ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

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NARUTO-ナルト- 686: 残せし者と継ぎし者 今週のジャンプ・ナルト感想 (WJ35号) その2

NARUTO 686:残せし者と継ぎし者 その2

 
・さて「カカシ」なんですが…
 
 
何だかなぁ…今週のカカシを見ていると、彼の「心」の状態は、今もギリギリのところにあるんだなぁと思いしらされた感じがしました。
 
(…つけ入るスキすら…)
 
《ギュッ》 
 
(オレは…ただ見ているだけで何もできないのか…!?)
 
(サクラもオビトも…必死で…)
 
「……」
 
 
カカシが《ギュッ》と握りしめた拳。 滅多に「悔しさ」を表に出さないカカシが拳に力を入れたのは、己の不甲斐なさへの静かな…いや、煮えたぎるぐらい熱い怒りを抑え込もうとしたのかな。 「沸点の高い男」カカシが、かなり…己への「怒り」を募らせてる。
 うつむいて「下」を見たのは、「上」で戦い続けるナルト(と影分身)を「ただ見ているだけ」な自分が情けなくなって、目を逸らしたくなったせいだろうか…?
 
…だけど「下」を見れば、今度は《あっちで必死に闘っているサクラとオビト、ナルトの影分身の足跡》が目に入る。 足跡の中に、ただ一人「ぽつん」と立っているカカシ…なんだかすごく寂しそうな絵。 
足跡の中にただ一人立っている自分の「取り残されている」状況に、さらに情けなくなっただろうか…そしてまた「……」とカカシは無言で上を見上げる。
上を見ても下を見ても、カカシの周りは「皆頑張っていて」カカシだけが蚊帳の外。ものすごい孤独感と、取り残され感と、無力さを感じてるだろうなぁ…カカシ。
 
(オレは…ただ見ているだけで何もできないのか…!?)と眉間にしわを寄せ苦しそうにするカカシ…滅多にこういう表情は「人前」では見せないんですよね。カカシって。 たとえば598話で、「仮面の男がオビトであるハズが無い」と思わず苦しそうに俯いたことがありましたが(今回と同じような表情で)、それを見たガイはすごく驚いたような顔をしていましたっけ。 ガイですら、カカシの「内面の苦悩」を見る事は それまで殆ど無かったんじゃないのかな。 
そのぐらい普段のカカシは「沸点が高い」というか、あるいは「内面の苦悩」は誰にも見せないというか…。
 
 
(オレは… お前達の師として たいした事はしてやれなかった…)
 
(オビト…そしてリン… 友としても同じだ エリートぶった口先だけの失敗ばかりを繰り返してきた)
 
 
第一部のカカシは、秘密が多くてよく分からないけど「仕事は出来る凄腕上忍」。
だけど「カカシ外伝」でカカシの秘密が明かされて以降、第二部に入ってからのカカシはかなり「心の内の描写」が増えたような気がするんです。で、意外と心の中では「いつもオロオロ」なヘタレ(?)でもある事が分かってきて、ナルト社会に於ける「カカシに対する美化しすぎなほどの高評価」「オロオロと迷ってる内なるカカシ」のギャップを激しく感じるようになったんですよね。
 
 他里にも名を知られ、里でも「次期火影候補」として真っ先に名前が挙がるし、大名の側近には「名声も力も徳もある」とまで言われてんのに… だけど心の中では「オレはダメ」なんていつも考えてる。 
 一時、火影候補に名が挙がった時の「カカシ自身の反応」…アレが全てを物語っていましたよね。 「ぜひ火影に」と言われれば「断ることはできない」。「エリート」として期待に応えない訳にはいかない。 だけど、自分は「火影のガラじゃない」と思ってるから、気乗りはしない…。あの時の「ハッキリしない態度」は、カカシが「自分自身をどう捉えていいのかハッキリ分からない」のがそのまま表面に出ていた感じかな。
 
そして、その状態は戦争が始まってからも続いていて…カカシは部隊長としても「ナルトの先生としても」活躍し、仲間を守ってきてるのに、それでも自分を「認めてやれてない」。 「世間からの評価」と、「自己採点の結果」のギャップがあまりにも大きすぎるのかもしれない。。
 
で…カカシが考えている《師としてたいした事はしてやれなかった》、そして《友としてエリートぶった口先だけの失敗ばかりを繰り返してきた》。 
ん~…やっぱりカカシは「師としてたいした事をしなくちゃいけない」とか、「友として同期の中でもエリートっぽく(模範的に)行動しなくちゃいけない」と思ってた部分もあったのかな。
 
でも、師として出来る「たいした事」って、一体どんなことなんだろう? 「立派な術」を教えたりする事なのだろうか…? 
たしかにカカシはサスケに「千鳥」を教えたし、サスケが千鳥を披露した時は鼻高々ですごく嬉しそうだったし… それにナルトの「風遁螺旋手裏剣」の修業に付き合った時も、自分の考えた修行法の「おかげ」と言って満足そうだったっけ…。 
だけど、サスケは千鳥習得後すぐに里を抜け、ナルトの風遁螺旋手裏剣はすぐに「使用禁止」になってしまった。 そんなこんなで、結局「師としてたいした事はしてやれなかった」と思ってるのかもしれない。
それに、友としても「エリート」のハズなのに、ガイやオビトに「差」をつけられ逆転され… とんでもなくカカシは落ち込んでるんでしょうね、きっと。
 
第七班という超エリート班の先生に任命された「期待」やら、錚々たる面子が揃う同期の中でもエリートと言われた「期待」やら、それらの期待に応えられてない不甲斐無い自分に…
 
  
(ナルトが頑張ってる時に何を感傷に浸ってるんだ… だからダメなんだ…!)
 
