NARUTO 610 :十尾 その2
(その1の続きです)
・マダラのジジイと、孫
オビトがマダラの孫なのか曾孫か玄孫あたりかわかりませんが;とりあえず面倒なので「孫」としておきます(笑)
十尾復活と共に二人とも十尾の背中にザッと飛び乗って、どちらが指図するわけでも無くサッサと十尾に接続完了してるのには驚きましたが、ここまでの段取りはマダラ生前に打ち合わせ済みだったみたいですね(なんか2人とも充電してるみたい;) これが《外道魔像とのリンク》ってことなんだろうか?
オビトはゼツの前で「サスケを外道魔像にリンクさせる」とか言ってたことがありますが、でも肝心のこの時までサスケは完全放置です。最初っから、オビトはサスケを魔像とリンクさせるつもりは無かったんじゃないのかな・・・。つまり、オビトにはゼツにも内緒の“計画”があり、サスケを今まで育てていたのは そっちの計画の為なんじゃないかと思うんです(マダラにはサスケの事は内緒だし)。
にしても、どっちが十尾をコントロールするかで揉めちゃうかと思いましたが、二人で仲良く(?)並んで充電・・・いやリンクしてる姿は、ちょっと微笑ましい。
で・・・ここでの《爺ちゃんと孫の会話》がさらに微笑ましい。今回は、いろいろと癒される話だったような・・・ (以下、M=マダラ、 O=オビト)
M 「十尾復活までの間に奴らを捕えるつもりだったんだがな・・・」
「意外にやるな」
O 「直ぐに無限月読の儀式を始めたい」
M 「・・・あの大幻術は月を呼ぶまでに時間がかかる 奴らは術の邪魔になる・・・
先に魔像の力で処理した方がスムーズに事が運ぶ」 「・・・違うか・・・?」
O 「・・・・・ マダラ・・・ アンタは十尾の力を使ってみたいだけだろ」 「・・・だからわざと・・・」
「まるで子供だ」
M 「違うな・・・・ ガキってのは・・・」
「落ち着きのないせっかちのことだ」
・・・・お互いに“子供だな”とツッコミあう爺ちゃんと孫(笑)
でもこの会話みてると・・・オビトのほうがウワテなんじゃないかと思うんです。 二人とも優れた洞察眼を持ってるハズだけど、ん~同じ洞察眼でもマダラとオビトでは、ちょいと得意分野が違うような気がするんですよね。
マダラの眼は、一瞬で精巧な影分身、分身も見抜いてしまう。
『ナルトの本体・影分身の見分け』を瞬時に出来ちゃうし、誰も見抜けなかったという『柱間の木遁分身』を一瞬で見抜く事ができる眼なんですよね。だけど、人の心を読むのはど~もイタチやオビトほどじゃない気がする。
オビトの眼は、ナルトの影分身と本体の見分けは出来ないし、ビーのタコ足分身も見抜けなかった(45巻で)。
だけど“人の心を見透かし心を読む洞察眼”は優れていて、イタチと同じ種類の本質を見抜く眼を持っているような気がします(カカシのことも、イタチやサスケの事もよく分かってる)。だから、マダラ爺ちゃんの心の動きもよ~く読めてしまうのだと思うんです。
601話最後のほうで、マダラが「オレが八尾と九尾をやる」と飛んでった時、オビトが横目でマダラを追いかけ 「・・・・・」と一瞬考え事をしてたんですが、あれは子供っぽいマダラが“一体何をしでかすつもりなのか”気にしてたんじゃないかな・・・
マダラは八尾九尾を捕獲しなかった言い訳として「(奴らは)意外にやるな」なんて言ってるけど、オビトは見抜いてるんですよね、「ハイ、それ嘘でしょ!」って(笑)
爺ちゃんは十尾の力を試したかったから、わざと「試運転用に彼らをとっておいた」ことを、オビトはちゃんと分かってる。
おまけに、あ~だこ~だと理由をこじつけては《十尾の力を使ってみたくて、ウズウズしてる》マダラの子供っぽさ・・・ オビトは半ば呆れているように見えます、ったく仕方のない爺ちゃんだなぁ・・・みたいに。
・・・やっぱりオビトは年寄り慣れしてるから、爺ちゃんの心理を読むのは上手い。
実際に、マダラは五影相手に新しい力《柱間の術》ばっかり嬉々として試しまくってたし・・・純粋で単純な人なんですね。 あの百獣の王みたいな肉食風男が、駄々っ子ぽい面を持ってるってのは なんとも可愛らしく憎めないと思ってしまうのですが(笑)だけど、こういうマダラの一面を知ってるのはオビトぐらいなのかもしれない。
そういえば、この戦場にマダラさんがメテオのようにドーン!と降ってきて「こっちは楽しそうだな」なんて言い出した時、オビトが露骨に嫌そ~な顔してたのは《自分の“計画”が引っ掻き回されちゃう》からだったんだろうなぁ・・・。 とんだお荷物というか、手がかかる大きな子供が来ちゃって迷惑というか。
