NARUTO 630:埋めるもの (2)
(その1の続きです・・・)
(ナルトのチャクラ無しにどうやって・・と戸惑う忍達へ、サクラが一喝)
「さっきのナルトの言葉※でハッキリした!」
(※628話の「ここに仲間が居ねーのが一番痛ェーんだよ」)
「ああ…オレ達みたいな忍でもずっと無理して守ってくれてる…」 (忍)
「そっちじゃない!! 私たちを仲間だと心底思い知らせてくれてるって事をよ!!」
「私はナルトを全快させる! 私たちは私たちのやるべきことをするのよ!」
(何だかな… サクラって、なぜか口調がキツくなっちゃうんだよなぁ)。
「守ってくれる」のがありがたいんじゃなくって、「想ってくれてる」ことが嬉しい。 守れない事もある、失敗することもある…だけど想いが大切なんだって事を、ナルトだけじゃない…皆が実感しつつある。
シカマルはいのを通して黄ツチとビー、そして全忍に作戦を伝えますが、シカマルの「できるか?」に対しての「できるかじゃなくて やるのよ!!」というイノの言葉が実に実に、頼もしい(今でしょ、よりいい)!
全忍が一斉に土遁を使い「弱い壁で十尾の尾獣玉の勢いを殺し続ける」という作戦ですが、土遁って土の性質変化を持ってなくても出来るの?(リーはどうなの?)等々疑問は噴出するんですが、ま、細かいことはさておき(笑) 牛鬼の尾獣玉をぶつけて「軌道を上へ」というシカマルの「頭脳的な発想」、これって前にナルトもやってるんですよね(572話で)、ナルトも頭いいって事になる…けど目立たないのが残念(笑)
そして、シカマルが言う『質より量』という発想が、今までの考え方を根本から大きく変えるものになると思うんです。
《一つの巨大な術を一人が使うのではなく》、小さくても力を合わせて「続ければ」いいという発想…これは術だけじゃなくて平和の「つくり方」にだって言えてる… 小さなことを「続けて」いけばいいのかもしれない…
サクラとシカマル、いのの言葉は、イタチが言っていた《己ができないことを許してやること》そして《全てが出来ないからこそ それを補ってくれる仲間がいる 己が本来できたであろうことを ないがしろにしないためにもな》を思い起こさせるんです。 穢土転イタチが先に出した答えを、忍達は色々と迷いながら「やっと」見つけようとしてる…それだけイタチが凄いってことなんだけど、それでも忍達が苦労して「自分達で」答えに辿り着くこと…それも重要なんだろうと思います。
そして同じような「答え」が、もう一方の舞台である「時空間」においても出されようとしている…
「思い通りに事が運ばない事もあれば 助けが間に合わないこともある…
オレがそうだったように! なぁそうだろカカシ!」
「こんな世界に居て どうやってこの穴を埋める!?」
(オビトの「揺さぶり」は続く…)
「・・・・・」
「…オレは忍びのクズだが それでも学んだこともある」
「心の穴は他の皆が埋めてくれるもんなんだよ」
(三代目、ミナト、ナルト、サスケ、サクラを思い浮かべるカカシ…ガイは無し…と突っこみたくなる)
『自分の都合通りにいかないからと…』
『仲間の想いまで捨てて この世界を諦めてる奴に 仲間なんか集まりはしないよ』
『それじゃ心の穴も埋まりゃしない…』
『逃げて何もしない奴に人は何もしてくれないしな』
『諦めなきゃ 必ず救いがある!』
これもカカシが経験して身に沁みて分かってる事なんじゃないだろうか…? なんだかカカシが「クズ」と言ってるのも自虐ではなく、もはや「誇り」にさえ聞こえてくるんです。 仲間の想いを大切にする意志を曲げないなら、失敗ばかりの「クズ」でも誇りなのだと。
そして、《独りでこの世界を諦めてる》のは「十尾」でもある…カカシの言葉は、オビト越しに十尾に語りかけられているようにも思えてくるんです。
(カカシが時空間で語っている時、「表の世界」では、皆が作った土遁の壁が十尾の尾獣玉を「諦めずに」止めていく…)
圧倒的な十尾玉の前に「弱い壁」は次々壊されるけど、だけど諦めずに壁(意志=石)を繋いでいく…「諦めなければ必ず救いがある」と信じるかのように。 カカシの言葉を「行動で証明する」ように。
「忍の世界でルールや掟を破る奴はクズ呼ばわりされる けどな…」
「仲間を大切にしない奴はそれ以上のクズだ」
「!」
「そして 仲間の想いを大切にしない奴は さらにそれ以上のクズだ」
「かつてのお前の想いは捨てないよ…」 (カカシ、雷切を発動する)
「それを否定するのが今のお前でも」
遂に、「あのセリフ」を言い放ちましたか…カカシ!
