ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

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NARUTO-ナルト- 629:風穴 今週のジャンプ・ナルト感想 (WJ24号) その3

NARUTO 629:風穴 (3)

(その2の続きです)
 
・《偽者と本物》
 
「たとえお前がどう言おうと オレにとってリンを守れなかったお前は偽者だ」
「リンはオレの中で死ぬべき人ではない… よって死んだリンは偽者でしかない」
「リンは生きていてこそリンなのだ」
 
「こんな状況ばかりを作ってきた忍のシステム… 里… そしてその忍達…」
「オレが本当に絶望したのは この世界そのもの… この偽物の世界にだ」  (…オビト)
 
またぁ…これも「うちは特有の分かりにくい表現」で、これだと現実を否定して「幻術世界を肯定する」ような表現にも受け取れますが、これって今の忍世界は「本物じゃない」、オビト的には「あってはならない姿」という意味じゃないかと思うんです。 
 
かつて、神無毘橋でオビトはこう言ってましたよね、
 
「オレは白い牙を本当の英雄だと思ってる…」
 
「…確かに忍者の世界でルールや掟を破る奴はクズ呼ばわりされる…」
「けどな…」
「仲間を大切にしない奴はそれ以上のクズだ」 「どうせ同じクズならオレは掟を破る!」
 
「それが“正しい忍”じゃないってんなら…」
「忍なんてのはこのオレがぶっ潰してやる!!」って。
 
オビトが考える「正しい忍つまり「偽者ではない、本物の忍」とは、掟やルールや里の利益よりも「仲間の命」を大切にするサクモのような忍のことを指すんだと思うんです。 
だからカカシやリンに、本来の彼らが望まない《あんな生き様、死に様》を押し付けた忍世界は「オレがぶっ潰してやる(変えてやる)」と考えたんじゃないかと思うんです。 口先だけの言葉が大嫌いなオビトだからこそ、それを言葉通り「実行している」…
 
608話の雑考において、カカシは「神無毘橋でのオビトを言動」を思い出しながらも、肝心な「それが正しい忍じゃないってんなら…忍なんてのはこのオレがぶっ潰してやる」の部分だけ「まだ思い出してない」ってことを述べましたが、そろそろカカシはあの言葉を思い出してもいい頃だと思うんですよね(ってか、思い出せ!)。
 
オビトが言う「本物の正しい忍」ってのは、刃の下にちゃんと「心」を装備した「忍」でもあると思うんです。
「道具=刃」なんかじゃなくって、「感情=心」を大切にする「忍」・・・
 
そして、ナルトもオビトと同じような事を言ってたことがあるんですよね、彼にとって忍としての原点である波の国任務で、カカシには存在意義を求めちゃいけない、国の道具として存在することが大切…》と言われて、「 “本物の忍者”になるって 本当にそういうことなのかなぁ・・・なんかさ!なんかさ!オレってば それやだ!!って(33話で)。
 
ナルトだって、道具として心を失くした忍の事を「本物の忍じゃない」と言ってたんです、「そんなのは偽者」ってことですよね(やっぱり…ナルトとオビトは同じ発想をする)。 その疑問がナルトの忍としての「原点」。
 
ヒナタが「互いに(死んだ人の意志と想いを)胸に繋ぎあってる…」と言った時のオビトの表情が、「困った表情」だったのが64巻では「しっかり聴く表情」に描き変えられたという話を先日の雑考で取り上げたばかりですが、あの「変更」には意味があると思ってまして… オビトも実はヒナタに同意してると思うんです。実際にはリンは「オビトの心の中で生きている」んだろうと。 だけどそれを「認める」訳にはいかないのだと思います、なぜならそれは仲間の「死」を肯定してしまう言い訳にもなりかねないから・・。
 
私はどーも忍達が繰り返す「今は戦争だ」、「仲間の死は覚悟しろ」という言葉に納得できず、モヤモヤしたままです(614話以降ずっと)。 ヒナタの言葉は大切だと思う一方で、ネジの死にも納得いかないままでもあります…
 
 
・《呪印からの「解放」》
 
 
「…ナルトが言ったハズだ」
「かつてのお前ならナルトと同じことを言うハズだ」
「そして今でもそうだとオレは…」  (カカシ)
 
