ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

NARUTO-ナルト-の考察(伏線、言葉、人物考察などなど!)続行中!

波の国編・ナルトと「再不斬と白」その3・・白が守りたかった「キレー」なもの

 

 

 ナルトが「サクラちゃんよりカワィイ」と思ってしまったのが、NARUTO屈指の美少年キャラ「白」。 その白のセリフで 毎回読むたびに《ドキッ》とさせられてしまうのがコレ・・

 

《ザブザさんのキレーな体には

 キズを付けたくなかったから》・・

 

 第一回戦で追い込まれた再不斬を助けるため、白は再不斬の首の秘孔に針を刺して 仮死状態にしたんですよね。 それで再不斬が「こんな危険なところを狙うなんて相変わらず嫌なヤローだ」と言ったもんだから、白がこう答えたんです。

 

 いやいや「キレーな体」って どういう意味じゃとドキッとしちゃうのですが、それより「綺麗」でも「きれい」でも「キレイ」でもないキレーというね・・・このマットに伸びた表現が すご~く気になったんです。 

 それはキレッキレに締まった筋肉のピーンと張った肌の質感なのか、あるいは《キレーー》と真っ直ぐ平らに伸びた感じが《まだ誰にも踏み荒らされていない、まっしろに降り積もった雪面》をイメージさせるとでもいいましょうか。

 

 で・・・このあと、白は ガトーの腕をメリメリっと掴んで こんな威嚇もしているんです。

 

「汚い手で再不斬さんにさわるな」・・って。

 

 まるで再不斬が「神聖不可侵な存在」であるかのように《触れるな》と・・ 

 

 

 これは、再不斬が短気な行動に出ないように 先手を打つためでもあったのですが、それでも白は 本気で怒っていたように見えた・・ まっさらでキレーな雪面に 汚い足跡を付けるんじゃない!とでも言うようにね・・・

 

 そもそも白は献身的に再不斬に尽くし、あらゆる危険や汚れから守ってきた。 それは、白にとって再不斬が「とても大切な人」だから・・ そして《再不斬が白を必要としてくれたから》。  

 それは「恩返し」であったり、白にとって「自分の存在価値を確かめるため」でもあったと思うけど(以前書いた記事ではそう書いたんだけど)、でもそれだけじゃあないと思ってます。 白にとって《再不斬を守る》ことには、どういう意味があったのか。

そこには「かつての霧隠れの里の事情」も関わってくるような気もいたします。

 

 かつて再不斬と白が暮らしていたのは、「血霧の里」と呼ばれていた霧隠れの里でした。  血霧の里では「忍は国の為の道具」として扱われ、徹底した自己犠牲を強いられていた・・ 

 

 「血霧時代」については、物語も終わりが近づくにつれ 鬼鮫の話やマダラ関連の話から その徹底した自己犠牲っぷりが少〜しずつ分かってくるのですが、でも その極端に過酷な体制は なにも霧隠れに限った話でもなかったんですよね。 

 砂隠れの里でも一時はそういう事があったらしいし(サソリやチヨの話から分かる)、また木ノ葉でもダンゾウ率いる暗部組織“根”が似たような体制だった。 かつてそれは《模範的な忍の在り方》でもあったんですね。

 

 再不斬も そんな典型的な「血霧の忍」の一人だった。 「お前ら(12、13歳)くらいの歳の頃にゃ もうこの手を血で紅く染めていたんだよ・・」とも言ってましたが、「弱い者は淘汰され強い者だけが生き残る」血霧の里では、このぐらい目立たないと 生き残れなかったんでしょうなぁ・・ 

 下克上を繰り返し、目的の為なら仲間さえ手にかけて 里のトップ集団「忍刀七人衆」にまで上り詰めた再不斬。 しかし「忍刀七人衆」 とは残酷な任務を忠実にこなす「国のための道具」でしかなかった・・

 

 同じく「七人衆」の一人だった鬼鮫は「国の利益を守る為に仲間を斬る事」を任務とし、その任務を淡々とこなす一方で「夢の世界」の実現を強く望むようになっていったんですよね。 残忍そうに見えた鬼鮫も大きく傷ついていた・・・・再不斬は どうだったのだろうな・・  

 

 幼い頃から多くの命を奪い、手を紅く染め続けた再不斬も、本当は深く傷ついていた一人だったのだと思います。 白を連れて里を出たぐらいだし、再不斬も血霧の“忍の在り方”には疑問を抱いていたはずでして・・ 「忍は戦いの為の道具に過ぎない」と己に言い聞かせながらも、「人間として」の生き方を探していたんじゃないだろうか。

 

 再不斬は最期に、もう目を開けることのない白の横で こんなことを呟いていましたよね、

 

《 もう・・さよならだよ 白・・ 今までありがとう・・ 悪かったなぁ》と。

 

 こんなこと面と向かって白には 絶対言えなかっただろうけど、これこそ 再不斬の「本音」。 もっともコレ、後になって カカシが白に ばらしちゃったんですよね; 

 

