ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

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NARUTO-ナルト- 673 オレらで…!! 今週のジャンプ・ナルト感想 (WJ21号) その2

NARUTO:673 オレらで…!! その2

 
(その1の続きです)
 
 さて、次は「圧倒的な力を手に入れた」ナルトの、気になる発言を2つほど。
まずは…
 
・「ゲキマユ先生なら大丈夫だ! もう死んだりなんかしねェーよ!」 
ガイを心配そうに見つめるリーに言ったナルトの一言)
 
この《もう死んだりなんかしねェーよ!》は、以前ナルトが言った「オレの仲間は絶対殺させやしねェ!!!」(608話)を意識した言葉じゃないかと思うんです。 
 元はといえば、あのセリフはカカシお得意のセリフ「オレの仲間は絶対殺させやしないよ!」のパクリ(?)ですが、でもその直後ネジが戦死してしまって、あの言葉は幻となり…ナルトは代わりに《本当のネジを心の中に置いておく》という答えを出してましたっけ。
 
そして、それに続くもう1つのセリフ… 
 
・「何か色々できそうな気がすんだ …今のオレってば…」 
(と右手を見るナルト)
 
 「色々できちゃう」…夢のような力を手にしたって事のようですが、ちょっとコレ怖くもありますね。
 
ナルトは「なぜゲキマユ先生の命を守れると思ったか」そのプロセスは相変わらず分からないようですが(「生命を吹き込む」陽遁のおかげかとも思うんですがね)、今のナルトは確かに「願ったことを実現できる」力を手にした感があります。
 
 「~気がする」という言い方をしてますけど、ゲキマユ先生を死なせないようにできる「気がする」…そして助けることが出来た。 熔遁螺旋手裏剣も「はじけろ!!!」と心で念じたら「弾けた」。 「思いのまま」になってる感じがあるんですよね、まさに「常識では理解できない夢のような力」を手にしてしまったって事だと思うんです。うん・・使い方次第でとんでもなく怖い。
 
かつて六道仙人は「想いの強さが宿る」ぬのぼこの剣で世界を創造したらしいですが、今のナルトなら「想いが強ければ」何でも叶えられそうな力(危険)がある…六道仙人の爺ちゃんは、とんでもない力をナルトとサスケに渡したっぽいですね(汗)…じいちゃん博打過ぎるってばよ…。 
 まさに彼らの「想い」が試されるわけで、ナルト達がかぐやのように世界を制することだって可能だし、別の道を取ることも可能。つくづく、ナルトが「1日前のナルト」じゃなくってよかったと思います(笑)あの「オレオレ」ナルトじゃなくってよかった。ナルトにとってこの長~い1日は「かなりの強行軍」だったけど、でも「たった1日」でナルトは数年(数十年?)分もの事を一気に考え学んで自分で見つけて鍛えられてきた…「間に合って」よかったと思います、ホントに。
 
しかし、ナルトが「夢のような力」を手にしたことの「是非」をここで論じてもしょうがないし(とりあえず貰っちゃったんだから)、別の考え方をしてみるしかないかな(と思う)。 
 だいたいナルト達がこの「とんでもない力」を永劫に持つとは思えないんだけど、今だけ「預かった」のだと仮定して、重要なのはナルト(達)がその力を何にどう使うのか、そしてそこから「何を感じ何を学ぶのか」…だと思うんです。
 
 例えばナルトが言った《ゲキマユ先生は“もう”死んだりなんかしねェーよ!》のセリフ。 
 
 ナルトはなぜ「もう」と言ったのか… 圧倒的な力を得たから『何でもできる』という過信からの「もう」もあるかもしれないけど(これだと怖い)、あの「もう」の部分には、ナルトが「ネジの死」を意識しているのも感じるんです。「(仲間は)殺させやしねェ」と言ったのに、その直後にネジを死なせてしまった…あの時のメチャクチャ悔しい想い、すごい悲しい想い。ナルトの「本音」が、あの「もう死んだりしねェ」の言葉にチラッと漏れ出したんじゃないか…と思えたんです。ホントはネジを絶対に死なせなくなかった、ネジには今でも生きててほしいという「本当の想い」が。
 
