NARUTO 599:うちはオビト その2
(その1の続きです)
2.リンへの想いと「オビトの夢」
オビトの「お間抜け」なところは、ナルトのそれを遥かに超えてる気がします。まさか、ここまで天然だったとは・・・。
中忍試験でリンにいいところを見せようと「火遁・豪火球の術」を出そうと張りきったら、飴玉を飲み込んじゃってガイに蹴とばされる始末… なんだか「蹴られて地面に転がった飴玉」が、「折れて突き刺さったサクモのチャクラ刀」に重なって見えてしまう(笑)。
でも負けたって、リンがほっぺにガーゼを貼ってくれたから・・・
オビトは幸せだったんですね。
この「記憶の断片」、最初っから最後まで貫かれているのは『オビトのリンへの想い』です。
オビトが語った「自分の夢」。リンはちゃ~んと聞いてくれたんですね。
落ちこぼれのオビトの「夢」なんかを真剣に聞いてくれたのは、リンたった一人だけだったんじゃないだろうか・・・?
オビトがリンに自慢している《背中のうちはの家紋》。
・・・ん? もしかして、今のオビト(トビ)が使っている例の「団扇」。
私は、あれはマダラの形見で「意志の証明」として大切に使っているのかと思っていたんです。
でも、もしかしたらリンに『背中の家紋=団扇を大切にする』と あの日話したから、リンに対して「意志の証明」として使っているんだろうか?
リンに語った「夢、希望」を口先だけの言葉にしないために・・・・「リンのために」大事に使っているのかもしれない。・・・なんか、「オビトならばあり得る」気がしてきました;
そして・・・歴代火影の顔岩に自分の顔を並べるオビト。そっかぁーオビトも、火影になりたかったんだ。 火影が彼の夢だったんですね。
だからなんですね、ナルトが 『オレはどの先代も越える火影になる!!それがオレの夢だ!!! バカヤロー!!!!』と叫んだ時、トビは一瞬「・・・・・」とドキッとしたような、そして嬉しそうな表情を見せていたのは(594話)。
オビトはあの時・・リンの前で、それこそ全く同じセリフを言ったんじゃないでしょうか。「オレはどの先代も越える火影になってやる!それがオレの夢なんだ!」なんてね・・。やっぱり、ナルトとオビトは似ている。
オビトがリンに語ったであろう「夢」。
それは「火影」だけじゃなくて、もし自分が火影になったら戦争なんてない世界にしてやるんだ!なんて語ってたんじゃないだろうか。だからオビトは「平和の実現」、「戦いの無い世界」の実現に ここまでこだわっているんじゃないだろうか。
あの時、リンに語った「夢」を口先で終わらせたくない・・・希望という言葉で終わらせたくない。
オビトが無限月読で果たしたい「夢」、そして約束・・ それはこの時にリンに語った「夢」のような気がしてきました。
リンに夢を語ったあの日。 あの時が《オビトの人生で最高に幸せだった時間》だったのかもしれません。
そして「カカシが火影になりたくない理由」、そして「ナルトの火影になりたい夢を何としてでもかなえてやりたい理由」。
これはカカシが「オビトとナルト」を重ねて見ているからだろうと思うんです。まるでオビトの生まれ変わりのようなナルトの「火影の夢」は、カカシは絶対に叶えてやりたい。
52巻、鉄の国国境で第七班が再集結した時にカカシはナルトに言ってましたよね、「お前には火影になるっていう大切な夢がある サスケの道連れでお前が潰れる事は―― (だから、オレがやる)」と。
ナルトの夢を潰すことは、オビトの夢を潰してしまう事・・・だからこそ、愛弟子サスケを自分で処分するという“本来ならあり得ない選択”をカカシはしようとしたのだろうか・・・・?
