NARUTO 595:皹(ひび) その2 (神威)
(その1の続きです・・・)
《よし!これだけチャクラを練り込めばいける! 悪いが――》
《魔像を狙う!!》
《魔像を狙う!!》
《神威!!》
ついに、カカシ「神威」発動しましたね!
この戦争でカカシが万華鏡を使うのは初めてなんですよね。
考えたら2日間、カカシは休みなしで戦いっ放しで、七人衆相手には再不斬を雷切で封印(しかもかなりの怪我もしている)、その後も、首斬り包丁に雷遁を流しながら振り回し、その間写輪眼を露出していた時間もかなりあったわけで・・かなりチャクラは使ってるんです。 この戦場に来てからも影分身で「雷伝」を何度も使ってますし、昔のカカシだったらとっくにひっくり返っていたかなぁ・・
しかもここで「外道魔像の首をもぎ取る」なんて大物狙いに行ったし、このあともう1度神威を使ってますが、でも倒れていない。
少し前と比べても、写輪眼を使う時のチャクラコントロールが急激に上達したとしか思えないんだけど・・ 雷切の発動数も見る度に増えてるし、カカシって目立たないけど実は「急成長してるキャラ」なんですね。 努力家でもあると思うけど、そういうところを人前では見せない・・どうか読者の皆さんだけでも認めてあげて下さいな(少々贔屓発言)。
釘やミサイル、サスケの須佐能乎の矢なら今のカカシは「一瞬」で消し飛ばしますが、魔像ほど巨大なものを飛ばすには まだかなりのチャクラを練り込む必要があるみたいですね。ここで魔像を止められれば最高のタイミングで最高の演出になったはずなんですが・・運が悪いんだよなぁカカシは(いつも、きまらない)。
神威なら穢土転マダラだって飛ばせたんじゃないだろうか・・なんて思ってしまうのですが、はて・・「本マダラ」にも神威は通用するのか、しないのか。それはともかく。
さて、カカシの神威発動に やっぱり即反応してきましたね~・・トビは。
カカシ の神威発動に、トビは『!!』 (ピクン)。
描写から見て、トビは神威発動を「見て気がついた」訳じゃなく、「感じ取った」ふうに見えます。
カカシの神威が発動された事で、トビの内に在る異空間に「変化」が生じて、トビは「ピクン」と気付いたのか。 あるいは《カカシの左眼が見るモノはトビも感じ取ったのか》。
・・・先日の「今日のお題」でも触れましたが、カカシの左眼に残ったオビトの意識の一部(チャクラ)がカカシの眼を通して見た世界を認識できる可能性もあると思っています(アンコの中にあった大蛇丸のチャクラ・意識のように)。
なんつってもオビトはカカシに「眼軸」付きで左眼を預けてますから、トビが《左眼近くの脳内あたり》でピクン!感じている描写も少々気になってます。
トビはどう感じているんだろ。でも・・明らかに「リンク」してる感ありますね、コレ。
ここまでのトビ、とにかく一瞬たりとも動きを止めることはなかったんです。 だけど、カカシの神威発動に反応した時だけ動きが止まちゃってるんですよね、ほんの一瞬なんですが、トビの団扇が岩に《ガ、キン》と挟まれて止まっちゃってる。この瞬間だけ、トビは体の動きを止めて「何か」してたという事だと思います。・・・外道魔像をカカシの神威から“守る”ために。
そして、ここまで散々攻撃を《すり抜けまくってきたトビ》が、この時ばかりはナルトの攻撃をすり抜けなかった。・・というか、普通に横にどいて避けてるんですよね、
つまりこの時、トビは“実体”を解くことはできなかった。カカシの神威に対処するためには「右眼の写輪眼で対応する必要があった」から霊体化出来なかった・・という事なんだと思います。
(ズズズ・・と異空間に吸い込まれそうだった魔像の首は、「フッ」と一瞬で元に戻る・・・)
『!?』
『甘い』
《どういうことだ・・・?》
《まさか…》
いやぁ・・ついに来ましたね、「神威による神威の相殺」か、「神威の逆回転(というか時空から押し出す)」なのか。
正直コレどうやったのかと思いますが、いずれにせよカカシの神威を戻せちゃうなんてのはトビも神威ユーザーだからこそなのだろうと思います。
43巻396話でズズズっと時空間に消えてみせた時から「めちゃくちゃ怪しかった」んですが、第2部に入ってからほぼ並行して描かれてきた「トビの時空間瞳術」と「カカシの神威」の物語。・・・やっとここで直接の接点が見えてきた感じがします。
ちなみにトビの「ズズズっ」という時空間忍術が「写輪眼の瞳術」であることは、トビが実体化して「眼」がある時しか使えないという事、常に右眼の中に吸い込んでいることからも確実だと思いますし、これほど強力な瞳術は普通の写輪眼ではなく「万華鏡写輪眼」の能力だろうとも想像できます。
