ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

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NARUTO-ナルト- 594:祖たるもの 今週のジャンプ・ナルト感想 (WJ34号) その3

NARUTO 594:祖たるもの その3 

(その2の続きです)
 
・《トビが否定する希望、未来、英雄》
 
『お前らはカン違いをしている・・・ オレにとって十尾復活は完全である必要はない』
『オレの目的はあくまで大幻術・・・ 無限月読だ!』
 
『この星の全ての人間を一つの幻術にはめる』
『誰でもない一つの世界 戦いもわだかまりも無い完璧な一つの世界
・・・個を捨てた単一の意識の中にこそ真理がある!』
 
『世界にはもはや希望も未来も名のある英雄もいらないのだよ!』
『十尾が不完全でも復活すれば無限月読の術を組めるようになる…』
 
『そして現実は終り
あるのはただ無限に続くたった一つの終わりなき夢!』
 
(トビ、163~164頁より長々と引用)。

ここで気になる画が・・・
 
眩い星空を背景に、《トビと魔像、満月》が一列に並ぶように下から見上げた絵・・・
 
今週の絵の中でも、一番見惚れてしまった絵です。これらが一体になるかのようなイメージ・・・

トビが言う《全てが1つになる》とはこれを意味しているのかなぁとも思います。
月、魔像、トビ・・・これらが1つになる。 宇宙は限りない「無限」を意味し、月は陰遁つまり幻術を意味する…。トビが見上げる夜空は、永遠に続く夢の世界だったのだろうか。

前にNARUTOに登場する風景についての雑考で、星空についてちょっと触れたことがあるんですが なんだか星って小さな涙の粒にも見えて少し切ない。 だけど、無数の涙も夜空は受け入れてくれる感じがしちゃうんですね。
 
限月読に憧れたのはトビだけではなく、鬼鮫もマダラもそうですよね。あのマダラがこんな夜空に心を任せたいほどの涙を抱えているのかなと思うと、どんな忍も皆同じ・・・心に傷を負いながら生きてきたのかなとも思ったりで。
 
トビが否定する、《希望、未来、名のある英雄》。 
 
彼が希望を否定する理由・・・それは五影会談で語っていた通りだと思うんです。
 
《希望とはあきらめに等しいものだ・・・それこそごまかしのセリフでしかない》 (467話の台詞)。
 
このトビの理屈、分からないでもないんです。「希望」っていうとキレイな言葉ですが、うっかりすると口先だけの言葉になっちゃいますから。
「希望」と言ってる段階では「叶っていない」事を意味し、行動で示して「実現」させない限り無意味な言い訳になっちまう。 口先だけの美辞麗句や言い訳が嫌いなトビは、徹底して「実現」を求めている。
でも、その実現の手段が「夢」ってのは、何だかなぁ・・・本末転倒な感じはするんですよね。
 
 
そしてトビが否定する《未来》。
 
トビの眼が「見据えてきたこれから先」は、あまりに悲しいモノだったのでしょうか(リンが忍世界の犠牲になったように思えてならないのですが・・それで彼は万華鏡開眼したのかなぁ)。 もはやトビの大切な人が居ない世界は「絶望」なのかもしれません。
 
かつて終末の谷でサスケがこんな事を言ってましたよね、

《オレの夢は未来になんか無い オレの夢は過去・・・ そこにしかない》と(219話で)。
 
サスケにとっては「イタチと一緒に楽しく過ごした時」これが全てだったんですね。サスケみたいに純粋で愛情が深い子が「大切な人たちを失ったら・・・」そう思えてしまう。サスケと似て純粋で愛情深いオビトなら、ミナト班全員が揃っていた「過去」・・夢がそこにしかないと思ってしまうんじゃないだろうか。
 
