ナルト好きブログ!(NARUTO考察・雑考)

NARUTO-ナルト-の考察(伏線、言葉、人物考察などなど!)続行中!

薬師カブト・・その9 カブトと「居場所」

薬師カブト・・その9 カブトと「居場所」

   今年はうるう年・・・4年ぶりに2月29日生まれ「薬師カブト」の誕生日がまわってきます。

 カブトの記事はいくつか書いているのですが、どれも「NARUTO連載中」に書いたものなので、完結後の今となっては「訂正したい部分」やら「加筆したい部分」が結構あったりします。 「カブト」に限らずですが、「人物雑考」の過去記事ってのは「その後の新展開」やら「その後の新事実の発覚」があるため、今読み返すと《突っ込みどころ》が多々ございます(あえて放置しています)。 
 ま・・それらも「毎週の感想記事」同様、その当時はそう思った、その当時の情報ではそのように感じていた・・という「記録」のようなものですので、何卒その点ご理解いただき、ご容赦くださいます様お願い申し上げます。

 とはいえ、やっぱり気になるんですよね・・「今はそうは思わない」と思う部分も多々あるし、「もう少し書き足したい」ところもある。 漫画の考察(雑考)ってのは「完結後」のほうが書きやすいと実感しております(それが今でもブログを続けている理由でもあります)。・・・というわけで、カブトについても《過去記事を踏まえつつ》まとめていこうと思っています。

 さて・・カブトについては、最終的に無事イザナミから脱することも出来たことだし、「ウルシ」という仲間の存在が明らかになって、完結後の「外伝」では「こども園の園長」として元気な姿も見せてくれて、ナルトとの関係も良好な様子でした。それに、「敗戦側」として厳しく処罰された様子も感じられない・・・ どうやら「忍のシステム」も、着実に変わり始めているんですね。


・居場所を求めて

「カブトの物語」について振り返るには、彼自身の言葉を借りるのが一番かもしれません。

「ボクもそのオビトも・・この世の中に自分の居場所がなくなってしまったと思い込み皆を巻き込んだ」
「だがもう自分が何者か分かっている・・そして己が何をすべきかも!」

 これはイザナミから脱して戦場に駆け付けたカブトが、瀕死のサスケを助けながら語った言葉なのですが、今回はこのセリフに出てくる「カブトにとっての居場所」について書いてみようと思います。

 過去記事の「カブトと情報」の中でも触れておりますが、「情報量」は彼の切り札でした。 「最初の登場シーン」でも、カブトは初対面のナルト達の信頼を得るために「手持ちの情報」を親切に教えてやっています。 忍の世界では「命より重いこともある」と言われる「情報」・・・それを「他人に与える」ということは、相手の信頼を得るために最大限の誠意を見せるということでもあります。 
 木ノ葉のダンゾウも、五影会談の際には“暁”やマダラに関する情報を提供することで、他の五影やミフネの信頼を得ようとしていましたが、カブトがナルト達に「参加者たちの情報」を教えたのも、ナルト達の「信頼」を得るためだったのでしょう。

 「信頼を得ること」・・・カブトにとって、それは自分の存在を認めてもらい、確かな立ち位置、確かな居場所を得るための手段でもあったと思います。

 中忍試験中のカブトを見ていると、いかに「大蛇丸様の期待に応えて信頼を得ていくか」に徹して行動しているのが分かります。 カブトは、もうとっくに大蛇丸の信頼を得て「特別なポジション」を得ていたハズなのに、それでも気を抜いてはいないんですよね。 常に「自分のポジション=居場所」を失わないようにと「大蛇丸様が望むような自分」で在り続け、信頼されようと自己アピールをしています。 機転が利くことをアピールしたり、大蛇丸の真意を見透かすような事を言ったりして、ひたすら「大蛇丸様の気に入る」ような言動をしています。 

 綱手捜索のエピソード(18~19巻)でも、カブトは「自己アピール」を忘れてはいませんでした。 綱手大蛇丸が向き合った時、カブトは大蛇丸を助けて恩を売り、「心底信頼するわカブト・・・お前の私に対しての忠誠と綱手の攻撃を見抜いたその眼力をね」と言ってもらうのです。
 さらに「サスケ奪取任務」の為に君麻呂を焚き付けて送り出し、大蛇丸「お前本当に嫌な性格してるわね」と言わせています。 そして天地橋に於いても忠実に動いたうえで、徹底した潔癖症・完璧主義なところも見せて大蛇丸を驚かせたりしています。 

