NARUTO535:イルカの説得
『お前の事だ すぐに戦場に駆けつけようとするだろう。 覚悟は知ってる。
この手紙を見てるという事は オレはお前を止められなかったって事になる
綱手様から お前を雲隠れの隠れ島へ足止めしておく役として任命された その時からもしものために この手紙を前もって用意しといたんだ 任命されたのに 情けないよな・・・
もし・・そうなった時・・・うまく渡せるか分からないが どうしても伝えておきたい言葉がある
・・・行ってしまったお前に オレが言える事は たった一言だけだ
絶対に生きて帰ってこい!!! 』
イルカが ナルトの額あてにそっと忍ばせて渡した、手紙。
結果的に『ナルトを足止めする』ことは失敗に終わりましたが、イルカは最初からナルトを足止め出来るとは思っていなかったんですね、こんな手紙を用意していたとは・・・。
・・・というか、イルカは「ナルトを足止めするべきでは無い」と思っていた気がします。
とはいえ心配性のイルカにとって ナルトを危険な戦場に送り出すなんてのは かな~り辛く難しい決断だったと思います。 イルカはナルト達を中忍試験に出すときだって心配したし、ナルトが我愛羅救出任務で砂に行く時だって心配そうにしてましたからねぇ・・・。
おそらく散々悩んだであろうイルカが出した答えは――『最後の卒業試験』をナルトとイルカ自身に課すことだったんじゃないか、と思います。
イルカの思いをナルトにぶつけ、それでもナルトの覚悟がブレないのなら・・・その時は行かせるしかない、と。
そんな思いを胸に、イルカはシノ父(ゲンさん)達とナルトの前に 立ったんじゃないだろうか・・・。
・《ナルトはバカじゃない》
突然現れたイルカ先生に、ナルトが不思議そうに言った一言・・・
『何でイルカ先生まで ・・・こんな島に!?』
イルカ先生「まで」ってw
そりゃ不思議ですよね~アカデミーの先生であるイルカが「任務」に就くのは、まぁ異常事態です。
木ノ葉崩し直後の人手不足の時に、「(人手不足でアカデミーも休校で)オレも色んな任務をこなしてるぐらいだしな~」・・・なんてイルカがナルトに言ってたことがあります。 だから、ナルトは「イルカ先生までが来ている、こりゃあ何かがあった」と思うハズなんです。
それに『この島にいる九尾チャクラを持つ未確認生物を暴れさせないために、ナルトにはこの中にいてほしい』というイルカの「説明」を、ナルトは即座に『嘘』と見抜く。
「ヤマト隊長が戻ってこねーのはそのせいか・・・・・?」
こんな質問しながらも、ナルトは《ヤマトの身に何かあった》ことに感付いてますよね。 だいたい未確認生物が暴れているなんて《ビーはこの島の猛獣たちの頂点にいて 全てを手懐けている》というモトイ発言に矛盾する事にも、ナルトは気付いている。
ナルトはお勉強系はダメだけど、人の話はよく聞いていてるし よく記憶してるんですよね。 しかも、それらをすぐに思い出して現状に結びつけて考える「情報処理能力」は長けてます。 (ナルトは、バカじゃないw)
記憶力+情報処理能力があるからこそ、イザという時に『意外性』発想で土壇場大逆転が出来るわけです・・・
これって四代目遺伝子に因るところが大きいんじゃないだろうか?
