ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

NARUTO-ナルト-の考察(伏線、言葉、人物考察などなど!)続行中!

NARUTO-ナルト- 629:風穴 今週のジャンプ・ナルト感想 (WJ24号) その2

NARUTO 629:風穴 (2)

(その1の続きです)
 
・《知らず知らず…》
 
「…お前のかつての夢は火影になることだった…」
「ナルトはな… 今でもそうなんだよ」
「ナルトの言葉はかつてのお前の言葉と同じだ…」
 
「お前は知らず知らずのうちにかつての自分とナルトを重ね… ナルトの言葉をかつての己の言葉として聞きたがってる」
「お前自身かつての自分に否定されたいと望んでるんじゃないのか?」
「ナルトの気持ちが分からないお前じゃないハズだ」  …(カカシ)
 
カカシは、《オビトは、かつての自分と今のナルトを重ねているのだろう》と指摘する。 
だけど、オビトは「ナルトは自分にそっくり」で、ナルトはまるで《もう1人の自分みたい》だってことに、とっくに気付いている。 
そして洞察眼鋭いオビトは、“カカシのほうこそ”かつてのオビトと今のナルトを重ねて見ている・・って事が問題であるということにも、気づいてると思うんです。 
 
カカシの言葉は、こうは言い換えられないだろうか・・・?
 
《ナルトの言葉はかつてのオビトの言葉と同じだ…とカカシは思っている》
《カカシは知らず知らずのうちに かつてのオビトとナルトを重ね… …ナルトの言葉をかつてのオビトの言葉として聞きたがってる》
《カカシ自身、かつてのオビトに否定されたいと望んでいるんじゃないのか?》と…。
 
カカシはかつてのオビトに「否定」されることで、「オビトとの約束を守れなかった」自分への制裁をしたいと「知らず知らずのうちに」ずーっと望んでいたんじゃないだろうか(でも、慰霊碑に語りかけても何も答えてはくれない…)。  
 
カカシは27巻237話、第一部ラストに 慰霊碑の前でこんな事を言っているんですね…

「オレも今や上忍で部下を持つ身だ だが昔のまま…いつも後悔ばかりだ…」
「この眼があってもちっとも先なんて見えやしない…」
「……」
「お前が生きてたら… 今のオレになんて言うんだろうな…」

「なあ…オビトよ」
 
カカシはずーっとオビトに何か答えてほしかったんです。だから「オビトそっくり」なナルトの言葉をオビトからの託言と考え、それに従うことでオビトに「償い」をしていたんじゃないだろうか。 ナルトを「オビトの成り変わり」として…
 
穢土転生再不斬(と白)と闘った時(55巻)も、再不斬達の「死に様」を守ることについて、《ナルト…お前はどう思う?》なんて問いかけていたカカシだけど、あれもホントは“オビト”に問いたかったんじゃないだろうか…?
カカシがずっと悩んできた(と思われる)“死に様を守る”ということについて…
 
それにカカシは、「ナルトの火影になる夢=オビトの夢」を守ろうとするあまり、その障害となりかねない「サスケ」を自分の手で始末しようとさえ考えたんですよね(486話で)。 
 
あの時カカシは、「お前(ナルト)には火影になるって大切な夢がある…サスケの道連れでお前が潰れる事は…」なんて言っていて、正直《何言ってんだぁカカシ、サスケだって可愛い部下だろうがぁあ!》と思ったもんですが、あれも《ナルト=オビト》の夢は絶対に壊してはならないという「オビトへの贖罪義務意識」が引き起こした発想だったんじゃないかと思うのです。 その結果、本来の《仲間を大切にする》カカシとは思えない発想になってしまったのではないかと… それも「知らず知らず」のうちに…
 
この「知らず知らず」っていう病のような無意識が、実は恐ろしいんじゃないかと思うんです。
 
 
・《ナルトとオビト》
 
 
「ナルトと自分を重ねているんじゃないか?」というカカシの言葉に、「ナルトの心の内が分かっているからこそ…そのすべてを聞いて…その全てを否定してやりたくてね」と笑い飛ばしたオビトの反応に、なぜか「……(オビト…)」とカカシはちょっと嬉しそうな顔をしているんですよね、《やっぱり、オビトにはナルトの気持ちが分かっていた》事が分かって、それならオビトは「改心できる」とでもカカシは思ったんだろうか。
 
