NARUTO 637:十尾の人柱力 その1
ついになっちゃいましたかぁ、オビト・・・十尾の人柱力に。
ここまでは完全に《オビトの計画(第3のシナリオ)》通り・・なんですよね。
オビトが言う《約束の時間》とは、十尾との約束の時間(タイムリミット)じゃないかと(今も)考えているのですが---これはオビト本人が望んだ道とはいえ、何だかやるせないものがあります。
オビトが「十尾の人柱力になる」伏線はかなりあったのですが、例えば過去に出した例を一部あげてみますと・・・
・603話「リハビリ」での、白ゼツ達による、オビトの寝言の会話、「リンリンリン」「バカバカバカ(カカシ)」。 ・・そう来れば、当然オビトも「3連続」で呼んでみろ、と言われてるようなものでして・・そうすると「オビ“トオビ”トオビト」、さらに「リンって鈴ですか」?「バカカシって何?」とのヒントまであれば、「トオビって何ですか?」となるわけで・・これは「下らない会話」にみえますが、れっきとした「伏線(ヒント)」と私は捉えております。 キッシーは無意味な事は無さらない方での・・(久々に言ってみた)。
・612話「忍連合軍の術!!」での、ナルト(九尾の人柱力ならではのヒゲ線の強調)と、オビト(十尾人柱力ならでは?のシワ線の強調)の「対比」の絵 ↓
(しょっちゅう、ナルトとオビトの「対比の例」として例に出してる絵です)。
・628話「ここに、そしてこれから」での、「ナルトと九喇嘛」と対照的に置かれた「オビトと十尾」の絵↓ (どっちも「仲よし」っぽい・・)
(※すみません、これは模写出来ない構図だったのでジャンプから載せさせていただきました)
・・とまぁ、オビトは《十尾の人柱力になる存在として》物語に設定されていた・・・これは「避けられない」運命だった、と言うべきでしょうか。 見えざる神に選ばれてしまった「2人の、元落ちこぼれ」達…
さて・・・まずは、マダラ操作による、オビトの《輪廻天生》ですが。
・マダラにとっての「宝物」の言葉
オビトが組んでいる印は、たしかに48巻の長門の「輪廻天生」の印と同じですね。 でも、「輪廻天生」って、ちゃんとした「器(肉体)」が無いと魂が戻れないと思ってたんですが、「塵芥製」穢土転生体でも大丈夫だったとは、いや・・これはちょっと意外でした(汗
《オオオオ―-!!!》のオビトの叫びは、必死でマダラの操りに抗おうとしている「咆哮」に聞こえる・・・だけど。 やっぱり、マダラはオビトが《可愛くてたまらん》のですね。 なんだか「安心」もし、それは切なくもありで…
「オビト…」
「お前はオレをよみがえらせるために手懐けておいた予備だ」
いきなりお得意の《言い訳》してますけどね、マダラさん…《言い訳でもして自分を説得させないとやってられない》のでしょう。 先週(636話)、カカシも必死に《オビトを殺すため》自分を納得させられる「言い訳」を探していましたが、忍連合側も、マダラオビト側も…まだ相変わらず「古い忍の体質」は引き摺ってる印象です。
だけど、マダラが思い出してるのは…
《じいちゃんが助けてくれたのか》
《ありがとう》
(助けて、目覚めたばかりのオビトとの会話を思い出すマダラ)
《こんな時》に思い出すのが、よりによって《じいちゃん》という可愛い言葉と、《ありがとう》という、あったかい言葉だなんて… マダラにとって、オビトのこの言葉がどれほど《大切な宝物》だったかが、分かる気がするのです。
「ありがとう」なんて、マダラはン十年間も「誰にも言われた事が無い言葉」だったんじゃないだろうか?