う~ん、やっぱりカカシは「ナルトナルト」言ってますよね、「ハズハズ」とも。 これ、オビトにはカカシが「オビトオビト」言ってるように聞こえてるんじゃないかなぁ、それも「昔のオビト」って意味で。 
カカシにとって「今のオビト」は本物じゃなくって偽者、ナルトが「本物のオビト」ってことなのかもしれません(ややこし)。 
オビトにとって今のカカシは本物のカカシじゃないし、カカシにとって今のオビトは本物じゃなくって・・って、何が何やら(笑)
 
とはいえ、カカシがここまで「今のナルト=昔のオビト」を守る事にこだわり続けているのは、偏に「オビトとの約束を守れなかった事への贖罪」の為だと思いますが、これが「カカシが本当の自分を認める」ことの妨げにもなってきた事は、先ほど述べた通りと思ってます(サスケに対する対処の例など)。 
 
カカシが「本物のカカシ」に戻るためには…カカシがオビトへの罪悪感という「呪印」から解放される必要があるのですが、そのことはオビトもよーーく分かってる。
 
 
そもそも、オビトが「このタイミングを待って」カカシを時空間へ連れ込んだ理由な何なのか・・?
 
まず「このタイミング」とは、「人柱力にならないと十尾をコントロール不能になる時」だと思うんですが、要するにそれは「カカシと話ができる最後のタイミング」って事なのだと思います。
「最後」に、オビトはもう1人の神威ユーザーであるカカシに自分の意志を託し、そしてカカシを「約束を守れなかった事に対する苦悩」から解放したいと思ってるんじゃないだろうか。
 
今回の629話、時空間に飛び込んだ最初っから、いきなりオビトは「カカシを苦しみから解放したい」と考えてるのが伝わってきます・・・
 
後ろめたさか…・?」
「オレとの約束を守らなかった事で気がとがめたか…?」
 
「お前がオレに対して後ろめたく思う事自体おこがましいのさ」
 
後ろめたく思わなくていい カカシ」…   (オビト)
 
まだオビトは「敵役」としての立場を崩す訳にはいかないから、言葉遣いは「おこがましい(図々しい)」など少々荒っぽいですが…言ってる内容は《自分を責めるなカカシ、お前は悪くない、俺はお前を責めてないぞ》という事に他ならない・・ですよね。 
長い間、毎日慰霊碑参りをしてオビトに詫び続けたカカシに、オビトが今までずーっと答えたかった事、それを「今」オビトは最後の機会と思って(憎まれ役のまま)伝えようとしてるのが、痛いほど伝わってくるんです…
それがオビトの「本当の想い」なんだと思うんです。
 
こんな風に書くと「オビト擁護しすぎぞ」って思われるかもしれませんが、イヤ…こんな事を言うのも、今回オビトが仮面を引っぺがされてから「初めて」、やっと…素の「優しい表情」を見せてくれたからなんです。 たった1コマだけなんですがね…。
 
…それがコレ↓
 
イメージ 1
 
「オレとの約束を守らなかった事で気がとがめたか…?」
 

んあ~っ模写じゃダメだ(汗)、あくまで「この絵」という意味で載せますが、是非是非「本物の絵」を見て下さいな。 言ってる台詞はナンですが、表情がね…柔らかくて穏やかな「本当のオビト」なんです。 
今だから正直言うと、599話で仮面を引っぺがされた「無表情なオビト」を見ても私は全然感動できなかったんですが、事実上初めて「仮面」をとったこの絵には思わず泣けてしまいました。
 
、「なぜ」オビトがこの時、思わず素直な表情をしちゃったのか?という点が重要なんですが、それは《カカシが、またもやオビトを殺せなかった》からだと思うんです。
 「忍連合の部隊長」という立場上、カカシは「敵を殺すチャンスを逃してはならない」のに、迷言とまで言われた「さらにもう一発(単なるボディブロー)」で終わらせたり、最大のチャンスだった今回も雷切を手前で止めてしまった。このせいで この世界が終わっちゃうかもしれないのに…
 
 
カカシは《任務より、仲間の命を優先させた》… 
 
 
カカシの中に「本物のカカシ」…“白い牙の意志を守る本物の英雄”が今も生きている、カカシの「腑(はらわた)」を確認できたのがオビトには最高に嬉しくって、一瞬だけ気が緩んで思わず「本心丸出しの穏やかな表情」を見せてしまったのではないか…と思います。 
 