ナルト達に「忍者になった最初の日」に、カカシが贈った『英雄の言葉』。
それに「カカシ自身の想い」も加えた「オビトとカカシ、2人の言葉」。
カカシが「何よりも大切」だという「想い」という言葉は、相手のことを「心で考える」という事…そこには変わらないカカシのオビトへの信頼、友情があると思うんです。
目の前の「幻の偽者のオビト」を「否定」する言葉は、それは「本物のオビト」を信じるカカシの「オビトを受け入れる=オビトの帰りを待っている」言葉でもあると思うんです。
カカシは本気の表情で雷切を発動してますが、カカシにとって「独りで夢に逃げ込むようなオビト」こそ「心を失ったニセモノ」。 だから《本当のオビトを信じて》、今度こそ迷いなく目の前の“幻”(幻術体)は斬っていいんじゃないだろうか(今カカシと読者が見てるオビトは「幻術」ですから・・
幻術を消せば、そこには「本当のオビト」が見えると思うんですが・・「迷いを吹っ切ったカカシ」の言葉を聞いたオビトは、どんな表情をしてるのだろう…?
嬉しそうな顔をして笑ってくれてるだろうか??(と期待する)。
オビトが本当に「現実を諦めて夢へ逃げようとしてる奴」だったら、こんなに現実や「この先」にこだわったり、ナルトやカカシにこれだけ「意志を固めさせる」ような事をして念を押す必要がはたしてあるだろうか・・??と私は率直に大いに疑問を感じます。
十尾完全復活前に、ナルトとカカシを「十尾と向き合わせるために仕上げる」必要が、オビトにはあるんじゃないだろうか・・・オビトにとってナルトとカカシは「希望」なのだと思います。
ただし、それは六道仙人ですら出せなかった「答え」…十尾を納得させるには、相当な覚悟で「意志を行動で証明しないと」ダメだと思うんです、それはグルグルと同居していたオビトなら、よーく分かってると思うのです。
オビトは十尾と忍達を向き合わせ、和解への道を開こうとしてるように、私には思えます・・・
(強力な十尾玉に、苦戦する忍達…)
「思ったより強いぞ このままでは…」 (黄ツチ)
「……」 (ナルト)
(「フッ」・・・と十尾玉が消える)
「!!?」 (八つっあん&ビー) 「!? …消えた…?」
(ミナトの飛雷神クナイが、ナルトの前に刺さる)
「遅かったか?」
「イヤ…」 「ピッタリだぜ 父ちゃん!!」
思わず「来たぁ~っ」と叫びたくなるような、ド派手なヒーロー的な登場は…相変わらずよのォ、四代目。
「遅かったか?」って、コレ…かつてのオビトの口癖ですな、ミナト先生。
そしてミナト自身も「間に合わなくって済まなかった」と失敗したこともある…エリートだったかつてのミナト班だって「間に合わなかった」事が多かったのだ(ナルトは「父ちゃんは失敗なんかしねェ!」って雷影の前で言ってたけど)。
しかし、驚いたのは《ナルトが全然驚いてない》!!一体いつから「感知」していた、ナルト…??