「仲間を守れなかった」のは、事実…意味づけして自分を納得させてはみても、やっぱり「悲しい」事だと思うんです。 リーだって、ガイ先生の「決死の八門遁甲の陣」は「覚悟を決めた男のすること」だから涙を見せちゃいけないと頑張っていたけど、やっぱり「悲しい」し「イヤ」だと思うんです。ガイ先生が死んじゃったら…
 
 ご承知の通り、私は今もあの時の忍連合の「答え」にはモヤモヤしたままなのですが、死んでいった友の意志を繋ぎ「ずっと心に置いておく」のは大切だってのも…よく分かるんです。でも、それだけで心の傷から解放されるかといえば、やっぱりそんな事はない…(たとえばカカシだってオビトやリンの死の意味を「分かってはいても」十数年ずっと後悔しっぱなしだった)。 
 悲しすぎる戦争の死を、無理に「美化」「意味づけ」する必要はないんじゃないか(長門もその虚しさを語ってましたよね)…「ネジが死んで悲しい」「ネジを死なせたくなかった」「ネジに生きててほしかった」と思っている「本当の自分」を素直に認めちゃえ~…とも思うんです。
 
 ナルトは「忍になって最初の闘い(波の国任務)」で、再不斬が白の死に「意味づけ」して納得しようとしてたのを見て「何とも思わねーのかよォ!?」「お前にみたいに強くなったら…ホントにそうなっちまうのかよォ!!」と叫んでいた。そして、再不斬の本心(涙)を引きずり出していた… あの時の「原点」に、ナルトも一度「戻って」もいいんじゃないのかな。
「夢のような力」を得たことで「(本当はやっぱり)仲間を死なせるのは嫌だった」という“素直な本音”に「気付く」こともあるんじゃないだろうか。 そしてコレが「きっかけ」となり、積極的な「生の肯定」に繋がってくれればなぁ…と願っています(コレに関してはいろいろご意見はあると思いますが、あくまで個人の感想ってことで)。
 
 そして勿論、ナルトが本当に欲しかった力はこういったイザナギ的な「都合のいい夢を叶えちゃう力」では無いと気づかないと、事実上の無限月読になってしまう…って事にも気づいてほしい。
 
 
 
そして、ナルトに歩み寄って我愛羅が突然言ったこの一言…
 
 
「ナルト…」
「…お前が火影になったら 一緒に杯をかわそう」
 
「……」 「オウ!」 
(にこっとするナルト)
 
 
そうなんですよね…我愛羅が必死で「瀕死のナルト」を助けようとした事を、ナルトはまだ知らないんですよね。 我愛羅がどんな想いでこれを言ったのか…《生きててくれて本当によかった》の想いがあるんだろうに、ナルトはたぶん、それには気づいてない。
 我愛羅の「お前が火影になったら」の言葉には、「お互いにこの戦争で生き延びよう」という思いもあるんじゃないだろうか。ナルトが「生きて」くれた事…その喜びを知って、かつてチヨばあが我愛羅に命を与えてくれて我愛羅が「生きて」、そのことを喜んでくれた周囲の想いも…我愛羅は分かったんじゃないでしょうか。命を与えられる事の喜び、そして大切な者が「生きていてくれる」ことの喜び…生きてなくちゃ「杯をかわす」ことだって出来ないんだから。
 
 
そして…タン!と勢いよく飛び出すナルトを遠くに見たカカシの言葉…
 
「……」 「ナルトか!?」
「……」 (何かを思うカカシ)
 
(オビト… お前…)
 
 
「……」の部分のカカシの「眼」が、何やら驚いたような、何やら「はっとしたような」表情になってますね。(オビト… お前…)の後に続く言葉は何なのだろう? 
 
