ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

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イタチとサスケの「完璧」

イタチとサスケの「完璧」

「兄さんは完璧だった!」に対してのイタチの「完璧だったなんて言ってくれるな」。
 
この会話の事をず~っと考えてたんですが・・・最初に読んだ時とまた印象が変わってきてしまった。 だいたい数日たつと、いつもこうなんですよ・・・考えが変わっていっちゃう(苦笑
 
そしてなぜか思い出したのが、53巻の「クシナとナルトが、別れの時が近いのを感じている時」。
 
「ごめんね・・・」と謝るクシナに、「あやまらねーでくれよ・・・」 「オレの器にも九尾より先に愛情が入ってるって分かったから!だからオレも幸せだ!!」と言った、あの会話を思い出してしまった。 
 
責任を感じて謝るクシナと、そんなに自分を責めないでくれというナルト・・・なんだか、このやり取りに似てるような気がしたんです。
 
で、サスケが叫んだ『兄さんは完璧だった!』・・・
 
サスケの「兄さん完璧」発言を、イタチはどんな思いで聞いたのだろう。 イタチは淡々と《自分は完璧ではなかった》と説明してますが、本当に言いたかったことは《サスケ、お前は自分を責めずに認めてやれ》ってことだったんじゃないだろうか。 サスケの兄さん完璧発言は、それだけサスケが自分をダメな奴だと思ってるということ・・・いつもの強気発言とは裏腹に、本当はメチャクチャ自信を失っていて「兄との差」を感じているってことでもある。 
イタチ自身が認める通り、イタチがやってきた事は完璧に見えて完璧じゃなかった・・ 結構穴もあるし、失敗もあった。 サスケだって、本当はイタチの「失敗」に気づいていると思うんですが・・・それでも「完璧」だと言う。それでもサスケにとっては充分「完璧」なんだと思うんです。それだけサスケが自分のことを《どうしようもない○ソヤロー》だと思ってるってことなんじゃないだろうか。
 
・・・そして、そこにサスケが「闇」に向かってしまった理由があったんじゃないかという気がします。
 
イタチとの闘い後の「闇サスケ」、あれは・・・・ほとんど演技だったんだろうと思ってます。
 
もちろん兄さんを追い詰めた里に怒りはあるだろうし、兄さんの犠牲を知らずにヘラヘラ笑ってる木ノ葉の連中に腹も立っているはずです。だけど・・・その中にかつて《自分もいた》ことはよく分かってる。だから本当は自分が一番許せない。
 
トビから聞かされたイタチの真実・・・それはサスケにとっては「ありえない」ほどの生き様。 たとえ完璧じゃなかったとしても、あそこまで自己犠牲に徹した生き様、里の為に己を無くした生き様は衝撃だったと思うんです。
トビは《あれだけの生き様を見せられて・・》なんて表現を使ってましたが、まさに「あれだけの生き様」はなかなか出来る事じゃない。なのにサスケは、イタチの真実を何も見抜けてなかったのだから・・・サスケはどれほど自分を責めただろう・・?
 
元々サスケはイタチの事を本気で恨んだ事なんて無かったと思うんです。 たとえ家族を一族を抹殺した兄さんであっても、嫌いになんてなれなかったんじゃないだろうか・・・ ナルトとの終末の谷の戦いで「オレの夢は過去にしかない」なんて兄さんにおんぶしてもらった記憶を宝物のように思い出していたわけで。 本気で兄さんを憎んでいたら、兄さんとの幸せな記憶を宝物だなんて思うはずがないんですよね・・。 
サスケは兄さんを恨もうと頑張ったけど出来なかったハズなんです。 それだけに、兄さんの真実を知った時のサスケの後悔がどれだけ大きかったか・・・
 
そしてさらにサスケを追い込んだのが、イタチの真実を知った直後の《居酒屋で聞いてしまった木ノ葉の忍達の会話》だったんですね。
 
大罪人のイタチを倒したサスケは「木ノ葉の英雄」扱いになっていたという衝撃・・・あの時サスケは忍達に怒りを向けたけど、本当は自分の事を最低だと責めまくったんじゃないかと思うんです。 本当は英雄となるべきイタチが「大罪人」と呼ばれ、本当は大バカ野郎な自分が「英雄」と言われる・・・サスケにとってこれほど辛いことは無かったと思うんです。そんな「大嘘」の中で自分がノコノコ生き残る事に、サスケは耐えられなかったんじゃないだろうか?
 
