ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

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NARUTO-ナルト- 636:今のオビトを 今週のジャンプ・ナルト感想 (WJ31号) その1

NARUTO 636:今のオビトを (その1)


今のオレにはこれしかできない
オレはオレのできる事を・・・
かつてのオビトを守ることは・・・
今のオビトを
 
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殺すこと!!
 
 
・・・はぁああああ!?

そこで、そうなるのか? ズレてんじゃないの、カカシ!?

のっけから否定的な事を言って本当にごめんなさい。 このブログでは《登場人物を「批判」することは原則しない、話の展開に文句言わない》のをモットーにしております。 でも、今回は言わせて頂きますぞ、というか言わずにはいられない。 モヤモヤなんて軽いものではなく、やり切れないこの気持ちは…同じように冒頭から叫んでしまった614話《お前に》の雑考以来です。 

もちろん、今回のカカシの「苦渋の決断」は軽いモノではないと思ってるし、この決断を《カカシ、辛いのによく頑張ったな・・》と思う方もあるでしょう。 だけど、このカカシの決断は、私としては正直「絶対にして欲しくなかった」決断でした。 「これしかできない」って言ってるけど、本当に本当にカカシには「これしか」選択肢はなかったんだろうか? 

ナルト、カカシ、忍連合がこだわる《大切な人の意志を守ること》・・・それはとっても大切だって分かるんだけど、「その人の命よりも、その人の意志のほうが大事」なんてことあっていいだろうか? それこそ本末転倒じゃないだろうか。 なんだかなぁ・・614話で感じたモヤモヤが、ついにここで爆発した感じというか・・・『ネジの意志を生かすこと』、『ネジ本人が生きている事よりも大切な事』であるかのような・・それが《今は戦争だ、仲間が死ぬ》みたいな「戦争による死を肯定しかねない発想」に繋がってしまうのではないかと、気になっていたんです。
 
そして、今回の「かつてのオビトの意志を守るために今のオビトを殺す」というカカシの決断は、その発想の「極端な例」なんじゃないだろうか・・?

前回635話では、カカシがついに「迷いが消えて、幻術の平和より現実世界を守る意志を見せた」事については、カカシも一歩踏み出せたのか・・と思ったんです。 でも、それはあくまで《幻術体の》オビトを貫く事が大前提でして・・・そして実際に、635話最後でお互いが貫いたカカシとオビトはやはり「幻術」でした(629話でオビトがギン!とカカシを幻術にかけてから、ずっと2人は幻術の中にいましたから)。
でも、幻術だからこそ、思いっきり貫いてもいい・・と思えてたんです。なのに、まさかホントにやるとは(汗)・・・しかもこれ、オビトも意図的にカカシに「やらせた」と思えるだけに、かなり複雑です。
 
 
・と、とりあえず先週の「続き」ですが。
 
 
「オビト・・・ この手のひっかけはいいだろ・・・」
「・・・もうあきあきだ」
 
「・・・・・・・」
 
「幻術はもう終わりだ」
「だらだら闘う気はない」
 
カカシがついに《あきあき》とか《だらだら》と言い出しましたが、それを聞いてオビトは「・・・・」と反応してる。 遂にカカシも「決意した」と感じたのでしょうか。
「時空間に入ってからオビトがカカシにやった事」と言えば、《カカシを自責の念から解放する事》だったと思うんです。 時空間に飛び込んでいきなりカカシが「オビトを倒すことに躊躇」した事に始まって、そこからオビトは《オレがこうなったのはお前とリンのせいじゃない》と説明を続け、しかも《幻術世界こそ素晴らしい》的な事を言ってカカシを「煽る」・・これらはオビトの「計算」に思えてならないんですよね。
 
「そう・・・」
 
「お前の未来は死だ」 (カカシ、「対立の印」を組む)
 