いまだにトビは「万華鏡写輪眼」を見せたことがありませんが、それは単純に・・「読者に見せられないから」だろうと思っています。
前述したように、万華鏡写輪眼の模様を見せちゃったら「個人特定」出来てしまいますから。・・・だから、小南戦でお面が少し割れた時も、トビは瞳術を使う時は手で右眼を隠したり後ろを向いたりと、頑なに読者に「その右眼の万華鏡の模様」を見せてくれませんでした。
いいかげん、見せてよ岸本先生!w
万華鏡の瞳術と言ってもサスケ、イタチの瞳術は時空間系の瞳術ではありませんし、我々読者が知る限りで時空間系の瞳術はカカシの神威(つまりオビトの神威)だけです。
カカシ(オビト)の左眼の万華鏡写輪眼の能力が『神威』なら、『オビトの右眼の万華鏡能力』も神威の可能性は高いと思っています
(シスイの眼も、左右とも「別天神」同じ瞳術でした。ちなみに・・シスイの瞬身とは、実は神威系の時空間移動だったのではないかとも疑っております。シスイも日頃は神威系時空間瞳術ユーザーだった可能性もありかと。ただしシスイの眼は2つとも、もうこの世に存在はしていません)。
カカシの神威とトビの神威には微妙な違いも在るので、瞳術名が少し違う可能性もあるかもしれませんが、だけど今までトビの瞳術名が明かされてない事からも、同じ「神威」の名である可能性も高いかな、なんて思ってます。
「違い」といえば、カカシの神威とトビの神威では「結界の出来る場所(異空間に吸い込む点)」が違うんですよね。カカシの場合、結界は「視点」に、トビの場合は「眼の中」に結界が出来る。 その違いは、眼の本来の持ち主(オビト)が使う場合と移植された者(カカシ)が使う場合による「違い」なのか、あるいは右眼と左眼の「微妙な違い」なのか。そのあたりは今も「謎」のままです。
そして、カカシの神威をトビが打ち消せた理由ですが、これは術に術を重ねる「相殺」なのか、トビの内に在る時空間に入り込みそうになった魔像を神威逆回転で「押し出し」たのか、上書きなのか。
トビには時空間内に引き入れるだけではなく「引き出す」能力もありますから、そこはカカシの使う神威との大きな違いです。そこんとこは、トビがカカシの眼の「本来の持ち主」だからこそできる大技なのではないかと思うんですよね。
でも、これで52巻でトビがカカシに言っていた『止めておけカカシ・・・そんな術はオレには効かない』の理由はハッキリしましたよね(そして、それは本当だった。やっぱり・・トビは嘘はつかない)。
あの時の発言は、カカシにチャクラの無駄遣いはさせないようにとの優しさだったのか? あるいは、トビは『自分の正体のヒント』を自ら出していたような気もするんですよね。
その心理には、全く自分に気づかないカカシに「気づいてほしい」気持ちがどっかにあったんじゃないのかな・・とも思うんです。 トビ自身、今は全く気付いてないかもしれないけど、やっぱり…本当は寂しいんじゃないかな。だけど、カカシはトビ(オビト)のメッセージに全く気付いて無かったですけどね・・・。
《どういう事だ・・?》なんて言ってるところを見ても、カカシは『トビのズズズ瞳術』が神威(と同様の術)だとは考えてなかったみたいなんですよね。 う~ん灯台元暗しなのか。
カカシが言ってる『まさか・・』。
一部の読者が「これだけトビはオビト臭いぞ」と思ってるのに、カカシはまだ「オビトの可能性」は考えてないように見えるんです。
でも、トビが瞳術で「神威を相殺した」可能性に、カカシだって気付き始めていると思うんです。 その「理由」とともに、ね・・。
そして52巻のあの時、トビが「オレには効かない」と言った事も今、思いだしているんだろうなぁ・・・。
だけど、脳内に「オビトの可能性あり」という疑いが生まれたとしても、カカシは自動的に思考にストッパーを掛けちゃってるような気がするんです。人間って「最悪のシナリオは考えたくはない」というバイアスが働いてしまって、自分で打ち消してしまう事があります。 そういう時は、いかに冷静な人物でも客観的な判断が出来なくなっちゃうんですよね。
今、カカシの頭の中にはいろんな可能性があれやこれやと浮かんできてると思うんです。過去のトビとの対戦での言動を思い出して整理して・・・だけど、おそらく核心部には「まさか」で立ち入ろうとしていない。
たぶん・・・「まさか」という言葉で打ち消そうとしている。
だからこそ・・・「カカシの事情を知っていて、今冷静な」ガイが居てくれることが何よりも頼もしく感じられるんですよね・・・。
(その3、『トビの面に入った皹』へ続けます・・すみません)。