ピューンと飛び立つナルトを見て「神樹を斬った」のはナルトだったとカカシは察したと思いますが、それほどの力をナルトが得たのは「オビトが何かをしたから」…   オビトは「もう1つの九喇嘛」をナルトに入れて「命を助けた」だけではなく「さらに何かをした」ってこと…それにカカシは驚いて「なぜオビトはそんなことが出来たのか、なぜオビトはそんな事をしたのか」まで考え始めていると思うんです。 
 オビトは「償い的に」やっただけではなく、オビトにはそれ以上の「何か考えがある」…カカシはそこに気づき始めたんじゃないだろうか。
 
 今のところ…「オビト」ってのは、「誰でもいい」とか言った挙句に面を割られ、散々抵抗したけど、しまいには説教されて大人しくなっちゃった(いまひとつ中途半端な)キャラ…にも見えると思うんですが、私は「オビト」というキャラは物語中における爆弾的なキャラだと考えてまして、重要な事を知っていて何かを隠し持っているキャラだと踏んでおります。 
 十尾の事もマダラ以上に知っていそうな気がするし、「ナルトとサスケが運命に選ばれた次の二人」である事も知っていたし…その他の「謎の数々」九尾事件、うちは事件、ロン毛さん、大量の写輪眼保管等)もオビトが直接絡んでますし、とにかく彼が「秘密」を喋ってくれない限り、何も分からないままなんです…ようするに物語の重要なキーマン。 で…そのことに「周囲」も少しずつではあるけど「気づき始めて」いるんじゃないか…と思います。この数話での「周囲」の反応を見ていくと、それが分かるんですが…
 
「お前に足りてねー尾獣の力をちゃんと分かってやがったぜ …あいつ」
「オビトがァ!?」 
(671話、牛鬼とナルト)
 
「ナルト…イヤ…なんとなく前と違うな」 (オビトの奴が…)
(672話、マダラ)
 
「ナルトか!?」「…」(オビト…お前…)  
(673話、カカシ)
 
…という具合に。
 
ちょっと前、ゼツ達が散々オビトをバカにするような発言をしておりましたが、逆にそれが気になってまして、そろそろ「元落ちこぼれ」がこっそり仕組んだシナリオが炸裂しそうな予感もします。
 
…ただしこの後、オビトはサクラに「最後に頼みたい事がある 味方でなくていい…敵としてだ」なんて言ってますので、オビトは計画の「最終仕上げ」に入ろうとしてるんじゃないかと思われますが、どうやら「連合に憎まれる敵役」を貫き、本心を隠したまま最期を迎えるつもりなのかな…。
 しかし、カカシが「何か」に気づき始めているので《今度こそ》「さすがカカシ先生の理解力」でオビトの腑を引っ張り出し、オビトを助けるのではないか…と期待します。やっぱりこの役目は「カカシにしかできない役目」…これでこそ、やっと「本当の意味でのカカシイヤー」完結になるのではないかな。
 
 636話は散々だったけど、655話でカカシはかなりオビトを「理解」しようとし、666話では遂に「共闘」に至り、カカシの「理解力フラグ」はすこ~しずつだけど確実に回収されてきたとは思うんです。でもどうやら「まだ続きがある」ようで…そして「ここから」が肝心なんだ思います(きっと)。 60巻以降、かなり時間をかけた「理解に至る描写」で、読者的にはイライラもしたんですけど(もっともNARUTO時間ではまだ数時間なんですが、なにせ読者時間では2年経過)、そう簡単に人の心なんて見抜けるもんじゃないし、迷いつつも着実にカカシが「オビトの心の仮面を取る=裏の心を知っていく」過程は丁寧に大切に描かれている。「戦い」の裏で進められる「心」を繋ぐ作業…大切なのは「こっち」。
 
 
そして、今回かなり印象に残った言葉は、コレです…サクラの(オビトに向けた)この言葉。
 
 
「アナタは敵… 仲間をいっぱい傷つけ殺した…」
 
「だから本当はこんな事言いたくないけど 
この一回だけは味方として特別…」
 
 
「ナルトを助けてくれてありがとう」
 
 
 