そ、そこ・・・そのセリフなのか?と正直焦ったのですが、カカシのこの台詞・・久々ですね。 
29話で再不斬に言った、《お前の未来は死だ》・・アレを思い出します。 あれも、再不斬を雷切で貫く前の「決意宣告」ではあったんですよね。 あの時のカカシは「同じ暗部出身の忍として」再不斬の気持ちが分かる反面、「同じ忍として」再不斬の行為は許せない・・・その決意の言葉でもあったと思うんです。 忍だって相手の命を「奪う」以上、覚悟が要る・・・「お前の未来は死だ」だなんて、ちょっと冷酷無慈悲な言葉に思えるけど、カカシはそうやって己の「心(感情)」を抑え込んで 相手の最後の敵となる(つまり相手の死に様を守る)覚悟を決めてたんじゃないだろうか。 カカシの「表情」ってのは、マスクのせいで分かり辛いけど、オビトへのこの「宣言」の表情も、目元には《断腸の思い》が浮かび上がってる。

そして「対立の印」・・・イルカの説明によれば《これから戦う意志を示す》神聖なもの(538話「詰問」から)。 相手への「敬意」も含んだ、本気の戦い・・いや「闘い」の宣言ですよね。
 
ナルトとサスケもアカデミーの時に「対立の印」をしてナルトが倒されて、でも和解の印はしないまま・・・ 柱間とマダラの「石像」も対立の印を組んだまま(子供時代の組手では、マダラが倒されてる)。 カカシも「ミナト班時代」のオビトとの組み手を思い出してますが、この時もオビトは倒されて、でも・・カカシとオビトの2人は昔、《和解の印》を結んでたんですねぇ。 
 
2人の「闘い」・・・ずっとカカシ側の心境は描かれていきますが、オビトの「心の中」の描写は相変わらず一切ナシ。 でも・・たった1コマだけ、オビトの「心」を推し量れるのが、この絵↓
 
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この背中ですね(ぜひジャンプかいずれコミックスで本物の絵を見て下さいな)、オビトの心が推測できるのはこの絵だけなんですが、この背中が実に「語る」・・・キッシー、背中で語らせる名人ですな、ホントに。
 
この前も、サスケの「背中」に「独りで重荷を背負う覚悟を決めた心」を感じたばかりですが、特にオビトとサスケに関しては「背中」が語ることが多い(386話扉絵の「イタチの背中」もですけどね・・)。
この後も出てくる「ナルトの背中」や時々出てくる「四代目火影の背中」みたいな堂々とした背中とは違う、悲しさと孤独が伝わってくる背中なんですよね・・・。そして、いずれも中心に描かれているのが「うちはの家紋」・・・彼等がいかに「うちはの家紋の意味するモノ」を大切にしてるかが伝わってくるような気がするのです。
つまり・・《うちはの家紋は火を操る者の意》・・・火(愛情)を大きくする者・・・彼らにとって愛情表現は自己犠牲だったりしますが、彼らの背中の「家紋」がクローズアップされる度に「愛情ゆえに独りで何かを背負う覚悟」を決めてる描写に見えてしまうんです。
 
オビトの心に去来したモノは何だったのか・・・カカシが「ようやく」その気になってくれたのを受けて、あらためて心に何かを決意してるようにも感じるんです…この時を「待っていた」ように。
 
「来い」
 
「・・・・・」 (カカシ、ミナト先生のもとでオビトと「組手」をした時を思い出す)
 
(そして、カカシはかつてのオビトとの組手の記憶と今をオーバーラップさせていきますが、オビトも意識してるかのように、「その時と」同じ順番で闘いを進めていく)
 
2人とも真剣な表情だけど、若干「違い」があるんですよね・・カカシのほうは、思い詰めた険しい表情なんだけど、オビトのほうは『久々のカカシとの本気の闘い』を、一瞬一瞬を大切に心に刻んでいるような表情で・・(特に火遁の印を組んでいるあたり)この時を「待っていた」ように思えるんです。
オビトにとってのカカシは、ずっと「超えられない壁」だったわけで、こうやって互角に闘えるようになった事は、オビトにとってはちょっと嬉しい事だったのかもしれません。久々の「カカシとの本気の手合わせ」は。
 
