ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

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四代目火影ミナトの《父親だから》… 「カッコ悪いオヤジの背中」の考察

ミナトの《父親だから》…「カッコ悪いオヤジの背中」の考察

 
 ミナトのセリフ『父親だから』…これを(昨年の)『印象に残ったセリフ』の1つに選んだのは、昨年のNARUTOの中でも「父親たち」の姿が印象に強く残ったからなんです。
 
  NARUTOには多くの「父親達」が登場しますが、終盤にも何人もの「父親」が登場しましたよね… ナルト世代の親たちシカク、いのいち、チョウザ、それに回想上でサスケの父・フガクの「父としての想い」も登場したし、六道仙人(ハゴロモ)も「悩める父親としての姿」が描かれていたり。 さらにマイト・ダイ、はたけサクモも… 
 
「父親だから」…
 
 これは664話ミナトの回想に出てくるセリフですが、ナルトが生まれる前からあれこれと先回りして心配をするクシナが「母親だから」と言い…ミナトは何かあった場合には子供を守る…それを「父親だから」と言っていたんですね。「母親ならでは」の愛情の示し方をするクシナと「父親ならでは」の愛情の示し方をするミナト… よーするに“微笑ましい夫婦喧嘩”のようなモノなのですが、どちらも「子供を守りたい想い」は同じなんですよね。 このミナトとクシナのやりとりは、岸本先生の実体験に基づいているのかな…?
 
 この回想は、ナルトが生まれる直前つまり九尾事件直前だと思うんですが、この時の会話が《九尾事件の時の夫婦喧嘩の決着》の会話へと繋がっていく。
 
「母である君が ほんの少しの時間であっても ナルトへ伝えられるものはオレなんかがたちうちできない・・それは母親の役目だよ」
「息子のためなら死んだっていい・・・それは父親でも出来る役目だ」。

このあとクシナが「夫婦ゲンカで私が負けたのは初めてね・・・それだけアナタが本気だって事」と言っていたのは、あの時の「母親だから」「父親だから」の会話があったから…だった。 ミナトが最後までこだわったのは、母親は「母らしい愛の示し方」で、父親は「父らしい愛の示し方」で…お互いにナルトの為に出来る事をするって事だったんですね。 
 岸本先生は、NARUTOのターゲット層は《中2》世代だと常々仰っているけれど、中2と言えば「親子関係が一番難しい年頃」。 NARUTOに登場する父親達を通して、読者にも「父親の想い」ってものが少し伝わったんじゃあないのかな(…なんて思うんだけども)。 このテーマ、「今の岸本先生だから」こそ描けるテーマなのかもしれない。 
  
 その「父親達」ですが、はじめの頃はひたすら《カッコいい》父さんたちだったと思うんです。 上忍班長シカク、優秀な能力を使いこなす いのいち… ナルト世代の父ちゃんズは有名な忍が多く、ペイン戦(あるいは大戦開戦前)迄は「父ちゃんズ」は子供世代にとって「すごい人達」だったんです。
 
  それを物語るひとコマとして、第四次忍界大戦開戦直前、情報部隊に配属された雲隠れの忍・天画が「有名人」いのいちに近寄って「いのいちさんですね!アナタのうわさは聞いてます!」なんて興奮気味に声を掛けている…他国にまで勇名を轟かせる「いのいち」 …  彼ら世代は、1つ前の大戦(第三次忍界大戦)時に活躍した世代(当時二十代)だったせいもあるでしょうが、あの一コマは《まだまだ(開戦前時点では)父ちゃんズの時代だった》事をさりげな~く語っております。
しかし、戦争では「いの」が父ちゃん超えの活躍を見せて、見事な世代交代を果たしたのはご承知の通り(もちろんいのだけではなく、他の同期達も…)。
 だけど「既に地位も名声も確立していたカカシやガイ」でさえ、第四次忍界大戦開戦前まで「父親に並んだ」とは思っていなかったらしい。

 カカシといえば… カカシは「戦闘能力的に」父と並んでいない(と思われる)事が、前まですっごく気になっていたんです。 ナルト達が次々と父親に並んで、あるいは超えていく中で…カカシだけが「偉大なサクモ父さん」に並べずにいる事が気になったんです。 でも、どうやらそういう事ではなかったらしい…  彼らが父親とまだ並んでいなかった(と考える)理由は、私の考えていたものとは違う理由でした。それを教えてくれたのが《ガイとダイ親子の在り方》…

ガイは、今やカカシを上回る実力を誇り、他国にまで名を轟かせる「上忍」…一方で父親のダイは「万年下忍」。エリート父ちゃんばかり登場するNARUTOの中でダイは異色な存在でした。 
 