よく言った…!本当によく言えたぞ、サクラ。
 
敵に「ありがとう」なんて「ありえない」し、言いたくもないだろうけど…苦虫を噛み潰したような表情がサクラの複雑な胸中や葛藤を示してますが、でも…これってホントに凄い事だと思います。 サクラも「ありがとうと言わずにはいられなかった」自分が不思議だったかもしれない…常識じゃ考えられない言動だし、(敵が助けてくれるなんてのも)常識ではあり得ない状況なのだから。かつて、ナルトが「敵」であった再不斬達の事を「あいつら好きだった」と発言した以上に凄いんじゃないのかな…
 
 この戦争の開戦時、我愛羅が行った演説(“大いなる希望”)で、ナルトの事を「敵であるオレのために泣いてくれた、傷付けたオレを友と言ってくれた」と言ってましたが、敵の心を想って涙する以上に「ありがとう」というのは難しい…最難関のハードルじゃないかと思いますが、同時にそれは和解の為にもっとも必要なモノでもあると思います。 敵にさえ「ありがとう」と言える事…その発想、その気持ちが。
 
この前も、ナルトがハゴロモに言った「ありがとう」がありましたよね。 ハゴロモは長い間「問題を引き起こした責任」を感じて己を責めていたのに、ナルトに言われた、まさかの「ありがとう」の感謝の言葉…
 相手を責めたり恨みを論うのは容易い事ですが、憎い相手に「してもらった」事を挙げるのはとっても難しい。でも、どんな闘い出会いの中にも「ありがとう」といえる事はあるのかもしれない…たとえば、それを実行していたのが「マイト・ダイ」と「分福」。
 
 相手にからかわれても「応援ありがとう!」と感謝の心を忘れないダイの発想はちょっと「常識からズレてる」かもしれないし、自分の事を嫌ってくる相手の裏の心を読み、手を合わせ感謝を忘れない分福も「変わってる」かもしれない。 
 でも、今年に入ってから続く「分福」や「ダイ」という「敵対する人にさえありがとうの気持ちを持ち続ける人物達」のエピソード…そしてナルトとサクラの「ありがとう」…ここに岸本先生の熱いメッセージを感じるんです。
 
敵を憎むのではなく、敵に「ありがとう」といえるぐらいの「愛情」…それがNARUTOの描く「愛」だと私は思うし、そのぐらい「バカげたキレイ事」を声を大にして言うのが「NARUTO」であると感じています。それが非現実的であったとしても、そのぐらいの気持ちを持たなくちゃ人々は理解なんかし合えないし、世界は何も変わらないというね… これは作者から「これから世界を担う世代」に向けての熱いメッセージじゃないかと思います(そこから「何を考え何を想うか」は読者次第…とは思うんですけど)。
 
そして、やっぱり「第603話リハビリ」は作者のメッセージが《ギッシリ》な重要話だったと改めて重ねて思います。 「生きている」の意味にこだわるグルグル、そして白ゼツが言った《逆にありがとうって感謝してほしいくらいだよ》のセリフ…これらは『今後の展開に向けての』重要なヒントであろうと思っています。
 いつか…忍達は十尾(神樹)にも「ありがとう」と言ってあげられる時が来ると思いますが、その時こそ、十尾も「本当の自分」に戻れるんじゃないのかな…
 
まずは身近な敵に「ありがとう」と言えた事…ものすごい発想の転換が必要ですが、サクラはまずそれが「出来た」ってこと…これ、前へ進むための大きな第一歩だったと思います。「ありがとう」の気持ちが忍世界を変えていくと言っても過言ではない…そんなふうに私は思っています。
 
 
 
 
(その3へ続けます、遂に揃った「ナルトとサスケ」…そして彼らに何が起きたか…これでラストです、長文すみません。アップは今夜か明日になるかと思います)。