・・・やっぱりオビトってのは、年寄りの世話をする星の下に生まれてきたに違いない。
そんな調子だから・・・・オビトはマダラを嫌ってなんかいないと思うんです。 それどころか、マダラ爺ちゃんの純粋で子供っぽい面を理解していると思うし、アレでも本当は平和とか愛を真剣に考えてる人だってことを、オビトは誰よりもよく分かってると思うんです。 だから、カカシがマダラの事をよく知りもしないのに悪く言った時に、オビトは顔を曇らせたんじゃないだろうか・・・
マダラは一族のリーダーとしての『カリスマ性演出』は上手すぎるほど上手いですが(高いところに陣取って見下ろす、マダラ立ち、髪をなびかせてみる、ガキだの砂利だの発言してかっこつける等)、それに引き替え『本当の自分』は素直に表現できない、誰にも見せられない・・・。
マダラがやたらと他人のことを『ガキ』とか『砂利』と呼ぶのは、自分自身の「子供っぽさ」を必死に隠すための発言だったりするんじゃないだろうか? オビトの「子供」発言は、マダラさんの痛いところ突っついたな・・・これは孫だからこそできる事(笑)
新しい力を貰うとすぐ使いたくなっちゃう子供っぽさなんてのは、傍から見れば『狂暴性』として捉えられるし、愛だけの世界を造りたいと言えばいいものを『この世は憎しみだけだ!』なんて言い方するから嫌われてまう・・・。そういう不器用なところを含めてオビトはマダラを子供だと思うんだろうし、白ゼツには《マダラ、人間出来てないから》なんて言われちゃう。やはりマダラを止めるとしたら、マダラ爺ちゃんのことをよく分かってるオビトがどう動くかが、重要な気がするんですよね。
一方でマダラのほうも、オビトが八尾九尾も狩らないうちから勝手に十尾復活を始めたりとか、自分を輪廻天生じゃなくて穢土転生しちゃった事への不満を《落ち着きのないせっかち》という皮肉っぽい言い方で返してるわけですが、前にも言ってましたよね《焦ったな・・・オビト》って。 それに604話でも、バカカシとリンを助けに行こうとするオビトにも「お前は焦りすぎる」と忠告してましたっけ。
でも、オビトは八尾九尾を“狩れずに”仕方なく十尾復活を始めた訳ではないし(意図的に狩ってない)、マダラを輪廻天生どころか穢土転さえ最初はする気が無かったという事を・・・・マダラは知らない。
だけど、今までオビトが闘ってた相手が『かつて、オビトがどうしても殺せなかった親友のカカシ』だってことはマダラも見て分かってるだろうし、今回もどうせオビトはカカシを殺すつもりはないんだろう、と分かってると思うんです。 だからもし、オビトの本心を探るために『十尾でナルト達を攻撃してオビトの反応を見ようとしてる』のだったら、マダラさんも大したものですが・・・どっちなんだろう、マダラはオビトを信頼しているように見えるんですけどね・・・。
にしても無限月読の為には「月」を呼ぶんですね;つまり月を呼んで“永遠の夜”にするってことでしょうか。
だとしたら、ますます自分が作らせた組織に“暁”なんて名前を付けたオビトの本心は怪しいものがあります・・・。マダラとオビト、ここから先は考え方のズレが少しずつ見えてくる・・・。
マダラは八尾九尾の尾獣玉攻撃を十尾ビームで粉砕して、「避ける必要も無い」とか言って堪能してるし(←マダラさん、十尾の力で明らかに遊んでるでしょコレ!) だけど、オビトはさり気なく「十尾の力はなるべく温存しておきたいんだがな」なんて言ってはしゃぎ過ぎのマダラ爺ちゃんをサラッと諌めてる(つまり十尾の力は攻撃には使いたくない)。
それにマダラは十尾のことをまだ「魔像」と言ってたりするけど、オビトは「十尾」と言っている・・・
つまり、マダラにとって十尾は無限月読用のチャクラ容器(魔像)でしかないのかもしれないが、オビトにとって「十尾」は道具なんかでは無い ただ1つの“存在”なのかもしれない。
それに、マダラは十尾を利用することで この世界の造り直しを始める気満々のようだし、
オビトは十尾復活を世界の終わりの始まりと言っている・・・つまり今の《仲間を大切にしない、今までの忍》をブッ潰すことが目的のような気がする。 今後、爺ちゃんと孫の考えのずれが、どうなっていくんだろう。
(その3、九喇嘛隊長とカカシの神威の話に続けます・・・)