オビトは全力でナルトの言葉を否定してみせた。 
 
でもそれは、ナルトの心の内が分かってしまうから…ナルトの心の中に「自分で認めたくない迷い、モヤモヤ」があることも分かってしまうからだと思うんです。
 
ナルトを憎んだり妬んで「否定」してるのではなくって、《内に秘めるモヤモヤを放置したら いずれ『迷う』時が来る》って事を、オビトは経験上分かってるから… だからナルトに「見たくない、気付いてないモヤモヤ」を見せつけて問いかけ続けたんじゃないかと思うんです。そして問題をクリアして、越えて欲しかったのではないかと(だってオビトはここまで「九尾を狩らなかった」のだし、ここまでナルトにこだわり、ナルトを間接的に育て来たぐらいなのですから…オビトはナルトに「託してる」)。
 
ナルトはそれを『ヘリクツ』と断じて、『お前のそーゆーとこがめちゃめちゃ大ッキライだ!』なんて叫んだり、『以上(!×5)』なんて叫んで「止めて」ましたけど、あれはオビトに言ってるというよりも、「もう1人の自分」に叫んでいたように思えました。 ナルトも、そろそろ無意識のうちに意識し始めてるんじゃないかと思うんですよね、《オビトは、もう1人の自分みたいな存在なんじゃないか?》ってことに…。
 
そして、オビトは ここまで一向に「リン」を語ろうとしないカカシに、自分から再度リンの話を持ち掛ける…
 
「それともう一つ言っておくが…」
「お前がオレに対して後ろめたく思う事自体おこがましいのさ」
「オレが戦争を起こした理由がお前とリンの事だけだと思っているなら」
「見当違いもいいところだ」
 
(カカシを幻術にかけるオビト)…
 
「知っているのさ……全て」
 
(カカシの雷切はオビトの心臓を貫き、その姿は「あの日」のリンに変わる…)
 
「!!」
 
 
「リンが自らお前の雷切に突っ込み 己で死を選んだことも」
 
 
 
・《リンの真実と、「本末転倒」》
 
 
「リンの死の真相」…あれは霧隠れに拉致され三尾を憑依させられたリンが、カカシが敵に向けた雷切の前に飛び込んで自害したモノだった…。霧の作戦は「リンをわざと木ノ葉に返させ、三尾を暴走させて木ノ葉を潰す」事…それを知っていたリンは里を守るために「愛する人の手によって死ぬことを決めた」のだった…オビトが見た「地獄の光景」は紛れもない事実だったのだ。
 
しかしなぜ「カカシ一人しかリンを助けに来なかったのか」という疑問は、やっとこれで分かりました…
そうか、木ノ葉は「霧隠れの策略」を分かっていたんですね。 だから木ノ葉は「リンを見捨てた」… 
 
そしてカカシ一人だけが、「里」よりも「リン」を選んで(おそらく命令無視で)リンを助けに行ったんですね。あの時グルグルは「ミナト(黄色い閃光)は他の任務みたい」と言ってましたが、これも上層部がミナトを他の任務で足止めしていたんじゃないかと邪推してしまいます。
 
そうか…カカシは、最後の最後まで「オビトとの約束」を守ったんだ。
 
そして、最後の最後まで「サクモの意志」…「里よりも、命令よりも、掟よりも仲間の命を守ろうとした意志」を貫いていた。それを、オビトも「分かっていた」…それだけにオビトも虚しかったのだ。
あの日「空っぽになっていた、サクモのチャクラ刀入れ」が語っていたのは、サクモの意志が再び「圧力」によって打ち砕かれてしまったからなんだろうか…。
 
