ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

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ナルト考察 139話「その者の名は‥!!」に仕込まれた伏線 その1「イルカの言葉」

7月18日発売の週刊少年ジャンプ33号、センターカラーで いよいよ岸本斉史先生のミナトのストーリーNARUTO-ナルト-外伝~渦の中のつむじ風~》が公開されます! 全世界投票第1位記念ね。 いやぁ楽しみですな!

 

 さて今回は、ラストのコマに その四代目火影波風ミナトの火影岩が描かれたコミックス16巻、139話の雑考を。

 

 私は前々からコミックスで一番好きなのが16巻と言っておりまして、というのはこのあたりがストーリ上「重要な転換点」であったり、 雑考オタにはたまらない《伏線の大宝庫》となっているからです。 お宝の山と言いますかね‥  その中でも最も推しなのが「139話」。 今回は、まずその中から「ナルトのあの表情」と「イルカ先生の言葉」の雑考を少々。

 

 まぁ物語にはいくつか大転換点がありますが、間違いなく139話もその1つなんですよね。  事実上《ここから第二部が始まってる》ようなもんなんです・・ つまり、敵が「大蛇丸」から「“暁”=オビト」に変わるのがココ。 

 

 話的には「大蛇丸の木ノ葉崩し」が終わって、里に鬼鮫うちはイタチが姿を現すところから始まります。 この時が初めてなんですよね、リアルなイタチが登場するのは。 ま、この139話では「鬼鮫とイタチ」の名前はまだ出てこないで「姿」だけ‥それに“暁”の名前もまだ出てこない。 だけど確実に「次の物語」が動き出していくんです。

 

 

 そして場面は「三代目火影の葬儀」へ‥

 

 イルカは、三代目のことを想い出していきます。 孤独だったイルカを、三代目は優しく抱きしめてくれた‥  そしてイルカは、泣きじゃくる木ノ葉丸をそっと抱きしめる。 それをナルトは「・・・」と見つめているのだ‥

 

139話より

 ナルトは顔をちょっとしかめている。 「・・・・・」と何かを考えているんですよね。 この顔が気になる‥ ナルトは何を感じ、何を想っていたんだろうってね。 

で、どうやらこういう事だったらしい。

 

「イルカ先生」‥

「なんで人は・・人のために命をかけたりするのかなぁ・・」

 

 ナルトはこんな「なんで??」を感じていたんですね。

 

それにイルカが答えるんですが、ここ‥イルカがものすご~く重要なことを言っています。

 

「人間が一人死ぬ・・なくなる 過去や今の生活 そしてその未来と一緒にな‥」

「たくさんの人が任務や戦争で死んでゆく それも死ぬ時は驚くほどあっさりと‥簡単にだ」

「死にゆく者にも夢や目指すものはある‥しかし誰にもそれと同じくらい大切なものがあるんだ」

 

そして・・

 

「生まれ落ちた時からずっと大切に思ってきた人たちとのつながり・・」

「そしてそのつながった糸は時を経るに従い 太く力強くなっていく‥」

「理屈じゃないのさ!その糸を持っちまった奴はそうしちまうんだ‥」

「大切だから」

 

 ナルトは「うん‥なんとなくはオレにも‥分かるってばよ‥」と答えている。 

いや、分かってないでしょ‥

 

そしてナルトは続ける。「でも‥死ぬのは辛いよ」と‥ すると今度はカカシが答える。

 

「三代目だってただで死んだわけじゃないよ ちゃんとオレ達に大切なものを残してくれてる‥」

「?」

「ま‥いずれお前にも分かるようになるさ」

 

「うん‥! それも何となく分かるってばよ…」 そしてナルトは駆け出していく。

 

いや‥やっぱり分かって無いよね。 「なんとなくは」とか「何となく」と言っているし、「分かるってばよ!」じゃなくて「分かるってばよ‥」とやや弱めな言い方。 「なんとなく分かるような、分からないような‥」だったんでしょうね。 説明は分かるが、実感としては分からない的な‥

 

 でも、それも当然だったんです。 ナルトはまだこの時「大切な人を失う」経験をしていなかった。 赤ちゃんの時から家族は居なくて一人だったし、身近な大切な人を失った経験をしていなかった‥  だからあとでサスケに「初めから独りっきりだったてめーに‼ オレの何が分かるんだってんだ!!! アア!!?」とか言われちゃうのだ(終末の谷で)。 

 人が人を守って死ぬ理由も分からなかった‥ 泣きじゃくる木ノ葉丸を見て「こんなに悲しい想いをして辛い人が居るのに、なんで命をかけるのか?」すごく疑問だったんですね。 

 

 大切な「つながりの糸」のことは、やっと里の人たちとのつながりを感じ始めていたナルトにとって「なんとなく」分かるけど、命をかける事は分からない‥ 三代目が「残してくれた」ものだって、何となくわかるような気がするけど、はっきりは分からなかったのだ。 それもそのはず・・