疑問を感じたナルトが仙人モードで強行突破し、ついに滝の外(つまり亀の甲羅の外、チャクラ感知可能エリア)に出て『戦争の状況』を感知しますが・・・
≪サクラが負傷者を治療し、ガイやカカシ、シカマルが戦っている・・・・≫ (カカシ、首斬り包丁持ってますね;)
驚くナルトにイルカは正直に状況を話し 『ゲンさん、もう嘘は止めにしませんか。 ナルトはバカじゃない・・・ 正直に話して納得してもらうしかありませんよ』と切り出す。
ナルトはバカじゃない・・って;アカデミー時代の先生らしい発言かな・・。
・《残された大切なもの・・・》
『お前を守るために 皆命がけで戦ってる ナルトお前は己と闘え、ここは我慢の時だ』
イルカの「戦う」という言葉に、ナルトは敏感に反応している気がします。 ナルトを守るという名目で戦いが生まれてしまう、それはナルトにとっても一番避けたいことのハズ。
四代目が言っていたこと・・・《大切な者を救おうとする事で戦いが生まれ 愛が存在し続ける限り同時に憎しみが生まれ 憎しみに忍が利用される》・・・
(ナルトは長門との会話を思い出す・・・)
『死に意味を見出そうとするが・・・あるのは・・どこにぶつけていいかわからない憎しみだけ』
『ゴミのような死と・・永久に続く憎しみと・・癒えない痛み・・それが戦争だ ナルト・・お前がこれから立ち向かう事に・・なってくるものだ』
『オレの役目はここまでのようだ ナルト・・お前だったら・・・・本当に・・』
『ゴミのような死と・・永久に続く憎しみと・・癒えない痛み・・それが戦争だ ナルト・・お前がこれから立ち向かう事に・・なってくるものだ』
『オレの役目はここまでのようだ ナルト・・お前だったら・・・・本当に・・』
本当に・・・で長門の言葉は途切れてますが、お前だったら本当に「憎しみを終わらせる答えを見つけられる」
あるいは「平和への答えを見つけられる」と言いたかったのでしょうか。
そして、長門はこんな事も言っていましたね、
『大切なヒトの死ほど受け入れられず・・』
『死に意味を見出そうとするが・・あるのは痛みと・・ どこにぶつけていいか分からない・・・憎しみだけ』と。
同じような疑問を、かつてナルトも抱いたことがあったんです。 三代目が亡くなった時・・・
三代目の葬儀で、ナルトは「なんで人は 人のために命をかけたりするのかなぁ・・」 「死ぬのは辛いよ」とつぶやくのですが、カカシが『三代目だって ただで死んだわけじゃないよ・・ ちゃんとオレ達に大切なものを残してくれてる・・ ま・・いずれお前にもわかるようになるさ』 と言うんです。
で、ナルトは 『うん・・! それも何となく分かるってばよ・・』と言ってる。
亡くなっていった人が残してくれたものを、シッカリと受け取る事・・・それが出来れば、憎しみや痛みを断ち切ることが出来るかもしれない。 だからナルトは 死んでいった自来也や長門が残してくれた「大切なもの」をしっかりと受け継ぐ覚悟をしている。・・・・あの時「何となく」分かる程度だったものが、今のナルトにはハッキリと分かっている。
イルカもナルトの「覚悟」は承知しているんですよね(手紙にも「覚悟は知ってる」と書いているので)。 でも一人で背負うにはあまりに重たすぎる「覚悟」だから、イルカはナルトの覚悟を「確認」しようと思ったのかもしれません。
そして、もしナルトがここで考えを改めてくれるのなら、それもいいと・・・イルカは 本音では少し期待したかもしれません・・・でも、ナルトの答えは、
『この戦争は全部オレ一人でケリつける!』
『憎しみも痛みも全部オレがまとめて引き受ける!! オレの役目だ!!』
ナルトの覚悟が、ここまでとは・・・これはいささかイルカも予想外だったような気がします。
ナルトのあまりに毅然としすぎる覚悟に、イルカはついに本音をぶつけることでナルトの「本音」も引き出し、ナルトの気持を確認しようと思ったのかもしれませんが・・・
『お前の中には九尾がいる!お前だけの問題じゃないんだ!』と、まさかのイルカの口から出た「九尾」発言に、ナルトは ちょっち過呼吸気味になっていきますが・・;『オレを一番最初に認めてくれた先生が!何で九尾の事ばっか気にしてオレの事信じてくれねーんだ!』と・・・
で、イルカはトドメとばかりに ついに本心を吐き出します。
