NARUTO:675 今の夢 その2
・今度は、「マダラ側」からの見方で・・・
とにかく、まぁよく言うよと思うぐらい、見事に「己の闇」をぶちまけていくマダラですが、ちょっと気になる点もあるんですよね。
「(リンの事件の計画は) オレが仕込んだ事だ …霧隠れではない」とか…
「霧隠れの忍を操り追わせたのも 全て計画」とか…
リンの事件の真犯人は「霧隠れではなくオレ」と2度も繰り返し《オレオレ》主張しているんです。
当初、リンの事件が起きた時…《マダラがオビトに見せたもの》は、血霧の霧隠れによる蛮行、そしてリンを助けられなかった木ノ葉… オビトの憎しみを一気に《この忍の世界》へ向けさせるものでした。
そして今回、リンの事件の真相として《マダラがオビトに語ったもの》は、《うちはマダラによる蛮行》。オビトの憎しみを《うちはマダラ》へ向けさせるものです。
《原因は霧隠れではなく、全てオレ》との強調は、かつてオビトが「この世界」に憎しみの矛先を向けたのは「間違い」であり、本来は「マダラ」に向けるべきであったのだと言ってるように聞こえる。
それも『リンにまで呪印札を取り付けた』だなんて…オビトを一番「憤らせる」事まで告白して、なぜ、マダラは「オビトの怒りを自分に向けさせる」必要があったんだろうか? そして、なぜ、今までその「切り札」を取っておいたのだろうか?
…ただの『ドS趣味が高じて』とか『神樹を取り込んだ事でおかしくなった』とは(私には)あまり考えられないんです。ここで「切り札」を出すなんてのは、あくまで『計画的』に思えるんです。
一連のマダラのドス黒い言動、ドロドロした内面をひっくり返して見せるような行為… 思わず42巻イタチがサスケにやって見せた事を連想してしまいました。イタチファンの方には怒られそうですが、イヤ…似てると思うんですよ、やってる事が(まぁ…聞いておくんなさいませ)。
あの時、己の死を覚悟したイタチは、サスケの憎しみの矛先を自分に向けさせたまま、「写輪眼の事やマダラとイズナの事」などを語り「サスケェ!お前はオレにとっての新たな光だ!お前はオレのスペアだ!オレはお前を殺して…」等々、物凄い形相で叫んでましたが… アレは己を偽ったまま、サスケの憎しみをさらに煽って迷いを断ち切らせ、「サスケの眼を万華鏡へと向かわせる」ものでもありました。…似てませんか、今のマダラの状況に…。
もちろん、この世界を「終わらせるための行動」に出ているマダラと「本当はこの世界を守るための行動」に出ていたイタチでは違う…かもしれません。ですが「本当は大切な者」に向けて遺言のごとく伝えたいことを伝え、怒りと憎しみを爆発させるように仕向け、「脳内から特殊なチャクラを発生させて瞳力を飛躍的に上げさせる」かのような行為については「共通」しています。
『うちはの者が大きな愛の喪失や自分自身の失意にもがき苦しむ時…脳内に特殊なチャクラが吹き出し視神経に反応して眼に変化が現れる』…とは扉間の分析ですが(619話)、うちは一族の豊かな感受性は、大きなショックを受けると瞳力を跳ね上げさせるらしい。 マダラがオビトに対してこんな激しい「煽り」をすれば、オビトの瞳力が爆発的に跳ね上がる可能性もある事は、マダラだって承知の上だと思うんです。もう…これは《意図的》じゃないかと思えてしまう…
問題は、なぜマダラは「オビトの瞳力をあげさせる必要があるのか」という点なんですが、そこは「なぜマダラはオビトを選んだのか」、「マダラにとってオビトは何だったのか」という点に行き着くのではないか…と思うんです。
オビトのあの「2つの質問」は、マダラの《秘められた願い》を突くものだったのではないだろうか…?
マダラはひたすら「オビトは都合のいいコマでしかない」とか言っていますが、ホント―はそんな事は無いんじゃないかと思うんです。なぜなら、マダラがリンの事件を起こした理由は「オビトに憎しみを作り出すため」であり、そして、
「お前の力を解放させ“その程を見る為”でもあった」
…とも言ってるんですね。 マダラはオビトの秘めた瞳力、「力」を試していた。
それに前回674話では、マダラは《オビトより早く生まれていればこいつ(サスケ)を…》なんて考えてましたっけ。 それは「オビト以上」であるサスケの優秀な能力を見て考えていた事であり、マダラがオビトにあてがった「役割」は『それだけの能力が必要な重要な役割』なんだろうと思います。
そして、もしマダラがオビトの能力を「引き上げよう」として煽っているのならば…「ここから先こそ」、マダラがオビト(そしてサスケ)に期待する「役割」の本当の出番なんじゃないだろうか。
…少し戻りますが、時空間から戻ったサクラが、オビトから聞いた話を思い出すのですが…
「(マダラの)両目が揃ってしまえば 恐ろしい事になる」
「オレも輪廻眼を両目に移植することはできなかった…」
「この左目の一つでさえ…強すぎるチャクラと瞳力で己を失いかけた
本来の持ち主でないオレが片目だけでここまでできた」
《恐ろしい事》とは一体何なのか… 恐ろしい事とは《強すぎるチャクラと瞳力でマダラが己を失って暴走してしまう》事…じゃないだろうか。
マダラ自身の意志と関係なく、輪廻眼に宿る意志とチャクラが十尾のチャクラと神樹の眼を得て「本来の姿」に戻ってしまうんだろうか…?
