NARUTO 668:紅き春の始まり その2
(その1の続きです)
・《そして…八門遁甲の陣!!!》
《今こそーーー》
「開!!!!八門遁甲の陣!!!」
《自分の大切なものを死んでも守りぬく時!!!》
ズガガガガ!と赤いオーラが噴き出すように、まさに「燃え上がる」…ついにガイは《木ノ葉の紅き猛獣》になってしまいましたが、それを見届けている四者は四様の反応。
リーは涙を流しながらも目をカッと見開き、カカシは「ガイ…お前本当に…」と動揺しながらも、ガイの想いも分かるからなのかなぁ…カカシには止められない。 ミナトは「なんて…事を…」とやはり止めたかったんですねぇ。
誰もが動揺する中で、一人だけ冷静に見ているのは「マダラ」。表情こそ全く変えないけれど、すごく真剣に見入っていますよね。(前に、オビトが今週のマダラと同じような表情で物陰からナルトを見つめていた事があったんだけど、あれは結局何だったのだろう?=結界の中に十尾玉を発射しようとした時)。 で、この後、マダラはこんな言い方してるんですがね…
「赤い蒸気」
「八門全開時特有の…血の蒸気というやつか…」
「フフ…だがこうやって見ると なんだろうな…
まるで秋に散り朽ちる枯葉色…落ち葉の様よ」
「碧いオーラ」は汗が蒸発することで生まれたものでしたが、「赤い蒸気」は血が蒸発したことで生まれたオーラでしたか(危険すぎる)。マダラはこんな言い方こそしてますが、直前の「真剣な表情」といい、第八門が開かれるのを輪廻眼でスキャンし観察していた時の表情といい、とにかく「今までの中で一番本気の表情」になってるような気がするんです(今までは《この程度か…》と呆れるような、諦めるような、突き放すような表情をしてる事も多かったと思うんですが)。
「八門遁甲の陣」…話には聞いたことがあっても、実際に見るのはさすがのマダラも初めてなのか、興味津々といったところですが、でもこれほどの真剣な表情…「興味」を超えて、もはやガイの体術はマダラにとって「驚嘆」そのものなんじゃないかと思います。
《何かとチャクラ頼みの忍術》とは違い、人間本来の力を最大限に引き出す体術の「究極」。 チャクラの実を食べてしまった「原罪」を負う忍達が、チャクラと共存していける活路を、マダラはガイの中に見出し始めているのでしょうか。 さほど期待もしていなかった「砂利の一粒」の中に、ここまで輝く石があったことは、マダラにも「予想外」だったんじゃないだろうか。
フフ…と鼻で嗤ったり、落ち葉呼ばわりしてるけど、あれは本心じゃあない…本心はマダラさん、相当揺れているんじゃないだろうか。ここまで「見せる」忍が居たことに…。
「…確かにそうだ だがただ朽ちて落ちるわけではない!!」
「!?」
「それは新たな 青葉の養分となるのだ!」
「そして青葉が芽吹く新たな春へと繋げる時こそがーーー」
「青春の最高潮!! 真紅に燃える時!!!」
「!!?」
青じゃなくて碧、赤じゃなくて紅…色彩的な違いもあるのでしょうが、碧は瑞々しい青緑「新緑」のような色に思えるし、紅は実が熟したような赤…新しい命、再生の象徴にも思えます…紅い夕焼けが次の日の澄み切った碧い空を予感させるように。ならば、ガイだって…
紅が「死の前」なのか「生の前」なのか、それも前向き発想次第なのかもしれません。
リーはしっかり見てますね、師が最高にカッコいいところを…青春の最高潮に達しようとするところを見逃すまいとして。 《八門遁甲を受け継ぐ者》として、ガイの忍道と想いをしっかりと受け取っているんだろうか。かつてガイが、ダイから受け継いだように…
・《死んでも守りたいもの》
「あの子には死んでも証明し守りたいものがある」…
ガイは、リーの事をこんな風に言ってたことがあります(中忍試験の時)。
あの時、八門遁甲を開いたリーを見て、カカシは驚いて「教えちゃならん技」だと、かなり本気で怒ったんですよね。そして、こんなことを言ってた…
「あの子がお前にとって何なのか詮索するつもりはないし 私情をはさむなとは言わないが 限度ってもんがある」と… そして「見損なったぞガイ」とまで…かなりの言い方ですよね。
あの時、カカシが何であんな言い方をしたのか…今回ちょっとだけ分かった気がしました。 カカシは「ガイの父さんの話」を知ってたからこそ、ガイが「リーと自分の関係」を在りし日の「自分と父さんの関係」に重ね、そのために危険な事をリーに教えてしまったのではないかと心配したのでしょうか。 だから「あの子がお前にとって何なのか」とか「私情をはさむな」なんて言ったんだろうか…。ガイにしては珍しくセンチメンタルな感情に囚われて冷静さを失ったのではないかと思い、だから「見損なった」なんて…そこまで厳しく言ったんだろうか。