 物語終盤、戦争で再不斬と白の二人が「穢土転生」で復活させられた時、カカシが「再不斬は君の事を 道具だなんて思っちゃいなかった」って言っちゃうんです。 再不斬は「余計な事をベラベラと・・」バツが悪そうな顔してましたけど、否定はしなかった。 そしてこう言っていた・・「オレは・・人間として死んだんだ!」って。  白は、「ありがとう再不斬さん・・」と涙を流していましたっけ・・

 

  かつて、再不斬が 身寄りのない白を拾ったのは、「氷遁」を使いこなす雪一族の「血」が欲しかったから。 ようするに「使える道具」だったから。

だけど、本当に「それだけ」だったとは思えない。

 

再不斬は、白のことをこう言っていた・・・

 

「白は 頭も切れる」と。

  

 確かに白は頭脳明晰で、年齢よりもずっと しっかりしてるように見えた。 戦闘の分析から作戦の構築まで担っていたし、なんでもこなす 器用で頼れる強力なパートナーだったんですね。 

 

そして再不斬はこんな事も言っていた・・

 

「お前(白)は純粋で賢く汚れがないと。

 

 再不斬が白の「賢さ」を気に入っていたのは分かるけど、わざわざそこに加えてる「純粋で汚れがない」ってのが気になる。 再不斬は、こっちのほうこそ気に入っていたんじゃないだろうか・・?

 

白は賢くて冷静で  時には母親のように再不斬を諫めたりする事もあるけれど・・クスッと笑った時に見せる いたずらっ子のような笑顔は、無邪気で天使のようでもあった。 

その笑顔に、再不斬は癒されてきたのではないだろうか・・

 

 

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再不斬が白と出会った時、霧隠れの片隅で 幼い白は 薄汚れた服を着て 小さく うずくまっていた・・

 

 

 ふたりが出会ったあの時、再不斬の目を引きつけたのは 白の《特別な血》だった。 だけど、それ以上に再不斬の目を惹いたのは《まっ白で汚れの無い純粋さ》だったのではないだろうか。

 

 白の「純粋で汚れがない」ところ・・ 再不斬にとってそれは「自分には無いモノ」だった。 そして、真っ紅な血に染まった霧隠れの中で やっと見つけた唯一汚れの無い存在」に見えたんじゃないのかな・・

 

 一方で、白自身は自分のことを「純粋で汚れのない存在」とは思っていなかったはずでして・・白は 己を汚れた血を持つ一族」と考えてきたし、そのせいで母を失い、父をその手にかけてしまったと考えてきた。 だから、自分の手こそ「血で紅く染まった 汚れた手」だと思っていたと思うんです。

 外見こそ雪のように白くても、内側は血に染まって 汚れてしまっているのだと・・

 

 そしてその逆に手を紅く染めてきた再不斬のほうこそ心は純粋で真っ白」と白は考えていたんじゃないだろうか。

 

 戦闘好きで血に飢えたような発言を繰り返し、無骨な振舞いしかできない再不斬だけど・・・本当は誰よりも この世界に傷つき、心を痛めている繊細な人。 だから もうこれ以上再不斬さんを苦しめたくない、傷つけたくない、汚したくない・・ 白はそんな想いで 再不斬を守ってきたのではないだろうか。

 

 ガトーのように私利私欲の塊のような人物の「汚ない手」を 再不斬に触れさせたくない、もうこれ以上 再不斬の「キレーな体」を汚したくないと・・必死で忍世界の汚れから再不斬を守ってきたのだと思います。

 

 再不斬と白が出会った、あの日・・ 

 

 その手を紅く染めていた再不斬は、埃にまみれ薄汚れていた白に「純粋で汚れがない」ものを見て・・  己の汚れた血を呪っていた白は、再不斬の心に「キレー」なものを見たのだろうか。

 

 再不斬がナルトの《真っ直ぐで純粋》なところを見て あれほど戸惑ったのは、白と同じように「純粋でまったく汚れがない」少年が他里にもいた事への驚き・・・ 暗い外の世界にも こんな眩しい希望があるなんて「まさか」だったのかもしれない。 

 そして、それを否定したいのか、肯定したいのか・・自分の本心が 分からないような、あるいは見えちまったような・・・それで うろたえてしまったんじゃないのかな・・

 

真っ紅な血に染まった世界の中で、二人がやっと見つけた「大切なモノ」・・・  

それは、お互いの中に在る「まっすぐ純粋で汚れの無い雪のような白さ」だったのだと思います。

 

 

 波の国編のラスト、白の亡骸の横で 再不斬はこう つぶやきます。

 

 「・・できるなら・・ ・・お前と・・同じ所に・・

行きてェなぁ・・ ・・オレも・・」

 

 白の魂が帰っていった《雪のたくさん降る故郷》・・・まっさらでキレーな雪が降り積もった、まっ白な世界。 

再不斬がずっと探していた「理想」は そこに在ったのかもしれません。

 

 

 

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行けるさ・・再不斬・・ 2人一緒に・・

 

 

 

 

☆長駄文、読んでくださって感謝。

 

 

(ナルト好きブログ! 2021/05/19)