さらに・・・トビが否定する《名のある英雄》。
 
何でここで「名のある英雄」という言葉が出てくるんだろうか? これはトビ自身の「英雄観」にも拠るのかな・・とも思ったりします。
 
『オレは“白い牙”を本当の英雄だと思っている』
 
これは241話のオビトの言葉ですが、オビトは白い牙・・つまりカカシの父さんサクモを本当の英雄だと言ってるんですね。 

サクモは本来「名のある英雄」となるべき有名な忍なのですが、その最期は報われないモノで おそらく「掟破り」として死んでいったハズです。つまり「名の無い英雄」になってしまった。 でも、「名誉や恩賞」よりも、自分の命に代えても仲間を守りきったサクモをオビトは「英雄」と考えてるんです。その発想が《名のある英雄否定》になっている可能性はあるなぁとも思うんです。

そして…244話最後はこの言葉で締めくくられています。
 
《神無毘橋の戦い―― その日 木ノ葉隠れに二人の写輪眼を持つ英雄が生まれた》
《一人はその名を慰霊碑に刻み・・・ 一人はのちに写輪眼のカカシと呼ばれ他国にまでその勇名を轟かせるのである》
 
オビトは名のある「英雄」として名を刻まれ、カカシは写輪眼のカカシという「名のある英雄扱い」になるわけですが、だけど・・カカシはその写輪眼で「仲間を守れなかった」。 オビトから見たら、カカシは「本当の英雄なんかじゃない」んです。そして、おそらく結局「リンを守れなかった自分自身」のこともオビトは「英雄だと思っていない」。 オビトは「神無毘橋の戦いの2人の英雄(名のある英雄)」も否定したい気持ちになるんじゃないだろうか。
 
※トビが何故「個」を捨てることに拘るのか。…この当たりのトビの台詞についてはもっと深く考えたいので、別記の追加記事などで考えていこうと思います。
 
・《そして・・ナルトが肯定する希望、未来、英雄》
 
『オレには・・・』
『父ちゃんがいた! 母ちゃんがいた! ・・・エロ仙人がいた!』
 
『ガキは英雄に憧れるもんだ!!』
『だからオレは迷わねーで突っ走れる!!』
『オレはどの先代も越える火影になる!!』
 
ナルトが語った《父ちゃんがいた・・》という過去形文章。 そう…「過去」なんですよね、ナルトがもっとも幸せだと思った時間は「過去」にあります。 それはサスケと同じだし、おそらく…トビとも同じ。

もう終わってしまった事であり、その時に戻ることはできないってことを、ナルトだってよーく分かってる。だけど、ナルトは彼らがいない今の世界と「これから先」の未来を虚しいとは思っていない。
 
なぜなら・・・
 
今ナルトがいる世界は《父ちゃんや母ちゃん、エロ仙人が生きた世界》だから。大切な両親やエロ仙人が一生懸命に生きて、守ろうとした世界を守りたい。そして…彼らが「いた」世界を未来につなげて守りたい。
・・・だからナルトは未来が大切だし、彼らの物語を自分の生き様でつなげ、彼らが望んだ世界を実現するという希望があるんだと思うんです。
 
それを言いたくって、ナルトは「父ちゃんがいた」という過去形で喋ったのかな・・・とね。
 
そして、ナルトが肯定する《英雄》。
 
ナルトはずーっと英雄に憧れてきたんですよね。
「英雄」ってのは、うっかりすれば勲章みたいに誰かが決めた基準で呼ばれる称号でしかないのかもしれません。でも…ガキにはそれが希望にもなり、夢を実現するための原動力にもなる。それに憧れて突っ走る・・・それって悪いことじゃないですよね?だからこの世界が好きにもなれる。

『それがオレの夢だ!!! バカヤロー!!!!』
 
また出ましたね、自信に満ちた笑顔。
この表情見てるだけで何だかなぁ・・こっちまで元気が出てきちゃうから不思議です。ホント・・トビとの闘いは、徹底して友達との本気のケンカみたいだ・・
 
でも今回は、今までと確実に違う。 
 
ニコッと笑っているのがナルトだけじゃあないんですよね。

ガイも「青春は終わりにしたくなくても・・」と自信に満ちたいい表情を見せてるし、ビーは「夢夢夢夢いっぱい♪ オレの夢は年増のオッパイ♪」(はぁ?)・・ユギトといい綱手といい・・(笑  

九喇嘛も「ヘッ・・・」と笑ってますよね。

ただ・・カカシの表情が分かんないんですよコレ;「夢は叶えるものだ」なんて、カカシにしちゃポジティブな発言してますが、眼は真剣だし口元がわからない。

トビが仮面を取るんなら、やっぱりカカシだってマスクを外さないとね。
 
で・・・カカシの表情はマスクで分からないんですが、なぜか仮面をしているトビの表情はわかるような・・

このナルトの言葉を聞いた直後のトビの
 
「・・・・」。
 
この眼から読み取れるトビの表情、なんだかどこか「嬉しそう」だと思いませんか・・?