で、この表情なんですが、カカシ外伝のあの時の絵を思いだしました。 
正面からと横からとで「角度」が違うんですが、でもこの時の二人の表情にすごく『似てる』と思ったんです↓
 
 
イメージ 2

「…里の奴ら…が…何て言おうと…
…お前は… 立派な上忍だ…」
 
「それが… オレの気持ちだ… 受け取ってくれ…」
(243話)
 
任務より「仲間の命」の、神無毘橋のあの時のカカシは、今も変わっていない… 
 
あの時と同じように、オビトは心の中で《連合の奴らが何て言おうと…お前は立派な「忍」だ》って本当は言いたかったのではないかと思うんです。
そしてもしかしたら最後には「サクモの意志を守っているカカシ」に、サクモの意志の象徴である“アレ”をプレゼントとして渡すつもりなのかと…今週も、お腰につけたアレが妙に立体的に丁寧に描かれてる気がして…(って、これは「気がする」ってだけの話ですが)。
 
 
・《心の風穴》
 
 
イメージ 3

「見てみろ!!オレの心には何もありゃしない!!痛みさえ感じやしない!!」
「後ろめたく思わなくていい カカシ」
「この風穴はこの地獄の世界に空けられたものだ!!」
 
オビトが見せつけた、風穴…冷たい風が吹き抜ける、何も無い空虚な「心の風穴」 (幻術ではありますが)。
 
それはオビトだけじゃない、この忍世界が「心」を奪い取ってしまった「忍」達の姿そのものだと思うんです。「国の道具」として働くうちに、知らず知らずのうちに出来てしまった「心の風穴」、そして「心を無くしてしまった忍」…。
 
今までにも「心に風穴を空けられた」忍達の話はたくさん登場してきましたよね…
八尾の前人柱力の話、穢土転され再び道具とされ「穴」を空けられた白、そして「心」を失って穴が空いたサソリの傀儡等。 そして、その「心の穴」を埋められるのは「愛」しかない… (「ただ1つだけ 心の傷を癒せるものがあります」  「ただこれは厄介な薬で 他人からしかもらうことが出来ません・・・愛情です」 …夜叉丸の言葉)。
 
忍達の「心の穴」を埋められるのは、お互いを想う愛情だけ…
 
この戦争は「忍」額あてをした忍達が、本当に本物の忍に戻れるのか…そして「心の穴」を埋められるのかという問題に立ち向かうモノだとも思っています。 
 
心の穴と忍についての話は、改めて「別記事」に分けて書かせて頂こうと思いますが(字数制限の為)、過去に「忍達の心の穴」については数記事書いておりますので、目を通していただければ嬉しい・・と図々しくも考えております(下に貼っておきます)。
 
何だかなぁ…オビトはいきなりリンの話の核心に突っ込んだり、カカシを苦しみから解放しようとしたり「時間がなくて焦っている」ように見えるんですよね。 オビトは今度こそカカシと「別れる」事を覚悟してるのか、これじゃまるで友に託す「遺言」です。カカシは一刻も早く気付いて「全部一人で背負いこもうとしているオビト」をなんとかしてやってくれ…!
 
 
でも、オビトも本当は気付いているんですよね…自分が「一人で抱え込んでしまってる」ことに。
 
だって、「もう1人の自分」であるナルトに、「一人になりてェてめーにゃ分かんねーだろうがよォ…」とツッコまれて思わずドキッとしてましたから(前回628話の会話で)。 
 
ナルトがあんなことを言ったのも、ナルトにはオビトの気持ちが「なぜか分かってしまった」からだと思うんです。 本当は一人になることがイヤなのに、仲間が大好きなはずなのに、1人で抱え込んでしまう悪い癖が「似ている」ってことに…。 
 
こんなに似ているんだから…
 
きっと、もう少ししたら…時空間の「中と外」にいる「自分達どうし」も、分かり合える時は必ず来る…そう思えてなりません。
 
 
 
 
☆長駄文・・読んでくださって、感謝。。
 
 
 
(ナルト好きブログ!2013/05/13)