イタチが伝えたかったこと (しくじり先生としてのイタチ・61~62巻のエピソードから )
「白眼」がクローズアップされるようになったのは、「NARUTO-ナルト-」も終わりが近づいてからのこと・・・振り返って見ると「NARUTO-ナルト-」ってのは「写輪眼の物語」だったんだなぁと思います(瞳術に於いては)。
61~62巻のエピソードでは、瞳術「イザナミ」と、「イタチが伝えた真実」の中で瞳術関連の話が出てきます。 瞳術関連の話とは、「シスイの別天神(ことあまつかみ)関連」のこと。 シスイが一族に別天神を使おうとしていた事や、ダンゾウがシスイの眼を奪ったいきさつ、イタチがシスイの左眼を預かったいきさつ(イタチが万華鏡を開眼したいきさつ)についての話です。
《イザナミとは、「イザナギ」とは対を成す瞳術で、イザナギの術が「都合のいい夢を現実にする」のとは対照的に「現実と本来の自分を受け入れさせる」術》。
そして、
《別天神とは、相手を支配してマインドコントロールする最強幻術。 術にかけられた本人も、周囲も気づかない》・・・こわっ。
もちろん、シスイの想いや、イタチが万華鏡を開眼した経緯を伝えるモノでもありますが、《シスイが、一族に対して幻術を使おうとしていた》という事実は、けっこうな「衝撃」でもありました。
何とかして一族と里の両方を救いたかったシスイの「切実な想い」も、よく分かる・・・ それでも「幻術」頼みってのは、どうなのかな・・・現実から逃げて都合がいい結果を作ってしまうことに、意味はあるんだろうか?とかね。
そのあとに続く「イタチが伝えた真実」も、「イタチの苦悩」や「サスケへの愛」、そして「両親の息子達への愛」が泣けるほど伝わってくるんだけど、これらも結局《全部一人でやろうとしてしまった》イタチの「失敗の告白」であったのだろう・・と思います。
「失敗したオレが今さらお前に上から多くを語っても・・」とか「オレを見てオレになかったものをお前には探してほしい」と語っていましたが、イタチが一番伝えたかったのは「己の失敗の真実」だったんじゃないだろうか。
「サスケの力を信じることが出来なかった」ために「一人でやろうとした」り・・・ それに、イタチもシスイと同じように「別天神」でサスケを操ろうとしていましたから。
これは58巻で明かされた話ですが、この時も「衝撃」でした・・・イタチがそんな手まで使おうとしていたとはね。
でも、イタチは己の失敗に気付いて、その別天神を自分自身に向けさせた・・・それも「穢土転生による操りを解除し、本来の自分に目覚めさせる」という使い方をして。 別天神の術にも、こんな「使い方」があったんですね。
穢土転イタチが使った「別天神」も「イザナミ」・・・どちらも本来は「強大な力(術)」ではありますが、自分自身を目覚めさせるための《解》であったり、誰かを目覚めさせるための《解》という使い方であって、誰かを攻撃したり利用する使い方ではありませんでした。
まるでダンゾウが「悪いお手本」でイタチが「いいお手本」みたいになっちゃってますが、別にそういう訳でもない。 ダンゾウは、ごくフツーに「力を使った」つもりだと思うし、それにイタチだって(シスイだって)同じように(使い方を)失敗しそうになったのだから・・・
58巻で、穢土転イタチは・・ナルトの前で「サスケを操るつもりだった」と失敗を告白し、自分自身に別天神を使って、《どんなに強くなろうとも 全てを一人で背負おうとするな・・ そうすれば必ず失敗する》と語ります。
そして61巻でも、穢土転イタチは・・サスケの前で「サスケを子供扱いした」失敗を告白し、イザナミを使って、《本当の自分を受け入れ、自分を許してやれ》と伝えます。 それは「強大な瞳術を得たサスケ」への「失敗者ならでは」の説得力のあるアドバイスでした。
《全てを手に入れたつもりで何でも成せると盲信しようとする だからこそ己の失敗に怯え己に失敗は無いのだと自分に噓をつく 結果それをごまかす方法として他人の力を信用しなくなったのがオレだ》・・・
《オレはお前に別天神という瞳術まで使いお前を操る形で導こうとした 誰よりもお前を子供あつかいし 守るべき対象としてしか見ず お前の力を信用していなかった》
(587話より、イタチの言葉)
「別天神」は「イザナギ」同様、一種の都合がいい「現実からの逃げ」(その強大化バージョンが「無限月読」)・・・ 強大な力を持つと、一人で何でもできてしまうし、一人で「何でもやらねば」と思ってしまう、そうやって自分を追い込んでしまう(特に責任感が強い人はね)。
イタチは・・強大な力を持ったナルトとサスケに、自分と同じ失敗を繰り返して欲しくなかったんだろうなぁ・・
イタチは、ナルトとサスケの前で「己の失敗」を正直に打ち明け、与えられた“強大な力”を「目覚める為の《解》術として使う」形で示していきました。
イタチの想いは二人に伝わったのだろうか。
そして・・・
六道仙人から託された「強大な力」を、ナルトとサスケはどのようにして使う「答え」を最後に出したのか。 それは・・・
《無限月読・解》・・・・
目覚める為の、本来の自分に戻る為の《解》術を「協力」という形で使うという答えでした。 こうして「61巻のエピソード」は、ナルトとサスケが二人で出した「答え」によって綴じられるのです。
・・・イタチの想いは、「伝わった」。
☆長駄文、読んでくださって感謝。
☆次は、62巻~63巻の「音描写」のことを・・・(前から言ってますが;)
(ナルト好きブログ! 2016/06/24)