 常に「新鮮な驚き」を与えて大蛇丸を飽きさせず、ひたすら《自己アピール》して惹きつけ、新たなる信頼を得ようと努める・・ ここまで必死になって疲れやしないのかと思うほど、カブトは気を緩めることなくアピールし続けます。・・・いつでもいつまでも「相手が求めるような存在」つまり「必要とされる存在」で在り続ける為に。

 「居場所」をずっと求めてきたカブトは、幼い頃からずっと「求められる人物像」であろうとしていたんですね。 孤児院では甲斐甲斐しくマザーの手助けをしていましたが、それはマザーへの恩返しの為でもあり、マザーや院の仲間に「カブト」として認められたい一心だったのではないかと思います。《やっと見つけた自分の居場所》を失いたくなかったんじゃないのかな・・。 

 大蛇丸は、初めて出会った幼いカブトをじっと観察し、カブトの心を見抜いたうえで「カブト・・・とか言ったね」と話しかけます。 「カブトとか」・・「とか」という曖昧な“仮の存在”。 それは「カブト」という“確かな存在”になりたかった幼いカブトを試すような、ちょっと意地悪い言葉でした。 
 その後カブトは“根”に所属して忠実に任務をこなしていきますが、やがて組織に裏切られ「自分を見失った」時・・・再び大蛇丸が現れて、今度はしっかり「カブト」と呼びかけて居場所を与えてやるのです(詳細は過去記事「とかととやら」にて)。
 それからのカブトはずっと「大蛇丸様に求められるような自分」であろうと努力し続けてきた・・・だから「大蛇丸様」を失った時、またまた居場所を失い己も見失ってしまったんですね。 「自分は一体何者なのか」わからなくなったと・・・

 イタチの「オレは木ノ葉のうちはイタチだ」という言葉に羨望していたカブト。 だけど《自分の存在を確認したい、居場所が欲しい》という願望は、けしてカブトだけのものではありませんでした。 

 NARUTOの物語最初の「波の国エピソード」・・白の「知っていますか  夢もなく・・誰からも必要とされず・・ただ生きることの苦しみを」「再不斬さんにとって弱い忍は必要ない・・君はボクの存在理由を奪ってしまった」という言葉は、心に突き刺さりました。 「己の居場所」を探し求めていたのは、白やカブトだけではなく・・・ナルトも母クシナの《ここに居ていいのよ》の言葉に救われたし、サクラも第七班内での己の立ち位置に悩み続けたし、サスケだって物語の最後でようやく「居場所」に帰ってこられたんですよね。 カカシでさえ、己の存在や居場所を確かめる事が出来たのは、物語が終わる頃でした。

 NARUTOの物語は、ナルト達が「忍世界」に蔓延った諸問題に立ち向かい答えを見つけていった「轍(わだち)」でもありますが、忍全体の問題であった《己の居場所》の問題・・・これを具体的に浮彫りにしてくれたのが、「カブト」という存在だったのだと思います。


・カブトが現実にした「おとぎ話」

 穢土転生したマダラが『木遁・花樹界降臨』を使った時、それを「己の力」と感じたカブトは満足そうにこう言ってましたっけ・・ 

「初代火影千手柱間程の忍はもういない・・・ 人は皆そう言う その強さを聞い
た者は六道仙人と同じくおとぎ話だとね・・・」 
「今こそ・・・そのおとぎ話を現実に・・・!」

しかし、カブトが本当に実現したかった「おとぎ話」とは、《夢のような力の話》ではなくて・・ 本当は《お母さんがベッドの横で語ってくれるような、安心して眠りにつくことができる物語》だったんじゃないかと思うんです(これは2012年の記事(「カブトという平凡な忍が見た夢」)でも取り上げておりますが)。 安心して眠れる「居場所」の実現・・・それこそ「自分が成すべきこと」だったのだとカブトはようやく気付きます。 「外伝」でのカブトは、居場所を失った子供たちに「安心して眠れる居場所」を作ってあげる側になっていました。 
 「おとぎ話を現実に」・・ようやくカブトも自分の「夢」を実現できたのかもしれません。


 よかったね、カブト・・(そして誕生日、おめでとう)。




☆長駄文、読んでくださって感謝・・



☆「カブトと情報について・改訂版」と「カブトの物語上での役割」について、後日アップするつもりです。


(ナルト好きブログ! 2016/02/23)