 ガイと父親ダイの実力差は圧倒的に思えたし、ガイ本人も中忍になったずーっと昔に既に「パパ超え」を果たしたと考えていたと思うんです。というのも、668話…ガイが中忍になったばかりの頃でしょうか、忍刀七人衆に囲まれピンチに陥ったガイ達の前にダイ父さんが現れた時…ガイは「下忍の父さんがどうしてこんなとこに!?」なんて言ってる…。  明らかに、この発言は《中忍ガイ》が父さんのことを《下忍》として見た、上からの発言でもあったと思うんです(もちろん父さんを心配しての事なわけですが)。 だけど、自分の命をかけて八門を開き、大切なものを守りきったダイに…ガイは「本当の差」を思い知らされたんじゃないかと思います。
 「本当の差」…それは死門を開いたことによる「一時的とはいえ、影をも超える強さによる差」ではなくて…大切なものを守る為なら命さえかける《父親だから》の愛情の差… 父さんの本当の強さは「戦闘力の強さ」ではなく「愛情」そして「意志の強さ」…
 
 ガイの日頃の無茶に見える熱血修業も リーへの激愛も、ダイ父さんに近づきたい想いがあったからなのか…そして死門を開こうとするガイをカカシか止められなかったのも、ガイの想いを知っていたからなのかな…。
 一方でカカシも、父を超えられないと思っていた一人だったわけですが、「三忍をも凌ぐ実力者」と言われたサクモですから…一度はその「実力」を拝見したいと思ってたんです。 あれだけ「強い」と説明があれば、その戦いっぷりを見たいと思うのが読者の心理ってもんでして…なのに、遂にその御姿が描かれる事はなく、描かれたのは「意外とヘタレな父さん」としてのはたけサクモの姿でした…
 ちょっとした事でオロオロしたり早とちりし、息子にツッコまれたり指示されたり。それでもサクモの「人を見抜く目」…他人の評価や目に見えているものだけに惑わされず、真価を見抜く力はずば抜けていた… 
 
 忍術が使えるとか、今現在の「力」レベルが高いとか、大切なのはそういう事ではなく…どれだけ努力を積み重ねているか。サクモは「本当に大切なモノ」を見抜く人でした(だからこそ任務で仲間を見捨てたりできなかったんでしょうね)…。
 カカシ自身も、サクモ父さんの「本当の強さ(カッコよさ)」は、木ノ葉の白い牙という通り名で呼ばれたその「戦闘力」よりも「人間的な部分」にあると思っていたんじゃないだろうか。
 何だかな…岸本先生がサクモの戦闘シーンを描かれなかったのは、本当に大切なのは「その人の仕事能力」よりも「人間性」にある事を伝える為だったのかもしれない…とも思うのです。もしそうだったとしたら、してやられた感があります(笑) 本当の親父のかっこよさとは何なのか――…
 
 カカシはこの後、オビトの力を借りて「一時的にサクモ父さん以上(と思われる)力」を手にしますが、カカシが「父さんに並んだ」事を実感できたのは、その圧倒的な強さに於いてではなく、「オビトの友であり続け、サスケの師であり第七班の先生であり続ける事が出来た」から‥人を表面で判断するのではなく、本質で判断する(信じる)事が出来たからじゃないかと思うんです。
 
 ミナトに関しても、初めにナルトの前に登場した時(47巻)は《カッコいい四代目火影》だったと思うんですよね。 颯爽と登場してナルトを助け、サッと封印を締め直し、里をナルトに託していった…どっちかというと「父ちゃん」というより「火影」の印象が強かった。 
 だけど穢土転されて再びナルトの前に現れたミナトは…もちろん飛雷神を駆使し九尾チャクラさえ使いこなし、圧倒的な「強さ」で十分魅せてくれたのだけど…意外と「失敗も多かった」とか、息子の前で涙もろくなってしまったりとか…ちょっとだけ「甘い」一面も見せてしまって、すべてがカッコいい訳でもなかった(と思う)。
 
 そのほかの父ちゃんズも…
 
 里一番の切れ者のシカクは「母ちゃんに見られたらマズイものをこっそり隠していた」とか…あの六道仙人ハゴロモでさえ親子関係に色々と面倒な問題を抱えこんでいたり…叩けば色々と埃も出てきたし、カッコ悪い部分も次から次へと出てきた…。そういえば我愛羅父さま四代目風影も、父親としては失敗部分が多かった。  
 シカマルは「親父の背中を見て育ったからよ」と言っていたけど、その背中は「カッコいい」だけじゃなく「カッコ悪い背中」でもあった… 子供ってのは、親の背中に「カッコよさ」だけを見て育つわけではないんですねぇ。
 
  母親の分かりやすく(時にうるさい)愛に較べたら、父親の愛はちょっと分かり難い。 それに親父の背中は時々すっごくカッコ悪い事もある。 
 それでも父親は子の先を歩いて、その背中を見せて…子はその背中から「父ちゃんのカッコいいところもカッコ悪いところも」を見て学ぶ。  「色々な失敗を子供に見せる」ってのも、先を歩いて子の為の盾になるのと同じことなんじゃないのかな…。 
 だから、転んだり滑ったりの親父の「カッコ悪い背中」も、本当はすっごく「カッコいい背中」…皆の先を歩く火影と似たカッコいい背中なんだと思います。
 
そんな愛情の示し方が出来るのも、《父親だから》…(きっと)。
 
 
  
 
☆長駄文読んでくださって感謝。
 
 
 
 
 
(ナルト好きブログ! 2015/01/04)