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NARUTO-ナルト- 597:時空間忍術の秘密 今週のジャンプ・ナルト感想 (WJ38号) その2 「カカシとトビ」

NARUTO 597:時空間忍術の秘密 その2(カカシとトビ)

(その1の続きです)

さて・・・ここからカカシとトビの会話がいよいよ真実へ《一気に》迫っていくんですが・・・もうね・・息が詰まるぐらいの展開ですねコレ・・ 読んでて、正直「たまらなかった」です。自分の心臓までがグイグイと容赦なく抉り取られるような気分。この物凄い「やりきれなさ」の正体は一体何なんだろう?

カカシ(オビト)の眼と、トビの右眼が「同じ人物のモノ」という真実にカカシが迫っていく度に、トビは「・・・・」となっていく。

『時空間忍術って皆どいつがやっても繋がってるもんなのか!?』
『イヤ…そうじゃない おそらく奴とオレだけだ』
(トビ) 『………』

『でも…どうして奴と瞳力が繋がってる?』
(トビ) 『………』

トビの瞳力とカカシの瞳力が繋がっている・・答えはもう1つですよね。 
 
 
《トビの右眼はオビトの眼》。
 
 
だけど問題はその先で《眼だけオビトなのか、あるいはトビそのものがオビトなのか》・・ということなんですよね。
 
ここでガイが、『カカシ… 奴は…』と、少し心配そうにカカシを見つめるんです。ガイは・・ ど~やら分かってるみたいですね、直感的に《奴は…オビトなのか?》と。 
494話でのやりとりで、トビが「カカシやガイの事をよく知る人物」である事をガイも感じてましたから…ガイの中ではもう《眼だけではなく、奴はオビト本人》という答えが出てるのだと思います。

でも、ここでカカシはガイの言葉が最後まで出ないうちに・・まるで《ガイの言葉を遮るように》言い放つんです、

『その眼をどこで手に入れた!?』 と。
 
カカシはガイが「言いたいこと」が分かったから、《オビト》という名前をガイが口にする前に制止する如く遮ったんですよね、その名前は絶対に聞きたくない。認められない。受け入れたくない。何より・・・《オビトは死んだハズ》なのだから。
そして、いかにも直感で物を言いそうなガイを諌め、カカシは冷静に分析している「つもり」なのだと思います。
何者かがオビトの眼を「奪った」可能性が高い・・・いや、そうに違いないと自分を「思いこませようとする」。 
 
“その眼をどこで”という場所を訊ねる質問をしたという事は、奴はオビト本人じゃなくて、オビトの眼をどこかで手に入れた「誰かさん」なのだとカカシは言いたいんです。 
そしてトビが《どこどこでその眼を手に入れた、奪ったのだ》と答えてくれることを、カカシは期待したのだと思います。それこそ、《頼むから“眼だけ”であってくれ・・・・!》というカカシの切ない、必死な願いでもあるんです。

(トビ) 『…………』  (3回目の「・・・」は最長の12連打)。
 
カカシの分析が「核心」に近づくたびに「・・・・」を発してきたトビですが、それは《さすがカカシ、よく見抜く・・》と思っていたわけじゃなさそうです。 《相変わらず現実から目を背けようとしているな・・》という、苛立ちの「・・・・・」だったんじゃないかと思うんですよね。 
だって、これだけヒントが出てるのに、これだけの材料が揃っているのに・・・本当なら“分析にかけては右に出る奴がいない”カカシのハズなんです。なのに、あえてカカシは《奴はオビトのハズがない!》と思い込もうとして、全然答えに辿り着かない。
 
いや、『わざと辿り着こうとしない』。 
 
厭な現実から逃げようとしているカカシの態度に、いい加減トビは苛立っているのです。もう本当は分かってるハズだろ!と。そして「・・・」12連打は、トビの「怒り」も最高潮に達し『ついに』堪忍袋も切れたことを意味します。
 
『…どこでか…』
 
『フッ… あえて言うなら前回の大戦の時だ
 
ここで、カカシの質問とトビの答えの間に「ズレ」がある・・ってことが分かるんですよね。
《どこで》と場所を訊ねるカカシの質問に、《~の時だ》と時を答えるトビ。場所を訊ねているのに、トビは時を答えてるんですよね。この答えのズレに《トビの感情、怒り》がギッシリと詰まってるんです。
 