マダラは“ありがとう”とは無縁な“引きこもり生活”をン十年とやってきたんだろうし、ガッチガチに凍ったマダラの心を、一瞬で溶かしてしまうほどの威力があったんじゃないだろうか・・オビトの《ありがとう》は。 そして、血が繋がる子孫から《じいちゃん》なんて可愛い言葉を言われれば、元々愛情深いマダラさんだから…愛らしさにやられてしまったのではないかと(直後にクソじじい呼ばわりになっちゃいましたけど)・・
だけど、マダラがオビトを「助けた」のは全て「計画の為」だったわけで、あくまで《使える予備》として・・意識不明のオビトの体に容赦なく、黒棒をたっぷり混ぜ込んだ柱間細胞をひっつけたりしてるんですよね。 でも、627話で大蛇丸が香燐(達)のことを「かつての良質な実験体」なんて言い方を「わざと」してましたけど、大蛇丸も本当は彼らを「可愛がっていた」と考えていいんじゃないでしょうか。
602話でオビトとマダラが「最初に目を合わせた時」、マダラは一瞬「・・・・」となってるのですが、たぶんこの時、オビトに『キュン』としちゃったんじゃないかと(笑) そこは「血縁」の為せる不思議な「愛情」のせいでしょうか…柱間も孫の綱手を「溺愛してた」みたいですが、マダラだって「孫(か曾孫?)のオビト」が可愛くてたまらなかったハズなんですよ、(心の中ではね)。
《礼を言うのはまだ早い…》とあの時「ありがとう」を拒否したのは、受け取っちゃったら『残酷な運命に引きずり込む計画』に可愛い孫を引き入れられなくなってしまうから、だから突き放したのでは…
(その分の礼はしっかり…)
「今こそ返してもらう」
一方、「マダラの操りに抗っているオビト」だって、マダラを《仲間とは思ってない》なんて言ったのも本心からではない…という事は、カカシがマダラの事を「あんな奴」と言った時の辛そうな表情を見れば分かるし、そして「マダラの形見」である団扇を背負って出陣してる事を考えれば、「爺ちゃん想い」であることも「確か」なのです。
でもお互いにストレートに愛を伝えられない「事情」を抱えてしまった、マダラとオビト…これもまた見ていて歯痒いような、切ないモノがあります。
・ナルトの「ズレ」
何度かにわたって、忍連合達が「九尾(九喇嘛)のチャクラ」に守られながらも、未だに「ナルトが守ってくれた」としか認識せず、九喇嘛を認めず、九喇嘛に「ありがとう」とは思えない点を「問題アリ」として取り上げてきましたが、一般の忍達の尾獣に対する認識はいまだに「敵」でしかない・・・
(速攻でオビトに向かうサスケを「ちょっ…サスケェ!!」と止めようとするナルト…)
何かと『ひとりよがり行動』をしているように見えるサスケですが、実は…「浮いちゃってる」のは、ナルトのほうだと思うんです。
十尾を「完全に倒しちゃダメ」とか、オビトの事も「すぐ抹殺しちゃダメ」と思ってるのは、おそらくこの戦場では《ナルトだけ》。
それは長門に対して「復讐しない」と決断したり、今までの「敵」に対しても抹殺ではなく「理解」の道を選んできた「ナルトならでは」の考えであって、一般とはかなり「認識」が違う・・・ナルトだけ「ズレてる」のは確かです。 これが、今後どういう形になって問題化するか・・少々不安のタネでもあります・・
・マダラがこだわる「分身」
「六道の禁術… 輪廻天生というやつか!?」 (柱間)
(木遁分身) 《この結界中にできる分身はこれが限界か!》
《(影分身の術) たった2体…ワシもこのザマとは…!!》 (扉間)
輪廻天生、穢土転生、イザナミ、影分身、口寄せ… 戦場を動かし、かつ抑えるのは、見事にオール「禁術」。 忍術をコントロールしきれなくなった忍達が決めた「ルール」を、破らないと収拾つかないという「現実」。忍のシステム、あらゆるところで矛盾やら本末転倒が噴出しているような…
(マダラ) 「分かってるハズだ 分身ではこのオレを止められぬと」
この前も「分身」を否定していたマダラですが、マダラが繰り返す「分身」へのダメだし…この「強調」には、何かのヒント(伏線)があるのではないかと勘繰ってしまいます(いつもの悪い癖ですが)。