「だからダメ」だとか…やっぱり自分を肯定できてないですよね。
 
だけどカカシは今までナルト達をたくさん守ってきてるし、「出来てる」ところもいっぱいある…なのにカカシは「減点法」で自分を採点してる(っぽい)。 
自分の「理想」と「現実」を比較しては自分を減点して…「たいした事が出来てなければ」減点…「エリートっぽくなければ」減点…そしてオビトやナルトと自分を比較して…彼らと自分の違いを見つけては減点して、だから「オレはダメなんだ」になってしまう。 自分に厳しすぎますねぇ…カカシは。
 
そして、またまた出てきた《口先だけ》って言葉。 
 
 ちょっと前ガイの話の時に、カカシの回想に登場した「カカシの父さん」超エリートのサクモさん。 彼が「オープンヘタレ」だったのには驚きましたが、カカシが「口が達者で賢い、扉間風の子供」だったのは「父さんみたいになりたくなかった」からなんでしょうかね…。 
 けれど、ホントは小さい頃からカカシも「心の中ではオロオロ」してたんでしょうね、きっと。 「マスク」はホントの自分を隠すための「仮面」だったのかな…と思います。 相手に「自分のダメな内面」を悟られないように、相手に付け入る隙を与えないように、ひたすら「口上手スキル」を磨いてきたんでしょうけれど、口術を磨けば磨くほど「内なるカカシ」との差は激しくなり…カカシは自分を「口先だけ」と考えるようになってしまったんだろうか。そして、ますます「マスク」という仮面を手放せなくなってしまったのかな…?
 
(オビトのほうはすっかり面が取れて『自分』を曝け出すようになったけど、カカシのほうがまだまだ…かな)
 
でも、それでもカカシは《オレにもまだ出来る事はある…》 と逃げてはいないんですよね。で・・・《盾になる事ぐらいなら!》とナルトとサスケを助けようと、必死に飛び出ていく。 
 カカシがナルト達にしてやった事…それはいつでもナルト達を「必死に守ってきた」事、それは最初っから今まで変わってない、ずっと続けてきた事ですよね。
 
 でもカカシは、これは「師としては最低限のこと」と思ってるのかもしれないし、だから「盾になる事“ぐらいなら”なんて言い方してるんじゃないかと思います。 そして、それは「師としては大したことではない」と思ってるのかもしれない。
 だけど「すっげー術を教えてやる」事よりも、こっちのほうがずっとずっと「たいした事」なんじゃないかと私は思うんです。とにかく、カカシはナルト達をずっと守ろうとしてきた…
 
ナルト達が最初に任務に出た時、怖くて震える彼らを命がけで守ってくれたり…
ナルトとサスケが病院の屋上で決闘しそうになった時、飛びこんで止めてくれたり…
サスケとナルトを終末の谷まで必死に追ってきてくれたり…
サスケとサクラ、ナルトとサスケが鉄の国で衝突しそうになった時には止めて中に入ってくれたし…
そしてこの戦場でも、真っ先にナルトを助けに来てくれた…そして「盾」になってくれた(566~567話)。
 
たしかに、カカシは全てを上手く解決できたわけじゃなかったけど、それでもいつも「守ろう」としてくれた。
 
教え子にとって、その「結果」よりも「自分を守ろうとしてくれた」…その事実が一番大切なんじゃないだろうか。 自分達のことを想って止めてくれたり、危険を顧みずに背中で守って盾になってくれた事…それが何より嬉しかったんじゃないかと思うんです。
 親が子供を守るみたいな、本能的なもの…「体が勝手に動いてしまう」その行動は「深い愛情があればこそ」のもの。 カカシの背中に、ナルト達は「深い愛情」を感じていたはず…それが「一番」大切な事なんじゃないかと私は思うんです。
 
 「教え子」は、師の背中から大きな愛情を貰い、その背中に師の「生き様」を見、その意志が教え子に受け継がれていく…(のだと思う)。 だから、カカシはもうとっくに「たいしたこと」をやってあげてるんじゃないのかな…。
 
そして、ナルトとサスケの盾になろうとして飛び出し、超重力世界で体が思うように動かない中で必死で《間に合え!》と…離れた場所から「同じ想いで同じ方向に向かって行く」カカシとオビトの手を取ったのは…
 
 
 
リン…
 
 
 
(ミナトの回想に出てきたあの日のように… リンが、カカシとオビトの手を取ってグイッと二人を同じ方向に引っ張っていく)…
 
 
 
 
(その3でもう少しカカシの事、そして「オビトと第七班」のことをまとめます←火曜日中にアップします)。