ようするに・・・カカシがなぜ「どこで」と場所を問いかけたのかをトビは見抜いてるんですよね、オビト本人じゃないと言ってくれ!という、すがるようなカカシの願望的な意図を。
 
『…どこでか…』と、 “どこ”を聞いてきたカカシに呆れるような反応と、『フッ…』という吐き捨てるような苦笑い。やっぱり相変わらず、逃げてるばかりだなと。ここまで来ても「ズレまくった質問」をして自分を誤魔化そうとするカカシに対して、ここからはトビはもう容赦なく真実を答え始めていきます。
 
『神無毘橋の戦い…』

『お前が写輪眼の英雄と呼ばれるようになったあの戦いでだ』
 
・・遂にトビの口から「神無毘」の名前が出てきましたかぁ・・
 
神無毘橋の戦い…オビトが崩れる岩の下に消えていった、あの戦いです239~244話)。
 
あぁ・・、今・・岩が空中に舞いあがるこの風景と、神無毘橋の光景が、カカシにもやっと・・リンクしてきただろうか・・。
 
トビの言葉は、そのまま受け取れば「神無毘橋」という“場所”でその眼を(オビトの体から)手に入れた(拾った、奪った)とも取れますが・・トビは違う意味で言っているような気がします。
 
トビは「神無毘橋」という場所を答えているのではなく、「時」で答えているわけで…つまりここでトビが言っているのは《その眼=神威を使える万華鏡写輪眼》を手に入れたのは神無毘橋の戦いの“時”だ、と答えているんじゃないだろうか。 つまり、あの時(岩が崩落した瞬間)に万華鏡写輪眼を開眼したという意味じゃないかと受け取れるんです。 
もう駄目だと思って《もっとみんなと一緒に居たかった》と願った時、オビトは神威を発動して時空間に移動し・・助かったんじゃないだろうか・・・?
 
そして、場所ではなく あえて“時”で答えたのは《その眼はどこかで手に入れたわけじゃない、自分のモノだ… だから「どこ」ではなく、「時」でしか答えられない》という意味だったんじゃないかと思うんです。つまり間接的に「オレはオビト本人だ」と答えている・・・
 
…これは、事実上の「名乗り」です。
 
で…おそらくカカシもそれに気づいての、 『!!』 『・・・・・・・』
 
『お前は…』 なんじゃないだろうか・・・。
 
二人のこの会話から見えてくる事実は…カカシの「どこ」発言から、カカシも「その眼」がどこにあったのか把握していないんだと思うんです。つまり、やはりオビトの「遺体」は回収できてなかったのではないかと。
そして《お前が写輪眼の英雄と呼ばれるようになったあの戦い》という言葉。…あの時、写輪眼の英雄と呼ばれるようになったのは、カカシだけじゃないんですよね。…オビトもです。
 
《神無毘橋の戦い ――― その日》
木ノ葉隠れに二人の写輪眼を持つ英雄が生まれた》
《一人はその名を慰霊碑に刻み…》
《一人は後に 写輪眼のカカシと呼ばれ他国にまでその勇名を轟かせるのである》
 
(244話「写輪眼の英雄」より)
 
トビが「お前達が」と言わずに「お前が」と言ったのは、自分を省いているからだと思うんですよね。
 
しかし、この「英雄」って言葉には強烈な皮肉を感じます。今までカカシとトビは何度も対戦し、言葉を交わしていますが・・トビはどんな想いだったのだろう(これは今週中に別記事で改めて書かせていただきます)。
 
そして、オビトはもう事実上の「名乗り」をしましたから、あとはもう一気に本音をカカシにぶつけていくだけ・・・
 
 
『言ったハズだ!…簡単に口を開くなと!』
 
『口先だけの男に成り下がったお前の言う言葉には何の価値も無い!』
 
あぁ・・・・やっぱり、そうだったか・・。594話でトビが言った、《カカシ…お前はそうやって簡単に口を開く 後悔だらけの生涯を送るにふわさしい男だ》は、まだアレでもだいぶ怒りを抑えての言葉だったんですね。
カカシが《なるべく》と《何とかしたい》という、口先だけになりかねない願望を口にした事への「怒り」。 
 