リンは「戦いの道具」にされたあげく、しかも里に見捨てられた…「見殺しにされた」。
 
オビトが当初「見殺し」と言ったのは、里がリンを「見殺しにした」という事実を言っていたのでしょうか…リンの真実とは、あまりにも残酷すぎる「忍世界は子供達を利用し、子供達を見殺しにした」という事実…リンだけじゃない、カカシもオビトも忍世界に弄ばれた子供たちだったのだと思います。 こんな世界…これが「正しい」というような世界なら、オビトじゃなくっても「ぶっ潰してしまえ」と言いたくもなります。
 
リンを里に返してすぐに「暴走」させるのが霧の目的だったなら…「仮の器」である人柱力は、木ノ葉の忍であるなら「誰でもよかった」のかもしれないですね。 リンの気持ちも痛いほどわかるんですよ、自分が里を破壊する「手助け」をしてしまうほど悲しいことはないし、そうやって死を迎える事は彼女にとって耐えがたい悲しみ、屈辱以外の何物でもない。 だから、せめて最期ぐらい…愛するカカシを見つめながら、カカシの手によって死ぬことぐらいしか…彼女には選べなかったのだと思います。
それに、万が一カカシが言う通り本当にリンを連れ帰っちゃったら、カカシはサクモ以上に里から責められる事になったのは確実(だって里を破滅させるかもしれないんだから)、だからカカシの為にも、リンは雷切の前に飛び込んだのだと思います。 
そして、リンの「死に様を守る」ことがカカシがリンにしてやれる唯一の事だったとしても…
 
「忍は死に様の世界」なんて・・・子供であろうと「死に様」なんて…これじゃあ戦国時代じゃないか!
こんな世界はぜってー間違ってる。
 
しかし、カカシにこんな過去があったのなら… 
 
波の国で、再不斬を守るために白が「再不斬の前に飛びこんで雷切の犠牲になった時」…カカシには白の姿がリンに見えたでしょうね。 どれほど辛かったか… そして、そのあと再不斬が白を「道具」扱いしようとした時にカカシが感じた「激しい怒り」にも納得できるのです。 
カカシが、サスケに「千鳥」は仲間を守るための力だと言い、けして「仲間に向けるものではない」と説教したのも…こんな過去があった「から」なのですね。 自分のような使い方はするべきではないと…あれも自分自身を「戒める」ためでもあったんだろうなぁ…。
 
カカシやオビトの苦しみは、想像を絶するほどのモノでしたが…でもなんだかなぁ…このあと、カカシが「表」の世界ではなく、暗部に入って仮面を被り「裏」に身を置こうとした気持ちも、分からないではないんですよね… ずっと「仮面」を被っていたのは、オビトだけじゃない…カカシもだったんですよね。 
 
だけど不思議でならないのは、「父サクモをあんな形で失ったうえ、班の全員をほんの1~2年の間に全員失ってしまった」カカシが、これだけ「里に裏切られて」も、里を恨んだりしなかったってことなんです。
それだけカカシは里を愛していたのか、それとも「仕方ない事」と自分に言い聞かせたのでしょうか。
 
607話で、カカシはリンの墓前で「オレ達ももう少し遅くに…(戦争を知らない時代に生まれたかった)」と呟いているんですよね。 カカシは、彼らの悲劇は「時代のせい」だと思っている…自分達「だけが」特別不運な例だったわけじゃないと 知ってたのかもしれないですね。
実際に同じ時代に起きた「カブトとノノウの悲劇」もあるわけで、あの時代は《子供達が戦争の道具として容赦なく利用されたあげく、里から冷たく見捨てられる》事が「珍しい話じゃなかった」ってことなのかもしれません。 
 
しかし、本来「子供達が犠牲にならないような里を作る」ってのが、柱間とマダラが何よりも望んでいた事だったはず・・・ 
 
「里が要よ」…柱間たちが遺した「宝」を守ろうとする想いが、皮肉にも本来なら「一番避けたかった事態」を招いてしまった… まさにマダラが危惧した“本末転倒な事態”が生じてしまったことになります。 マダラよ・・やはりアナタは鋭かった。
 
「カカシとオビトとリンの話」…この話は、これからを担うナルト達は「絶対に知らなくちゃいけない話」だと、私は強く強く思います。
 
 
(すみません、その3まで続きます…)