サスケの中で段々とイタチは立派過ぎる存在《完璧な存在》になっていき、自分のことはどんどん《最低な存在》になっていく。 
 
本来、生き残るべきはイタチの方であり、本来英雄と呼ばれるのはイタチの方だった・・・
そして、サスケは自分こそ「大罪人として制裁されるべき」だと考えたんじゃないだろうか。 《イタチが大罪人なんじゃなくって、大罪人はオレの方だ》ってのが、サスケの思いだったんじゃないだろうか。責めるなら、オレにしてほしい、と。
「木ノ葉への復讐」を口実に忍世界を敵に回し暴れる・・そして忍世界から「サスケは大罪人だ」と言われて制裁される。 それがサスケが自分自身に与えた「贖罪方法」だったんじゃないだろうか。 
 
サスケの「闇落ち」に関しては、本当に闇に染まったとは思えない点がいくつかありまして・・・あれだけ闇に染まっていた(ように見えた)サスケが、何度か「闇に染まってない素顔」に戻っている瞬間があるんです。
 
例えば50巻、五影会談場での大暴れの際・・・我愛羅に会った時、一瞬普段のサスケに戻ってるんです(9頁~14頁あたり)。あれだけ悪そうな顔して暴れてたサスケが、普通のサスケの表情に戻り我愛羅の言葉を「・・・・」と真剣に聞いてるんですよね。 あの時サスケは我愛羅の思いを確かに受け取ってると思うんです、心の中では感謝してたんじゃないだろうか・・・だけど自分は「闇を行く」と決めたから断ち切った。
 
そして51巻185頁、カカシと再会して闇全開だったサスケなんですが、カカシがサクラに《だらしない先生ですまない・・・》と謝罪した時に、サスケは「・・・・・」とその言葉を普通の表情で聴いているんです。
その後52巻でのナルトとのやり取りでは、真剣にナルトの言葉を聞いているし「友だち」発言には揺れまくっているし、その時のナルトとの約束はちゃんと守っている。
ダンゾウ戦で見せた「逝っちゃった表情」は、下から見上げた影効果のせいでもあるし・・サスケが意図的に「闇に堕ちた表情を作っている」せいだとも思ってます。 ようするに今までのサスケの闇言動は、意図的に自分を落として《本心に抗って》演じてきた可能性があるとも考えてます。
 
木ノ葉がやってきた事は間違いだし、イタチを追い込んだ里は許せない・・・・それでもサスケは本心では里を愛し里の仲間を愛し憎み切れないでいる、かつてイタチを憎み切れなかったように。 そのかわり、サスケは一番《ダメな自分自身》を憎んでいたんじゃないか?と思えるんです。 
本心に逆らって里の敵になって里に復讐する、そして「大罪人」となる・・・それがサスケが自分に科した裁きなのではないかと。
 
オレは英雄なんかじゃない、本当の英雄は兄さんであって、兄さんこそ完璧なんだ・・とサスケは心の中で叫びたかったのかな、という気がします。でも、この気持ちは誰にも打ち明ける事が無かった・・・ずっと自分の中に閉まっていたんじゃないでしょうか。・・・もちろん、トビにも鷹にも内緒で。
 
サスケはずっと悩んでいたんじゃないだろうか。・・・イタチはサスケの命を《里より重かった》として残した・・だけど、自分の命はそんなに重いんだろうか?と。 そして、《兄さんの様にやりなさい・・・》の声が今もサスケを支配する。だけど兄さんの様に《完璧》なんてできるわけがない。
 
もはやイタチの失敗など、サスケには大した問題にならなかったんじゃないかと思います。自分のダメさ加減ばっかりを責め、イタチの失敗など取るに足らない・・・だから兄さんは「完璧」。 そしてサスケは《嘘》の中に自分を置こうとしたんじゃないだろうか。 
 
せっかく一人だけ残してもらったのに、兄さんの様に完璧にはなれない・・・
昔、大猪狩り任務で「修行が足らないな」と言われて「ごめん・・・兄さん・・・」と言ったのと同じ思いを今もサスケは抱えているような気がします。
 
だから・・・
 
「オレを完璧だったなんて言ってくれるな」。
 
サスケの今まで苦しんできた道程を理解したイタチは、サスケがもっと自分自身を認め、許してやることを願ったのでしょうか。 己を「完璧であらねば」という枷から解き放て、と。
 
イタチに申し訳ないという気持ちを伝えたかったサスケと、もう己を責めないでくれ・・とサスケに伝えたかったイタチ。・・・それが、別れの時が近づいていることを 互いに感じている兄弟が交し合った思いだったのだろうか、と・・・・・
 
 
 
・長駄文、読んでくださって感謝。
 
 
 
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