もっとも、カカシがそこまで強く忠告したのは、カカシ自身も同じような気持ちに囚われることがあったんじゃないかと思うんです。カカシだってナルトの中にオビトを見て、サスケに千鳥を与え、第七班とミナト班を重ねてましたもんね。
カカシも「私情をはさんでないとは言い切れない」ものがあるだけに、ガイの気持ちもよく分かってた…だから心配だったのかもしれないですね、誰も知らない「ガイの心の穴」を、カカシは理解していたからこそ…。
だけど、ガイはあの時、こう答えていた…
「お前があの子の何を知ってる…」と。
カカシと言えば「千の術」をコピーし、3属性の忍術を使いこなす天才。それに較べガイには「体術しかない」(口寄せは使うけど)。だからこそ『八門遁甲』はガイにとって「たった一つの大切な技」…それはガイとリーにしか分からない想いなのかもしれません。
《忍術や幻術が使えなくても立派な忍者になれることを証明したい》…リーの一途な想いは、多くの術を使いこなすカカシには「分からないだろう」とガイは言いたかったんじゃないだろうか?
昔、ネジはリーの忍道を聞いて「忍術や幻術も使えないって時点で忍者じゃないだろ 何だ?ボケか?」なんてつっこんでましたっけ…でも、これはごく普通の考え方なんだと思います。
だけど、ガイとリーは「忍道を失うようなことがあれば生きていけない」と言っていましたよね。 彼らは忍術が使えないからこそ、自分にとっての《たった一つ》を想う気持ちは強い。 彼らにとって、忍道を守り貫くことは「生きる」ことそのものであり、忍道を諦めるようなことは「本当の意味での死」を意味するのかもしれません。
だから…己の忍道を貫く時は「生きる」ことの証、それが肉体的な死に繋がったとしても、それは「生」そのものであり「青春の最高潮」なんじゃないだろうか。
・《唯一の技》
そして《ミナトとカカシ》がどんな思いで《ガイとリー》を見ているのか…これが気になるんです。だって、この2人もガイと同じように《唯一の技》を大切な者に託しているのだから…
ガイの回想中で、ダイがガイに八門遁甲を伝えた時、《唯一の技》《父として唯一お前に伝える技》とか《お前にとっても最も特別な技となる!》と言ってましたよね。この《唯一》連発が気になりまして…
ダイの言う「唯一」とは「1つしかない」という後ろ向きな意味ではなく、(オンリーワン)だからこそ物凄く物凄く大切だという「前向きな」意味なんじゃないだろうか…なにせ「前向きしかない」ダイの言う事ですから。
で・・・これも中忍試験の時の話なんですが、ガイがカカシの雷切(千鳥)について説明している部分があるんですが、その時ガイは《カカシ唯一のオリジナル技》という言い方をしてるんですね。
この時は、なんだか「唯一」って言葉が引っかかって、カカシは千の術を扱えるのに「オリジナルはたった一つなのかぃ!」って…なんだかケチつけられたような気分になりまして(笑) だけど、やっと今になって、あの時のガイのセリフの「真意」が分かりました。あれも「いい意味」だったんですね;
そうか…ガイにとっても「八門遁甲」は父・ダイが教えてくれた《唯一の技》だった。だから大切な技だった。たった一つだからこそ、その一つは掛け替えのないもの…そしてたった一つだからこそ光る。
カカシほどの忍なら、新術の開発は難しい事じゃなかったかもしれないけれど、でも…カカシにとっちゃ千鳥(雷切)は《サクモの意志の象徴であり、オビトが完成させてくれた大切な術》…それを超えるモノはあり得なく、オンリーワン唯一の大切な術なんだと思います。だからカカシはあえて他の術を開発しなかったのかもしれないし、カカシにとっての《千鳥=雷切》は宝物のようなもの…
(「神威」の事も当初は「新術開発」とは言ってたけど、あれは会得したってことでしたよね、結局は)
ガイは、カカシの想いに敬意を表して《唯一》という言葉を使っていたんですね(きっと)。
中忍試験で、カカシがガイの「八門遁甲」を語り、ガイがカカシの「千鳥」を語ったのは、それらが二人にとって大切な《唯一の》技だったからなんですねぇ。
そして…
カカシにとって千鳥が「唯一」の術なのだとしたら、ミナトにとって螺旋丸は「唯一」の術なんじゃないだろうか…?
