それは、ダルイは「すみません」とすぐ言えるけど カカシは言えないってことでしょうか。
 
カカシが「すみません(すまない)」と言わないのは、古いタイプだからとか 性格的に感情を表に出さないタイプだからという理由だけではなく カカシは「謝ること=諦めること」と考えていたのではないかと思います。だから、言いたくなかったのでは・・・?
 
たとえば、サスケに関して。 カカシはず~っと責任を重く感じていたはずなんですが、第七班の前でそれを思い悩んでいる様子を見せたことはあまり無いし、もちろん謝ったこともない。
もしカカシがナルト達に「サスケの事はすまない」と謝ってしまったら、もうそれはサスケのことを諦めて「終わり」にすると宣言するようなもの・・・それを怖れていたように見えるんです。
 
でも、第483話で ついにそのカカシが「すまない」と言った。
 
・・・サスケが里を抜けて3年以上経った鉄の国国境で、サスケとサクラを前にしてカカシは謝罪した。
 
いったい、何がカカシの心を動かし、「すまない」と言わせたのだろうか? そう思って鉄の国の話(49~51巻)を読み返してみると、主題の裏に隠されたもう1つのストーリー『カカシがサスケの事に正面から向き合う決心をする物語』が見えてきます。

ところで『クリスマスキャロル』というディケンズが書いた名作をご存知でしょうか?

主人公がクリスマスの夜に3人の精霊の訪問を次々と受けるんですが、頑固な主人公は3人の精霊に出会って話を聞くことで 頑なに閉ざした心を徐々に開いていくんです。

なんだかなぁ、鉄の国の物語と似てるんですよね。 鉄の国の宿屋に『3組の忍達』が次々と訪れ、彼らが残していった言葉によって カカシの心が少しずつ変化していく・・・鉄の国物語は、カカシにとって「クリスマスキャロル」のような物語になってます。 
表面的にはナルトがメインであるわけで、ナルトがサスケの事実を知りショックを受け、それから気持ちを切り替えていく物語なんですが・・・ 実はその「側面」でカカシの心が(ナルト並みに、あるいはそれ以上に)大きく変化していく物語になっています。 
 
鉄の国物語は、ナルト版クリスマスキャロル・・?
 
 
・≪3組の訪問者たち・・・≫
 
・第1の訪問者・トビ
 
まず最初にトビが旅館に現れるのですが・・・
 
この時、トビはイタチの真実やサスケの現状を語り、「サスケの師としてお前(ら)はサスケの本心を分かっているつもりでいたんだろうが・・ とんだお門違いだ」と言うんです。
 
おそらく、あの言葉はカカシにかなりショックだったと思います。 トビが去った後、カカシの表情はもわ~~んとしています・・何だか心ここに在らずで、宿屋の主人が宿を壊したと怒ってるのも完全無視(ヤマトが対応してる。)
 
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 サスケの心を知らされて、自分以上にナルトはショックを受けているはずだと 屋根の上のナルトをボーッと見つめてる。
 
でもまだこの時カカシはトビのいう事は半信半疑で、まだ漠然と希望を持ち続けようとしているようにもみえます。
 
 
・第2の訪問者・サクラ達
 
その直後に現れたのがサクラ達。 
サクラのわけわからない告白はとりあえず置いといてw 分身サイが残って、同期達の決定やサクラの真意についてすべて話します。 
この時カカシはサクラを含めナルトの同期達がサスケの問題と真正面から向き合っていることを知らされる。
 
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『一人でサスケを殺すつもりだな』
 
この前新聞に載っていた第474話のカカシの絵ですが、なんとも深いかなしさを湛えた表情なんですよね・・。
カカシは≪自分が放置していた問題≫を ナルト世代が自発的に解決しようと動き出したことに 責任と焦りを強く感じていたに違いないんです。
 
取りあえずサクラを止めないと危険だし、でもナルトの気持ちを考えると同期達もなんとか説得しないとならないし、だからといって もうこの問題を放置もできない。
 
カカシ、トビが去った後のもわ~~ンとした顔から一転して雲がかかったようにな表情になって、《このことを知ったナルトの胸中はごちゃごちゃだな さて、どうしたものか》と考え込んでいる。