《柱間とマダラ、カカシとオビト、サスケとナルト》・・
 
この運命の3組は、いずれも片方が「いつも勝ってばかり」で、片方はライバルには勝てない「元落ちこぼれ」。 元落ちこぼれ組は、自分よりいつも先を行くライバルに「認められたい」・・そんな思いを皆、持っていたんじゃないだろうか・・・マダラもオビトも、そして・・ナルトも。

でもカカシが思い出す「オビトの記憶=かつてのオビト」は、どれも宝物のように見えるんですよね。カカシにとって《オビト》という存在が、どれほど大きなモノだったか・・改めて感じさせられるんです。カカシにとってのオビト・・・それは今までカカシが生きてきた「支え」だったんじゃないのかな・・。
 
オビトにとってカカシはずっと「超えられない壁」だったように、カカシにとってのオビトもずっと「超えられない壁」だったんじゃないだろうか。 「あれだけの生き様、死に様」を見せられて、カカシはずっとオビトを「目標」にしてたんじゃないだろうか。
カカシがあれだけの辛い体験を乗り越えてこられたのは「心の穴を埋めてくれる仲間がいたから」だとカカシは言ってましたが、それだけじゃなくって《かつてのオビト》という存在がカカシの心の真ん中にしっかり在ったからだと思うんです。それだけに・・・カカシにとって《変わってしまった今のオビト》は到底受け入れ難い、認められるモノではないのかもしれない・・・
 
カカシが思い浮かべる、カカシが大切にしている2枚の写真・・「ミナト班」と「第七班」の集合写真。 
カカシの「夢」は過去に在り、カカシは失ってしまったミナト班を今の第七班に重ねてるのが良く伝わってくるんです。 カカシは「昔みたい」になることが、一番だと思ってる・・・
サクラにも《大じょーぶ また昔みたいになれるさ》と言った事もありますが(20巻、病院の屋上で)、それが無責任発言だったと後になってサクラに謝罪していましたよね(51巻483話で)、そして「自分自身に言い聞かせてたのかもしれない」とも・・。 
「昔みたい」になれることを一番望んでいたのは、他ならぬカカシ自身だったんじゃないだろうか・・・第七班にしても、ミナト班にしても、カカシは『大切な宝物みたいな昔』を壊したくないんじゃないだろうか・・・それはカカシにとって、絶対守りたい大切なもんだったのかもしれません。 
 
《オビト…》
《…かつてのお前の意志は 今でも…》
 
《オレの隣りに居る!》
 
《今のオレにできることは 今のナルトを守ることだ!》
 
カカシが「第七班の集合写真」を撮った時に(たぶん意識して)ミナトと同じポーズをとったのは、失ったミナト班を「取り戻したかった」んじゃないだろうか・・・そしてもう二度と「大切な仲間は失いたくない」という、カカシの切ない思いが伝わってくるのです。 《かつてのオビトの意志は今のナルトとして居る(生きている)》・・・カカシはナルトと「かつてのオビト」を完全に重ねてる。 でも・・・ミナト班はミナト班、第七班は第七班。
 
カカシは、《オビトはかつての自分とナルトを重ねてる》と言っていたけど、それよりカカシが《かつてのオビトと今のナルトを重ねてる》事の方が問題大きいように感じちゃうんです(カカシはそうは思ってないみたいだけど)。
カカシが「昔のオビト」にずーっとこだわってる以上、カカシの眼は「ちっとも先が見えない」んじゃないだろうか・・・(カカシが己を拾うまで、「まだまだ続く」のかな。)
 
(すみません、その②へ続けます・・・)