「影分身」はチャクラを分けて実体化させる術ですが、この術の基になってるのが、かつて六道仙人が十尾のチャクラを9つに分割して実体化させた術(これは陰陽遁ですが)の発想ではないか・・等と思いまして、マダラが言っている《分身ではダメ》とは…今までの尾獣達のような、いわば十尾の分身的な形では「本体十尾」に対抗することは出来ない…暗にそれを示してるのではないかと思ってしまうのです(考えすぎかな)。
・ミナトの、「…そうか…」 「そういう事か」
死んだはずのマダラに「コマとなる協力者」がいたこと、そしてその者は「時空間忍術」で十尾の頭上に出現した。 ミナトの中で、十尾の頭上に居る術者と、九尾事件時の「時空間忍術を使う仮面」が繋がったんですね。そして、その者なら「飛雷神のマーキング済み」であることも。
九尾事件の時のオビトは「グルグル」を纏っていたわけですが、ミナトの螺旋丸がグルグルの着ぐるみを突き破り、オビトの背中(肩?)あたりにダイレクトにマーキングがされた・・ということでしょうか。
「けして消えることが無い」飛雷神のマーキング… これは「今後」、何かの形で活かされそうな気もします(今回だけじゃなくって)。
(マダラの肉体が「再生復活」されていくにつれ、オビトの黒髪が白髪になっていく・・)
・オビトの心象風景
遠退く意識の中で、オビトが思い浮かべている《心象風景》―――
黒塗り背景の「実際の記憶の回想」と違って、オビトの「心の描写」と言ったらいいでしょうか。 つまり…
オビトの「本当の心」の情景。
先週の、大きなリンの笑顔の続きでしょうか…
今度のリンは「やや小さめ」で、この前ほどの笑顔じゃあないけれど、まだしっかりと「オビトを見てる」。 だけど仲間に「カカシ」が加わって、リンの表情から「笑顔」は消える--オビトを見てはいるけど、もはや《微笑んでくれてない》。 そしてちょっとオビトから「遠ざかる」。
さらに「ミナト先生」が加わって、リンはさらに遠くへ下がってしまい表情はさらに硬く、
ついに・・カカシとリンはオビトを見放し、背中を向け、2人で遠くへ「去ってしまう」―――
「今」のオビトの心境も、こんな感じだろうか… もはやオビトは「カカシとリン」に見放された存在・・・たとえそれが、オビト自身が『望んだ』ものだとしても。
(残ったのは、ミナト先生だけ)―――
オビトは今までもずーっとこんな気持ちだったのだろうか。
オビトの唯一の理解者だったリンも、次第に「カカシだけ」を見るようになる…
リンはいつも「カカシのカッコいい姿」に目を輝かせるのに、オビトはいっつもリンの前で失敗して「カッコ悪い姿」を晒してばかり。 「リンを笑顔にできるのはカカシだけ」・・・
オビトにとって《リンの為の世界》というのは、《カカシがカッコいい英雄である世界》でもあるんじゃないだろうか。 だから636話、時空間内でカカシを「約束という呪印から解放する作戦」は、墓前で言い訳ばかりしてる「虚しいカカシ」ではなく、「リンが望むカッコいいカカシに戻ってもらう為の作戦」でもあったんじゃないかと思うんです。
しかし・・・「いよいよ十尾の人柱力になる直前」の、あんなに“超お忙しい時間”に、わざわざカカシを連れ込んで「人助けの為の寄り道」をしたって事は、オビトがあくまで《現実世界》にこだわってる歴然たる証拠でもあるんです。
前に宿屋にナルトを訪問し、わざわざ「イタチの真実」を語って聞かせたのも「五影会談の途中」と言う、超忙しい時・・・あの時も「お前らと会話、楽しかったよ・・」とオビトは別れを告げ去っていきましたが、あの時と、この前の時空間の「人助けの為の寄り道」は、同じようなパターンの・・・オビトにとって「決意」が必要な節目の時でもあったんです。
こうやって、オビトは《現実世界にこだわりまくっている》―――
「無限月読」世界をつくれば幻術で何でもできる・・・忙しい時に「寄り道」する必要はないのです。
オビトの「寄り道には必ず理由がある」---
だから、オビトの最終的な目的が本当は「無限月読」ではない、そして悪(敵)役を自ら引き受けようとしているのではないかと…私は疑わざるを得ないのです。
(その2へ続けます・・)