遡って「ナルトが感知した描写」を探したんですが、コレと思える程のモノは無いんです。 「忍連合が集まってきた時」は「仙人モード」で皆を感知して気付いてましたが、今回は仙人モードにはなってない。
「尾獣モード」で皆にチャクラを渡してた時はそれどころじゃなかったみたいだし、サクラに回復してもらいながらナルトの表情が「真剣」で次第に「緊張」していってるんで、この時に「感知」したのではないかと考えてます(九喇嘛と会話してた可能性もあるけど)。・・サスケの事も「感じてるのか?」
ナルトは「感知系」ではなかったけれど、この戦い中にミナト(おそらく扉間も)の能力である《仮称・トランス能力》(チャクラの型を感知したり転換できる能力)を引き出してますよね(617話で)。
元々ミナトや扉間は仙人モード等でもない「普通のモード」で感知をしていましたし(例は※にて説明)、ナルトもこの能力を使えば「普通のモード」でも感知は可能なのではないかと推測します。そう仮定すると、過去に気になった描写も納得いくのです。
64巻614話ですが、シカク達本部が十尾の尾獣玉で「消された」時、ナルトが「普通のモード」で感知してるような描写がある…
「……」 「これって… どういうことだってばよ!?」
「お前が作戦の鍵ってことだ」 (ネジ)
「違えーよ!シカクといのいちのオッチャンたちは どうなったって聞いてんだ!!」
「…!」 (ネジ)
やはりアレは、ナルトはシカク達のチャクラが「不自然に消えた」事を感知して、疑問を口にしたのではないかと思うのです。 チャクラの消え方が、尾獣玉でやられて「死んだ=消えた」にしては「不可解」な何か、つまり、尾獣玉炸裂「前」にチャクラが突然消えたとか…たぶん、ナルトだけは「不自然さ」を感知してたのだと思います。
というわけで、あの時《オビトが一度尾獣玉を神威で飛ばして時間を稼いだうえで、次にシカク達を神威で時空間に避難させたあと、さらに尾獣玉を時空間から出して「本部にぶつけた」のではないか…(シカク達は助け、マダラには納得させた)…との偏見持論をさらにさらに確信してしまうのです(笑)
しつこい偏見って言われるかもしれませんが、私的には「強く推す持論」なので…まだ読んでない方には土下座してでも一読していただきたいと願っております(再土下座)・・・・※コレ
扉間・ミナトの「トランス能力」を身につけたナルトが、いよいよ飛雷神の術を使いこなすのか? そしてミナト達も出来なかった「マーキング無し」の飛雷神の術をナルトが「完成」するのも近いのではないかという期待…
彼らですら出来なかった「時空間内」の感知を、ナルトはどうやって叶えるのか?というのが目下の私の関心事ですが、一度だけナルトが時空間内を感知してる描写があります(595話147頁最後のコマ、九尾チャクラモードで「時空間内のオビトの敵意」感知に成功している・・近距離内ではありますが)。
ただし同じ九尾チャクラモードでも、この前628話では、ナルトは時空間内のオビトのチャクラを感知できてない(カカシに「上だナルト!」と言われるまで気付いてない)。 これは多分、オビトに「敵意」が無かったから感知出来なかったんだろうと思っているのですがね(としか説明不能)。
そして、今回十尾玉を「消した」のはミナトなのか、扉間なのかハッキリしませんが、「方法」としては九尾事件の時にミナトが「九喇嘛の尾獣玉を結界経由で向こうに飛ばした」方法だと思うのです(53巻502話)。 だけど今回は十尾玉を「どこ」にどうやって飛ばしたのか…これは次回の説明を待つとしますか。
しかし、父ちゃんの「飛雷神」をナルトは初めて見るハズなのに、これも驚いてない…それは自来也が「四代目が使っていたあの術」として、ナルトに自慢するように語っていたからではないかと思ってます。 自来也にも、ナルトが「あの術」を完成させるのを見せてあげたいなぁ…
しかし、もうこの状況…ここから先は、全ての忍が「心」を合わせない限り 十尾の憎しみ、孤独を癒すことはできないと思います。ケンカしてる場合じゃないのですよ、マジで忍の皆さん。
世界は「永遠の夜」になるのか…それとも“暁”を迎えられるのか。
それを「決する時間」は、いよいよ迫っているのだと思います。
☆長駄文読んでくださって、感謝。
(ナルト好きブログ! 2013/05/20)