 

ナルトがそれを「分かる」ようになるのはずっと先、なんと615~616話だったのです。 コミックスで言うと64巻、最後の「第四次忍界大戦」の時だった。

 

《戦争も後半戦。 十尾の激しい攻撃で、ネジが死んでしまう‥ ネジは「人を守るために」‥ナルトとヒナタを守る為、未来を守るために命をかけた。 そこでナルトは悲しみと絶望に襲われ、この世界に希望は無いかもしれないと心が揺れてしまう》

 

オビトがナルトに言う・・

「これが現実なんだ」

「これから仲間もそうやって次々いなくなる‥」

 

 だけどそこでヒナタがナルトの頬をひっぱたき、「皆が想いと同じものを胸にお互いに命を繋ぎあってる だから仲間なの」と励ましてくれる‥ ネジはただで犬死したわけじゃない‥大切なモノを残してくれてる。 だからその想いをつなぐのだと‥

そしてナルトは「つないでいく」と答えを出す。 心の中にネジは生きてる‥だからネジの想いをつないでいくと決意する。 そしてナルトは言うのだ‥ だから忍び耐える者‥ 忍者なんだろ オレ達は」ってね。 そしてオビトに「さっきの犬死したガキ」と言われて、ナルトは「ネジの意志はまだ死んじゃいねーんだよ!!!」と答えた‥

 

 16巻までの「木ノ葉崩し」は、まだナルト達世代の戦いじゃなかった。 主に戦ったのは三代目や先生たち、同期の父ちゃん達「大人たち」だった。 そしてナルトは「痛み」をよく分かっていなかった‥  だけど139話以降、戦いはナルト世代中心に変わっていく。 “暁”が登場し、ナルトも戦いに巻き込まれ‥大切な人達が次々死んでしまって「痛み」を知っていき、「想いはつながっていく」ことを615話でやっと実感する。 ネジは「大切な人達とのつながりを守るために、命をかけて守った‥理屈なんかじゃないんだ」と知った‥ そしてタダで死んだわけじゃない・・「大切なモノを残してくれている」と知ったのです。

 

「生まれ落ちた時からずっと大切に思ってきた人たちとのつながり・・」

「そしてそのつながった糸は時を経るに従い 太く力強くなっていく‥」

「理屈じゃないのさ!その糸を持っちまった奴はそうしちまうんだ‥」

「大切だから」

 

「三代目だってただで死んだわけじゃないよ ちゃんとオレ達に大切なものを残してくれてる‥」

 

 イルカとカカシが言っていた「あの言葉」を616話で実感した‥ そして139話のあの時に感じた「疑問」の答えに、ナルト自身でようやく辿りついたのだ。

 

つながり・・「つながった糸」とイルカは言った。 その糸は時を経るに従い、太く力強くなっていくのだと‥ その言葉が、ナルトのあの答えに直結する。《だから忍び耐える者‥忍者なんだろ オレ達は》に。

 

616話より

 これも昔、連載中に記事にしたことがあるのですが(616話感想)、ナルトがここで出した答えは《忍び耐える者》。 これは自来也が言っていた事と同じですが、自来也《忍び堪える者》と言っていた‥「忍者とは忍び堪える者のことなんだよ」ってね。 これは微妙に意味が違います。  自来也がこれを言ったのは「三竦みの闘い(17巻)」ですが、この時まで自来也は「里や若い世代を守るために壁となって堪える」という考えだった‥まさに「堪」の文字が表す通りだった。 だけどナルトの「耐える」の「耐」の文字には、細く長いヒゲや糸のようにしなりながら、つなげて長く続いていくという意味がある。 まさに「つなぐ」なんです。 

 

イルカが言ってた《つながった糸は時を経るに従い 太く力強くなっていく‥》まさにコレ・・これこそ《忍び耐える》だった。

 

あの時はまだ「なんとなく分かるってばよ‥」状態だったけど、戦争編でやっと「分かった」。 139話の伏線が、616話617話につながったのです。 

 

 139話は初めて“暁”が登場し、“暁”編はここから始まる‥ 敵が大蛇丸から“暁”へ、というより「オビト」に変わる。 そのオビトが、戦争編終盤でナルトに問いかけてくる「問い」、そしてその「答え」が 139話にハッキリ書かれている

 NARUTO-ナルト-あるあるとして「新章突入のタイミングに この先の伏線や答えがそっと書かれている」ことが多いけど、まさにこれはその例です。 いやぁ・・それにしても時間をかけた伏線回収、丁寧に準備された“暁”オビト編の始まりと言いましょうか。 本当に見事としか言いようがない‥

 

 そして、139話でより興味深いのが その「オビト」に関してなのです・・ 

 

(その2へ続く、近日中にアップします)

 

※関連記事、616話感想↓↓

konohanogenin.hatenablog.com

 

’(ナルト好きブログ! 2023/07/08)