「だだをこねるな!!オレにとってはなっ・・」
「大切な生徒の1人だ・・・そして・・・」
「弟のようにも思ってる」
(・・・・ここでナルト、仙人モードがサッと消えてますね。)
弟。 兄弟。
ナルトにとって、これはとっても大切な 「絆」の言葉なんですよね。
終末の谷でサスケに言った 「お前といる時・・・」 「兄弟って こんな感じかなぁ・・・ってよ・・」
あの言葉は、ナルトがサスケに一番伝えたかった(求めたかった)言葉だったのに、サスケはアッサリ拒絶してしまうんですよね~(今でもナルトはこれにこだわっているハズですが)
・・・でも「父ちゃんみたい」と思っていたイルカに、「弟のように思ってる」 と言われて。 お互いに「絆」を感じていたという喜びに、ナルトの心は凄く揺さぶられたと思うんです。 その「あったかい幸せ」に、そのまま留まってしまうという選択もあった。
でもその幸せより、ナルトは「覚悟」を迷わず選びましたね~・・。。
「オレってばもう昔と違う・・強くなった それにその額あてをくれたのは イルカ先生だろ?」
・・イルカは、落ちているナルトの額あてをじっと見つめ、拾って渡す・・・
この時、イルカはついに決心したんでしょうか、ナルトは「2回目の卒業試験をクリア」し、いよいよ自分も送り出す決心をする時だと。
「ダメだ、それでもお前を行かせる訳にはいかない!」とイルカは結界を出しますが、既に本気で止めるつもりは無かったんじゃないかと思います。 あとはオレの「壁」を越えて、そのまま行け・・・そんなつもりで出した「最後の」結界だったのでは・・・?
尾獣モードで結界や寄壊蟲、影真似を突破し去っていくナルトを、ただ見つめるだけのイルカ。・・・今度こそ遠くへ行ってしまったと、寂しさと不安で一杯なんじゃないかな・・・。
そしてナルトは、額当てに挟まったイルカの手紙に気付きます。 額あて・・・それはイルカとナルトにとって「特別」なものなんですよね。
《イルカとナルトと額あて》
「一人前の忍者の証」である額あて。 普通ならただの「卒業証書」のようなものなんでしょうけど、ナルトにとっては特別重たい意味があったんですね。
九尾の化け狐と呼ばれ、存在を認めてもらえなかったナルトにとって「木ノ葉隠れの忍」として額あてを渡されることは「この里に居ていいんだ」と自分の存在を証明してくれる「唯一の拠り所」だった。
だから、イルカの「卒業試験」に合格し イルカがナルトを初めて認めてくれて 額あてを渡してくれた時・・・最高に嬉しかったはずなんです。
それからも、ナルトは嬉しそう~に「額当て、もうカンペキ 様になってるだろ!!」なんて言ってイルカの前で 額当てを触って自慢したり(20巻で)、サスケと闘う時にはお互い「額当て」をすることにこだわったりしてました。
そして中忍試験の時。
この時もイルカは心配で心配で、ナルト達を中忍試験に出したくないほどだったのですが、第2の試験を突破したナルトは自信たっぷりに宣言しています。
『この木ノ葉の額当てもらった時から オレってば もう忍者学校生じゃないんだぜ!!心配無用だってばよ!!』
『それにこれはイルカ先生がくれた一人前の証だろ! 落ち着きがないところは変わってねーかもしんねーけど オレはもうガキじゃねェんだ!!』
『今は…忍者なんだからな!』
そしてイルカは ナルトが知らないうちに成長していることに驚くのです。
あれから3年。
ナルトを最初に認め、今度はナルトを「信じて」戦場へ送り出したイルカ。
再び遠くへ飛び立とうとしている かつての教え子の後ろ姿を見送りながら、イルカは〝額当て〟がつないできた「ナルトとの絆」に 思いを馳せているのではないでしょうか。
☆「イルカ先生にもらった額当て」・・・・これって、ナルトにとってはどんな忍具よりも「最強」かもしれない。
☆今週のジャンプ、表紙にカカシ! これはカカシ「出番」の前兆か?
☆イルカ先生、結界なんて出せるんですね~(し、失礼。)
☆甲羅内では「チャクラ感知」は不可能らしい。前に仙人モードで感知疑惑があったのですが 無理だったのか・・・
☆ナルト何処へ向かう気だろう・・・
☆次週は合併号です。 マダラが意外な行動に?・・気になるなぁ。
☆長駄文、読んでくださって感謝。