ん~やっぱりカカシは「オビト」のことが絡むと、全ての判断を迷い 己の本心さえ見誤ってしまう感じがします。
リンに語った夢を口先だけで終わらせないために、オビトは懸命に努力してたんですね。「イタチの手裏剣術」とは比べものにならないお粗末なレベルだったみたいだけど、でも火遁・豪火球の術も使えてるし。
そして・・・中忍試験第3次個人戦、因縁の相手ガイと対戦するも、やっぱりガイはオビトを覚えていない(笑
なるほど・・・過去にあったんですね、ガイと対戦して「名前と顔を覚えてもらえなかった」過去が。だから594話で「顔を覚えないお前にそれ(名前)を教える意味があるのか?」なんて言ってたんですね・・。
(で、アッサリこの時も負ける。・・・それを考えると今のオビト、強くなったなぁ・・)
でもガイに負けた事より『もっとオビトが落ち込んだ』のは、リンが嬉しそうに カカシを応援している事だったんですね。嬉しそうにしてるリンを見るオビト・・・悔しそうというよりは、とっても切ない。
オビトは、リンの自分に対する「弟ちゃんへの視線」みたいな慈悲の眼と、リンがカカシに向ける「好きな男性を見つめる眼」の違いに気づいてしまったんだと思います。
他人の心を察する「洞察眼」は誰よりも鋭かったオビトだからこそ、余計にリンの気持ちがよーく分かっちゃったんじゃないかな・・。 たしかにカカシはカッコいいから(笑)リンの気持ちも分かる・・・そしてオビトの気持ちも。
オビトが必死に修行したのは、一日も早く恋敵のカカシに追いついてリンに認めてもらいたかったから・・・リンにいいところを見せたかったからですよね。 いつか強くなって「カカシよりも」リンにふさわしい男になりたい一心だったんだろうな(そしてカカシより半年か1年後ぐらいには、オビト達も中忍になったんですね。 これもデータブック訂正かな)。
リンにデートに誘われたと勘違いして有頂天になったオビト、あれだけ遅刻魔のオビトが・・・あのオビトが《リンとの約束だけは時間をシッカリ守った》・・・これってつまり、「リンだけは例外」だったってことです。
今も「約束の時間だ」 「もうずいぶんと遅い」なんて言って時間を守ろうと気にしてたってことは、やはり・・・
これらも「リンのため」なのだろうか、と思えてきました。
オビトが一生懸命「時間」を守るのは、リンのためだけ・・なのかもしれない。
だけど結局、リンとのデートじゃなかった上に、リンがオビトを呼んだ理由は「カカシ上忍就任を祝うプレゼント企画」のためだったとはねぇ・・。 《いつだってカカシはオビトの先をいく。リンはカカシしか見ていない》。
舞い散る桜は、オビトの心そのものですね。 どんな想いでオビトはリンの「プレゼント企画書」を見ていたんだろうなぁ・・・。オビトのことだから、本当に真剣にプレゼントを考えてたんだと思います、ただ・・思いつけなかっただけで。
・そして、あの日「神無毘橋」へと話は繋がっていき・・・映像は「止まる」。
オビトという人物は、本当に優しい純粋な子だったんだなぁ。
なんて・・・切ない、「恋の物語」なんだろう。
現実世界に戻り。
ゴゴゴゴ・・・・という、岩が昇っていく音とともに、そこに姿を現したのは・・・・
(ここで、初めてカカシのセリフが入ります)
「お前は・・・」
「オビト・・・?」
カカシの目の前に立っている男、かつての「親友」、うちはオビト。
・・・・・・・・やっぱり、オビトだ!
立ち上がって、しっかりと正面を見据えた男は・・・オビト本人以外の何者でもないような気がします。でも、そこに人懐っこい笑顔は無い。毅然と立つ姿は、
深い絶望と悲しみの眼をした、なんか仮面以上に表情がないオビト。
右顔に残る傷痕はケガ痕だと思ってきましたが、ダンゾウの右顔にも似た引き攣れなので、これはゼツ素材(柱間細胞)で補修しているのでしょうか・・。
何があったんだ、オビト。 神無毘橋で、誰に会ったんだ。 そして・・・リンに何があったんだ、カカシ??