あの時、トビがカカシの事を《後悔だらけ》と知っていたことにカカシは驚いたでしょうが、なぜ「口先男」扱いしたのか・・・カカシはど~もよく分かってない様子でした。 あの段階ではカカシはその「理由」に恐らく気づいていない。 なぜなら、カカシは「なるべくなんとかしたい」という言葉を無意識に使っていたからです…今までずっと。 
 
なぜオビトが「口先だけの言葉が大嫌いな奴」で、なぜカカシの言葉にキレたのかについては、第594話雑考(その2、その3)に書いた内容と重複するので略しますが・・結論的に申し上げると、トビ・・・いやオビトは、メチャクチャ《口先だけの人間》が嫌いってことです。 
 
トビは口先だけの仲間、口先だけの希望、口先だけの約束、そして形だけの英雄、形だけの平和・・・すっかり《形骸化した忍世界》というものにウンザリしているんです。
 
今回オビトの怒りがついに“爆発”した理由は、前述の通り・・・今回もカカシが現実から目を逸らし「漠然とした希望にすがるような発言(「どこで」手に入れた)」をしたからです。現実から目を逸らし、口先だけで祈る・・・そして行動で何も示さない。そこにオビトは怒りを覚えているのです。
《本来のお前らしくない!昔のお前はそうじゃなかった!》と。 “成り下がった”・・とはそういう意味だと思います。
 
でも《口先だけの男に成り下がった》なんて、あまりにも酷い言葉で、正直この言葉にグサグサ斬りつけられ気分になりましたよ・・・そこまで言うか!?みたいな。
でも…これ、ただの暴言だったら、ここまで衝撃じゃないんです。正鵠を射た指摘だからこそ衝撃なんです。 
今まで誰ひとり、足を踏み入れようとしなかったカカシの心の「結界内」にズケズケと無遠慮に踏み込むような言葉を放つことができ、ここまでカカシの心の内奥に迫れるのは・・・
 
オビトしかいない。
 
そして、これは本当にオビト自身の「ストレートな本音」だと私は思います。 今まで自分が何者か分からないような事を言っていた彼が、初めて《本当の本音》を言い切った言葉なんです。この言葉だけは、もはや誰かに操られたり支配された言葉ではなく、紛れもなくオビト自身の言葉だと思えるんですよね(オビトの現状がどういう状態であれ)。ここまでトビがカカシを見抜けるのは、本当は《カカシの気持ちを誰よりも分かっているから》だと・・・私は思います。
 
《成り下がった》ということは、かつては《お前はそんな男じゃなかった》という意味でもありますよね。
つまり、本来トビは誰よりもカカシを評価していたってことなんです、カカシは口先だけの男じゃないと信頼していた・・。誰よりも、カカシの事を信じ、評価していた男…
 
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《里の奴らがなんて言おうと・・・お前は立派な上忍だ》と信じていたオビト(243話)。
(今週のこの絵↓と、リンクしてる気がする・・)
 
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だけど「立派な上忍」となったカカシが、慰霊碑の前で悩んでいたのは・・・
 

《オレも今や上忍で部下を持つ身だ だが昔のまま…いつも後悔ばかりだ…》
《お前が生きてたら… 今のオレに何て言うんだろうな…》

《なあ…オビトよ》
 

(237話より)
 

カカシがオビトに期待していた言葉は「大丈夫だよ、お前は立派な上忍だ」なんて慰めの言葉じゃあなかったと思うんです。カカシ自身は己を認められないのに、周囲はカカシの事を立派な上忍だと誉めてばかりいる。カカシは他人に褒められるたびに、余計に自分が許せなくなっていたんじゃないかと思うんです。本当は誉められるに値しない自分だと。 
 
今のカカシを叱ったり殴ったりしてくれる人は・・・いない。 
今までカカシの間違いを遠慮なく厳しく指摘し、怒りの拳をくれたのは、たった一人・・・
 
オビトだけなんです。

だから、カカシが十数年間、ずっと望んでいたものは・・・
 
親友の「拳」だったんじゃないだろうか・・・
 
 
 
 
(その3、「ダチと九喇嘛」へ続けます)

 
 
 
 (ナルト好きブログ!2012 8/20)