「輪廻眼」とは崇高な眼であると同時に、どうやらかなり「禍々しい」眼でもありそうです。 その目に宿る「存在」そのものが「崇高でもあり、禍々しくもある」という事なのでしょうか。 ペインの黒棒を通して輪廻眼のチャクラを感じた自来也やカカシは、そのあまりに禍々しいチャクラにゾクッとしていたし、あれだけの禍々しい力をコントロールするのは、たとえマダラでもほぼ不可能なのかもしれません…ね。
やはり…オビトはその「危険性」を知っていて、マダラの復活と計画を「阻止」する為に今まで動いていた可能性が極めて高そうな気がします。 オビトがはじめから輪廻眼を「1つしか移植しなかった」のも、己を失わない事が重要だったのだろうし、十尾とチューブでつながって戦っていた時には「十尾の力を制御していた」ような発言もしていたし…初めからかなり「手加減」してたことが分かります。
しかし、マダラも当然輪廻眼を得れば「己を失う可能性」を分かっていると思うんです(そこまで「愚か」ではあるまい)。 なのに突き進もうというのは…承知の上で自分を「差し出す」つもりなんじゃないだろうか…《信心深い》マダラならば…
「原罪」を背負う限り、チャクラという「呪い」から解き放たれない忍達は、すべての「はじまり」である存在と、いつかは…正面から向き合わなくっちゃいけないんじゃないだろうか。
マダラは…その為に、己を「器」として「始まりの存在」に差し出すつもりではないのか… そして忍達に「その存在による恐ろしい無限月読」と向き合わせるつもりなのか…それがマダラの言う《荒療治》なの「かも」しれない…なんて思うんです。
今回の、マダラの《オビトへの煽り》は、まだマダラへ愛情を持つオビトに「決意」させるための煽りでもあり、そして今までオビトにしてきた非情な事々の告白は、己を失う前の、せめてもの、クソじじい流の《懺悔》でもあったんじゃないだろうか…?
マダラは「その存在」に自分を渡し、オビト達に「破らせる」つもりではないのか…なんだかなぁ…その可能性もあると思えてしまうんです。 なにせ…マダラは素直に腑を見せる輩ではありませんから。
「ククク…イヤお前はオレの思い通りに動いてくれた」
「イヤ…期待以上か…」
これはマダラがオビトに言った「皮肉」のようなモノですが、実は「本音」だったかもしれない…(いい意味で)。
(さらに、オビトがサクラに語った言葉)…
「本来の主に輪廻眼の両目が戻れば おそらく誰もたちうちできなくなる…」
「瞳力とは 2つ揃って初めてその力を発揮する…」
《瞳力とは 2つ揃って初めてその力を発揮する》…これはこの前、カカシとオビトが並んで神威共闘した時に証明してみせた事でもありますが、《本来の主に両目が戻れば》…「その眼に合う本人の体」に両目が揃う事ではじめて『さらなる力』が引き出される事も当然あるんだろう…と思います。
オビトの「神威」の眼だって、もし「その眼に合うオビト本人の体」に両目が戻れば、今までになかった「本当の」能力が生まれる可能性はあるんじゃないだろうか(マダラがそこまで計算しているかどうか…現時点では「不明」ではありますし、オビトに両目が戻るとは言い切れませんが)。
そして、もしマダラが「オビトの神威の眼」にも何らかの期待を寄せ、マダラが己を失った後に来る「恐ろしい月読」を、その神威の眼が破ってくれる可能性に託しているのだとしたら…(仮にですが)…
前回第674話「サスケの輪廻眼…!!」感想その1(※)で書いた《イタチはなぜカカシに「月読」を食らわせたのか》という疑問が、改めて沸々と湧いてくるんです。
やはりあの時、イタチは「カカシの眼(神威の眼)」に「月読耐性があるかどうか」を試していたのではないだろうか…?
《イタチが、カカシとサスケに立て続けに食らわせた“月読”…(16~17巻)》
イタチは…これから先起こるかもしれない《無限月読》に向けて、この世界に残った写輪眼(サスケとオビトの眼)が月読を破れるかどうか…試してたんじゃないだろうかと…コレが気になって仕方ないんです。あくまで、可能性という話ではありますが…
「アナタ(カカシ)の体は“その眼”に合う血族の体では無い」
「確かに写輪眼を持っていればこの“万華鏡写輪眼”に多少の抵抗は出来る」
「しかしこの特別な写輪眼の瞳術 幻術“月読”は破れない…」
「オレ(月読術者)を倒せるのは同じ“血”を持つ写輪眼使いだけだ」
(16巻、イタチがカカシに月読を食らわせた時の言葉)
イタチは「カカシの写輪眼」が本来の持ち主に戻り、本来の持ち主が「その眼を2つ揃えることがあれば」…月読を破る事は「可能かもしれない」と…あの時、既に布石を打っていたのではないだろうか・・・
もし、もしもですが…マダラが「オビトの神威の眼」に「月読を破る可能性」を期待しているのだとしたら…あれだけオビトの『怒りと憎しみ』をマダラに向けさせたのも、分かるような気がしたんですよね…
(その3「今の夢」に続けます…多分、それで最後です、すみません)。
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