ペイン戦でカカシが一度死んだ46巻425話、あの時のタイトルは今回と対を成すような「はたけカカシ」でした。
カカシが叫んだ、「リンを守れなかったオレだ、許してくれ」の悲痛な許しを求める悲しい言葉。
あの時、あの世で会えなかったオビトに今 会って・・・カカシはオビトに謝罪をするんだろうか・・・?
今まで、カカシとオビトは「再会すべきだ」と思ってきました。
だけど、今こうして現実に目の前にオビトがいて、なかなか「現実」を受け入れられない自分がいます。
ずっとお前が願ってきた展開だっただろう?これが…お前の望んでいた展開だったんだろう?なのに・・・
オビトの眼が湛えた「悲しみの深さ」が、辛い・・・・悲しすぎるんです。
あんなに表情豊かだった、オビトだったのに・・。
オビトとカカシ・・・
広い宇宙に、昇っていく岩・・・
ゴゴゴ・・・という音と岩は、オビトが今まで仮面の下に抱え隠してきた 悲しみの震えのように聞こえます。大地の嘶きは、オビトの心の叫びのように聞こえます。外道魔像の苦しみも、オビトの心の叫びに見えてきます。そして、あの日ドドド・・と落ちてきた岩があげられ、あの時へと戻るように聞こえる。
「オビトの物語」とは、もしかしたら・・・
NARUTOの中でも最大の、もっとも切ない、ラブストーリーなのかとも思えてきました。
今まで親子愛、師弟愛、兄弟愛という「愛の形」は描かれてきたけれど、恋愛ってのはあまり描かれてこなかった。でも、NARUTOのテーマが「愛」であるのなら、今度描かれる愛は「恋愛」なのかもしれない・・・・。
兄弟のために、親のために、子供のために。そして愛する女性のために。愛の形は色々あるわけなのですから・・。
兄弟のために、親のために、子供のために。そして愛する女性のために。愛の形は色々あるわけなのですから・・。
オビトの生き様が描かれ、オビトという人物の本質が語られたこと。
オビトが無限月読だけが夢の実現だと信じた過程には、おそらく・・・我々が想像できないような、絶望があったのかもしれない。
オビトが無限月読だけが夢の実現だと信じた過程には、おそらく・・・我々が想像できないような、絶望があったのかもしれない。
人の心の痛みがよく分かる“オビトだからこそ”感じてしまった悲しみがあったのかもしれない。
忍達が、心を無くし 悲しみにも鈍感になっていったなかで・・オビトはずっと人の心を持ち続けたからこそ・・・
絶えられない悲しみや絶望に直面してしまったんじゃないだろうか。
リンのために、リンと約束した平和な世界を実現するために、オビトは・・・ずっとこの時を待っていたのかもしれない。リンがいないこの世界には、もう夢を実現することは、オビトにはありえない選択肢になってしまったのだろうか。
でも、人一倍優しく、困った人を放っておけないオビトだからこその「考え」があるのだろうけれども、しかし。
・・・・オビト・・・・・
いったいどうしてこうなった?
あの日、あの後何があった??
困った爺ちゃんに会ってしまったのだろうか??
※来週600話はついに「カカシVSオビト」・・・いよいよ「真相」が語られるのでしょうか。
※神無毘橋の戦い後、オビトは自力で助かった可能性もありますが、何者かが接触し治療をした筈です。《オビトはいい子だ・・》。
※「神威」を持つ眼の人間達は時空間を互いに行き来できる可能性を感じます・・
※オビトは外伝でも開眼した途端に別人のように強くなっていましたから、遅咲きの天才は開眼と共に一気にその能力を頂点まで昇らせた可能性はありそうです。
※なぜか四代目の顔岩があったり、時々今のカカシになってるのは、コミックスで訂正してね、せんせぇ。
長駄文、読んでくださって感謝。