怒ってるというより、何かハッとしてる感じがする・・
 
前もそういう事があったんですよ、59巻564話169頁で、ナルトがトビに散々コノヤロー等々言った直後のトビも「・・・・」と嬉しそうなんです。

 ナルトの「ブレない発言」が出た後のトビって、実は仮面の下で「ハッ」とした感じの嬉しそうな顔をしてるんですよね。 トビの「本当の姿と心」が、ナルトの言葉で一瞬思い出されるんじゃないだろうか。《かつての自分》を思い出してるんじゃないのかな・・・。
 
だけど、トビは「個は真実を見せなくさせる」 「誰でもないオレの言葉こそ世界の真理から導かれた言葉・・・」とブツブツ言い始めるんですね、なんだか「ナルトに心動かされそうになってしまうのを、必死に食い止めるかのように」自分に言い聞かせてる。 ムキになって「計画を実行しなくちゃ」と思ってる感じがあるんです。
 
ムッとしたナルトが九尾チャクラモードの瞬身で、魔像めがけて螺旋丸で突っ込もうとしますが(魔像は頭抱えて苦しそうですね)、咄嗟にトビが鎖付きの団扇を投げてナルトを弾きましたね~・・。 ナルトの「雷影以上に速い瞬身スピード」を遮って正確に団扇を当てたトビって・・・
 
結構やりますな。
 
グぃっと鎖を引っ張ってパシ!と団扇を受け止めた姿、これはかなりカッコいいものがありまして・・この人、「術」こそほとんど使いませんが、体術はかなりの腕前だし、忍キラーなセンスはなかなかのものがあります。
 
「やっぱりその面割る方が先か・・・」
 
「オレには決して譲れないものがある」
「魔像には触れさせん!」
 
トビが決して譲れないもの。
 
「十尾復活」・・・それは夢の実現でもあり、彼が叶えたかった何か大切なものを守るための手段なのでしょうか。
 
一応ここまでは、「トビはオビトかもしれない」という前提で雑考をしてまいりましたが、勿論まだそんな事は分かりません。
トビが誰であろうと、これまで見てきて分かる“トビの真実”は・・・
 
 
《口先だけの言葉》ってヤツが嫌いだ、ってことです。
 
 
今まで、トビは「裏切られトラウマがある」と解釈してきたんですが、う~ん…それよりも、「口先だけの言葉が嫌い」と言った方が的確かもしれません(なので今後は訂正します)。
 
「昨日の友は明日の敵」というトビ自身への言い聞かせも、口先だけの「親友」を嫌った言葉なのかもしれないですね。裏切りに敏感なのは、「口先だけの仲間」が許せないってことでもある。 
 
口先だけの理想である「希望」、実現不可能なことばかりの「未来」、形ばかりの「名のある英雄」。トビはそれを最も嫌う。
 
・・・トビが徹底して求めているのは《実現》なんです。たとえそれが夢であろうと。 だから実現のための手段である十尾復活は絶対に「譲れない」。それが彼の意思の表明なのでしょうか。

トビが仮面の下に隠している「本当の姿」は、この世界が大嫌いな厭世主義者というよりも・・ 誰よりも《本当の平和》を実現したい「口先を嫌う」男なのかもしれません・・。
 
 
 
☆長駄文読んでくださって感謝。

・記事へのご意見、下記コメント欄に頂ければ幸いです。
 
 
☆現時点では、トビは「マダラ」に「計画」に誘われているのか・・とも思ってます。
 
☆追加雑考、今日のお題として部分的に補足していくと思います。
 
 
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