さてどうしたものか・・・つまり、まだカカシ自身も答えが出せずに悩んでるのだ。 
 
 
・第3の訪問者・我愛羅一行

そして、その直後に我愛羅一行がやってきます。

五影会談でのサスケの話を聞かされ、さらに衝撃を受けて落ち込むナルト・・  そして(もう限界)といった感じに固まってるナルトを見て、更に心配MAXなカカシ・・・・カカシは顔に「オレはナルトが心配でたまらない」と露骨に出ちゃってます。 カカシは怒りの「沸点」は高そうだが、心配点?は非常に低い。
 
カカシに新火影になってもらいたい、という重大な砂の要請すら カカシはよそ見して聞いている始末。それよりナルトが心配といった感じなんですよね。。こんなに思い悩んでいるカカシって非常に珍しい気がします。
サスケを取り囲む状況がさらに悪化してしまったのだから、どうやったらナルトを一番傷つけずに済むか。 そればっかり考えて、カカシの頭ん中はナルト以上にパニックになっていたんじゃないだろうか。

でも、カカシの頭の中にかかっていた ぶ厚い雲をフっと消したのは、我愛羅の言葉でした。

「ナルト・・・言っておくがこれは八尾と九尾 ・・つまりお前を守る戦争でもある」
「そして忍の世界の為・・ 風影としてオレは命がけでお前を守る」
 
「暁の配下として うちはサスケがオレ達忍連合の前にたちはだかるなら・・・」
 
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「容赦はしない」
 
 
真剣に、友ナルトのために サスケに命懸けで向き合うと宣言した我愛羅。 彼は風影として、友として自分がナルトに出来る事をすると力強く言った。
 
・・・カカシは我愛羅の言葉に迷いが消えたような表情を一瞬浮かべています。 カカシには、我愛羅の言葉が まるで自分に向けられたように感じていたのではないだろうか・・?
 
(これはナルトを守るための戦争)
(忍の世界の為 命がけでナルトを守る)
(サスケが立ちはだかるなら・・・・ 容赦はしない)・・・・
 
今までカカシは 『ナルト達を守る事とは サスケのことはできるだけ今のまま、そっと放置しておいて彼らの心を傷つけないこと』だと考えていたと思うんです。でも、それがナルトを守ることになるとは限らない。 
ナルトの夢を守るためにも、カカシは問題から逃げずに サスケと正面から「師として」向き合わなくちゃいけない・・・
 
サクラ達や我愛羅が真剣にナルトの事を想い、行動しようとしている姿に カカシは教えられたのではないだろうか。
 
じつは・・・物語の序章は 鉄の国に入った時から始まっていたんですね。

雷影に会って、ナルトが頭を下げてサスケの助命を嘆願し・・・その時カカシは雷影にこう言っていましたよね、(先週もお題で触れた例のカカシの巧い言葉です)
 
『今ここで若い忍が不器用なりに雲と木ノ葉・・・互いの里・国を想い頭を下げている』
『雷影様・・・アナタは五影の1人として これをどう捉えどう思われる?』
 
若い世代が真剣に問題に向き合おうとしていたことを、カカシは雷影に問おうとしていたんです。
でも、その問題は このあとカカシ自身にも問われることになった・・・・
 
≪今ここで 若い忍達が不器用なりにサスケとナルト、互いの里・国を想い 行動しようとしている≫
≪自分は サスケの師として これをどう捉え どう思う?≫
 
あのカカシの言葉、実は鉄の国物語において とても大事な意味を持っていたんですね。
 
3組の訪問者が伝えた事実、そして若い忍達が真剣に問題に向き合おうとしている姿に カカシは教えられたのだろうと思います。 そして自分が3年間思っていたことを 素直にサクラ(とサスケ)に伝え、自分が『サスケの師として』すべきことをする決心をしたんじゃないだろうか・・・・かつて三代目がしたように。

「すまない」という言葉は諦めの言葉ではなく、サスケのことから逃げずに 正直に向き合うための言葉だと・・・・カカシは気付いたのでしょうか。 
それでカカシはやっと・・・今まで言えなかった「すまない」という言葉を伝えられたのかな、と思います。
 
 
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「サクラ・・お前一人でサスケを殺ろうとしただろ・・?」 
「そんな重荷をお前が背負うことは無いんだよ」

「・・・第七班の先生でありながら お前達をバラバラにしてしまったのはオレの不甲斐無さだ」
「サクラ・・・お前を安心させようと無責任な事を言った」
 
「自分自身に言い聞かせていたのかもしれない」
 ・・・・
 
 
「だらしない先生で すまない」
 
・・・・
 
 
 
☆長駄文、読んでくださって・・・ありがとうございます。
 
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