「飛雷神」は扉間オリジナルの術だったし、「屍鬼封尽」もうずまき一族に伝わる術だった。 おそらく…「螺旋丸」だけはミナトオリジナル、八つっあん(尾獣)とキラービー(人間)の共闘にヒントを得てミナトが開発した術。
螺旋丸は、ミナトがナルトに伝えることになった《唯一の》技なんじゃないだろうか(実際にナルトに教えたのは自来也だったけど)。
ダイがガイに伝えた《唯一の技》は、相手を倒して勝つために使うのではなく、自分ルールで…自分の大切なものを死んでも守り抜く時に使うようにと、ダイはその意志もちゃんと伝えていた。 そしてダイは口先だけじゃなく、ガイの前で、自らそれを行動で証明してみせた。
そしてガイも今、リーの前でちゃんと行動で伝えようとしてるんですよね…青葉の養分として繋がるように。 本当に「男らしい」というか、カッコいいよ、ガイ…!!それをしっかり受け止めているリーも、本当に偉い(としか言えない…)。
(マダラが真剣なまなざしで見つめてたのは、ガイのそんな想いも感じ取っていたからなのかな…)
カカシは、自分の《唯一の》大切な技「千鳥」をサスケに伝授し、そして千鳥は「仲間を守るための力だ」と言葉では伝えてたんですよね。
だけど、あの時(20巻)のカカシの想いはちゃんとサスケに伝わっていなくって(というかサスケが意図的に断ち切った)、あの時以降サスケは(ワザとなんでしょうね)…千鳥を復讐の刃として使いまくり、仲間に向け、カカシの想いとは逆方向に使っちゃってたんですよね(この戦争中はまだ使ってないけど)。これ、カカシは「師」としてこのままじゃいけないでしょーよと思います。
カカシのサスケへの「積もる話」には、千鳥の件も含まれてるとは思うんですが、でもここは…「話ではなく」、行動で見せてやらないと本当には伝わらないんじゃないかと思います。ガイがリーの前でちゃんと見せたように…まだ、カカシにはその役目が残っている。
そして…ナルトとサスケも、ミナト(自来也?)とカカシから螺旋丸と千鳥に託された想いを受け取り、その力を《勝つためではなく、大切なものを証明するために使う時》は、刻々と近づいているんじゃないかと思います。
《夕象!!!》
次回、ガイの「夕象」とはどれほどのものなのか…ガイは「生きる」と信じております。最高にカッコいい青春を手に入れてほしい!
☆くだらない話なんですが…ここのところガイの同期(カカシ、オビト)の話が続き、回想でゲンマとエビスが出て、セリフに「紅」とか「アオバ(青葉)」とか;「芽吹く(森野息吹じゃなくてイビキ←少々無理アリ)」とか…なんとなく同期達集結の予感(笑)
☆長駄文、読んでくださって感謝。
☆ご意見、水曜日お昼ごろまでお待ちしております、よろしくお願いいたします。
(ナルト好きブログ! 2014/03/17)